灑悠羅-さゆら-
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名もなき詩(コトバ)書き。たった1人の心に刺さればいい。 4月いっぱい手術の為入院してました。今月より自宅療養㊥…治療に入る為、IN率さらに不定期になります。
今日はなんなん?(13日め)
(… … …) いつもより1時間早く目覚めた。 気持ちはいいのに、気分は最悪。 鎖骨の当たりもぐっと重たく、なんか、いたい。 すぐには起き上がれず、数分ぼーっとしていた。 頭重感はそれを予期していたかのよう。その日は突然やってきた。 うん。まあ、でも。想定内。 だけど、もしかして、同じような境遇で同じような現状の人がいるとしたら、できれば読まない方がいいかもしれない。 感じ方は人それぞれで、傷つく人もいれば、そうでない人も…世間一般的に言えば、ショックだろうよ、というイメージの現実。 ただ、私はこう感じたんだよー、と理解してもらいたい。 はい。本題です。 チクチクするお腹を抑えながら、ゆっくり起きあがる。夕べ結んで寝たゴムが解けて落ちかかったので、結び直そうと手に取った。 暑くなってきたからね?髪が多くてジャマなのよ。 (ありゃ?) 手に取ったそれをみて、一瞬思考が止まった。無造作に、何度も右手が頭を撫ででいた。 そう。想定内のその日はとうとう今日、やってきたんです。 …はい、パゲました。 「百パーセント、抜けます!!! 時期は様々ですが…」 言葉は少し違ったかもしれないけれど、予言されてたからね?別に不幸とかショックとか、そういう感情は全然なくて、あー来ちゃったか、ぐらいの気持ちで受け入れてた。むしろ、なんだかおかしかった。言葉を慎重に選びながら、細かく説明してくれていた担当医を思い出して。 だだねー…ドラマとかであるように、ごっそり…とか、そういうんじゃくて。 1番合う言葉があるとすれば、中途半端(笑) 手に取ったそれは、いつもの3倍くらいの量。髪を梳いては見る度に、3倍、3倍、3倍…何回かやる内に抜けなくなった。 なんだか季節変わりに毛の生え変わる犬ちゃんのよう…そう想像したら、またなんだか笑えた。 「治療が終わったら、必ず、また、必ず生えてきますからね?!」 そう担当医が力説してたから、心配はしていない…多分今のところは。 ただまぁ、予定では、もっと遅い時期に来るだろうと思ってたので、少しだけびっくりしたのが本音。パラパラ落ちてくる髪が肩に積もったり、アチコチにばら撒かれるのはウザイなぁ、とも思った。いっそ全部剃っちゃった方がかっこいいのかもしれないけれど、チクチクしそうだもんな、逆に。 そう思いながら、準備していたシャンプーハット…ではなく、シャワーキャップをかぶる。シャカシャカ音がちょっとウザイ。そして、ちょっと暑い。それでも、何度も拾いあげる労力を思えば楽。今のこの姿も想像すれば滑稽で笑える。 これから、多分もっと抜け落ちてゆくのだろうと覚悟を決めて。 それが今日のはじまり。 そして。 明日は、ちょうど裁定が下される日。 検査の結果と医師の診察で、次の治療のサイクルが決まる。 どうか、せめて計画通りに進んでくれますように。 それが、今は神様への一番のお願いごとかなぁ…? 余談ではあるが、治療開始前、職場に久しぶりに顔を見せに行った日のこと。 「だいじょーぶ!同じように治療した人が、またちゃんと生えてきたって言いよったよ!?」 「ですよねー」 「うん。ちゃんと生えてきたって!…でも、髪質変わるってねー?ほら、はじめて髪切った時みたいに」 「あ…そうなんですか?」 「うん、大丈夫って!」 「…バサバサはぃやですね(小声)…」 「うん、大丈夫って!!」 (あ…大丈夫なのか…キレイになんのかな…) 「うん!バッサバサになるって!!」
今日はなんなん?(12日め)
朝目覚めた時、天井を見あげていた。 それは…愛用の小型サーキュレーター。 先日からの雨で、ひどくはないが蒸し暑く、ベッドの上で今年も活躍中である。 (…落とさんでよかった…) 私は特別寝相が悪い訳ではないが、いやむしろ、最近はお腹のどでかい傷のお陰で、真上を向いた不動状態でしか寝られず、かなりしんどくなっていた。多少は横も向けるけど、気になる程度には傷が痛んで、ビクつくので、ついいつも上を向く。そうしてそのまま朝を迎えるのくり返し。 それが、数日前よりかなり横を向いても眠れるようになっている。治療開始から、全身の重だるい痛みの方がはるかに強く、傷なんてどうでもいいくらい、体の置き場に困って、ごろごろごろごろ、ごろごろ…。 それも怪我の功名。大人になって、寝返りの打てる赤ちゃんの喜びをはじめて知った気分。 そんな毎日も、先日からちょっとだけ、よくなっている… かのように思えていた。 まぁ、想定内。 副作用はくり返す。 出方も人それぞれだし、後から出るものだってある。 そう説明を受けた。 多少なりとも医療の側で生きてきた人間なので、理解はする。 だけど感情は少しだけ遅れて追いかけてくるやっかいなもの。 あの地獄のような痛みに耐えたのだ。 もうイヤだ。 だけど。 治療はまだ1クールめ。はじまったばかり。 受け入れたつもりだったのにー! やっと、息ができる日々に戻ったとうきうきしていた気分が…翌日にはヒヤヒヤへと逆戻り。 9日めにまた、筋肉痛ともなんとも表現しがたいアレが舞い戻ってきた。 じんわりで、ひどくはないけれど、それでも私のモチベを落とすには十分すぎるくらいに。 やっとちょっとだけ伸びたその枝はぽっきり折れた。 なので。 2日前の私は眠り姫。 体も頭も重たくてやる気ゼロ。 そうして今日。 痛みはないが別の不具合発生中。 だらだらと今日もはじまり、やっと半分すぎたかと、思っている。
今日はなんなん?
朝起きた時、体が軋んだ。 珍しく、目覚めたのは久しぶりの明るい朝だった。ぐっすりと、夜を知らずに眠れた。 けして完璧に気分の好い目覚めではないけれど…体の奥が乾いて、いろんな痛みにうめいたけれど…なんだかほっとしていた。 「おはよ…」 心地好い朝の音。朝から騒がしい母の音。包丁の規則正しいカタカタや、鍋のポコポコ弾むリズム。なんとはない日常が、今日も始まりを告げている。 ゆっくりとベッドから起きあがると、私はトイレへ急いだ。闘病生活が始まって大分経つが、手術を終えて、本格的に治療開始となってからは、今日で8日めとなる日である。 やっと、である。 やっと、息ができる。 やっと、気が向いて、やっと、書き始めている。 そして今。 書き出しがなんだか文豪的で、ぶっていて、今、私はくすくす笑い始めていた。 これは、いわゆる私の徒然日記である。
とまどい
世界に 深入りしないでよ
心のままに
神々の気まぐれは 唐突に あまりに 意地の悪くて なすがまま されるがままに なすすべもなく あるがままの いまの心に 問いただす 本当に 本当に それが、こたえでいいの、ですか?
思い違いであってほしい
なんで? なんで…今なの? なんでそのうたなの? なんで… 心を揺さぶらないで 心臓を止めたくなる
焔
水面に映る 紅く燃ゆる影 今にも消えそうに 細く細く 揺らいでみゆる ひとひら 朽ちて落ちた葉に 水紋拡がりて 現実も幻影と化す さらに静けさ戻る刻(とき) 儚き朱(あか)も また元のまま ほら まだそこに在るでしょう? 永遠(とわ)に変わらない ただ自然(そのまま)の姿で...
拒絶/切望
思うだけじゃ伝わらない そんなの わかりきってる だけど それでいいの 伝えたら 全てが現実になって きっと 失うのがこわくなる 未練なんてなかった世界が 引き寄せられて きっと 息するのさえ こわくなる だから そんな現実 いらない
ベロペロネ
偶然? そんなの信じない 偶然はあたしの心がつくりだした妄想 だから 2人はすれ違いさえしてないの これからも
結晶
ひとひらの 淡く溶けゆく 生まれいづるもの 意味などなく ただの理であっても 伝わる冷たさは 今を生きる証 そこにまた 何かが生まれゆく鼓動を感じるのだ