スズラン

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スズラン

狐が好きで深夜テンション(?)と勢いで「狐の窓」を書き始めました。生の狐、見てみたいなー。あと結構不定期更新。長期休みは結構投稿してると思います。多分おそらくきっと。んで基本夜更新。 猫とウサギを飼っております。とても可愛いです。嘘です。ベタもいます。可愛いです。 基本自分のとこのコメントではご自由にしてくれて結構ですけど度がすぎた発言は遠慮願いたい。

明るい未来のその先へ

ラベンダーの花が一本飾ってある出窓の前にある椅子に座り、本読み、茶菓子を食べ、紅茶を飲む。 茶菓子にはシフォンケーキ。 紅茶はレモン汁を小さじ1杯程度入れたローズピンク色のラベンダーティー。 カーテンの隙間からから差し込む日差しは真っ白な部屋をほんのりと黄色く照らす。 紙を捲る音、紙の匂い、ほんの少しざらざらしている紙の触り心地。 部屋に流れている無音の空気。 その中で響き渡る時計のカチ…カチ…という秒針の音。 下を見ると、耳にかけていた色素の薄いクリーム色の、綺麗に整えられたマッシュヘアの髪がハラリと落ちる。 落ちた髪が目にあたり、水色がかった薄紫色の目を閉じる。 ちょっとだけ皺が残った、少し前まで人がいたことがわかるほのかな暖かみを持った白色のベッド。 廊下に繋がっているラベンダーのリースが飾られている白色の木材のドアとお風呂場とトイレに繋がっている白色のドア。 壁紙、床、ベッド、机、椅子、ドア、花瓶、全てが真っ白なこの部屋。 いつも通りの穏やかで安らかな日常。 −−−−−こんな日が、いつまでも続くのだろうか。 否。 こんな日がいつまでも続く?冗談じゃない。 物心がついた時から今日まで…ずっと変わらないこの暮らし。 気が狂いそうになる。 たまに誰かがが、ドアについているガラスの部分から『調子はどう?』と聞きに来る。 『今日は廊下だけ出てみる?』そう、語りかけてくる。 置いてある紙飛行機を浮かせ、宙でくるくると回す。 「今日は、少し出てみようか」 パタンと本を閉じ、立ち上がると白色の服にできた皺が影を作る。 白色の少しふわふわしているスリッパを履いた足を少し引きずりながら歩いて扉を開き、廊下へと踏み出す。 少し歩くとクマのぬいぐるみを持った黒髪で琥珀色の目をした小さい女の子が話しかけてくる。 「…レイお兄ちゃん?今日はでてきたの?」 聞き覚えのあるその声は、しかしいつ聞いたのかわからない声の少女をみる。 「コンニチハ、レイ」 クマのぬいぐるみの声を聞き、思い出した。 「こんにちは、シイナさん」 優しく、微笑みながら挨拶をする。 「ね、ね、しいな、ついていってもいーい?」 「ツイテイッテモイイ?」 クマが少女の言葉を繰り返す。 その言葉に少し悩む。 「…今日は駄目です」 そういうと少女は落ち込んで下を向いてしまった。 (どうしようかな) 首を傾げると髪の毛がサラサラと動く。 下を向き少女に話しかける。 「5分だけ話しますか」 質問をすると少女の顔がパアッと明るくなる。 「ほうんとうに?やったあ!ありがとう、レイお兄ちゃん!」 そんな少女の明るい言葉と反対に、クマは 「メイワクジャナイカナ…キラワレナイカナ」 と暗く話す。 一瞬目を見開き、すぐに元の微笑みに戻る。 「…大丈夫、迷惑じゃないですよ。シイナさん」 * * * 「…そろそろ行きますね」 「どこに行くの?」 どこだろうか。 自分でもわからない。きっとどこかには行く。 「さあ。さようなら、シイナさん」 少女の頭をフワッと撫で、立ち去る。 ゆっくりと、さらに廊下の奥に進むと鍵がかかっている扉の前まで来た。 扉を開こうと試みるも、やはり開かない。 仕方ないから壊そう、として手をかざしてみると、バキっという音がした。 その先に進むと、白衣を着た人間が沢山いた。 誰かがこちらに気づくと、焦ったような顔で隣の人間に何かを言った後、こちらに微笑みながら歩いてくる。 「玲君。どうしたの?何か欲しいものでもあった?」 髪を結んだ女性が話しかけてくる。 「いいえ」 女性が汗をかいているのが見える。 「じゃ、じゃあどうしたの?とりあえず玲君の部屋で一緒に話そう?ね?」 部屋に戻そうとしているのだろうか。 なぜ? 僕は何もしていないのに。 「僕、この先に行きたいんですけど」 女性の顔が引き攣る。 「ごめんね。この先は行けないかな…」 女性の人の後ろに、さっきの隣の人が、武装した警備員らしき人たちを連れてくる。 「あの子です!」 誰だろうか。 どうして邪魔をするのか。 * * * 気がつくと、目の前にいた女性が血を流して倒れていた。 警備員たちを見ても、全員倒れている。 床にも壁にも天井にも血がついているこの光景は地獄絵図と言えるだろう。 僕の服にも血がついている。 「まあいっか」 先に進むとガラスの壁の前まで来れた。 僕の顔を見てみると、頬に血がべたっとついていた。 指の先をガラスにおくと置いたところからガラスの壁にヒビがはいり、大きな音を立てて割れる。 どこかからかウゥーンとサイレンの音が聞こえる。 どこかで犯罪でも起きたのだろうか。 僕は気が狂いそうだったから丁度いい、と言って尖っているガラスの破片を持つ。 「バカだな。壁をガラスで作るなんて」 そう言ってガラスを喉に刺す。 …結局、なんでみんな怖がってたんだろう。 * * * 目が覚めるとそこは元の白い部屋だった。 「…おかしいな。今回はちゃんとできたと思ったんだけど」 別に失敗したっていい、また挑戦すればいい。 そう思いながらメモを残す。 椅子に座り、本読み、茶菓子を食べ、紅茶を飲む。 ずっと同じ日の繰り返し。 12月26日 今日は自殺してみた。 でもその記憶はすぐに無くなるとおもう。 これからはちゃんと記憶がなくなる前にメモを残そう。 1月18日 今日は外に出てみた。 目の前に死体があってびっくりした。 シイナさんの話すぬいぐるみは面白い。 2月1日 シイナさんって誰だろう。 ぬいぐるみが話すはずないのに。 前の僕は何を言ってるんだろう。 今日は自殺してみた。 前にもしてるみたい。 2月28日 今日はシイナさんらしき女の子に会った。 話すクマを持ってる女の子はシイナ。 これで多分わかるよね。 3月10日 今日僕に様子を見に来た白衣を着た人は僕のお母さんなんだって他の人が話してるところを聞いた。 そんなそぶりは一切なかったのに。 ていうか、オカアサンってなんだろう。 忘れちゃった。 4月2日 今日はまた自殺してみた。 前の僕もしてるらしい。 全部失敗。 下手だな。 12月28日 半年分の記憶がないや。 前の僕はメモを残せなかったのかな。 廊下でシイナさんと話した。 その後目の前に死体が沢山あった。 ガラスの壁があったからそれで自殺してみた。 失敗。 また、失敗を忘れる。 1月12日 今日も自殺を試みた。 失敗。 今度は成功させてね。 同じ本を読まないように、題名を書いておこう。 題名は『明るい未来の先へ』次は別の本を読んでみて。気になってる本があるんだ ずっと穏やかな日常が続くのだろう。 同じ毎日が。 2月1日 僕は、死ねないって、死なせないって言われた。 大事な「ーーー」なんだって。 ちゃんと自殺しようとする前にこのメモを見てね。

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明るい未来のその先へ

とある異世界のハナシ(II-I)

〜前回〜 「…わかった、俺がコイツらを責任もって騎士の所まで連れて行く。だから殺すな、これでいいか?」 男がそういうとルナンは真顔で強盗の男達を見下しながら、 「しょうがないですね、まぁいいですよ」してあるんで見といてください」 (見とくも何も、気絶してるんだがな…) 〜今回〜 ルナンは薬草などを少しずつ調合していく。 「…えぇと…お客様、今日は何故にここまで?旅の途中か何かですか?」 ルナンは沈黙の時間を気まずく感じ、男に話しかける。 「…この辺の巡回を頼まれた。盗賊が出た…ってな」 男がそういうとルナンは「あぁ〜…」と言って、明後日の方向を見る。 その白々しい態度に男はため息をつく。 「今更だが、お客様はやめてくれないか?慣れない。好きに呼んでくれ」 (あんまり店に行かないのかな) お客様呼びが慣れない、普通店ではお客さまと呼ぶのだから、その呼び方に慣れないということは普段から店に立ち寄らないタイプなのだろう。 そうしているうちに、ルナンが「薬できましたよ」と言ってカウンターに薬を置くと肘をカウンターに立て、頬に手をつきポーションの蓋に部分にもう片方の手の指を置き、首を傾げ微笑み、 「じゃあ、お兄さんの名前はなんですか?」 と聞く。 突然のお兄さん呼びに驚いたのか、ピクッとまゆが動く。しかしすぐに「ハッ」と笑い、冗談混じりに、 「…ナンパか」 と言ってみる。 ルナンがニコニコと微笑んでいるうちにお金を払う。 「薄利多売どころか、薄利薄売だな……ジオス。呼び捨てでもなんでもいい」 男がそういうと、ルナンは目をぱちぱちとさせ、首を傾げて見せる。 「…名前だ。あんたが聞いたんだろう」 「あぁ、ありがとうございます。じゃあ、ジオスで。偽名ですか?」 またしてもルナンが笑顔でそう聞くと男はため息まじりに、 「馬鹿正直に聞く奴がいるか…」 ルナンを見ながらいう。 事実、馬鹿正直に偽名か聞くやつなどいないだろう。 「はは…」 「一応本名だ。偽名を使う理由がないからな」 それは確かに、と妙に納得してしまったルナンであった。 「…そういえば、ジオスは巡回しに来たんですよね?これからもこっち側にいらっしゃるんですか?」 ジオスにそう聞いてみると、面倒くさそうに水を飲みながら答えた。 「…多分な。しばらくはこの森の巡回だろう」 「それは盗賊が捕まったとしても?」 正直、巡回されるのはルナンとしてはあまり好ましくない。 何故ならここは素性がバレたくない人物も多くいるからだ。 そんな所の周りをうろちょろされては、客が減ってしまうではないか。 (別に繁盛しなくても生きていけるけど) ルナンにの長い時間においてこの店はただの娯楽に過ぎない。 「…どうだろうな。そこは上の判断に任せるしかない」 「まあ、店に来てなんか買ってくださるなら、ご飯は提供しますよ」 商売が上手なこった、ジオスはそう思いながら水を飲み干し立ち上がる 「お帰りで?」 「…こいつらを届けないとだしな。まあ、また機会があれば会うだろう」 「そうですね」 ルナンは立ち去ろうとする背中を見ながら軽くお辞儀をする。 「またのお越しをお待ちしております。人間のお客様」 「…お客様はやめろって言っただろ」 「ははっ。そうでしたね」 〜翌日〜 「———ジオス…確かにまたのお越しをお待ちしておりますとは言ったけど、さすがに早くないですか…盗賊ってあの人間達だけじゃないんですか…」 目の前にいるジオスという男は、誰が見てもわかるほど苦笑いをしていた。 「俺だってこんな変わり者ハイエルフの店なんざ来たかねぇよ…そもそもこの店を見つけたのだって偶然なんだぞ」 失礼。ジオスはさらっと失礼なことを言うとカウンターの方に歩いてくる。 「…仕方ねぇだろ。この森の巡回をしたいやつが誰もいなかったんだから」 (何があるかもわからない森…そりゃ来たくないか) 自分で言っていて悲しくなった、ルナンはそう思いながらも当たり前だという顔をする。 「それで、今日はどうしたんですか?また薬買いに来たんですか?」 「いや、今日は薬を買いに来たのではない。盗賊なんてどこにでもいるとは思うが、ここにいた方が釣れるだろ?」 ジオスはハイエルフの店ならば、強盗が釣れると考えてここにきた。 はっきり言ってクズだ。 「えぇ…ジオスいつか刺されるんじゃないですか…?」 色々な人から恨みを買ってそうだ。 「誰かから刺されるとしても、ここの店主ではないことを祈っている」 なぜ。 とは思っても口に出さないルナンであった。 〜後書き〜 次はなんか…あの…なんか出すと思われますねッ!

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とある異世界のハナシ(II-I)

『キミは良い鬼だね』 そう言ったのは、誰だったか。 そう言われたのは、いつだったか。 今となってはどうでも良い。 目が痛い。 喉が熱い。 目の前にある光景は地獄絵図といえる。 住み慣れた山は燃え、住み慣れた家は焼きただれていた。 13の誕生日を迎えたボクの目の前にあるのは、豊かで平和で穏やかな見慣れていた里にあるのは、焼けこげた家と、誰が誰どころか、性別まで区別ができない死体。 ボクは、里だったであろう場所の前でへたり込む。 「…ぁあ…」 もう涙も出てこない。 みな悲しい時は泣けば楽になると言った。 誰が言ったのかはわからないそれを、信じていた。 だがそれは、耐えられる悲しみの時にしか効果はない。 本当に耐えられないのならば、涙なんぞ出てこない。 出てくるわけがないだろう…それ以外のことで頭が一杯なのだから。 一番近くにあった木が崩れると、火の海の中心にやけに綺麗な顔をした見覚えのある人間がいた。 「…菜凛〈なり〉…?」 菜凛は振り向いて、ボクの方にゆっくりと歩いてくる。 「今日は〈こんにちは〉、翠蘭〈すいらん〉。いい天気だね」 何を呑気なことを言っているのだろう。 「菜凛がやったのか」 菜凛を睨みながらそういうと、菜凛は目を見開き、笑いながら違う、と言った。 「あはは、違うよ。やったのは俺じゃない、翠蘭だよ?」 は…?なにを言っているのだ?ボクがこんなことをするわけがないだろう。 「ボクはやってない…」 そう言って牙をむきだしにしてもなお、菜凛は微笑み佇んでいる。 「昔のこと、覚えてるかな。この場所を教えてくれたのは紛れもない、翠蘭だってこと」 …教えた。 でも、だからなんなんだ。 「翠蘭が教えてくれなかったら、鬼を滅ぼすことはできなかったよ。うまく隠れてたね」 つまり、ボクがここを教えていなければ、みんな死ぬことはなかったということか? ボクのせい…? いや、殺したのは菜凛だ、ボクじゃない… 「…ボクじゃない…だって、殺したのは…」 「あぁ」 ボクが話そうとしたところを、菜凛が思い出した、と手を叩き、遮る。 「そういえば、翠蘭はこんなのもくれたね!これ、本当に助かったよ!おかげで部下を連れて来れた。戦闘が大分楽になったよ」 そう言ってボクに見せたのは、小さな石がついている首飾りだった。 首飾りについている石は、10人以内ならば誰とでも一緒に、この里の結界を通り抜けられるというものであった。 嗚呼…やはりニンゲンなんて信用しなければよかった… 菜凛を信用しなければ… 菜凛を信頼しなければ… ボクが…ニンゲンと合わなければ…? あれ…? ボクが、悪い? わからない。 誰か、誰でもいい、教えて… ————いや、違う…誰か…誰か、ボクは悪くないって、ボクのせいじゃないって、言って。 菜凛…助けて… 違う、菜凛はみんなを殺したニンゲンだ…! 「じゃあ、誰なら信じれる…?」 親も、兄弟も、もうボクには誰もいない。 菜凛なんか、大嫌いだ。 〈でも、スキ〉 もう顔も見たくない。 〈頼りたい、頼らせて〉 ———助けてよ… 助けて…おかあさん…おとうさん…菜凛…! 怖いよ…なんで…?ボク達が、ニンゲンに何をしたっていうんだ… 逃げ出したい。 菜凛の前から、今すぐに… 「信じてって…こんなことをしたのは、菜凛達じゃないか…!信用なんか、信頼なんかできるわけないだろ!」 叫ぶと、菜凛が前屈みになって、ボクの頬を両手で掴んだ。 どこか狂気的な笑みを浮かべた菜凛を、本能で恐れた。 「…ひッ…ぅ…あ…な、り…」 鳥肌がブワッと立ったのを感じる… 一切沸かなかった涙が、爆発したかのようにボロボロと流れる。 「あは。俺じゃない。だから、鬼達を死に導いたのは翠蘭だって、言ってるでしょ?現実を受け止めなよ」 菜凛が大きく口を歪め、目を見開いて言った。 頬を掴む力が強くてヒリヒリと痛む。 元凶は、ボク。 菜凛は悪くない… おかあさんたちを死に追いやったのは、ボク… 「悪いのは、ボク…?」 「そう。悪いのは翠蘭」 恐怖と涙、罪悪感で顔が歪む。 「じゃあおかあさん達を殺したのも、ボクなの…?」 「みんなみんな、翠蘭が殺した」 「あ…ぁあ…いやだ…ごめっ…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい…謝るから、全部ボクが悪いから…だから…お願い…みんな帰ってきてよ…ぅぐっ…ひっく…あぁああ…いやだよぉ…!寂しいよぉ…」 泣きじゃくるボクを見ても、菜凛はまだ笑っている。 「あーあ、ニンゲンに大事なものを渡すから」 「だって…嬉しかったんだもん…!ニンゲンの友達ができたの初めてで、楽しかったんだもん!こんなことになるだなんて…思わなかった…!」 「大丈夫…きっとみんな許してくれるよ」 「…本当に…?許してくれる…?怒ってない…?」 許してくれる、その言葉に流れていた涙がおさまる。 「もちろん。だって、翠蘭は謝ったでしょ?」 「…でも、みんなは帰ってこない…」 「俺のところに来て。翠蘭が元気でいたら、みんな安心してあの世に行けるよ」 そっか。 なら、せめてもの罪滅ぼしに…みんなの分まで… 「…う、ん…一緒に行く…置いていかないで」 ボクがそういうと、菜凛はボクを抱き上げて、歩き始める。 「…本当に、翠蘭は愛らしい〈バカだ〉ね」 菜凛のその言葉は、ボクには届かなかった。 ——あれ…?何かオカシイ…? 〜終〜

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鬼

狐の窓(拾参)

〜前回〜 「刃先輩はどこにやったの?」 「刃…?人化は人化の身内がいるところに飛ばした」 〜飛ばされた刃先輩目線会話多めだよ(話し手不明)〜 (…どうしたものかねぇ〜) 一人知らない場所に放置されている刃は、飛んできた場所から少し離れた場所に移動していた。 「…んぇ?」 少しだけひらけたところに出ると、そこには中華っぽいような中華っぽくないような服を身につけて気味の悪い笑みを浮かべた仮面をかぶっている男がいた。 その男は刃とよく似た髪色だ。よく見ると髪質も似ていることがわかる。 目の前の男はこちらに気づくと話しかけてきた。 「やあやあ、オレはほとんど人化であり人化でないようなもの、人化の中でも特異体質の珠蘭〈しゅら〉。君の名前はなあに?」 しゅら。刃はその名前に聞き覚えがあった。 「…珠蘭クン?えぇ?珠蘭って…あの珠蘭ぁ…?ボク刃って言うんだけど覚えてる…?」 なぜこんなに刃はやる気がないのだろうか…もう少しいつものようにハキハキと話してもらいたい。 「刃…?じん…刃?えぇあの刃〜…?」 お互い名乗ると、えぇ…という顔をした。珠蘭の仮面はなぜか表情が動く。そのためどんな顔をしているのかがしっかりとわかる。 「覚えてんのぉ〜…?」 「むしろキミこそオレのことを覚えてる方が驚いたんだけど…」 「キミもボクを覚えてるなんて意外だよぉ…」 二人がそういうと、お互い苦い顔をして言った。 「「いや忘れろって方が難しくなぁい…?」」 さすが、身内とだけあって一言一句違わないその会話(?)素晴らしい…? 「…何年ぶり…?」 「えぇとぉ…13年…?」 「思ったよりも経ってなかったねぇ。じゃ〜改めて、自己紹介する…?」 「まぁ〜いらないだろうけど、一応やっとく〜…?」 珠蘭は深呼吸をして刃に対して話し始める。 「じゃ〜、オレから。名前は仿巳〈たつみ〉珠蘭。ん〜と、人化…の説明はいらないか…あぁ〜と、仿巳刃の双子の兄…どうぞ?」 「もう言うことなくなぁい…?名前は仿巳刃…人化の説明一応しとく…?えぇと珠蘭と同じく、人化にして人化でないようなもの、人化の中でも得意体質…刃、で…す…?仿巳珠蘭の双子の弟…」 「だよねぇ…やっぱキミ、オレの弟だよねぇ…」 珠蘭は仮面を外すと、刃にそっくりな綺麗な顔が現れる。 一回座って話そうか、といい、二人で地面に間隔をあけて座る。 「…あのこと…って、覚えてたり…しま…すぅ…?」 「あのことってどれぇ…?」 そう言う刃の目は死んでいた… 「珠蘭が酔ってボクの部屋に女のコを連れ込んできてそれがボクに見られたコト…それとも珠蘭が酔ってボクを女のコと勘違いした挙句、部屋に連れ込んだコトぉ…?」 思い当たる節が多すぎる。 十数年前… 『…珠蘭、また酒飲んできたのぉ?もお少し飲む量減らしたらぁ?……珠蘭ぁ…?』 『あれぇ…?○○チャンいつ来てたのぉ〜?』 『…えぇ…ボク○○チャンじゃないんだけどぉ…っ!?え、ちょ…バカバカバカバカッ!』 …多分この人酒向いてないんじゃないか、と思いつつも、改善を諦める刃であった。 刃が独り立ちできたのは、珠蘭のおかげだとも言える。 それにしても、言葉遣いまで似ているとは…双子にしても似すぎでは…? 「…その節はぁ…なんといぃますかぁ…はい…ちょっと思い出して鼻血出そうかも」 「あの時のアレ、いまだにトラウマなんだけどぉ…」 「…うぃ…」 二人してしょぼんとしてしまい、しかし珠蘭が思い出したかのように質問を投げかけた。 「そういえば何しに来たの?」 「なんか飛ばされたぁ」 「あぁ〜…もしかして、怜奈に会ったぁ?」 「怜奈?新しい女のコ?」 「違う違う、銀冷系統の宝蝶のことだよ〜」 「あぁ、あのコかぁ。あってはないけど、少し近づいたよぉ」 刃がそういうとやっぱりかぁ、といい、顎に手をあてそれなら…と話し始めた… 「…う〜ん。じゃあ“また”弟の宝蝶探した方がいいかぁ」 「え弟いたのぉ?というか、また?前にもあったの?」 (弟…えぇ…) 「なんか、定期的にねぇ…なんというか、暴走じゃないんだけど…とにかく、ニンゲンはたまに入ってくるけど、普段はそこまで気にしないし、放っておくんだけど…たまぁに、一人になっちゃうと…暴れる…?と言うか…落ち着かない…不安定…?とにかくそんな感じになるんだよね〜」 途中まではしっかりと説明をしていたが、最後の方は適当になっていた。 面倒臭いのもあるだろうが、よくわからなくなったと言うのが一番の理由だろう。 「雑だねぇ。まぁいいとして、そのことと弟クンの存在の何が関係あるのさぁ」 「ん〜とぉ、怜奈と弟の瑞奈は、二人で一つの存在でね、一人になっちゃうとさっきも言った通り、安定しないみたい。それなのに、瑞奈も怜奈も精神が不安定で、瑞奈はごく稀にどこかにいちゃうし、瑞奈がどこかに行ったら怜奈は周囲に敏感になって、すぐ手を出しちゃうし…まぁ兎にも角にも、二人を合流させればこっちの勝ちってわけ〜」 珠蘭はそう言うと、刃を引っ張って立たせ、瑞奈探しにでた。 「…そういえば、珠蘭。なんでここにいるの?」 「なんとなく?今は怜奈たちの状態をたまに見に行ったりしてるんだよねぇ」 珠蘭がなぜここにいるのかは、本人も怜奈たちもわかっていないそう… 〜後書きだヨ☆〜 色々設定後出しでゴメンネ… 結構後出し設定今後の話で出ます。 次回は多分ルナンさんたちの方出すと思いますわおほほほ。

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狐の窓(拾参)

自分の文章の特徴

はいこんにちはこんばんは。 この話(?)はただただ自分の文章の特徴をまとめたものです。 〜書き方〜 ①文法は全く気にしない。 とにかく書きたいように書いてる。 他の人を参考にしたら意味わからずにぐちゃぐちゃになって終わりです。 だから基本読みにくい。 ②何を書いてもオッドアイウルフヘアショタが出てくる。 これなんでかわかんないんですけど出てくるんですよ。 とにかくショタは可愛いです。 基本オッドアイウルフヘアショタはキャラ作り1番こだわってますね。 お気に入りの子は基本そんな感じなんですよ…! ついでに絶対誰かは宝石の涙を流すし血の宝石を流す。これお気に入りなんで☆ ③登場人物の偏りがひどいひどい。 ほとんど男ッ! いやこれもなんでかわかんないんですよねーあはは。 女キャラ今の所「狐の窓」と「英雄たちの裏話」くらいしか出てないんじゃないですかね。 ④会話が多い。 これも何でかわかんないんですけど、なんか会話メインです。 逆にその時の状況(?)とか全然書いてないですね。 だから会話メインで楽しみたいよって人には向いてるんじゃないですかね。 ⑤性癖☆ 基本自分の性癖とかしかぶっ込んでないです。 まじで人に読ませる気なくね? って自分でも思ってますよ。 ⑥BLじゃないのにBLって誤解されかねない。 これ多分自分が腐ってるからかもしれないです。 だからBL無理な人には向いてないですね。 ここまで読んでくれた方、お疲れ様でした。 もう終わりです、ありがとうございました。

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狐の窓(拾弍)

〜かなり間が開きましたが前回〜 「そ、そうだね…と、取り敢えず森に行こうか…?」 「そうしよう…」 そうして僕たちは森に入って行った。 〜本編〜 「————なあ」 僕が声をかけると千尋がいつものように爽やかな笑顔で返事をした。 「どうかした?」 「なんか」 「…うん」 「僕ら、迷子になってると思うんだ」 刃先輩、僕はもうすでに全てを諦めたかのような微笑みを浮かべている。 千尋は逆に開き直って満面の笑みだ。 「そだね!」 いや、そだねじゃねぇよ!この森の妖怪でももう少しマシな反応するわ! もうちょっとこう…なんだろうとにかく焦ったりとかさ…あるだろ… 「これ、妖怪見つかるのか…?というか戻った方が良くないか!?」 「いや」 は?いや?どっちに対して?戻った方がいいってことに関して?妖怪が見つかるかに関して?? どちにしろ一旦今日は引き上げたいのだが… 「妖怪に関しては会えるか微妙なんだよね〜」 「ね〜」 そう呑気にいう千尋と刃先輩の前を水色のキラキラと光る蝶々が通る。 「「あ」」 「…なんだよ?」 二人は息を揃えて言った。 「「宝蝶居た」」 ((宝蝶というより死鱗蝶だけど)) とな! 「ゑ?」 え?いや、え?何が居たって? まじか… 「あ待ってどっか行っちゃう!ほら早く早く!」 千尋の掛け声と共にみんなで駆け出し、蝶々についていく。 * * * 「ねえ、この死鱗蝶〈しりちょう〉の主ってどれなのかな?」 知らない。死鱗蝶ってなんなんだ…と千尋に聞いてみると「宝蝶の使徒」と教えてくれた。 「どれかなぁ…前に聞いた話だと水色で、銀色の光る粉を落とす…とくれば、やっぱり情報が一番少ない、銀冷系統かもねぇ…紫暖系統の方がまだマシだったかも…」 「確かに、紫暖系統の方は情報も多少なりともあるし、穏やかな性格の個体も結構いるんだけど、銀冷系統は絶対零度だし、情報もないしな〜…というか銀冷の方が戦うと面倒臭いって聞いたことがある…というか今更だけど普通に宝蝶って殺しにかかってくるんだっけ」 「…多分普通に殺しにかかってくるね〜。ニンゲンも結構殺されてるみたい。殺される条件がいまいちわかってないけどね」 よくわからないが、面倒臭いことはわかった。 そんなこんなしていると、神秘的な藤の大木が生えている、ひらけている場所に出た。 「千尋、死鱗蝶が前に進まなくなったぞ?」 「ついたみたいだね」 どんな妖怪なんだろうか。 今の所面倒臭いという情報しかないのだが。 「優希くん、狐の窓、あの藤の木に向かって使ってみて。多分、あの木のところに居る」 「なんでお前はそんなに微笑ましそうな笑みを浮かべているんだ…?」 「———雰囲気が暖かいからかな」 (本当か…?) まあいい、そう思いながら藤の木に向かって窓を作り、そっと覗きこむ。 —————殺戮人形。 最初に出た言葉はその一言のみ。 ウルフヘアの白髪、水色のグラデーション、ハイライトのない紫色と水色のオッドアイ、何を考えているのかわからない、しかし死体を彷彿とさせる程の白く無表情な整った顔。 その見た目に反してこちらに恐怖を抱かせるような…文字通り、人を殺せる。 殺戮人形という言葉が最も似合う。 「…あれのどこが穏やかだって?」 苦笑いを浮かべ、額に冷や汗をかく。 宝蝶の指先に、死鱗蝶がとまる。 「…?……」 何か話しているようだが、離れていてよく聞こえない。 目の前を1匹の、今度は普通の蝶々が通る。 その蝶々について行こうと、考える前に体が動き出す。 僕が一歩踏み出すと、千尋が袖の裾を掴み、引き留める。 『目を覚ませ』 千尋のその言葉でもう一歩を踏み出そうとしていた体がとまる。 千尋を見ると真顔で首を軽く横に振った。 「———これ以上は、駄目」 目の前にいたはずの蝶々は、いなくなっていた。 いや、もしかしたら元からいなかったのかもしれない。 「…あの蝶々は?」 「アレは蝶じゃない。宝蝶だよ」 宝蝶であろう存在の指先に止まっていた死鱗蝶も、気がつけばいなくなっていた。 …それよりも、僕より一歩先にいたはずの刃先輩の姿が見当たらない。 「…千尋、刃先輩は?」 「わからない。多分、あの子の領域の中に入ったからだと思う…でもこの森の中にはいる。どこかに飛ばされているだけ」 …つまり、僕はあと一歩でも進んでいたら、この森の全く知らない場所に飛ばされていたということか。 もう一度言おう。それのどこが穏やかだって? よく考えて見て欲しい。自分の領域がどこからどこまでかも言ってないのに、入って来た瞬間に問答無用でどこかに飛ばす化け物だぞ?全然殺しにかかってくるらしいし。それを踏まえた上で、最後にもう一度言おう。どこが、穏やか、だって!?馬鹿なのかあいつは。 「千尋…?あいつ穏やかのおの字もなくないか?」 「いや穏やかな方でしょ多分…銀冷系統だし…俺一回銀冷に当たったことあるけど、何が起きたかわかんないままなんかで刺された…気がする…20年くらい前の記憶だから曖昧だけどね」 …こいつどうやって高校入ったんだ…? 刺された…?刺された…??なんで生きてるんだ??? 当たったことがあるならせめて情報の一つでも持って帰ってきて欲しかった… 「優希君」 「…なんだ」 「ちょっと近づいてみようか。飛ばされた時は飛ばされた時ってことで…レッツゴー!」 僕は千尋に引っ張られ、宝蝶の方に向かって歩く。 「おいばかッ!飛ばされ…って、あれ?飛ばされない…」 「ほんとだ」 「…ん…?」 僕と千尋が呑気に言葉を交わしていると、宝蝶と目があった。 宝蝶は目が合うと、座っている藤の木の根から降りて、しかし突然消えると再び僕たちの目の前に現れる。 「降りてきてくれたみたいだけど、これどうすればいい?」 「知るか…!」 内容がとてつもなく薄い会話を小声で繰り返す。 「…あと少しだったのに…」 「「うわっ喋った!」」 …これは流石に失礼だったか…? 「…どうして邪魔したの?狐」 いや狐て…九尾の狐をただの狐て… 「狐、どうしてニンゲンと一緒に来たの?」 高い声。男…いや女…?おと、お、男…?いや女…?わからない… 「ちょっと待とうか銀冷…とりあえずなんだけど、質問は一つずつね?」 千尋にそう促されると、宝蝶は数秒の間をおきつつも素直に頷く。 「…なんできたの?ここにくるのはやめて置いた方がいいってわざわざ教えてあげたのに」 偉い。ちゃんと一つずつ質問している。 そしてやはり、先程の子供は宝蝶だったみたいだ。 宝蝶はかなり幼い見た目だ。 だがそれに反して実際はかなりの年齢だと言う…言葉遣いこそ子供だが、その本質は決して子供みたいに可愛らしいものではないらしい。 千尋に宝蝶とは子供と接するようにする方がいいかも、と言われたが、納得がいった。 「君たち宝蝶に会いたかったから。こっちの人間はトモダチだよ」 「…なんでトモダチを連れてきたの?僕たちがニンゲンを襲うって知ってるでしょ?」 「宝蝶を見つけるには人間を連れてくるのが確実だと思ったからかな」 ちょっと待て、じゃあ人間が襲われることを知っていて僕を連れてきたのか。 あとで覚えてろよ。 「じゃあ次は俺からいい?」 「…いいよ。特別」 「ありがとう」 千尋は前屈みになると宝蝶の頭をふわりと優しく撫でながら質問を投げかける。 「刃先輩はどこにやったの?」 「刃…?人化は、人化の身内がいるところに飛ばした」 宝蝶は千尋の手を取り、自分の頬に当てる。 (刃先輩って身内いたのか) てっきり妖怪には身内はいないものと思っていたが、少し違うらしい。 後書きだよ☆ ハロー!相変わらずの不定期更新で申し訳ないですねぇ〜。 自分がノベリー初めてかれこれ半年くらい経つんですよ…! いやぁ〜時間の流れってものは早いものですねぇ…とりあえず次回はまた狐の窓かなーと思っております今日この頃でした。

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狐の窓(拾弍)

やり直すよんつまり削除だよん✨

BLやり直しますねー。 すいません✨ 理由?合わぬ。何かが違う。大丈夫ですちゃんと落ち着いたら書きますよ元々のやつでも別のやつでも☆

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死神の悩みごと〜始まり〜

〜始まり〜 「いやさ…別に文句を言うつもりではないんですよ?俺らの仕事だもんな?でもさ、神様さ?死神幹部の負担もうちょい考えろよ?なんだ週7って?ふざけてるのか??」 ※説明しよう!この人(?)は死神で、仕事が馬鹿ブラックなことにキレているのである! 説明終わり☆ 「ごめんってぇ〜!だってどこの天界も人手不足で、リン君しかいないんだもん!」 「いい年してだもん言うな気持ち悪い!」 言い争いをしていると、クソk…ゴホン…神様が足元で縋ってきた。 「頼むよリン君〜!3連休あげるからさぁ!」 「はぁ!?プライド捨てたな!?神様プライド捨てましたね!?本当に3連休くれるんですね??本当ですね???…わかりました行ってきます」 俺はつい怒り気味で言ってしまった…が、まあいいだろう。 「ほんと!?ありがとうリン君〜!じゃ、そゆことで、後はヨロピク☆」 …何だろうむかつく。 はぁ…仕事に行ってこよう。 「…しょうがない…今日も魂、救っていきますか!」 § § § § 「…ん?そういえば〜神様、“3連休”って言ってたような…ん?スーッ…ま、あいいか…な?うん…」 人間界に着いたのはいいが、死魂リストがどこなのか、聞きそびれた。 「あいや俺が持ってる今日の仕事リストに追加されてるかもな?え〜と…?」 ポケットの中からリストを出し、死魂回収の欄を診てみることにした。 「あ、あったこれだ…! そういって指でリストを辿った。 「ふむふむ……ん?…ん??」 なんか…多くないか?いや、気のせいだろう。 …もう一回辿ってみるか… 「え〜と?…1、2、3……9…10…はぁ?…はぁ!?あのクソ神…!許さねぇ!あぁ俺のただでさえ少ない睡眠が…」 俺が可哀想だとは思わないのかあの神様は。 目の下にクマができるぞそろそろ… 「まあそれはいいとして仕事仕事サービス残業…え〜とまず一人目のところか…」 § § § § 「一人目は病院か。とりあえず死魂リストの詳細を見てみるか」 名:成瀬美琴 年齢:18 職業:学生 性格:優しい・真面目 担当者:リン 担当分野:輪廻・導魂・裁判・問題解決・生・死・特殊・男・女・      子供・老人・その他生き物 役職:死神幹部 種族:死神(生死を司り、魂及び願いを導く者) 「あぁらまぁご丁寧にリストに俺の名前まで書いちゃってぇ…チッ、あの神最初から俺に全任せする予定だったな!…帰ったら覚えてろよ…?」 今すぐにでも神様をぶん殴りたい気持ちを抑え、病院に向かうことにした。 「飛んでってもいい、が…面倒臭いな。えぇと、相棒相棒…あ、あった」 そう言って俺は空間収納から刃だけで自分よりも大きな刃先がエメラルドグリーンで持ち手に装飾が施されている鎌を取り出し、空間を切り裂き“道”を作った。 「これでよし、早く行こう。この仕事が終わったら一回死神A班と天使C班に指示を出そう」 終わり ご安心をこれはまだ始まりの部分ですのでしっかり狐の窓が完結してから出しますよ続きは✨

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死神の悩みごと〜始まり〜

悪役と英雄の裏話〜それぞれの世界に戻るまで〜後編

「なんか企んでるみたいな目で見るのやめてほしいんだけど!?」 後編 ※悪役とか英雄打つのだるいんで打ちません判別ヨロピク☆ 「君たち、色々大変だね…」 そこで、一人の英雄が立ち上がって微笑みながら言った。 「さて、そろそろお開きみたいだ」 急に突然言い出すもので、その場にいた全員が驚いていたが、一人、一人と悲しそうな、寂しそうな顔をして立ち上がった。 「そうか…時間か。また会おう!来年、世界のストーリーが終わる前に誰一人欠けず合うことを祈って!」 「「誰一人欠けぬことを祈って!」」 皆が円陣を組みそう言うと、悪役のうちの一人が 「まあどうせ、この中の何人かは同じストーリーの人物だ。いつかは争うことになるだろうさ!何人かは今現在進行形で争ってるんだろ?」 と言い、下を向いた。 「…大丈夫、きっとどうにかなるさ!」 「…あぁ!そうだな!」 「そもそも、ネガティブなんて、お前らしくないぞ!」 一人の英雄がそういい、悪役の肩を叩くと、笑顔で 「そうだな!ハハッ」 そう言った。 皆が笑顔で前を向き、帰りのゲートに向かった。 最後の二人もゲートに入ろうとした。 「またな!英雄!ストーリーで会おう!」 「あぁ!勝っても負けても恨みっこなし、全力でかかってこい!」 そう言ってグータッチをしてストーリーの中に、全員が戻って行った。 これで個性豊かなストーリーの悪役と英雄の、年に一度の会議が終わった。 これは、数少ない悪役と英雄が戦わない話。 この世で最も平和で、和やかで、そして最も悲しい物語である。 〜end〜 この話は完結しました。 ですが番外編のような形でこの後の話をまだ4〜6話くらい投稿すると思うんで気長にお待ちください✨ あとここんとこ間が空きまくってすんません☆ ちなみに反省していません。

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悪役と英雄の裏話〜それぞれの世界に戻るまで〜後編

楽しみ

「ただいま」 今日も誰もいない僕の家。 いつものように、引き出しから薬が入った瓶を取り出し、一粒飲み込む。 することはないけど、何となくパソコンを開いてSNSを見てると、ふと事故のニュースが目に入った。 あぁ…嫌だ、息ができなくなる。 いつものことなのに、いつまで経ってもなれないや。 ーー怖くない 〈怖い〉 ーー大丈夫 〈大丈夫じゃない〉 ーー1人でも大丈夫 〈さみしい〉 ーー耐えられる 〈タスケテ〉 ーー苦しくない 〈苦しい〉 ーーもう落ち着いた 〈タスケテ〉 ーーうるさい 〈タスケテ〉 大丈夫、大丈夫薬を飲んだら、落ち着く… 〈ホントウに?〉 うるさい! 何粒か手に出して一気に飲み込む。 飲んだらいつも通り幼馴染のひろにメッセージを送る。 『ひろくん、今、暇?』 『暇だけど、どうしたの?』 いつもの癖で、腕を引っ掻いてしまう。 『家、これる?』 『もしかして、またいつもの発作?…わかったすぐ行く』 あぁ…この待ってる時間が長く感じる。 今、何分経った…? 嫌だ、苦しい、怖い…タスケテ。 僕は瓶から薬をざらざらと出す。 何粒か床に落ちる。 血がついている手に出した薬をゴクッと飲み込む。 …足りない。 そう思って何個も何個も飲み込む。 止まらない。 薬を飲んだら一瞬だけ楽になる。 …楽しい…?楽しい。 薬がどんどん減っていく。 まだ、まだ全然足りない。 なんで?何で一瞬しか楽になれないの? 僕の隣には空の瓶が二つ。 あぁ…薬が足りないのか。 もっと、飲まないと。 ーーーガチャ 玄関の扉が開いた。 ひろくんだ。 一瞬だけ、ぼやけた視界で玄関の方を向くと、ひろくんが駆け寄ってきた。 「ゆら…?なに、してるの?」 あぁ、そういえば薬のこと言ってなかったっけ。 「薬、足りないんだ」 「ねえ…?」 少しだけ顔が見える。 なんか焦ってるみたい。 「もっと、飲まなきゃ」 「やめて…」 なに? 「…やめて…」 なんで止めるの? ひろくんが僕のことを止めている間も、僕は薬を飲み続ける。 「やめろ!…ゆら…!」 そう呼ばれて、僕は手を止めた。 するとひろくんが肩を掴んでくる。 「そんなに飲んだら死んじゃうよ!お願いだがら落ち着いて…」 「大丈夫だよひろくん。でも、薬無くなっちゃったからまた病院行ってこないと」 最近は薬があんまり効かないしクマがひどい。 「…ねぇゆら」 ひろくんが今にも泣きそうな顔で話しかけてくる。 「なに?ひろくん」 「落ち着いて」 「落ち着いてるよ?」 僕がそう言うと、ひろくんの目から涙がこぼれ落ちた。 「落ち着いてない!正気に戻って!」 「だから、僕はもともと正気だよ」 泣いているひろくんの顔が苦しそうに歪む。 「正気じゃない…なんで君が、ゆらが精神病院に行ってるのか、わかってる…?」 「僕が行ってるのは、ひろくんの付き添いだよ?」 なんでそんなことを言うんだろう? 僕はいつも通りなのに。 「違う…僕は…ゆらの幼馴染は、“小鳥遊ひろ”は事故で死んだ!ゆら…よくみて…」 何を言っているのか、わからない。 ひろくんが死んだ? 「何言ってるの?オカシイのはーーー」 オカシイのは、死んだのは… 「オカシイのはひろくんの方だよ。死んでるのは、僕なんだから」 僕がそう言うと、ひろくんが僕の肩を離し、呆然としている。 「ゆら?何言ってるの…?」 俺のポケットから、綺麗にフィルムに挟まれた、一枚の写真が出てきた。 「何これ…?ゆらの葬式の時の…?いや…葬式って、なに?だって…っい」 頭が痛む。 「ゆらは、オーバードーズで死ん…だ?…いや、でも、ゆらは、ここに……あれ?ゆらくん…?どこに行ったの?…さっきまでここにいたじゃん…!…隠れてないで、出てきてよ…」 ゆらが消えた。 さっきまで、ここに確かに居たはずなのに… 「オカシイのは…ダレ…?」 〜end〜

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楽しみ