しおむすび🧂🍙

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しおむすび🧂🍙

学生です 書きたい時に気まぐれに書きます いいね・コメント・フォローして貰えると舞い上がります

うちゅうへ

『僕ね、宇宙飛行士になるんだ!』 何万回聞いたか分からない台詞。 幼稚園から現在の高校に至るまで、耳にたこができるほど聞いた、あなたの夢。 私にはこれといった夢も目標も無かったから、羨ましかった。 暗闇の中を歩いている私とは違って、あなたは遠くに見える一等星を追いかけている。 『そしたらね、一番に宇宙に連れて行ってあげる!約束ね!』 私よりも勉強ができなくて、運動音痴で、話すのが下手なのに。 きっと、あなたの『夢』が、私が唯一持っていないもの。 「夢を持っているって点だけにおいては、あなたは私よりも優れているかもね。」 『え?なに?今、急に悪口言われた?』 あなたより沢山持っているのに、あなたよりも沢山優れているのに、その『夢』が他のどれよりも輝いて見える。 「…馬鹿なままでいてね。」 『あー!!やっぱり悪口じゃん!!』 嫉妬心とか、無かった訳じゃない。けれど、あなたが夢を叶えた時、ただ、傍にいられたらいいなと思っていた。 高校三年生の秋。 あなたは信号無視の車に引かれて、下半身が動かなくなった。 その知らせを聞いた時、自分の顔から血の気が引いていくのが分かった。 すぐに病院に駆けつけたけれど、あなたは私が病室に入ることを許してくれなかった。 みんなが進路や夢を決めている中、あなたはただ一人、病室でリハビリに励んでいた。 あなたが唯一持っていたもの、あなたが唯一私よりも優れていたもの。 それが無くなった時、私があなたのそばにいる理由は? 進路希望の用紙が配られた時、私はどんな顔でこの用紙をあなたに渡せばいいものかと悩んだ。 下半身不全で宇宙飛行士になるのは、間違いなく無理だった。 私は、提出期限の一日前までそれを書けずにいた。 けれど結局、先生からも催促を受けて、最終日に用紙を提出した。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 進路希望調査用紙 20××年 △月 〇〇日 三年 二組  氏名 佐原 奈々 第一希望  宇宙飛行士 第二希望  × 第三希望  × ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 悩んだ。 本当にこれは私の夢なのだろうか。 あなたに同情して、心が揺れているだけなのではないか。 それでも、夢を語っていたあの頃のあなたに 少しは、近づけた気がした。 社会人になって、あなたとは疎遠になった。 …と、思っていた。 私の初めて乗るロケットの開発者の名前の欄に、懐かしい名前を見つけた。 「初めての宇宙飛行が上手くいったら、一緒に食事でもどうですか?」 昔のメールアドレスに向けてメッセージを送ると 『うん』 と、短い2文字が返ってきた。文面だと無愛想になるのは、昔から変わっていない。 あなたの夢は、私に夢を与えてくれた。 受け継ぐ、なんて大層なものではないけれど。 あなたは、私との約束を守ったのだ。 『一番に宇宙に連れて行ってあげる!約束ね!』

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これはあなたの話です

あなたは女のヒトでしょうか あなたは男のヒトでしょうか またはどちらでもないかもしれません あなたはオトナでしょうか あなたはコドモでしょうか あるいはそれ以外かもしれません あなたはいいヒトでしょうか あなたはわるいヒトでしょうか もしかしたらそうではないかもしれません あなたは生の意味をもっているのでしょうか あなたは死の意味をもっているのでしょうか そんなこと考えたことないかもしれません あなたは愛を知っているでしょうか あなたは愛を知らないのでしょうか どちらにせよ「私」には関係ありません あなたは「私」を知っているでしょうか あなたは「私」など気にもとめないでしょうか それはあなたの判断です あなたはこれから生きていくのでしょうか あなたはこれから死を選ぶのでしょうか あなたがどちらを選ぼうが、または選ぶまいが、「私」には知る由もないのです けれど、ただ一言、ただ1つでも あなたの選択を「私」に教えて欲しいのです これはあなたの話です 「私」には知る由もないのです ですから、ほんのひとつでも あなたと「私」がつながる糸がありますように

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鉄と心と夢と歯車 第1章

歯車の動く音と、蒸気の吹き出す音。あとは、数人の人の声。 「この船の外には、絶対に出てはいけないし、出られない。」 いつか、このちっぽけな世界から飛び出してみたい。この船の外にある世界を見てみたい。 幼き日の夢は、記憶の奥底に沈んでいった。 〈第1章 鉄くずに埋もれた夢〉 拝啓、お父さん、お母さん。 僕、多分死にます。 「いやぁぁぁああああっ!!!」 必死に手足をばたつかせるけれど、僕は鳥でも飛行機でもないのだ。重力には逆らえない。 下の階層に繋がるという大穴を興味本位で見に行ったまでは良かった。問題は、覗き込もうとして足を滑らせたこと。 「神様仏様!!どうかお慈悲をっ…!!」 僕の記憶はそこで途絶えることになる。 …壁から飛び出していた鉄板に、頭をぶつけることによって、だ。 「……ここは、天国?……にしては地獄みたいな場所……。」 一体どこまで落ちたのか。僕が普段生活しているのは2層だから…大穴の大きさから考えるに、3層の半ばくらいまで降りてきてしまったに違いない。 頭は痛いけれどギリギリ命は持ち合わせている。が、3層からは怪物が出るなんて噂もある。拾った命も落っことしかねない。 「ひどいや…こんな場所にか弱い少年を1人にするなんて…。」 とにかく、早くこの階層から上に上がらねば。 何か使えそうなものはないかと、自身のクッションとなってくれた鉄くずの山を漁り始める。 大穴にゴミを捨てているやつがいたらしい。本当は良くないことだが、この状況ではありがたい。 本当に色々なものが落ちている。鉄板、パイプ、ガラス、机に椅子まで…あとは、壊れかけのロボットなんかも落ちている。 「運良く動かないかなぁ、なんて。」 埋もれていた中でも原型を保っていたものを拾い上げ、コツコツと叩いてみる。 にしても、見たことの無い機種のロボットだ。身長も同じくらいだし、鉄の皮を被った人間だったりして。 『…さ……ます……』 「え?なんて?」 『___再起動を、開始します』 驚いた、まだ動くのか。声も同年代くらいに聞こえる。…ちぎれたコードから火花がバチバチとんでいて、とても動きそうには見えないんだけど…。 『___328号、再起動成功。___生命反応を確認。___リンクを開始します。』 思わず後ずさりした。暴走しないとも限らないし、そもそもこんな暗い場所に捨てられていたロボットだ、絶対に何かある。 けれど、けれど 「好奇心には、抗えないよねぇ…!」 1歩、また1歩とロボットに近づいていく。 目の前まで行くと、ロボットのコアが剥き出しになった。 震える手で、そっと、青色に光るコアに手を当てた。 『___個体名 ティル とのリンクが成功しました。』 ふわり。淡い水色の光が僕を包み込んだ。 ゆっくりと瞳が開いた。引き込まれるような澄んだ青色。 なんて言えばいい?こういう時は…。 「は、初めまして!僕の名前はティル!君の名前は?」 『……名前。私の、名前は……』 ー第2章へ続くー

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鉄と心と夢と歯車 第1章

哀哭のメトロノーム

カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ 静かな部屋に、あなたの笛の音が響きました カチ カチ カチ カチ 正確かつ落ち着いた音 カチ カチ カチ カチ あなたの笛の音が止んだ時が、私の役目が終わる時 カチ カチ カチ カチ そしてその時、あなたは決まってこう言うのです 「またダメだった」 と カチ カチ カチ カチ あなたは何を思ってその笛を吹くのですか? カチ カチ カチ カチ あなたは誰に向けてその笛を吹くのですか? カチ カチ カチ カチ あなたは、なぜそんなにも悲しげな顔をするのですか? 私にそれを問う権利はありません カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ あの日は空が綺麗でした あなたは、いつもと違う、緊張した顔つきで私の前に立っています あなたの横には、あなたと同じ思いをもつ仲間たち カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ カチ 次にあなたの、あなたたちの笛の音が止んだ時 その時が、私の役目が本当に終わる時 中学三年生の夏、最後に見たのは、金色のトロフィーを囲んで笑い泣くあなたたちの顔でした

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空が綺麗だから死ぬことにした

今日は快晴 雲ひとつない 青い空を見ていたら、ふといい考えが浮かんだ “自殺しよう” 別に何か悲しい訳ではない 彼女は元々いないし、家族もみんな健康だ 勉強は面倒くさいけれどどうということはない 友達もいる、飯も食える、ベッドで寝られる なぜこの考えに至ったのか、自分でも不思議だ ただ、青く澄んだ空を見ていたらふとそう思ったのだ 思いついてからは早い もう遺書は書いたし、身の回りの整頓も済ませた 太くて頑丈なロープも買った どうせなら空を見ながら死にたいので、 タクシーを呼んで山奥に向かった 山に連れて行って欲しい、と言った時にすごく嫌な顔をされたが、俺の人生最後の願いくらい聞き届けて欲しい 会計を済ませ、外に出てみればそこには大自然が広がっている 頑丈そうな木の枝にロープをくくりつけた 首吊りのロープの結び方が分からず苦労したが、何とか出来た 空が綺麗だ 足場に持ってきた脚立に上り、 ロープに首を通した 今日は快晴で、雲ひとつない 春風の感じられる晴天の日 俺は脚立から飛び降りた

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夢を叶えて

夢があった 誰にも話さず、孤独に追い続けてきた けれど、君になら受け入れて貰えるかもと 淡い期待を抱いた 僕がそれを打ち明けた時、君は僕を笑ったよね そして、僕に一輪の青い薔薇を差し出したんだ 「花言葉は『不可能』。お前にピッタリだよ」 僕は君を殴った 君は驚いた顔をしていたけれど、そんなこと気にする余裕もなくて 「信じてたのに」 口から出てきたのは、弱々しい言葉だった そんな自分に嫌気がさす (もっと言い返してやれば良かった) 夢を叶えて、幸せを掴んだ今だって 時折君の顔を思い出す 少し捻くれていたけれど、優しくて情に厚かった君 (今頃、何しているだろう) 花屋の前を通る度、視界をチラつく青い薔薇 僕の視線に気がついたのか、新しく入ったらしい店員さんが話しかけてくる 「この薔薇が気になるのですか?」 「……ええ、少し……印象深くて。」 人懐っこい犬のように、店員さんは話を続ける 「青い薔薇の花言葉はご存知でしょうか?」 「……はい、『不可能』ですよね?」 「良くご存知ですね!けれど、青い薔薇の花言葉はもうひとつあって……」 その先の言葉を聞いて、僕は走り出した 昔2人で良く遊んでいた公園に そこには、昔と変わらない君がいて、 「よっ、久しぶり」 なんて、10年前と同じ笑顔で手を振っていた ”もうひとつの花言葉は、『夢叶う』ですよ!”

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