たんぽぽのわたげ

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たんぽぽのわたげ

食べてるか寝てます。

茜くんはまだ-2-

「はいはーい」 おそらく男性の声が明るく鳴り響いた。 そしてその後すぐに「あれ?!絵梨香ちゃんじゃん!どうぞどうぞ上がって〜!」 自動ドアがウィーンと開いた ドアがガチャっと開く。 「遅くなってごめんね」と絵梨香さんがいうと 髪の毛は顎下くらいの長さで口元にほくろがあり耳にピアスがすごくある少し猫が顔な相手は「全然!最初違う人映ったから誰かと思った笑」と答えた。 「道わかんなくなっちゃってここまで案内してもらったの」と絵梨香さんが言うと 「あ、それはすいません。よかったら上がって行かれます?」 「あ、いや案内しただけなんで私は帰ります。」という言葉を無視し半ば強引に私の手を引き家の中で座らされた。 「いやぁ、ほんとごめんね。大変だったでしょここまで。」 「あ、全然。えっといとこ、さん?」 「あそうそう、私が絵梨香のいとこ、茜です!よろしく!君は?」 「七雲です。」 「七雲ちゃん!よろしくね、」 私が少し困惑していると何かを察したのか絵梨香さんは私にそっと話しかけた 「茜くんはね、トランスジェンダーの人なの。体は男だけど心は半分女の子ってこと。」 私はようやく理解した。初めて声を聞いた時から中性っぽく感覚では男性だとわかるのに頭では“いや女性?“という疑問が消えない理由はこれなんだ。と そんな風に思っていたら茜、さん?くん?ちゃん?茜さんは私に 「お茶でいいー?って言ってもただの麦茶だけど笑そんな洒落た紅茶とか出せないけどごめんね」 と言ってくれた。 しばらく話して気づけば数時間が経っていて私も絵梨香さんと茜さんとすっかり仲良くなっていた頃、絵梨香さんが 「そういえば絵梨香さんじゃなかて絵梨香でいいよ、七雲って呼んでいい?」 「うん。七雲でいい。」 「やったー!あ、ちょっとお手洗い借りていい?」 「うんいいよ、こっちこっち」 茜さんは絵梨香にトイレの場所を教えてすぐ戻ってきた。 「えー俺も…私も七雲って呼びたい〜」 「茜さんは心は女性、なんですよね?」 「うん、そうだね。まぁ完全にって言うわけではないんだけど。」 「完全にじゃない?」 「うん、たとえば」 さっきまで女性の目立った茜さんは急に男の人の目になり私を見つめて床に押し倒した。 「性対象は女性、とかね」 思わずドキッとしてしまった。さっきまで女性だった茜さんが茜くんになっている。よく見てみれば体はおそらく鍛えられていてしっかりしているし顔立ちもイケメンだ。 そしてどんどん近づいてくる茜くんの顔、思わず目をつぶってしまったその瞬間絵梨香ちゃんが帰ってきた。

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茜くんはまだ-2-

茜くんはまだ

私の名前は谷原七雲。私は今女性でも男性でもないこの人に襲われそうになっている。 -遡ること数時間前- 古着屋で働いたあと少し寄り道をしようと思って普段帰る道とは反対に歩き始めた。しばらくして白い杖を持った女性がどこか困っている様子で立ち尽くしていたので声をかけることにした。 「すいません、どうかなさいました?」 声をかけた相手はいわゆる全盲の方でどうやら道に迷ってしまったらしい。 点字に沿って歩いていたら途中で大学生の集団とぶつかり大きく点字から外れてしまい、点字を探し歩いていたら人気のないところに来てしまい、誰にも助けを求められず困っていたそう。 「もしよろしければ目的地まで一緒に行きましょうか?」と聞くと「いいんですか?ぜひお願いしたいです。」と言ってくれたので 一緒に歩くことに。私は目的地を聞き彼女を誘導しながら歩き始めた。 「なんでここに行きたいのかって聞いてもいいですか?」 「いとこが引っ越したみたいで、久々に会おうって話になって。」 「お迎えとかって、」 「私が無理言って1人で行くって言ったんです。昔からいろんな人に助けてもらってばっかりだったから。21歳だし1人で色々してみたいなぁ、って思って。でも見知らぬ人に迷惑かけちゃいました。ほんとごめんなさい」 そう言って彼女は申し訳なさそうに私に頭を下げた。 「全然。むしろここの地域行ったことなくて行ってみたかったんでよかったです。奇遇ですね、私も21です。迷惑ってかけていい人にはかけていいんですよ、私かけてもいい人です。迷惑って思わないから」 「ありがとうございます。お名前聞いてもいいですか?」 「谷原七雲です、七つの雲って書いてなもです。えっとそちらは?」 「高木絵梨香です。七雲っていい名前ですね。」 「ありがとうございます。えりかさんってお呼びしていいですか?」 「あ、是非是非」 こうして私たちは仲良くなった。 そんな話をしながら歩いてる途中でスターパクセスを、見つけた。 “そういえばスタパの無料チケットもらってたし使いたいな。“と思ったので絵梨香さんに 「すいません、スタパあるんで寄ってもいいですか?」と聞くと「全然大丈夫です。待ってます。」と言ってくれたので猛ダッシュで買いに行った。 絵梨香さんが何飲めるかわからないけどなんとなく好きそうだったのでホワイトモカを注文し、すぐに戻った。ホワイトモカを渡すとすごく喜んでくれた。 「ありがとうございます!私ホワイトモカ好きなんです。よく分かりましたね。いただいていいんですか?」 「無料のチケットもらってたんで、全然。お好きならよかったです」 なんやかんや言っているうちに目的地につき、インタンホーンを押すとおそらく男性の声が鳴り響いた 「はい」と。

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茜くんはまだ

猫のキス

佐原 生湖(さはら きこ) 尾羽未 春(おはみ はる) 侑 青葉 (たすく あおば) 乃木 柚葉(のぎ ゆずは) −十二月九日− 仕事帰りとぼとぼ歩く佐原生湖 “寒いなぁ〜“なんて思いながら電灯を見つめながら歩く。次々と過ぎ去っていく電柱たち。顔を出し始める遠くの電柱。ふと自動販売機が目に入り少し斜めに歩き出す。 「ど、れ、に、し、よ、う、か、な」と1人話した。悩んでいるように見えて押すボタンは決まっていてお金も手に握りしめている。冷えた指でボタンをポチッと押しカラン、ガタン、と落っこちたのはコンポタだった。ランダムのが回り始めたけど当たらない。当たる人はいるのだろうか?と考える時もあるが「んなわけ」と流す。 そしてまた歩く。 「あの」そう言われた気がした。 振り返るとそこには1人の男性。 「はい?」と聞き返し片耳のイヤホンを外した。 走り寄ってくる男性、なにか不安そうな顔をしている。 「あの10円持ってませんか?」 そう問いかけてきた。生湖はかなり戸惑った様子で答える。 「あります」と。 男性は生湖から10円を受け取り猛スピードで自販機に向かってポチッとボタンを押した。 カラン、ガタン、そう言って出てきたのはコンポタだった。 ワクワクした無邪気な表情でこちらに向かってくる。 「ありがとうございます!買えました!」 そう言って開けようとするが手が震えてうまく開けられないそう。仕方なくコンポタを受け取り開けてあげる生湖の心にはコンポタでは感じられない温かさが生まれていた。

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猫のキス