片桐 Hakubi
16 件の小説最終電車
最終電車なんとか飛び乗った ああ、今日も過ぎていった 同じような顔をしてため息をついた 「案外上手くやっていけそうだ」 なんて君に言ったあの日の僕で ずっと居られたらいいのに ねえ、大人って何? 強くなること? 誰も強くはいられないや ねえ、みんなどこかで諦めては 分かったふりをしているだけ? 大丈夫僕らはきっと 何度も声枯らして叫んでいた もう聞こえなくなっていく 僕はここにいると何度も叫んでいた ねえ僕らは分かり合えない 強くなれやしない だからこそ僕らは優しくありたいんだ 行こう なんとなくでやりきれた まんまで大人になって このままじゃいられないってことを知った ああ大人ってやつはこんなもの 情けなくてくだらなくて 泣けてきて仕方ないんだ ねえ、声枯らして叫んでいた もう聞こえなくなっていく 僕はここにいると何度も叫んでいた ねえ僕らは分かり合えない 強くなれやしない だからこそ僕らは優しくありたいんだ ねえ、声枯らして叫んでも 誰にも聞こえやしない 悲しみの数だけ強くなれやしない 死ねなかっただけの今日の くだらないこの夜の意味を知るその時を 僕らは待っているんだ きっといつか
誰も悪くない
僕は焦ってるんだ 置いていかれそうな真っ暗な世界に 僕が僕であるための証明 満たされない自己愛の肯定 ごく当たり前のように型にはまる あの安心感がとても怖い これでいい確かな正解 動かない確率 そんなものに魅力は感じない 逆方向の電車に飛び乗って遅刻をした あの絶望感によく似てる 偽善のように次々出て来る言葉 あの視線、あの冷たさによく似てる 自分が一番自分の本当の姿を知らない 鏡に映る醜さに あの醜さによく似てる 誰も悪くない 誰も悪くない 誰も悪くない 呼吸ができない 誰も悪くない
意味がないなら捨てよう
意味がないなら捨てよう 何度目の言葉だろう 夢だとか重そうにぶら下げる割に 「何もうまく言えん」と「今が全てだ」 笑って瞳をそらした自分自身から 青い初期衝動 根拠のない自信 移り変わる世界と人々 変わったのは僕なんだろうな 小さく収まるなと誰かはいう もう何が良いのかわからないんだ 朝を迎えて 昨日の僕は死んで これからぼくが全てを終わらせて 漂うだけの日々と決別を 未来はきっと塗り替えられていく
つまらない人間になってしまったよ
つまらない人間になってしまったよ 悔しさや悲しさに慣れてしまってさ ちょっとのことじゃもう痛くなくて 刺さったもんも抜け落ちていって それすらも気づけないで 生きてるだけ 生きてるだけ 諦めてしまえば楽になれるって 諦めないでいる 全部僕のせいだよ こんなやつになったのも 誰のせいでもないの だから僕を許さないでよ つまらない人間になってしまったよ 大丈夫って言い続けたて 大丈夫な気になってしまったよ 人の形をした ただの器として 今日も息をしている 生きてる 痛くない痛くないから 生きてる痛みをまだ確かめてる これが僕が生きた証だから 誰も責めないでくれよ 全部僕のせいだよ こんな風に生きているのは 今も許せないから 今も歌っている 全部僕のせいだよ こんなふうに生きてるのも 変わらないで過ごしていく この日々も愛おしいから 必死になったって 誰も気付かないじゃないか 擦り減らしてった命の分だけ 答えを僕にくれよ
on my own
息が苦しいほどにつめこんだ 満たされないのこんな鉛じゃ もういっその事全部忘れて ただ酔いたいの ずっと逃れられない on my own 消えることのない傷跡と すり減らしていった心の分だけ 明日を生きる力をくれよ
アンチテーゼ
馬鹿にすんなお遊びはやめなや 意味がないわ死んだ音と言葉じゃ 譜面通りお経を唱えてりゃ 天国にでも行けるとお思いですか お思いですか <? >
大人になっても
ねえ、大人になってもわからないことばかりでさ 誰かの憧れた夢の続きで僕は立ち止まっている うまく歩けないままでいる ああ、間違えることがどうしようもなく怖くなったんだ 期待してる 誰かじゃなくて自分自身が敵のようで 鏡の前で目を逸らした
Sommeil
今日も生きたよ 褒められやしないけど うまく笑えたよ 多分 今日も過ぎたよ なんとなくすぎたよ うまく笑えたよ 多分 多分 分かり合えないことくらいわかっているのに どうしようもないことを繰り返して 気にして笑って 悩んで 泣いた後には何も残らないね 傷つかないように 傷つけないように 傷つかないように 傷つけないように 僕らは必死に必死に生きてたんでしょ もう大丈夫 おやすみ
夢が夢であるうちに
ねえみんなどこへ行ったの 忘れないって約束も忘れて 見たこともないような顔してる 僕はまだヘラヘラとして 嫌味のたった一つに傷ついて 握った手で必死に殺してる 夢は夢だって諦めた誰かが 今日もついたため息を吸って僕は生きている 変われないことが怖くなって 変わってしまうことも怖くなって 大人になった いつかは辿り着けるかな あの時交わした約束 覚えてないだなんて言わせやしない どちらか先に着いても待ってなんていなくてもいい いつか いつか 満たされない何を成しても認めないのはいつも僕だった 恵まれていたことも忘れて 嫌になって放り投げた ぐしゃぐしゃの紙切れを集めて 「大丈夫、君ならやれる」と笑った 夢が夢だったあの頃はひたすらにただもがいていた 報われると信じて声を枯らした ふざけんなよ お前に何がわかるんだって言ってしまった ふざけんなよ ふざけんなよ 夢は夢だって割り切ったあいつが幸せそうに笑っていた それがなんだか苦しかった 僕は間違っていないか 間違っていないかなあ ねえ いつかは辿り着けるかな あの時交わした約束を覚えてないかな それでもいいんだ 僕はまだ旅を続けるよ 待っててくれなくたっていい いつか 夢は夢だって諦めた誰かのその続きをまだ追いかけてる 今はわからなくてもその先できっと いつか ねえいつか
ハイボール
とっくにハイボールの酔いは覚めてしまって あなたの嘘にも気づいてしまったよ また何の気もないように振る舞って 眠い目こすって玄関でバイバイ あの子があげた灰皿が目に映って どこか負けたような気になってしまうよ ああそれでもいいこれでいいと言い聞かして 知らない街に溶け込む ああ、あの子の代わりなんてなれないんだな ああ、 あなたにとってあたしはんだったのかな 止まらないように全力で駆け抜けて 思い出さないように かなしくはないの特別になれなくても それでいいの それでいいのよ