く ら げ さん
2 件の小説実家
ガラガラと引き戸を開け家に入る。 最後に帰ったのは正月の時か…実家は妙な安心感がある。 「ただいまー」 玄関で母を呼ぶように叫ぶとあれ、もう来てたのー?とパタパタスリッパの音を立てながら玄関まで迎えに来てくれた。 「おかえり、暑かったでしょ?連絡してくれれば迎えに行ったのに…」 「電話しても繋がらなかったから歩いてきたんだよ。」 呆れて言うとあらま、ごめんちゃい。と、てへぺろをしながら謝られた。50過ぎた母親のてへぺろを見るのは流石にキツイ。 「ちょっと行ってくる。」 スーツケースを2階の自分の部屋に置き、玄関に戻って靴を履きながら母親に声をかける 「え?どこに」 「ナツに迎えに行った礼としてコーラもってこいって言われたんだよ。」 「…そう、なの。」 少し間を空けて言う母に違和感を覚えてる。そのまま引き戸に手をかけると「ちょっと待って!」と呼び止められ家の奥に引っ込んだと思えば戻ってきて俺の手に小銭を乗せてきた。 「これで買ってね。」と言われるが自分も良い年した大人だ。いらないと言えば小銭をグリグリと手の平で押さえつけてくるので仕方なく渡された小銭握りしめて家を出た。 続
久しぶり会うお前。
駅を降りると一気に外の空気が体に触れムワッとした暑さに包まれる。蝉の声が辺りにこだまして煩い。 「あっつ…」 改札口を抜けるとそこで立っていたのは親友の青木夏希だった。 「よぉ、お久」 「久しぶり」 久しぶりの親友との再会は毎度呆気無いと感じるのは自分だけだろうか。なんてことを考えていると背中を大きくバンバン叩かれた。 「いやー、お前大きくなったな!彼女とかできたか?」 「痛ッ、ちょ、親戚のおじさんかよ」 あはは、と笑うコイツは高校時代からまるで変わってない。 「じゃ、迎えに来たお礼としてあとでコーラ持って来いよな」 「は?」 そう言って少し古びた自転車を漕ぎ台風が去ったように先に戻っていた。 ━━━いや、こういうのは一緒に家まで昔の思い出に浸りながら歩いていくもんだろ。 流石にこの暑さの中歩いて帰るのは苦なので電話をして親に車を出してもらおうとしたが繋がらない。仕方がないので歩いて帰る。 くそ…なんで俺がこんな目に〜 続