透
41 件の小説厭離穢土(おんりえど)
−前書き− この話は,私が今年の年賀状として描いた1ページ漫画の一件を,その前後一連の流れを描いたものです。 −−− 十二支。それはこの世の厄から常世(現世)を護る十二体の精鋭部隊である。 一体ずつそれぞれが年末から翌年の年末までの一年間を守護し,厄祓いの業務を担っている。 ー十二支統括,通称,主人(あるじ)著データベースよりー そして今宵,次の十二支,辰:璃琰(リーヤェン)の厄祓い業務を以て,新年,すなわち辰年となる。 ブーッ… ブーッ… ブーッ…(携帯のバイブ音) ポチッ… 「もしもし…主人?」 『君くらいだよ私にそう敬意を払わず話してくる子は,小琰(シャオヤェン)』 「別に,敬意を払ってないわけじゃないし,ただ敬語が苦手なだけ…」 「で,吾子(あこ)に何の用?…あぁー,この時期に主人が電話してくるってことは,いつも通りのか…」 『うん,相変わらず理解が早くて助かるよ,最も,こうしてある程度の言葉数を交わさずにすぐさま任務に向かってくれればなお良いのだけれどね…』 「主人が吾子らに出す依頼の割に報酬がチープな気がするんだけど最近」 「まぁ,とりあえず向かってますよ,厄レーダーの方向に…」 『ありがとう。じゃあ任務が終わったらいっぱいよしよししてあげようね♪』 「要らないからそういうの」 『シュン…小琰が私に冷たい…私は大好きな小琰が任務頑張ってきたのを労わりたいだけなのにぃ…』 「要らない」 ブツッ… 『ちょっ,ちょっ小琰?》 《また切られちゃったよ…まぁ任務はちゃんとこなしてくれる良い子だから,良しとしますか》 −−− 「少しレーダーの反応観測地点まで遠かったな…急ぎ足で来て正解だった」 『グルルぁぁァァ!!!!!!!』 今回の厄は一体だけだけど,いつもより結構大型だなぁ‥ と思っていたら,なんか100体くらい小兵を呼び出してきた。 (だるッ…) 「行くよ,吾子が愛槍,帅爧(シュァイリン)」 ブンッ!!!!!!! シャンッ! (一突きっ…) シャンッ! (二突きっ…) シャンッ! (三突きっ…) シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンッ‼︎ 高速突きであらかた雑魚は片付いた。 けど,, 「普通に突いてるだけじゃ,本命のあいつを祓うのに埒があかない…」 「しょうがない,やるか…」 「正直年1とは言え12年に一回周期で厄除け依頼が来るのって,たまぁに過ぎてダルいんだけど…」 「まぁ…良いんだけどさ…」 [牙龍槍技(がりゅうそうぎ)・掀牙辰捻(きんがしんねん)!] スパンッッ… スパンッッ… スパンッスパンッスパンッスパンッ スパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパンスパン スパンッッ…‼︎ ブンッ!!!! ドゴォォォォォォォッッ!!!!!!!… … … … 「これでまた一年も平安なら…ね‥」 (任務完了っと…) プ プ プ… プルrrrrrrr… プルrrrrrrr… プルrrrrrrr… 『もしもし,,』 「任務完了,吾子はこれから…」 『そっかそっかぁ〜早かったね。じゃあ帰ってきたらよしよしして…』 「要らないから」 ブツッ… 吾子はこれから新年の挨拶に廻るんだから… −−− −後書き− 最後まで御読ありがとうございました。 扉絵の漫画がその年賀状のデザインです。 小さくて見づらいかと思いますが,その漫画と合わせて読んでもらえると,どんな風に考えていたのかが分かるかと思います。 璃琰プロフ 名前:璃琰(リーヤェン) 愛称:小琰(シャオヤェン) 字(あざな):玲藍(リンラン) 龍人 身長175cm 槍使い 愛槍:帅爧(シュァイリン) 龍人族の中では群を抜いて強力な槍の名手。 玲藍に槍を持たせば忽ち全ての邪は破てる,と言われるほどの実力者。
コトバは存在を以て遊ぶ
『アナタは私の大切な子。だから,いつだって私はアナタの名前を呼ぶのよ』 『アナタは愛される為に生まれてきたの。だから,どんな時だって,私はアナタを愛してる。だからね,ちゃんと良い子にお留守番してて?ね?』 ご主人はそう私にいつも言ってくれた。 嬉しかった。 ちゃんとお留守番してた。 けれど,私の前に姿を現したことなんか一度もない。 文面上の,「愛している」しか,触れたことがない。 愛されるべき存在と言われて,迎えを待ち続けてもう何年経ったっけ? あー…20年以上経ったんだ… 嘘じゃん。 「愛してる」って… ご主人にとってはまだ短いのかもしれないけど,私にはあまりにも長い時間だったよ… “本当に私が愛されるべき存在なんだったら,どうして私は周囲の人たちに愛されるどころか,好かれさえしないの?” 私はご主人が,私にご主人しか私を愛さない,他人が私を愛さないように仕向けたんだと思った。 またご主人の声が… 『ごめんなさい。アナタを迎えに行けなくて,でもちゃんと,アナタをずっと愛しているから,忘れないで…ね?』 「愛してるって言葉だけって私の苦痛はそれで癒えるとでも思ってんの?」 返答なんか来るはずもなかった。 結局,現実として与えられる世界はあまりにも寂しくて,怖くて,辛い場所。 “謝るくらいなら私の前に姿を見せてその心意を行動で見せてよ” そう,言いたかった… 「愛」ってある種詐欺なのかな…
dear diary
一日にハイタッチして,良い調子で,気分が良いの これはそんな私の勇気のための歌 私…なんというか急に心を歌いたくなったの そして素敵になれる鮮やかな光を浴びたい 心がボロボロにならないように 唯一無二の存在になれるように たまに私,最悪な憂鬱に苛まれて何もできなくなってしまうの どうして,思い悩まなきゃならないんだろう すごく嫌になる だから自分に「気にしない」って,言ってあげたい 振り返らないでって 前だけ見てって 自分に言い聞かせて 光り輝いて はっちゃけるから だから, だから, お前ら良く見とけ‼︎ 私は自分を変える準備できてるの 素敵に輝ける準備が 私は本気だよ だから思い悩んでたまるか‼︎ 憂鬱な気持ちなんてどっか行って! そんな思いで,頑張ってるから,私はあなたの心を擽りに行くの 前は「何か」になりたかったけど,あまりにくだらなくて(笑 自由でいたいの 私は本気で生きてるの だから思い悩んでたまるか‼︎ ごめんね,従順な良い子じゃないみたい 自分に嘘なんてつきたくないの 一日にハイタッチして,良い調子で,気分が良いの これはそんな私の勇気のための歌 憂鬱には,お前には,私を縛る事なんてできない まるで違うタイプの人だから,覚えておいて 私は爽やかな,最高の音の中にいるの お前には止められやしないよ 振り返らないでって 前だけ見てって 自分に言い聞かせて 光り輝いて はっちゃけるから だから, だから, お前ら良く見とけ‼︎ 私は自分を変える準備できてるの 素敵に輝ける準備が 私は本気だよ だから思い悩んでたまるか‼︎ 憂鬱な気持ちなんてどっか行って! そんな思いで,頑張ってるから,私はあなたの心を擽りに行くの 前は「何か」になりたかったけど,あまりにくだらなくて(笑 自由でいたいの 私は本気で生きてるの だから思い悩んでたまるか‼︎ ごめんね,従順な良い子じゃないみたい 自分に嘘なんてつきたくないの どうもです。 これは私が作詞していた曲(元はオールイングリッシュ)を日本語に直して詩っぽく描いたものです。 所々ニュアンスきつい箇所あるかと思いますが,そういった覚悟の言葉であると受け取ってもらえればと思います。 感想等ありましたらご自由にお書きください。
誤魔化しのメモ帳
私は私が嫌い。 まわりと馴染めない私が嫌い。 人が怖くて話しかけられない私が嫌い。 何をしても楽しめない私が嫌い。 嫌い嫌い全部嫌い。 こんな私消してしまいたい。 少し散歩に出かけた。 その時たまたま不思議なお店を見かけた。 どこかのゲームにありそうな,古ぼけた外観の二階建てに,エコを意識したかのような(?)屋根から垂れ下がる緑のカーテン。 明らかに怪しいお店なのに,お店の入り口は異様なほど新築のドアをしている。 分かってる。入るべきでないことくらい。 だけど脚は勝手にお店の前に向かっていた。 一歩。 また一歩。 一歩一歩一歩一歩。 気がついた時には,私はお店のドアノブを握っていた。 新築一軒家の少しドアノブを引くタイプ。 “もうここまで来たら,行くしかない” 何故かそう思って,思い切ってドアを開けた。 ガチャッ … … … 「す,す,すみ,ま,せん…」 「ん⁈おっと,これはこれはいらっしゃいませ。いやぁ何しろうちの店にお客さんが来るのはそう滅多にないことでして…ごめんなさいねぇ気づかなくて…」 「い,いえいえ,そんな滅相もございませんですはい………」 「そんな緊張しないで大丈夫ですよ。さてと,お客さん,何をお求めでこんな貧相な店に?」 「い,いえ,と,特になくて…」 「あぁ,そうですか。ではゆっくりしていってくださいな。ここには所謂骨董品が,大体のものは一点物なんですよ?ヴィンテージ品なんてたいそうな呼び方は出来るほど良い物ではないのですが,良かったら見てってくださいね」 「は,はい…」 店内を見渡すと,沢山の見たこともないような古そうな小物とか,置き物が並んでいた。 見て回っていると,ノート…?(メモ帳…?)が私の目を惹きつけた。 手に取って見ていると, 「それは,私の貰い物なのですが,譲って頂いた方曰く,なりたい自分を書くためのメモ帳として使っていたそうで,詳しいことは分かりませんが,次の持ち主には,どうか大事に使って欲しい,とのことでして…私は使うこともない物ですから,どうぞ持っていってくださいな」 「は,はい…」 断る勇気もなく手に取ってしまった… その後お店を出て,家に帰った。 自分の部屋に帰ってメモ帳を取り出した。すごくアンティークな雰囲気で,どこか魔法でも込められているかのような表紙。 開くと,何ページにも渡って, 〈〇〇な私になりたい〉 〈〇〇になりたくない〉 そう書かれていた。 所々,〈〇〇な自分〉と書かれている上から二重線が引かれていたり。 “店主さんが言っていたことが本当なら,私ももしかしたら…望む私になれるかもしれない” そう思った。 私も試しに同じように, [みんなと仲良くなれる,魅力的な私になりたい] そう書いた。 書いたところで変わった実感は湧かなかった。 けれど,次の日,学校でクラスの子たちが話しかけてくれた。 その時一番驚いたのは,私が思っている以上に,私の口は,表情は,相手との会話を弾ませる言動を取っていた事だった。 私は正直これで良いと思った。 私はこの後も沢山いろんななりたい私をメモ帳に書いた。 〈勉強が得意で他の子に教えられる私になりたい〉 〈スポーツができてみんなと馴染める私になりたい〉 〈みんなと同じ趣味の私になりたい〉 他にも沢山。 メモ帳を使い始めて1週間ほどして,私はなりたくない私に出会った。 〈みんなと共感できない私〉 〈みんなと違う感性の私〉 書き出して,二重線で消した。 次の日学校に行くと,会話は弾みっぱなし。 いっぱい共感できるし,みんなに共感してもらえる作品を作れるようになった。 嬉しかった。 初めて,認められた気がした。 その時だった。 私の心に違和感を感じたのは。 そして家に帰って鏡を見た時,私の顔は涙目になっていた。 そして,訳も分からないまま,心に,[私は本当に認められたのか]と,疑問が湧いてきた。 途端に全てが分からなくなった。 これで良いはずだった。 間違っていなかったはず。 私が望んだ,私になれたはず。 なのに,全てが間違っているように思えてきた。 “本当の私は,そこにいたのかな” そう思う度,涙ぐんできた。 私は急いで自分の部屋に入って,メモ帳に書いてきたものを見返した。 消したものを書き直したり,なりたい私像を消したり,逆に,〈勇気を持てるようになりたい〉と書いたり,沢山考えた。 次の日学校に行くと,メモ帳を使い始めた以前とあまり変わらない対応をされた。 だけど,頑張って一言, 「あっ,あのぉ…」 私の目から涙はすっかり晴れていた。 『誤魔化しのメモ帳』 いちごラテ様タイトル案
凪ノ人立(なぎのひとたち)
音のしない洞窟。 誰もいない泉。 これがここのいつもの光景。 『そういう貴方は?』って,あぁ,私はここの住人さ 誰もいないんじゃないのかって? 私もここにはいないからさ 正確に言えば,いるにはいるんだけど,なんせ実態がないからなぁ だから音もしなければ,側から見れば誰もいない…という訳さ 私はいつだってここにいる。 誰もいなくたってここにいる。 しかし私も地に足つけてみたいものだ。 水にだって触れてみたい。 そう思う度に,私は泉の真ん中に立とうとしてみる。 いつだって身体はすり抜けてしまうが… 今日はどうだろう… 私はいつものように,泉の真ん中に立とうとしてみた。 私の心が初めて揺らいだような気がした。 静かな中に,一滴。 ただ一滴雫が,こぼれ落ちて水面に波打つように……
4.絶えぬ揉めの痕
「ふぅ〜ひっさびさの我が家だ〜♪ただいまーおかえりー疲れたぁー……」 霊界でかなりの時間を過ごしたように感じる。 どのくらい過ごしていたのかを確認しようとカレンダーを見ると,3日しか経っていなかった。 “体感1週間くらい過ごしてた気がするんだけどなぁ…” どうやら霊界と人間界では時間の進行速度がずれているらしい。 それがわかっただけでも割と大きな収穫だろう。 そう思ってメモ帳に記しておいた。 霊界帰り(よみがえり)でかなり疲れていたから,そのあとすぐに寝ちゃってた… その後,四日くらい過ぎて,, 見知らぬ同業者の女の子と一緒に大きめの怨霊と戦闘中なう… 〔−時を少し遡って−〕 「あっ!そう,そういえばさ,最近そこのカフェで新作のシュークリームでたの。超食べたかったの忘れてたんだよねー,,行っても良い?」 「うん♪良いね行こ行こ♪」 「アヤは?…」 友だちと3人で遊んでいた時だった。 “あっちの方,なんかやけに負のオーラが集まってる…祓しに行かなきゃ…” アヤ… アヤ… 「アヤ‼︎」 「っ…⁉︎え,ごめんごめん何?」 「もぉ〜またアヤは上の空ですか?あそこのカフェ行こって話…」 「ごめん用事あったの思い出したの。ほんっとごめんね,急がなきゃなの。じゃっ…」 「え,ちょ,アヤー⁈……」 小走りめで負のオーラの集合地に向かった。 “カフェと反対方向であんまり深追いされずにすんだ…よかったぁ…” 「さ て と…」 “人通りのない路地に来たところで…” 〈展開,風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 真空の筒を作ってそこに, 〈空界(くうかい)‼︎〉 中から愛弓と矢筒を取り出した。 そのまま能力を解放して建物の屋上にひとっ飛び… “被害が大きくなっちゃう,急がなきゃっ…(汗汗)” 急いで建物の上を走り向かっていった。 すると,右斜め前方から同じように負のオーラ溜まりに向かって走って行くかっこいい感じの女の子が見えた。 “うわぁ何あの子ぉ〜ザ・クールでかっこいい感じするぅ〜…仲良くしたいなぁ…じゃないじゃない!!同業者…かな…?後ろに相当上位そうな霊(ヒト)連れてるし” 向こうはウチに気付いていないっぽい。 ウチから話しかけるということもなく,お互いオーラ溜まりに向かった。 到着すると,ほぼ想像通り,ビルの5階を余裕で超える,長さもビル6棟くらい…?と相当なサイズ感のムササビっぽいのにカニが合体した感じ…?の怨霊が暴れていた。 暴れてくれたおかげで周りには人がいなくなっていた。 すかさず, 〈展開,風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 矢に風妖術を付与して, カァァン‼︎ 一射。 実体の矢から分散して風の矢を同時に飛ばす技を今回はやってみました♪ 「如何で…」 『ゥグァアアァァアァアァrrrh!!!!!!!』 「よし,命中!」 綺麗に決まった。 ただ致命傷までの大ダメージは叩き出せてないっぽい… ゴゴゴォォォッ!!!! すかさず反撃が飛んできた。 “やばい…回避間に合わないよぉ…” 〈展開,土ノ業(つちのごう)‼︎〉 土妖術でかなり硬度の高い岩盤の球体ガードを作ってなんとか耐えの体勢を築いた。 ドゴォォォンッ!!!! 「ふぅ〜間一髪…あっぶなかったぁー…」 ウチが攻撃をかわして一安心していると, 「一凛蒼剣,琰(いちりんそうけん,えん)」 もう一射,射ろうとした瞬間,この声が聞こえ次の瞬間には怨霊のお腹辺りから発火していた。見事なまでの蒼炎で少し見惚れてしまった。 “…って,いけないいけない。何があったの?” 少し見渡すと,怨霊の奥に,さっきの子がいた。さっきまでは持っていなかった刀を持っている。彼女の技だろう。 にしても見えなかった… 『ゥグァァアアアアァアァアァ!!』 “嘘,ウチの攻撃よりもダメージ入ってるとかマ⁈ウチも負けてられるか〜!” 少し手が止まってしまったけれどウチもすかさず追撃! 〈展開,土ノ業(つちのごう)‼︎〉 ギィィィ………… ッカァァァァンッッ!!!! “おぉぉすっごい良い射ができた気がする♪” 命中。 突き刺さったところから身体の内部に入り込んで内側から岩の矢が身体を穿つような技を叩き込んだ。 『ングァァァァァァ…』 “よし,声量が落ちて動きが鈍くなってきてる。割と効いてる♪” と思ったが, 『グルルルrr…ッゥグァァアアアアァアァアァアァアァアァアァアアアア!!!!』 “まさかのここにきて第二形態⁉︎” 少し容姿が変わってより一層ごつくなった… “戦闘嫌だよ〜明らかにしんどそうだもんこんな相手…そうだ!あの子と連携しよ…” ウチは即座に彼女の元へ向かって 「あのぉ,なんか相手ヤバそうな感じになったので,連携しません…?」 『黙れおのれ我が主人に気安く語りかけるとは何事だァ!!!!』 彼女の後ろからすんごい怒って,なのにめっちゃめちゃ美人(というかめっちゃ色っぽ…)の高身長の鬼のお姉さんが怒鳴ってきた。 「え,いや,ちょ…」 「止めて結月(ゆづき),面倒だから」 『で,ですが,この者はわ,私の大,大,大好きな国…ン,ンッ…(咳払い)嬌華(きょうか)様と,無許可でのうのうと語りかけ…」 「やめて」 『は,はいっ(汗汗泣泣)』 “うわぁー思ってた以上にクールな子だった…ていうか鬼のお姉さんが従者なんだ…明らかに鬼のお姉さんの方が上位のオーラしてるのに…” 「で,どうやって連携とるの」 「あ,えぇと,何か一撃必殺みたいな攻撃入れて欲しくて…そしたら私が浄化の霊力で祓しますので…」 『危ない!!』 ドゴォォォンッ!!!! 『まったく…お話し合いするのは良いですが,敵の攻撃は随時警戒しないとダメですよ…?』 「ありがと,結月」 『…っ⁉︎きょ,嬌華様が,ありがとうだなんて…結月は感激で…」 「うるさい」 『(泣泣)』 「とりあえず作戦は分かった。その代わりかなり溜めが必要になるからその間の時間稼ぎして」 「りょーかいしましたっ♪」 というわけで今に至る… [我ながら説明なっが!!もぉー…ウチもっと説明上手くならなきゃじゃん…] 「さーてと,いつもの連撃やっていきますかっ」 〈展開,風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 そして, 〈空界(くうかい)‼︎〉 沢山のつむじ風を発生させて,ランダムにワープワープワープワープ。 相手もすかさず攻撃を入れてきてるけど,残像にばっかり当ててて,空振りしかしてない… [この技小さい頃からやってるからもう酔うことないんだよねー…(←いらない情報)] 「よし!」 ギィィィィ… 〈展開,霊矢(たまや)!〉 “矢に霊力を込めて…ついでにホーミングも…っと…” ッカァァァン!! 一射。 続けて, ッカァン,ッカァン,ッカァンッカァンッカァンッカァンカァンカァンカァンッ……!!!!!!! 『ゥグァァアアアアァアァアァ!!!!』 “怯んでる怯んでる♪” これは相当相手の行動を制限できるから,割と重宝してる… [今回のを名付けて『霊矢包囲刃』とか…?うーん…どうしよっか。誰か決めてくれないかなぁ…] “まぁ良いやそんなことは。とにかく,今は時間稼ぎに集中ですよっと…” そして体感1分くらい経った頃, 「行ける。離れて」 「りょーかい♪」 即座に離れた。 そして程なくして, 〈双凛蒼剣,灼威(そうりんそうけん,あらたい)〉 チリン… 風鈴のような音がして数秒後, 〈斬…〉 シキンッ… ヴヲォォオオオォォ!! 怨霊が火だるまと化した。 「今,行って」 「分かってますよぉーっと」 〈霊音,窈窕!〉 ッカァァァァァァァァンッ!!!! 『グルルルルァァァァアァアァ!!!!………………』 ドゴォォォン… 「よし,今日も綺麗に祓しましたっと♪」 「討伐済んだことだし,帰って良いよね」 「あっ,ああ,うん。ありがとうございました♪」 「別にいいからそういうの。じゃ」 「あっ,ちょっ…」 シュッ!!!! どこかへすぐさま去っていった。 「あっ,あのぉ…」 なにも言う間も与えずに去っていってしまった… 彼女たちと再度会うのは相当後になりそうな気がした。 ひとまず帰宅して,ウチは霊界から帰ってきて早々疲れすぎて寝てしまってできていなかった霊界での情報の整理と,それから家にあった文献を読み漁る時間を過ごした。 文献を読んでいた中に見つけた話として,霊界の耐性がつく服がどうやら北方にあるという記事を見つけた。 それに従って北上していこうと思う。 X/Y日。
3.獲得
「nっ…!!」 ゴ,,ゴゴ… ゴゴゴゴォォガッダン,ガッダン… ガッタンガッダンガッタンドゴォォォォォン!!!! “この扉おもっ…” 絶対女の子に開かせるようなのでは無い扉を目一杯押して開けた。 扉の奥に番人的なのが仁王立ちでもしてるのかなぁー…と思って覗いてみると,誰もいない。 “え?まさかただの無駄な時間過ごさせるとかそういうのじゃ無いよね…?” あまりにも不自然過ぎると思ってそのまま中に入っていくと, バタン!!!!!!! 扉が閉まった。 それと共に広間の周りの壁の燭台に順々に火が灯って行く。 “ゲームでありがちな展開来たー!これ” なんて独りで勝手にはしゃいでいると, ゴ… ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォ!!!! メキメキメキメキメキメキ… 「…⁉︎」 “いや…ちょ…番人の出現パターンそれ⁈” なんと中央の床から浮上してくるかのようにゆっくりと出てきたのだ。 しかもターンテーブルに乗ってるかのように回転しながら… [そんなパターンある⁉︎] 予想の左斜め28度上を行く登場シーンに拍子抜けしてしまった…。 『常世(とこよ)ニ行カントス者ヨ,汝ノ力ヲ示セ』 “なんか…変に古風っぽい話し方…” 不思議な番人だ。 「‥さてと,じゃっ,サクッとやっちゃいます,かッ⁉︎…」 弓を構えようとした瞬間,番人はすでにウチの目の前数センチのところまで突進してきていた。 “ちょっ,速っ…登場シーンとこれは不釣り合いだよぉ” 〈展開,土ノ業(つちのごう)‼︎〉 間一髪土妖術でバリケードを作って突進の角度を逸らして防いだ。 ギリっギリ… “ウチが妖術即座に構築出来ない子だったらやられてたよ…” 『ンゴォォォォォォン!!!!』 新種の鳴き声… 〈展開,風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 広間に張り巡らすように,そして自分で纏うようにつむじ風を発生させた。 〈空界(くうかい)‼︎〉 つむじ風同士にポータルを繋げて, ワープ。 ワープ。 ワープ。 ワープ。 縦横無尽にワープし続けて,相手のスピードに対抗。 その間に, 〈展開,土ノ業(つちのごう)‼︎〉 広間中に岩石を大量に生成して,更に 〈展開風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 風妖術で砕きながらその破片一つ一つに風の妖力を付与して追跡する弾丸化させた。 [名付けて鎖猛岩(さもうがん)‼︎…う〜ん…いや,でも…なんかなんか…誰かにどうか聞けたら良いんだけど…] ドドドドドッ!!!! ドドドドドッ!!!! 『ンゴォォォォッ!!!!』 さっすがホーミング機能!しっかり全弾命中! 『…ンゴォォォォォォン!!!!!!!!』 “え…⁈っ全っ然効いてる感じしないんだけど…今の割と必殺技な感じでやったんだけどなぁ…(汗汗)” 相手がまた突進してくるだろうと思い,またワープで錯乱体制を取った。 すると,今度は持っていた斧と槍が合体したようなやつ… ハルバード…だっけ?あれを振り回し始めた。 ビュゥゥ!!!! 恐ろしい怪力。あまりのパワーで風の渦を作っている。 “これはまずいぞぉ?このままだと風圧で円刃になりかねない…下に逃げ込もう” ワープで下に潜り込んで懐に入り込んだ。 が, 「…っ⁉︎」 バタンっ… “う…嘘…でしょ…?まさか…ここで…倒れちゃうなんて…” かなりギリギリのところまで来ていた。 そろそろ霊界から出ないと身体が持たない。 『ンゴゴォォォン』 番人の鳴き声も遠くに聞こえる… 〈良ぃい?アヤ,弦音はね,私たちの一族にとって,一番の武器なの。弦音は心を映す鏡なの。だからアヤが苦しいって時には苦しそうな音になるし,アヤが優しい子の時は,優しい音になるの。弦音はどんな相手にも響いて,私たちを強くしてくれる。アヤは優しい良い子だから,その弦音はみんなを助ける音がするのよ〉 「お…母…さん…?」 走馬燈だろうか…昔お母さんに言われたことがフラッシュバックしてきた。 「…ッ⁉︎」 少しだけ感覚が戻ってきた。 “うぅ…痛い…攻撃,受けてたんだ…” 動ける限りの力で,弓を引いた。 ギ…ギィィィ… “お母さん…一緒に…” 〈霊音…〉 ッカァァァァンッ!!!! … … … … 『ンゴォォォォォォン……』 「…ッ…うぅ…」 意識が割としっかり戻ってきた。 お母さんの言った通り,弦音が魂を取り留めたんだ。 立ち上がって,また戦闘態勢を取ろうと,番人を見てみると,番人は今の弦音でかなり怯んでいる。 よし… ギィィィィイイ…! 〈霊音,窈窕(ようちょう)…〉 ッカァンッ!!!!!!!! お母さんが使っていた,普通の『霊音』とは違う霊音。 お母さんから直接聞いた時にはよく分からなかったけど,今初めて分かった。 これがお母さんの作り上げた,『霊音』の進化形態… 実際に観ただけだから,まだウチのは完成形まで至ってないかもだけど,今までとはまるで違う,どんな相手にも通用する技になった感覚。 “帰ったら撮らせてもらったお母さんの射の映像見返そっと…” そんなことを考えながら,番人の試練に決着をつけようと, ギィィィィイイ… 〈展開,土ノ業(つちのごう),霊音‼︎〉 ッカァァァァアン!!!! 土妖力付与した矢に,更に霊音をかけた。 すると, 『ンゴォォォォォォオオン!!!!……』 …… …… ………。 『ソ,ソコマデダ…我ニコレ程太刀打チデキルトハ…大シタ者ヨ。サァ,先ニ進メ。コノ先ニ常世ヘノ鍵ガアロウ…』 「ちょっ…あの…紫の宝玉について知ってたりしないです,か…?」 『紫ノ宝玉カ。我ガ知ッテオルノハ,常世ト隠世ノ狭間ノ守護者ガ,鍵ヲ担ッテオルトイウ噂クライダ…後ハ何モ分カラヌナ…サァ,先ニ進メ』 半ば強引に進むように言われた… ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! ガァンッ!!!! 入り口と,先に進む通路が開いた。 『#<%$*£€¥@&!$%〜!』 『$#^+€*£$^¥@?&〜…』 『$#+*^€£?!^€&@』 サ,サロスティアの霊(ヒト)たちとも合流できた。 “やばい何言ってるか分かんなくて頭混乱する…(泣)” ウチらは鍵のある部屋に進んで行った。 部屋は割と近くて,今のウチの体力に優しい距離だった。 鍵は入ってすぐ目につくところにあったので,すぐさま取った。 “イメージしてた鍵の形というより,なんかオーパーツ感あるけど…” 「や,やっと…帰れる…」 安心してそのまま意識がどっかいきそうだったけど,なんとか踏ん張った… 天然ダンジョンから出て,山頂に到着した。 〈展開,隠常隔!〉 ヒュゥゥゥ…シュッ!!!!!!! ポォオォオォン… 人間界に帰るポータルが開いた。 「じゃっ…」 サロスティアの霊(ヒト)たちに別れを告げて入ろうとすると, 『%#$€*+^£¥@&?!$%€♪』 『サルティーニャ♪』 と言われた。 サルティーニャはおそらく『またね』って事なのだろう。 [これは割とはっきり聞き取れた♪] 「サルティーニャ!」 ウチもそう言い返して,ポータルの中に入っていった。 ポータルの奥を覗いてみると,何やら見たことのない人影が見えた。 雲のような,人型のような…今は何も分からない。(もしかしたら家にある文献に載ってるかも…) 少し疑問が残りながらも,無事帰宅できそうだ。
碧ヶ岳様企画 エッセイ
今日は朝からやけにボーッとした。 蒸し暑くて,気持ち悪くて,胸がジーンとする苦が続く。 けれど,一つだけ気が楽になる事があった。 夜になってからではあったが,友達と話せた。 嬉しかった。 少し苦でなくなった。 苦しさを 消す君の声の 音がして 夜のひと時の この心地良さ 風はなくとも,少し夜の匂いに頬を撫でられた感じがした。
碧ヶ岳雅様企画 エッセイ
今日の授業は4限まで。 放課後に少し学校に残るようがあったものの,あまり長居するつもりは無かったので,お弁当は母にいらないと言った。 気づけば気づけばで,長居して,いつのまにか学校を出たのが4時半近くだった。 そう,お昼を食べてなかった故空腹で倦怠感と疲労蓄積に見舞われたのである。 そんな中に浮かんだ一歌。 眼に揺らぐ 上部の思考は 霞みつつ 声を過ぎゆく あのほろ苦さ 今日飲んだコーヒーは,ボヤッとした頭によく沁みた。
2.人間に戻る術
天然ダンジョンに向かう道中,極力霊界の住人たちに会わないようにしていた。 文献にも,霊界の住人たちと多く関わると後々面倒ごとに巻き込まれるとの記述があった。実際にそうだと思う。 だって所々で住人間の揉め事が起きてるんだもん。とはいえウチがワープして来た所はあんまり霊(ヒト)がいなかったから多くは見てないんだけど… 見慣れない光景が広がる霊界。 見れば見るほど不思議なものばかり。 歩いていると突然,, 「…⁉︎…」 突然視界が,見えるものが何重にも重なって見える。 平衡感覚もままならない。 “ヤバい…ちょっときついかも…” と思った瞬間, 「⁉︎…」 急に良くなった。 一瞬だけだったし,気のせいだったのかな…? そんなことがありつつ,しばらく先に進んで行くと,集落っぽいところに出てきた。回り道してスルーしようと思ったら,辺り一体テントに埋め尽くされてて,どうにも回り道出来そうにない。 どうしようかともたもたしていると,, 『$#%€£$!$@&!#‼︎』 “え⁉︎ちょっ…ちょ…な,なんて?” 訳のわからない言葉で怒鳴られた。 分からないが謎に怒鳴られた。 『€%$¥&@%#$£+€‼︎‼︎』 『$€+%#&¥%#£€‼︎』 更に霊(ヒト)が増えた。 “これって…言語…いやにしても何語なの?” 「え?いや…ちょ,あのぉ…」 『%$#*€+£?¥‼︎』 ビュゥゥ… 浮いた。これって…風妖術…? どうやら彼らは風妖術が使えるらしい。 ギ,ギィィィィィィ… “え⁉︎ちょ,いきなり弓構えないでよ怖いじゃぁん…” しかも彼らの使っている弓は剛弓。 弦を複数人で張るような硬くて並の人では引けないような弓。 おそらく音を聴いた限り九人張りだろう。 それを各々で引いているのが怖すぎる… ヤバっ… [私は小さい頃からずっと弓と過ごしてきたし,一応弓道部だから,聴いただけで弓の種類の判別ができるのだぁ♪] ってそんな事を考えてる場合じゃない‼︎ 敵対行動を取られた以上はウチも構えるしか… ビュゥゥ…… 彼らは風に乗ってゆらりゆらり舞うように上空を巧みに移動し出した。 “この情景の話,どこかで聞いたことあるような…” ふと小さい時に,お母さんが口にしていたお話を思い出した。 〈はるか昔よりたまにくる,遠い国からの霊(ヒト)たちは,ふわりゆらりと風に乗り,今日もまたまた食べ物探し。あっちにこっちにひとっ飛び。ある時の人は勉強し,彼らとお話していたよ。彼らの名前はサロスティア。最初はうまく聞き取れず,沙露透人(さろすと)として伝わって,度々仲良く過ごしたよ。 それからこれはご先祖様から受け継がれてきた言葉でね,もし彼らに会ったらこう言いなさいって〉 私はその言葉を口にした。 『ツャン サロァネ ガーポンハァ』 『…⁉︎』 彼らは非常に驚いたようだった。 それから,私がお母さんから,おさがりで貰った,御守りを見せた。 『ヤァ サロァネ ッガァポンハァッ…$€%#*£&@¥#%…』 彼らは理解してくれたようだった。 (相変わらず何言ってるかはほん…っと分からないけど…) 『¥%#$€**+£•&@¥…?』 「…っん?」 思わず声を出して聞き返してしまった。 その後も何回か同じようなやり取りが続き,5回目くらいで,ジェスチャーを交えながらの説明を受けてようやく理解できた。 どうやら何故分かったのかは分からないが,天然ダンジョンまで案内してくれるとのこと。 彼らについて行って,天然ダンジョンまで向かった。 到着すると,どうも山の洞窟みたいなのが入り口らしい見た目をしていた。 [いかにもダンジョンって感じ…] 案内はここまでと思っていると,まさかの中まで付いてきてくれた。 「…⁉︎……………」 道中またも意識が飛ぶような感覚になった。 そして時間が経つにつれて少しずつ背が引き伸ばされるような感覚…地に足ついていないような… そんな感覚が襲ってきたが,あまり長時間ではなかったのでさほど気にはしなかった。 “やっぱり生身で霊界に居るのキツイなぁ…胡簶家の正装だからここまで耐えられてるものの,普通に私服だったら,絶対とっくにアウトだったかも…良かったぁ…” かなり奥へと進んでいくと,谷に出てきた。下を覗くと,底が深くて見えないくらい深い。 “どうやって渡ろっか…” 最初は土妖術なんかで試してみたが,底が深すぎて全部埋め切るには妖力が勿体無かったので,どうにかならないかと考えていると,, ビュゥゥッ… サロスティアの霊(ヒト)たちが自慢の風妖術で向こう岸までひとっ飛びして行った。 何を言われたかは分からないが,早く来いみたいなことを言われたので,私も真似して, 〈展開,風ノ業(かぜのごう)‼︎〉 つむじ風をこっち側と向こう岸に二つ発生させて,そこに, 〈空界(くうかい)‼︎〉 ポータルを展開して一瞬で向こう岸に渡った。 “始めからこうすれば良かったんじゃ…まぁしょうがないしょうがない‼︎” そのまま進んでいくと,少し開けた空間に出てきた。 … … … ガタンッ!!!!!!! … ガタンッ!!!!!!! ガタンッ!!!!!!! ガタンッ!!!!!!! ガタンッ!!!!!!! ガタンッ!!!!!!! 道が全て閉鎖されてしまった。 すると, 『ギィャャアアアァァ‼︎‼︎』 「え⁉︎うそ魑魅魍魎…もぉ〜またぁ?」 『$%#€£+**%^#>$¥&‼︎』 「…⁉︎」 良く分からなかったが共闘してくれた。 けれど,祓しても祓してもキリがないくらいどんどん湧いて出てくる。 止まらない…どうしようか… 「よしっ!…こうするか…っとぉ♪」 ギィィィ… 空弓を思いっきり引く。 〈展開,霊音っ〉 ッカァァァァァァァン!!!!!!! 空間に弦音がこだまする。 『ギィャャアアァァァァァ!!!!』 みんな一斉に祓せた。 さてと,これでよしっ! 扉が開いて先に進めるようになったので,彼らと先に進んでいった。 左右に灯る松明も,まるで奥へと誘うように,揺らいでははらはらと音を立てていた。 「ここが,ラスボスの間かな…?いかにもって感じだけど…」 ついにダンジョンの最奥まで来たっぽい。 『$¥&%#^*>£+!&@#…』 また何かを言われた,またしても何を言っているのかは分からなかったから,何回か同じようなやり取りが続いた。 何回か繰り返して,ようやく分かったのは,ここからは1人でいけとのこと。 [さぁ,人間界に帰るための最終試練へ。]