鬼火丸

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鬼火丸

人間

目の前には人間がいた。 私たちとは似ても似つかぬ姿をしていた。 不思議な色の肌、色んな色の瞳、高い鼻を持つ奴もいれば低い鼻を持つ奴もいた。 中でも一番びっくりしたのは、言語だ。 私たちの知らない言葉で、私たちに話しかけてきたのだ。 ところどころ、私たちの知ってる単語が聞こえたりした。 「チキュウ」だとか、「ユメ」だとか。 「シンリャク」と聞いた時は驚いたな。 この人達は大丈夫なのだろうか? 色々と不安や疑問は残るが、コンタクトをとってみることにした。 同僚や上司には止められたが、私個人としてはとても興味が注がれた。 「こんにちは」と声をかけてみると、なんと「こんにちは」と返答が帰ってきたのだ! どうやら彼らは私たちの言葉が分かるようだった! この星はそこまで進歩を遂げていたのか! この星に住む人間達の作る文明はまだまだだと思っていたが、たった数千年でここまで来ることができたのだ! 彼らは私たちとは似ても似つかぬ姿をしている。 そう、彼らはこの地球に住んでいる“ニンゲン”なのだ。

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ころされたい

私は未来が怖い。 心が押しつぶされるようだ。 小さい頃は何一つ怖い物なんてなかった筈なのに、今は怖くて怖くてたまらない。 小説家になるなんて言わなければ良かった。 私でも行ける大学にでも進学すれば良かった。 友達と一緒に、就職すれば良かった。 どんなに後悔しても、悔やんでももう後戻りはできない。 人並に生活できるとは思えない。 一人ぼっちじゃ生きていけない。 一人は好きだが、怖すぎる。 だけど、誰かと一緒になるなんて私には無理だ。 いつか一人で死ぬぐらいなら、今ここで死んだ方がマシだ。 誰でもいいんだ。私を殺してはくれないか? 私は馬鹿だから、何したって無駄なのだ。 優しい人達がいるから、今私はここに居るのだ。 頭が働かない。後先を考えられない。一人ぼっちで死ぬ他ない。 私はこんなことを考える私が、大っ嫌いだ。 あぁ、どうせなら自分の親に

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「あきらめちまえ」

と。  たったそれだけで私はきっと、諦めていたと思います。  私の熱量はその程度だったのだと、私は私にガッカリするのだと。  私の夢は小説家でした。  理由は簡単。テレビで小説関連の企画をしていて、それを見てやってみたいと思ったから。  中一の後半が始まってすぐの事です。  今になって思います。  何で将来の夢が、“小説家”なんだ?  別に小説家にならなくても良いじゃないか。  そんな一か八かの賭け事を、やる必要はあるのか?  めんどくさがり屋のくせに。  やる気はないくせに。  お前(私)は何でこんな馬鹿なことをしようと思ったんだ?  正直、消えてしまえと思いました。  死んでしまいたいと。  どうせなら、記憶を持って過去に戻って小説を書く事は、親友達や周りに隠しておこう。  自立出来るようにしよう。  親兄弟に嫌われるようにしよう。  小説家なんて夢を持たなければ、こんな事にはならなかったのだ。  小説家なんて諦めて、就職してしまおう。  やる気のない私が、何やったって無駄なのだから。  だけど、もしかしたら言って欲しかったのかもしれない。  いいや、言ってはくれませんか?

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安心しきっていた

私は親に捨てられた 遊びで作られた、悲しい子供だと先生に言われた 私が育ったのは孤児院だ だから、学校に居てもどこに居ても虐められていた 下駄箱を覗けばゴミを入れられていたり、教科書やノートをビリビリに破られていたり、机に悪口を書かれていたり…… もっと酷いのは、異臭のする水をかけられてその日をそのまま過ごしていたのに 担任や他の教職員達は、“我関せず”といった感じで私を心配する事なく、無視をした 他の生徒達も“我関せず”で無視する子もいれば、こんな私を見てクスクスと嘲笑っている子もいた そんな感じで生き続けて、十九年 私はついに、こんなクソッタレな世界から開放される 二十歳の誕生日前日、午後二十三時五十分 一つのビルの屋上のフェンスの外に、私は立っていた ここは、私を虐めてきた半数以上の子達が入社した某株式会社だ ザッと軽く十階以上はあるのだろう 私は二十歳の誕生日になった瞬間、飛び降りるつもりだ つまり、これは復讐だ 手紙も書いた 最後の悪足掻きで書いた手紙 今までの事を全て書いた ここで働いているいじめっ子達に、どうか私と同じくらいの不幸があればいいのだ 私の願いは、ただ一つ “普通に生きたかった” 午前0時0分 私は飛び降りた 涙なんて出ない 風が私の体をすり抜ける あぁ、これで全て終わる…… アイツらにも不幸が訪れる事を願うばかりだ 私はそう

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もう嫌だ

そう呟いたのはいつからだっただろう? 気付けば僕は、無能なまま二十歳を超えた 周りは頑張っているっていうのに、僕だけは頑張れていない 親からは甘やかされてきたし、兄達からは妬まれて生きてきた 「僕を甘やかすな」と兄達は言う その言葉を聞いた時、“あぁ、自立しなきゃな”と思った だけど、現実はそう甘くない 今まで甘やかされてきた分、本気のだし方すら分からなかった 自立の仕方すら知らなかった 甘やかされるのが当たり前と、頭に根付けられたようだ あぁ、だからか だから、兄達は皆僕のことを嫌うのか 家族の警告も聞かないで、誰かに相談することもなく、一人で突っ走って 「ふざけるな」 兄達が口を揃えてそう言う 「死んじまえばいいのに」 一人の兄が、僕に言った そんなに僕の事が憎いなら、その手で僕を殺してしまえばいいのに 何度そう思ったか、分からない 死ねとか死んじゃえとか言うぐらいなら、殺してよ 僕を あぁ、こんなクソッタレな世界なんて

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逃げなくては

ある日、夢を見た 始まりは、自分の家族と住んでいる家に居たところから 双子の“キョウダイ”が縁側に居て、そこに私もいた その時の私は何故か双子のうちの一人を見て不安な気持ちになった 一番上のおにいちゃんが居たはずだけど、顔はなかった いや、“見えなかった”と言った方が合っているのだろう 私は咄嗟に、双子のうちの一人を連れて身一つで家を飛び出した 走って、走って、走って 気付けば、見知った町にきた だけど、そこは知らない場所だった 知ってる筈の町なのに、何故か知らない ここはどこ?知ってるのに、知らない! 不安な気持ちは無くならなかった “家族”は追いかけてきていない 双子のうちの一人は、しっかりと腕の中にいる それなのに、怖かった 不安だった 寂しかった 嫌になりそうだった それでも、歩かなければならない 私の“家族”と“双子のうちのもう一人”から、逃げる為に 逃げなくては 逃げなくては 逃げなくては 逃げなくては 逃げなくては その言葉だけが頭の中をエンドレスループしている どこへ行けばいい? もう随分と歩いた お金や着るものはどうしよう…… ご飯も食べれてない 双子のうちの一人も、きっとお腹が空いているだろうに ……あれ?“あの子”はどこ行った? 確かに抱き抱えて走ってきたのに……? そもそも、“あの子”って……誰だっけ? 腕の中に居た筈…… 居たのか? “あの子”は本当に居たのか? 今の私の腕の中には、誰もいない 存在して、いたのか……? 私は……“誰から逃げていた”のだ? 分からない、分からない、分からない…… 座り込んだところで、私は目が覚めた 目に映るは、見慣れた天井 夢なのだと確信した 夢でよかったと、安堵した でも不思議だ 不安な気持ちはなくなっていない 逃げ出したい気持ちは消えていない 早く“あの子”を連れて どこかへ

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子供はよく見ている

ねぇ、皆さん 何故、子供は嘘泣きをやったりイタズラをしたりすると思いますか? 「子供って、そういうの好きだよねぇ〜」 ……いいえ、好きでやってる訳ではありません 好きでやってる子供もいると思いますが、大体の子達は貴方達親に構って欲しいからです 「僕(私)に構ってほしい」だけなのです 子供は大きくなるにつれて自分の世界(心)を広げていきますが、その大きくなるまでの間のその子の世界(心)は自分中心なのです 自分が中心で、世界(心)は回っているのです 「イタズラしないでよ。嘘泣きはやめて。」 お母さん、何で僕達子供が悪戯するか分かる? どうして、嘘泣きしてるのか分かる? それはお母さんも嘘泣きしてたり、悪戯をしてたりするんだよ? お父さんがどこかへ行ってから、お母さんは僕が寝た後によく泣いてるよね 嘘泣きじゃなくて、本当に泣いているよね? だから、僕は何も言わないよ お母さんが傷ついて悲しむくらいなら僕は虐められたって構わない 泣かないから、嘘泣きもしないしイタズラもしないから 僕はお母さんが心配なんだよ だから、何も言わない 授業参観の事も運動会の事も、お遊戯会の事も ……僕が本当は、消防士になりたいのも 言わないよ……! だから、お母さん。安心して 僕はお母さんが望む子になるから どんなに辛くたって、お母さんの笑顔がまた見たいから 貴方達親が、自分の子を心配するように 僕達子供だって、心配してる だからこそ、お願いだ 「お母さんを困らせないで」って言うくらいなら 僕達を産まないで 「お母さんを悲しませて、楽しい?」って言うぐらいなら 貴方達は、僕達を苦しませて楽しい? 「産まなければよかった」と言い放つぐらいなら なんで僕達を育ててるの? どうして貴方達大人が我慢してないのに 僕達子供は、貴方達大人の為に我慢を強いられなきゃいけないの? もう嫌だ…………!

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第二話「モフモフパラダイスやん♡」

「……え?」 考え事をしていると、突然声をかけられた 振り向くとそこには、獣人族だと思われるおじ様が居た 人間の姿に黒い猫耳と黒い尻尾が付いていて、騎士のような身なりをしている あっ、絶対騎士様じゃん 獣人×騎士の組み合わせは最高なんですが? 「……おい、聞いているのか?」 「ふぁ?え、あっ!はい、聞いておりますとも!」 必死にモフりたい衝動を抑えて、応答する やばい、触りたい!モフモフしたい♡ どうしようもなく、フワフワしてそう! 「お前さん、何でこんな所にいるんだ?ここは立入禁止区域だぞ?」 立入禁止区域……? 立入…禁止……区域………? 「………待って!何で私、そんな所に居んの!?」 「……は?」 「えっ、私さっきまで横断歩道で子供助けてたよね!?どういう事!?」 「お、おい…落ち着け……?」 「ここはどこ!?私は誰なの!?」 「落ち着け!」 バシッ! 「痛ぁ!?」 ギャーギャーと騒いでいたら、軽く頭を叩かれた 「ちょっと!何すんのさ!?いくら騒いでたからって、女の子を叩くの!?」 「優しくして欲しいのか!?」 「無愛想でも良いよ!優しさなんて求めちゃいないんだから!!」 「そうか!!」 ギャーギャーと一通り騒いだ後、息を整える ひとまず落ち着こう。話はそれからだ…… 「フゥ〜……テンパってしまい、申し訳ありません。名乗り遅れました、私はマコト・ツルマルと申します」 「そ、そうか……俺はエンリル・ベルだ。バナカル獣人王国で騎士団の副団長をしている」 「バナカルモフモフパラダイス?」 「誰もそんな事言ってはいない」 「そうなのですか?」 獣人王国っつったら、モフモフパラダイスじゃないのか? 獣人族は大好物だぞ? 許可がおりるのであれば、盛大にモフモフしたい!! 「…ひとまず、迷子のようだから付いてきなさい。お前さんは保護対象だ」 「はぁい!」 獣人族に出会えた事を心の中で喜びながら、おじ様−−−エンリルさんの後をついて行く −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 場所 バナカル獣人王国 西門 「お疲れ様です!ベル副団長!」 馬車に乗せられ、連れてこられたのは大きな門だった 多分、この壁の向こうがバナカル獣人王国なのだろう 門を通る際、一人の兵士がビシッと敬礼をした 門を通る時に何かしらやると思ったが、エンリルさんがそれなりの地位に居るからか難なく通れた 「ねぇねぇ、エンリルさん。門を通る時は私みたいな奴は何かしらやるんじゃないの?」 「? 何だ、不安か?」 「不安というか、あの兵士さんの目に私はどう映ってたのかなぁって思っちゃって」 「……大丈夫だ。お前さんは保護対象だからな」 「………そっか」 「?」 周りを見れば色んな獣人族が溢れかえっていた 兎人族や虎人族、猫人族や犬人族まで様々だった ただ、一つ気になるのは目線だ エンリルさんとはぐれないようにしつつも、周りをキョロキョロと見渡していたら時々獣人と目が合った その度、獣人達は体をビクッと跳ねさせては目線を逸らしていた まるで、“人間である私”を怖がっているような…… 「着いたぞ、ここだ」 どうやら、もう着いたようだ 私がそちらに目を向けると、なんとそこに建っていたのはとんでもない豪邸! ……という訳でもなく、ただの一軒家 二階建ての一軒家 外壁は白く、二階にはバルコニーが付いていて“晴れた日には心地良さそうだな”と思ってしまった 「エンリルさん、ここは?」 「……俺の、家だ…」 「?」 なんだか歯切れが悪そうにするエンリルさん 目線もどこかぎごちない 「……中入ってもいい?」 「うぐっ!」 「?」 「それは…その……」 「……勝手にドカン!!」 「あっ!おい!」 ぎごちないエンリルさんを置いて、敷地内に入り、ドアを勢いよく開けた 「こ、これは!?」

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質問です

𝙌.貴方は何が嫌いですか? 𝘼.私は全てが嫌いです。 𝙌.それは自分の事もですか? 𝘼.はい。自分の事も嫌いです。 𝙌.家族の事も?友達や貴方を好きでいてくれる人達も? 𝘼.はい、嫌いです。 𝙌.何故、自分の事が嫌いなのですか? 𝘼.何も出来ないからです。得意な事もやり遂げだ事も、現実を見ようとする事すら出来てやしない……全てにやる気が湧いてこないそんな私が嫌いです。 𝙌.家族の事は?本当に嫌いですか? 𝘼.嫌いです。何かをやろうとすれば、“出来るわけないくせに”とか言われます。親からは私が虐められていても“気にするな”としか言いません。“学校に行きたくない”と言えば、“ふざけるなちゃんと行け”とぶたれます。 𝙌.質問を変えます。貴方は、死にたいですか? 𝘼.……死にたくありません。 𝙌.それなら−−− 𝘼.でも! 𝙌.! 𝘼.……出来ることなら、皆の記憶から消えたいです。こんな何も出来やしない屑を、どうか消してください。 𝙌.……最後の質問です。 𝘼.……何ですか? 𝙌.……貴方は、こんなクソッタレな世界(僕)が…嫌いですか? 𝘼.……大っ嫌いです。死にたいと言う事すら許されない世界 (あなた)が大っ嫌いです。 𝘼.じゃあ、逆に聞きます。 𝙌.何ですか? 𝙌.どうして神様は、こんな風に世界(あなた)を作ったのですか? 𝘼.……それは神様にしか知りえません。世界(僕)ですら、知りません。 𝘼.僕だって、産まれたくて産まれてきたわけじゃないのに……

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眼鏡と友とわたくしと

○×高校 昼休み 二年A組教室にて 私「皆、皆!聞いて!」 友1「何?」 友2「どうしたん?リア(私)」 私「実はね……この眼鏡が私の本体だったんだ!!」 友1「そうだったのか!?」←眼鏡見ながら 友2「リア!!リア!?返事してくれ、リア!」←眼鏡見ながら 友3「そんな…返事がない……ただの屍のようだ……」←眼鏡見ながら 私「wwwwww」 あれは笑うしかなかったwww

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