ロキ

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ロキ

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星

僕がまだ幼かった頃 多忙のな母はどうしても遅くなり 10時をすぎることも稀ではなかった 当時の10時は深夜だったが 母は外へ井戸水を汲みに行っていた。 「今夜はええ星空やなぁ」 母がそう言っていたのを覚えている。 輝く星の数々は壮観以外の何でもなかった 母が仰いだ空は星が連なり神が作る芸術そのものだった。 とある日 母と父の姉に連れられて隣町の銭湯へ行った。 この帰りに見た星空を今でも忘れない。 この頃は二階建て以上の建物はなく、 星が空一面に飾られていた。 「うわっ、キレイ••」僕は思わず叫んでいた その時母は父の姉との会話に夢中で見向きもしてくれなかった。 自分に共感してくれる人が誰一人いない悔しさが続いた。 それでもあの時の夜空は昨日のことのように記録している。 それから家族が出来て、家を建てたころ 街はすっかりと変わり、マンションやビルが多く立ち並んで明るく辺りを照らしていた。 20年前は火を消せば屋内が月明かりで照らされるぐらいだった。 今では光は届かず、空を見上げて見える星は十個も見つかればいい方であった。 たまに外出してはそのつど空を見る。 あの日の眩しくてチカチカで勇気をくれるような星は一つもない。 そんな時、妻が星を見に行こうと誘ってくれた。 あの日のような美しい贈り物が欲しくて妻と一泊二日の旅に出かけた。 その日の夜更け、人の明かりがない場所で 寒さに頬が赤く染まり白い息を吐いて二人空を見上げた。 見えた。 星だ、星、あの日の星だった。 ずっと忘れていた古い友人に会ったような感覚だった。 母の声が聞こえてくる。 「今夜はええ星空やなぁ」 足の先から頭のてっぺんまで痺れるような感覚が走った。 その時の隣で妻が言うのだった。 「風邪をひくといけないから、そろそろ中に入ろう」 一時終了 好評なら続きを書きます。

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星

透明な花束

机の上に透明な花束があった。 それは一輪一輪がガラスのように透き通った花束 不思議に思い手に取ろうとしたが 手がすり抜けて冷たい空気が手を覆った。 「それ、私がやり残したみれん。受け取ってくれる?」 女の子の声だった。その声はどこか懐かしく聞き慣れたような声だった。 僕はすぐに振り向いた そこには見知らぬ女の子が立っていた。 静寂を破るように再しゃべり出した 「私は思いだけの存在その花のようにね」 僕は言った 「•••君は誰なんだ?なぜ僕に話しかけるの?」 僕は必死に頭をひねった しかしいくら考えても誰だか思い出せなかった。 少しの沈黙の後、彼女は少し寂しそうに答えた 「不思議でしょ、私の声に聞き覚えあるのに、誰だかわからないなんて•••」 彼女の言う通り僕は不思議で仕方なかった 「君は僕を知っているの?」 彼女は笑って答えた。 「私の願いを叶えてくれたら教えてあげる」 「願いって?」 彼女は僕にいじわるっぽい目を向けて言った 「明日私に付き合って欲しいの、行きたい場所があるんだ」 「行きたい場所?」 「うん、君は忘れてしまった、大切な場所」 彼女はそれだけ言うと返事も待たずに歩き出し、振り返って言った。 「明日の朝十時、駅の時計台で待ってる」 そう言い残して突然消えた。 家に帰る時もう一度少女のことを考えてみた。結果は何も浮かんでこなかった。 翌朝、9時に時計台へ向かった。 綺麗な空とは裏腹に僕の頭は昨日の夜から彼女の正体についてで埋め尽くされている。 「あ、本当に来てくれたんだ」 機能とは違う、白いワンピースを着た彼女が立っていた。 朝日に照らされた彼女の顔を見た瞬間 心臓が大きくドクンと鳴った (間違いない、僕はこの人を知っている。) もう喉元まで来ているのにどうしても思い出せなかった。 「そんなに見られると、照れちゃう。行こっ」 そう言って彼女は歩き出した。 彼女に連れられるままに歩いて数十分 そこは海が見下ろせる丘だった。 辺りには白い花がたくさん咲き誇っている。 「ここ••••」 僕の頭の中で大きくノイズ音が響いた。 「覚えてる?」 彼女は寂しそうに、でも愛おしそうな瞳で僕を見つめた。 その瞬間僕の頭の中に一つの名前が浮かんだ。 「さき•••••」 そう言葉にした瞬間彼女の目から透明な涙がボロボロとこぼれ落ちた。 やっと思い出せた。その瞬間涙で視界が歪んだ。 さきは3年前不慮の病でこの世を去ったはずだった。僕はあまりのショックで倒れた。その時彼女の記憶を心の奥底に封じ込め、無意識に忘れることを選んでいたのだ。 「どうして•••ここに」 僕は泣きながら声を絞り出した。 彼女は自分の透き通るような手を差し出して言った。 「私のみれん、あなたが私を忘れたまま暗い顔をしているのが辛くて•••私の願いを叶えてくれる?」 そういいながら光の粒子へと変わり始めた。 「待ってくれ!頼む、いかないでくれ!頼む•••頼むから。」 必死に手を伸ばしたがその身体には触れられず、ただ暖かい空気だけが手を覆った。 「幸せに生きて•••あとひとつだけ」 「大好きだよ」 嘘のない無邪気な笑顔だった。 愛おしい声が響いた 僕は丘の上で一人、大声で叫んだ! 彼女は完全に消えていた。 ふと視線を落として地面を見ると、美しい白色の花束が落ちていた。 その花の名前はフランネルフラワー 僕は花束を拾い上げ、涙を拭った。 空を見上げて僕は誓った。 「絶対に幸せでいるよ」

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透明な花束

生涯最大のハイライト

 私は一度だけ誰も踏み入れたことのない領域に足を踏み入れたことがある。 私は若かった。 17の夏 私は高校生だった 学校のほとんどを一人で過ごしていた。 いわゆる陰キャだ。 それでも私は好きなものがあった。 それはキャンバスに絵を描くことだ。 友達が居ない方が趣味に没頭できる。 そう思っていたんだ。 そしていつも通り空き教室で絵を描いていた。 その時書いていたのはあかね色の空 私にとっても自信作だった。 だが、かすかにいつも感じていた。 「なぜこんなに綺麗なんだ?」 そう発した瞬間何だが固い檻に閉じ込められている気がした。 私はその感覚が忘れられなくなり 過去の自分の作品や今描いている空をよく観察した。 何かはわからない。 だけど自分の作品が未熟に感じた。 それ以降私はその感覚が私を上へと押し上げる。そう信じていた。 しかし、もう一度作品を見直した時 それは美しく、綺麗だった。 私には未熟さがわからなかった。 それに苛立ちを覚え、 過去の作品を全て取り出して並べた。 どれもいい作品だった。 私は膝から崩れ落ちた。 「私には辿り着けない」 死んだような目になり、目から熱いものが込み上げてきた。 私は叫んだ。視界が歪むほど涙が出た。 どのぐらい経っただろう 私は泣き止み、希望を捨てていた。 そして鏡の前に立ち、自分の目を見た。 赤く充血しており、目に光がなかった。 その目を見た瞬間私は何かを思いついたように走っていった。 そして挟まっていた一枚の紙を取り出した。 随分と昔の絵だった。 何を描いているのかわからないような 純粋な絵、 それを見た瞬間また、涙が溢れた。 それが答えだった。 私達は正しい芸術や美しさに閉じ込められていた。 だがそれは間違いだ。 美しくなくていい。ただ書きたいものを書け。 そう言われた気がした。 すぐに私はキャンバスに向かった。 思った以上にスムーズに手が動いた。 どんどん檻が開いていくような気がした。 そして、ついに境界へと足を踏み入れた時 私はキャンバスから完全にはみ出して絵を描いていた。 その作品をコンクールに出すことにした。 結果は想定外 落選した。 だけど私は嬉しかった。 自分の中で一番美しい作品が描けたこと 私は信じていた。 「私の世界にはついてこれない」と。 私はその作品を家に飾った。 人生でいちばん輝いていた

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生涯最大のハイライト

あの日の音

 小学6年生の夏、私は家族と海へ来ていた。 その時の私はわんぱくで活気に満ち溢れていた。 その日は楽しみで朝早くに目覚めて両親を起こしに行ったことを覚えている。 海に着いて私は嬉しくて砂浜の上を裸足で走っていった。その時の砂の熱さや、痛さは今でも記憶に残っている。  日光が痛かったのでさっそく海に入った。足をつけた時冷たさにびっくりした。 思った以上に気持ちよくてすぐに全身浸かった。遅れて両親が来て、楽しそうにはしゃいでいる私を見て嬉しそうに笑った。 両親はのんびり砂浜にレジャーシートをひいて浮き輪を膨らませていた。 「早くー」 私は両親に向かって叫んだ。 両親はこちらを見て手を振るだけだった。 私は呆れて一人で泳いだ。 私は水泳をやっていたので遊泳可能区域の柵まで泳ごうと思い背泳ぎで泳ぎ出した。 泳ぎながら空を見ていた。 なんとも言えない。感想が口から出てこなかった。 でも美しかった。 海の冷たさを感じながらゆっくりと泳いだ。 ついに端まで辿り着き、私は満足感に満ち溢れていた。 そして砂浜の方を見て両親に自慢しようと思った。 帰りはクロールで戻ろうと海に潜った時 景色は確かに美しかった。 だが私が特に惹かれたのは 「音」 静かな海の中で息を吐く「ゴボゴボ」と言う音でさえ美しかった。 すぐに砂浜に戻り、両親に海の音を説明しようとした。 しかし説明しようとしてすぐに辞めた。 理由は独占欲だった。 その美しい音は私のものだと思った。 なぜそこまで気に入ったのか自分にもわからず、 その音への感想を深く考えた。 考えた結果は「好き」と言うこと。 私はその時、私の人生の鍵を見つけたような気持ちになった。 そして走り回って騒いでうるさかった私の世界が一気に静まり返った。 その音は心地が良かった。 私はその日からよく、目をつぶって耳を澄ませることが多くなった。 そして私は信じていた。 音楽は人間が作った偽物 本当の芸術とは、、、 「音」 だと言うことを

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あの日の音

この世の正しさ

(静かに呟く) 「私はゴミだ」 誰も私を愛せない 私自身でさえも、、、 私は生まれて間も無く捨てられた 誰も私を必要としなかった 一度でいいから愛されたかった 私は醜い なぜ私は醜いのか 人は平等  得意不得意がある そんなもの建前だ この世の普通とはなんだ? だから私はこの世を去った 私が消えても世界は変わらない 世界中狂っている 「この世はゴミだ」

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この世の正しさ