同情

あの子が痛々しい加害者で居ようとするから みんなあの子を可哀想に思う。 もう進むことができないほどに傷つけられたのは僕なのに。 こんなにも謝っているのだから許してやれ、と。 痛みに蝕まれて許すことのできない僕は何も言えなくなって。 その瞬間からあの子は被害者に成り代わる。 僕の痛みも涙も雨に溶けて 苦痛という蟻地獄から抜け出せないまま 僕は加害者になる。
せつな
せつな