けん

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けん

終末

ほんの少しだけ思ってしまったの あなたが1番だよって言ってくれることを 少しの期待に賭けてしまいたくなったの その瞳が私だけを映しているような感覚に溺れたくなったの 溺れてしまったからもう抜け出せないよ あなたとの日々を私は宝箱にしまったのに 貴方は出しっぱなしにしていたんだね この違いにもっと早く気付いていたら もしあなたが私が望む言葉を 言ってくれたとしたら とても楽になれたから 本当に楽になれたから 私はまた私のくだらないわがままに 貴方を付き合わせてしまったのね これで最後のわがままだから聞いてほしい 散らかった部屋は早く掃除してね 私が大好きだった部屋に早く戻してね

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月明かりの届く範囲

貴方は私にとって 例えるならば 暗闇を照らす月明かり 私が愚痴を零したなら 貴方は私の味方になって 一緒に愚痴を零してくれる 私の苦しみに共感して 理解しようとしてくれる 私の内側の悩みに気づいて 拭い去ろうとしてくれる それなのに私は 貴方の瞳の奥の影に 気づくことが出来ないまま 日々を過ぎ去ろうとしていた その瞳から涙が零れ落ちるまで 気づかないふりをしようとしていた 気の利いた言葉も浮かばなくて ただ泣いている貴方の横で 何故か私も泣いていた 私が泣いていい理由なんて どこにもないのに あの日の記憶が 脳に焼き付いて離れなくて もしもあの時 気づいてあげられていたなら 私が貴方にとっての月明かりになれていたら 今貴方の笑顔を 一番近くで見守ることができたのは 私だったのかもしれないって 考えても無駄なことを 考えてしまうよ 今貴方の横にいるあの人は 気づいてあげられるのだろうか 気づけなければいいのに そう思ってしまう私は 貴方の隣には到底値しなくて やっぱり私じゃだめなんだって 理解してまた泣きたくなる でももうここに月明かりは届かない

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散髪

報われない努力もある そう思い知るのを恐れて 下を向いた私の視界に 長く伸びたままの髪が垂れ下がる 以前に切られたのはいつだったのか その長さは時の流れを無慈悲にも可視化する これがお前の過ごした無駄な時間の長さだよ そう言われているような気がして 思わずハサミを手に取って切った 一度切ってしまったら もう迷いなどなくただ夢中だった 髪は呆気なく床に落ちては フローリングを汚すゴミとなった 毎日欠かさず手入れをして清潔を保っていた 友人に褒められる程の艶のある髪 それでも躊躇いが生じなかったのは 本当は努力という名に見合った行動が出来ていなかったことを 努力という言葉の使い方を誤っていたことを 自分で分かっていたからだろう 無駄な髪を落とした今 ここには何が残ったのだろう 私はまた下を向く もう足枷がないことを確認して 足下のゴミを掃除した ハサミをしまって表へ出る 風に吹かれる不格好な髪型から 幾らか飛ばされる髪の毛の行方が せめて今より明るい場所であることを願い 私は美容院へと向かった

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本音

好きとかじゃない 誰とも話さないで どこにも行かないで 私だけに笑いかけて 貴方の一番になりたい もしもこの胸の奥の思いが 零れ落ちてしまったら もう二度と逢えなくなる そんな気がするから 代わりに思ってもいない言葉を零して 平生を装うよ それでもいつか 貴方の一番が決まる日が 独りよがりな心が支配される日が 来てしまうだろうか いつだって独善的な私は 貴方の幸せを願うことが出来ない 醜い感情を抑えることが出来ない 呆れるほど幼稚な思考で 貴方を困らせてしまう その日が来るまで せめて もう少しだけ大人になりたい 貴方が一番大切だから

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片思い厨

雨に濡れる私の視界が 貴方の背中を捉えるまでは 私の心は晴天だった 貴方の笑う横顔が 幾分先に見えた時 心做しか傘を叩く雨音が強くなった いつも通りの道なのに 雨が私の視界を遮って 帰り道が分からない 周囲の音がやけに遠くて 私を孤独にさせる 大粒の雨が地面へと打ちつけられては 虚しく消えていく ただそれを眺めるこの時間が 永遠に続くような気がした

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笑顔の効用

いつも通りの日常の中に 貴方の笑顔があると嬉しい 笑顔一つで私の心は満たされて 思考が脳に辿り着かない 誰の声も聞こえない 貴方がいればそれでいい それなのに その笑顔が向けられる先が 私でないのであれば 私の心は泥に沈んで 思考の動きを鈍らせる 誰の声も聞こえない 貴方がいればそれでいいはずなのに いつだって 貴方の笑顔は私の思考を麻痺させる

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