せつな

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せつな

同情

あの子が痛々しい加害者で居ようとするから みんなあの子を可哀想に思う。 もう進むことができないほどに傷つけられたのは僕なのに。 こんなにも謝っているのだから許してやれ、と。 痛みに蝕まれて許すことのできない僕は何も言えなくなって。 その瞬間からあの子は被害者に成り代わる。 僕の痛みも涙も雨に溶けて 苦痛という蟻地獄から抜け出せないまま 僕は加害者になる。

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私の夢だった。

お姫様になりたいの、キラキラしたアクセサリーを身に着けて 小さいころ描いた夢の中に。 腕に傷をつけることはしない、カッターじゃなくて鉛筆を握って、私だけの世界に。 キラキラしたいの、あの時見た夢みたいなことが起きることを、今でも夢見てる。 時が流れてガラスの靴を履けなくなって。 一生身につけれないティアラの代わりに笑顔でつけてた可愛い可愛い花冠が似合わなくなった。 沢山のキラキラに囲まれたかったはずなのに、私の周りには もう、可愛いお花さえないの。 可哀想なお姫様でもよかったの。 綺麗なお母さんに、かっこいいお父さん。 そんな幸せで溢れかえったお城に住みたいわけじゃなかったの。 とってもきれいな中庭で蝶と戯れて、綺麗なお姉ちゃんがいなくても、 一人が寂しいとしてもお姫様になりたかった。 きっと素敵な王子様が迎えに来てくれるんでしょう? 寂しさから抜け出したお姫様はきっともっとかキラキラして、 冷たいお城に住んでた分だけ、愛されるの。 お姫様になりたかった。 キラキラしたかったの、 私の夢だった。

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