湊星浩夜

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湊星浩夜

どうも!みなせです!! 他ジャンルの小説を書きます! 沢山観てくれるとうれしいな! 初作▶︎惨禍乃夜(ホラー) 次作▶︎事故旅館(ホラー) 三次作▶︎根の国(ホラー)

第一話 引っ越し

一台の車がアパートの前に停まった。 「早くしないと業者が来ちゃうって!!」 「お前が準備してないからだろ?」 親子が車の中で言い合いしている。 「早く中に入るぞ。」 父が息子優太に少し怒った顔で言った。 「わかってるって。」 優太も不貞腐れて言い返す。 「おぉー、陽当たりのいい家だな!!」 「俺よりテンション高いじゃん」 「いいだろ!別に!」 部屋は1DKの一人暮らし用アパート。 窓が大きく日光が室内を照らしている。 暫くして引っ越しトラックがアパートの前に到着した。 「では今から搬出を開始しますね」 優太は微笑んで言った。 「はい、よろしくお願いします。」 父が優太の顔を見て言う。 「優太、いよいよ一人暮らしだな。何かあったら 連絡してこいよ。」 優太が言い返す。 「分かってるよ。もう25だぞ?大丈夫だから。」 「そうか…。」 切なげな表情で父が答える。 25歳になったばかりの優太は、シングルファザーの 父と2人で過ごして来た。 優太は交野市に新たに出来た小学校の教師として 採用され、この街に引っ越してきたのだ。 「では搬入が完了したので失礼します」 「ありがとうございます」 引越し業者が帰って行った。 「じゃあな、そろそろ帰るわ。頑張れよ!!」 父が激励する。 「うん、ありがとう、父さん」 父は帰り、1人で残りの荷解きを始める。 「うーん、中々終わらないな。とりあえず残った ダンボールは押し入れに入れておくか。」 だらしない優太はさっさと済まそうと押し入れを開いた。 すると、差し込む日光を反射する様に、奥で何かが光った。 「ん?なんだろ」 押し入れの奥に小さな缶の箱がある。 「うわ、前の住人の忘れ物かな…。」 優太は一応手に取り、窓際に置いて作業を進めた。 そして夕方になった。 夕陽が差し込み、部屋は茜色に染まっている。 「よし、そろそろ終わるか!!」 ソファーに座って優太は考え事をした。 「…やっぱり届けた方がいいよな。あれ。」 優太は窓際に置いていた缶を手に取り、机に置いた。 「開けていいものか…。でも気になる…。」 暫く葛藤が優太を襲った。 「…ごめん!!」 優太は思い切って缶を開けた!! 「手紙…?と、鍵?」 中には一通の手紙と、半分に欠けた鍵が入っていた…。

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第一話 引っ越し

神風に溺れる

目が覚めると見覚えのない場所に居た。 確か昨日は大晦日だった。 …友達と飲んでいて、barで勧められたカクテルを 片手に乾杯した記憶がある。 そのカクテルは神風と言って、度数は25度を越える。 酔った勢いでダーツゲームに参加したが、見事ゲームに 負け続け、数は20杯を越えた。 そうだ。それで酔い潰れてマスターに追い出され、 夜道を闇雲に歩いていたのだ。 ハッと意識が戻り、荷物を見ると中身がない。 盗られた。 しかも、遊びに大阪から名古屋へ来た最中だった。 そして今日は大阪で仕事。 近くのコンビニで時計を見たら、余裕で時間は過ぎている。 お金も何もない中で、駅員にお金を借りて帰って、遅れて仕事に行ったのだった。 これがトラウマとなり、その後三年間禁酒している。

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神風に溺れる

三話 深層に眠る少女

ロイ率いる先遣隊は地下要塞の深部へと進んでいった。 その頃地上では… 「おい!ナギがいないぞ!!誰か知ってるか?」 5番隊長シギルが叫ぶ。 「いえ、誰も確認していません!」 「恐らく中に入ったかと。」 5番隊のアルスが返答する。 「あいつならやり得るか…。放っておけ。」 「了解です。」 一方深層では先隊が最深部に辿り着いていた。 「おいフリーデンス、これは何だと思う?」 「隊長、私もこんなものは見た事がありません。」 目の前にあるのは銀行の大金庫に似た巨大な遺物。 「奥が続いているようだが、開け方がわからない。」 「俺がぶっ壊してやる」 ロイが能力で破壊しようとした。 ドゴォォォォォォォォン!!!! 「どうだ?」 「いえ、傷一つついていません!!」 フリーデンスが気を乱す。 「原始の地に何故未来の技術が…。」 「やはりこの世界は何かおかしい。」 「しかし、ここで引き下がる訳にも行かないな…」 「そうだ!ナギの無効化を使ってみよう。」 2人は巨大な扉の前で確信をついた! 「…みんなー…どこー…みんなー!…」 徐々に後ろから声が聞こえてくる。 「お前!何故ここに!」 1番隊の隊員が驚く声が聞こえる。 「呼んだー?きたよ!!」 なんと、ナギが1人で最深部までやってきたのだ! 「ナギ!お前の力を貸してくれ!」 ロイがまた笑ってナギを迎え入れた。 「あのロイさんが…笑ってる…!」 隊員は毎度驚いている。 「この扉を開けれたらいいんだね?」 「あぁ、やってみてくれ」 「うん!無効化!!」 特に変化はない…。 「無効化!!無効化!!あれ、効かない。」 「それほど未来の技術なのか…?何があるのだ…」 3人は悩んでいる。 「あ、真ん中に鍵穴があるよ?」 よくみたら確かにある。 「そういえば、目覚めた時から首元に鍵がかかっていたんだ これ使ってみるよ!!」 「ちょっと待て…!」 ロイの言葉を待たぬ間にナギは鍵を鍵穴に刺した。 すると、大門は大きい音を立てながら開いて行った! 「開いたよー!!」 「いや、何故ナギの鍵が…。まぁいいか、中を確認しよう」 ロイとフリーデンス、そしてナギの3人は中へと入った。 中は長い年月放置されていたようで植物に侵食されている。 「奥に何かあるぞ!」 「これは…コールドスリープ…?中に女性がいる。」 2人が怪しんでいると、ナギが先に進んでいった。 「ねぇ、君、起きて!」 何を言ってるのだと2人は見ていたが、瞬く間にカプセルは 開き、少女の姿が現となった!! 「…ん…」 「君!起きた?」 「…ここは…どこ?…私は…」 「君の名前はシエルだよ!」 ナギはコールドスリープカプセルを指差した。 「ここに書いているよ!」 「シエル…何も覚えていない。でも、何か大事な事を 忘れている気がする…。」 「まぁいいじゃん!一緒に行こう!」 「着いていってもいいの…?」 「いいよね?みんな!」 ナギはロイとフリーデンスを見た。 「ったく、だが気になる事も山積みだ。着いてこい」 ロイが顔を顰めながら言った。 「シエルの記憶が戻れば、世界について何か分かるかも しれないし、その方がいいみたいですね」 フリーデンスも顔を顰めて言った。 「よし!お前ら外へ出るぞ。」 「了解です!隊長!」 ロイ率いる1隊2隊は外へと戻った。 そして要塞入口 「おい!ナギ!勝手に行きやがって!」 シギルが怒って言った。 「ごめーん!」 ナギが笑いながら返事した。 「お前ら、問題はなかったか?」 ロイが各隊長に尋ねた。 「隊長、この周辺にはもう何もありません! 線路も安全です!私が能力で把握済みです。」 3番隊長クロームが答えた。 「よし、列車に戻るぞ。お前ら。」 「はい!」 「シエル、お前も着いてこい。」 「分かりました。」 隊員は来た道を戻って行った。 そして列車へ帰還する。 毎度の如く、市民が先遣隊を盛大に迎える。 「帰ってきたぞー!今回はどうだー!」 「うるせぇな。お前が対応しろ。」 ロイはフリーデンスに役割を託した。 「今回の出動により、原始の地の探索を完了しました!」 「おおぉー!!流石だ!」 市民が歓声を上げて喜ぶ。 「おい、帰るぞ。」 「はいはい、冷たい人なんだから。」 先遣隊は基地へと戻って行った。 「それで、ナギ。お前は勝手に動きすぎだ。」 「えへへ、じっとしていられなくて。」 ナギはヘラヘラと笑っている。 「もー怒らせる事言わないで!」 フリーデンスが怒っている。 「まぁいい。ナギ。お前に命令を下す。」 ロイはナギにある判断を下した!!

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三話 深層に眠る少女

二話 原始の地プロトープ

ロイ率いる先遣隊が遂に出動した。 1番隊隊員リアの能力付与によって隊員は列車よりも 早く走る事が出来る。 「そろそろ原始の地に辿り着くから気を付けて!」 フリーデンスが言い放つ。 「なんか、空気が変わったね。」 「ナギ、覚えておけ。これが土地の境目だ。」 5番隊隊長シギルがナギに言った。 原始の地プロトープは、見たことの無い程に自然豊かな 世界で、本当に美しい景色が一面に広がっていた。 「前隊長は何で死んだのだ、フリーデンス」 「このプロトープには巨大な肉食生物がおります。」 「それで死んだのか。」 「それが、肉食生物から逃げてプロトープで最も高い山に 逃げた際に雪崩に巻き込まれ、その先で地下要塞に 迷い込んだのです。」 「原始の地にそんな物あるわけないだろ。」 「我々もそう思いましたが、どう言うわけか存在し、 未知の生命体に隊長は殺され、我々は隊長の死と 引き換えに命からがら逃げられたと言うわけです」 「それは見過ごせないな。確認するぞ。」 「はい!!」 先遣隊はプロトープを進んでいく。 「隊長、現れました。肉食生物、恐竜です!」 「あいつらか。任せておけ。」 「後衛止まれ!隊長が能力を発動される。」 フリーデンスが言った。 「まぁ能力を持たない生物に負ける事は無いよね!」 「そうだな。」 ロイが空間断絶を放つ!! すると目の前の空間に亀裂が入り、恐竜はあっという間に 砕け散っていった。 「あれでは世界がいつか滅びるよ。」 土地も生命体もまとめて消滅するようでは、資材調達には 相性が悪いようだ。 「環境を破壊しすぎです!ロイ隊長!」 「ならお前らで何とかするんだな。」 そう、ロイの力は国家戦力規模でありあまりにも失う ものが大きすぎるのだ。 「これでは我々の出る幕はないな…笑」 一番隊長ハイネが副隊長に話しかける。 「これからが重要ですよ。ハイネさん」 「そうだ。3番隊から5番隊は資材を集めておけ。 2番隊は戦闘体制にしておけ。1番隊は場所を教えろ」 「了解です!前回の要塞までの道を案内します!」 「ハイネの能力は壁礫。いかなるものも防ぐ圧倒的防御」 「三番手として非常に使える奴だ。」 ロイが悪い顔でフリーデンスに言う。 「先隊が山を登り始めたぞ!どこへ行くのだろう」 「前回の地下要塞だろう。俺らは資材集めだ。」 隊員が応える。 「あー、早く1番隊に行きたいなー。」 ナギは隊長の横に並びたいようだ。 「その前にお前は敬語を覚える事だな」 5番隊長シギルがナギに言った。 そして列車から出動して3日、先遣隊は山頂へと 到着した。 「ここが例の地下要塞です。」 「よし、お前ら行くぞ。」 「はい!!」 隊長副隊長を先頭に、1番隊と2番隊が中へ入って行った。 「僕たちは待機かー、暇だなー。」 「もしかしたら敵が出てくる可能性もある。我々は 入り口を護る役割もあるのだ。」 「はーい。わかりましたー。」 ナギは渋々諦める。 一方先隊 「出た、レイ前隊長を殺した未来生命体。奴は瞬身で 剣術を使います。」 「安心しろ、俺の空間断絶で殺してやる。」 敵は剣を構えた。 「くたばれ!空間断絶!」 ロイが能力を放つと、地震が起きたかと思うほどの 振動と共に要塞が破壊された! 「やったか!」 「いや、敵が消えた…。」 隊員が振り返ると背後に敵は居た。 「なに!死んで無い!」 フリーデンスが心乱す! 「…ワタシは未来の剣豪ヤナギサワ。今回もワタシの勝ちだ」 フリーデンスがロイの方を見ると、何とロイが斬られていた! 「くっ、この俺が攻撃を喰らうとは…!」 「瞬身の能力を得た未来の世界一の剣豪に勝る者はない!」 ヤナギサワが言う。 「オーゼン!!お前しかいない!!頼む!」 「久々の出番に心が躍る。しかも相手が剣豪とな。」 オーゼンは1番隊の隊員であり、先遣隊トップクラスの 能力を持っている。 「俺はこの世界で1番の剣士オーゼンだ。いくぞ」 オーゼンはヤナギサワに特攻して行った! 「1番隊アリス!隊長の手当てを」 「はい!任せてください!」 アリスは修繕の能力を持ち、あらゆる事象を回復させる。 先遣隊随一の回復師だ。 キイィィィィィィィン オーゼンの剣が折れた! 「ヤナギサワと言ったか?剣豪なだけあるな。」 「お主も流石と言ったところだ。だがワタシが勝つ。」 「ところでオーゼンの能力は?」 「彼の能力は抜刀。あらゆる物質を剣にする。」 フリーデンスが言った。 「剣士であるオーゼンには相応しい能力だな」 「しかし物質の質量に比例するがな」 オーゼンは要塞の床に触れると剣を創造した。 「空にでも居ない限り、俺は無限に剣を振るえると言う事だ」 「ワタシの本気を見舞ってやろう。」 「俺はお前を斬って先に進む!」 オーゼンとヤナギサワが剣を振った! 「クハッ!」「グッ…!!」 ヤナギサワの腹をオーゼンの剣が斬った! 同時にオーゼンの首をヤナギサワが斬った! 「相打ちか…、悪く無い人生だった…。」 「すまない、俺には仲間がいる。アリスの修繕が ある限り、即死じゃなければ死ぬ事はない。」 既にアリスが修繕を始めている。 「お前はどうやって剣士になった?」 「俺は朱雀という師に教わり抜刀斎となった」 「そうか、良い師を持ったな。」 「お前はここで何をしている。ここには何がある。」 オーゼンが尋ねた。 「ワタシは深層に眠るへr…」 「おい?どうした!!アリス修繕を!」 「…もう、死んでいます。」 「何かを言おうとした瞬間に死んだ。何か裏があるな」 「とりあえず深層へ進むしかないな」 ロイとフリーデンスは隊員を連れて下へと進んだ。

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二話 原始の地プロトープ

一話 ナギの夢

「おーい!先遣隊が帰ってきたぞー!」 大陸間横断巨大列車、通称ユニオン。 その先遣隊が帰ってきたのだ。 先遣隊副隊長が町民の前へやってくる。 「今回はどうだったんだー?」 「いつもありがとうー!」 沢山の民衆の声が街中に響き渡る。 「…っ………。」 いつも穏やかな副隊長が珍しく言葉を詰まらせる。 「おーいどうしたんだ?」 民が少し静かになり、疑問が現る。 「…今回の先遣で、レイ隊長が殉職致しました…!」 「!!!!!」 少しばかりの沈黙が続く。 「え…レイさんが…?そんなわけないでしょう」 「…次の土地は、原始時代。人類では太刀打ちできません。」 珍しく先遣隊が弱音を吐く。 それは、今までレイ隊長の能力あってこそ成り立って いたからだ。 「そんな、それではこの列車は…」 列車は千年間止まることのない鉄道。 先遣隊が進路の安全を確保できないということは 鉄道が襲われる可能性があるということ。 「安心して下さい。必ず民は護ってみせます。」 副隊長はそう言い放った。 「期待しているからな…!」 「よろしく頼む!」 市民の顔色に少し希望が宿った気がした。 「…腑に落ちないが世界政府を頼るしかないか。」 副隊長はそう言い先遣隊を連れてって歩き始めた。 あくまで世界政府は鉄道内の秩序を正す者であり 先遣隊とは別の派閥だ。 政府に依頼すると決まって対価を要求される。 同時刻、先遣隊司令部は会議を開いていた。 壱「レイが死んだ。よって次の隊長を選ぶ。」 弍「フリーデンス副隊はどうだ?」 壱「いや、彼は優秀だが隊長の器ではないな。」 参「となると、やはりロイか。」 弍「あの冷徹無情のロイか。しかし奴は最高権力者に 楯突いた過去があると聞いたが。」 肆「そうだ。彼は隊長にすべきではない!」 壱「いや、彼なら千年の歴史を変えられるかもしれん」 伍「まともですか!!彼は何をしでかすかわからん」 参「しかしリーダーとしての素質は大いにある。」 壱「では、彼を次期隊長に任命する!」 伍「まぁ、好きにするが良い。」 しばらくして先遣隊で会議が開かれた。 「という事で司令部からの命により、次期隊長を ロイに任命する!!」 「!!!!!!」 先遣隊の皆が驚愕する。 「ロイさんって、あの冷徹無情のロイ…ですか」 「俺達これからどうなるんだ…」 怯えている中、ロイが現れた。 「俺が隊長に任命されたロイだ。俺の言う事は絶対聞け。」 ロイがそう言った。 「…は、はい!」 「せいぜい俺の邪魔にならないよう動け。」 「…はい!」 「へぇー!そんなに強いの?この人」 誰かがそう言った。 「…あ?」 ロイは苛ついた顔で隊員を見た。 「だって、副隊長より下なんでしょ?」 「お、おい、逆撫でするような事言うなよ!!」 隣の隊員が焦る。 ロイが近づく。 「おい、お前か?」 「そうだけど何か?」 ある少年が顔を出した。 フリーデンス副隊長が冷や汗をかいて仲介に入る. 「す、すみません隊長、こいつ新人なもんで」 「お前に聞いてない」 ロイがすかさず言い返す。 「お前、俺をあまり舐めるなよ?」 「じゃあ力を見せてみてよ?」 ロイは少年を睨む。 「良いだろう。お前を殺してやる」 「うわあぁ!逃げろー!」 他の隊員は走って離れた。 「いいよ、殺してみてよ。」 少年が微笑んで言い返す。 「確かに、少年の能力をまだ知らないな。」 フリーデンス副隊長は怯えながらも見守る。 「…殺す。」 かつてこの巨大列車内で話題になった。 最高権力者に楯突いて目をつけられた男がいたと。 彼は冷徹無常のロイ。別名破滅のデストロイ。 ロイの能力は空間断絶。 「…あいつ死んだな。」 みんながそう思った。 「残念だったね。君の能力は当たらない。」 少年は変わらず微笑んでロイの能力を消滅させた。 「なんだと…!?」 ロイがどれだけ攻撃しても少年には当たらない。 「僕はナギ。世界を変える者だ!」 「ナギ君、君の能力は何なんだ?」 フリーデンスが尋ねる。  「僕の能力は無効化。どんな力も僕には当たらない」 ロイがナギの前に立つ。 「俺の負けだ。お前、世界を変えると言ったな? お前は何を為したいのだ?」 「あのロイが負けを認めた…!?」 隊員がその姿に驚愕した。 「僕は記憶喪失になった。でもその中で唯一覚えている 事がある。それは白夜に呑まれる時に見た、黒い列車だ。」 「そんなものあるわけないだろ!」 隊員が何を笑う。 「信じよう。話せ」 ロイが珍しく目を合わせて問う。 「僕は黒い列車の正体が知りたい。そして、記述も何も ない千年の真相を明かしたい。だって誰が列車を作って 誰が動かして、どうして格差が産まれたか誰も知らない でしょ?だから僕が世界を変えてみせる」 ナギは本気のようだ。 「…俺は格差のない世界を作る。お前の力が必要だ。」 ロイが言った。 「よろしく!」 「あぁ。」 あの冷徹無常のロイが微笑んだ。 しばらく時が過ぎ、先遣隊寮内。 「おい!お前すごいな!ロイ隊長を負かすなんて!」 「そんな事ないよー!」 隊員が輝かしい目でナギに言い寄る。 「明日から原始の地の再探索だ。お前頑張れよ!」 隊員が言う。 「初出動だ…。頑張るよ!」 ナギが笑顔で応える。 翌日 「これから原始の地へ出陣する。」 ロイが言った。 「一番隊が前衛で残りの隊は後衛を頼む。」 フリーデンスが言い放つ。 「僕は5番隊…」 ナギが少し悲しい顔で呟く。 「お前新人だもんな。新人は5番隊からと決まってるからな」 隊員がニヤけながらナギに言った。 「では行くぞ。」 先遣隊が出動した。

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一話 ナギの夢

零話 プロローグ

この世界は神が作った箱庭。 人々はこの世界を【クロノスフィア】と呼ぶ。 この世界は、一年周期で現れる光の波【白夜】によって 絶え間なく塗り替えられる。 白夜が上書きする度にその土地は新たな時代へと 変貌を遂げるのだ。 常に危険が及ぶこの世界で人類はある国家を創造した。 それは、全長100kmの移動国家【大陸間横断巨大鉄道】 列車を降りるという事は白夜に飲み込まれるということ。 白夜に飲み込まれると土地と共に消滅する。 人々は巨大列車の中で生きるしかないのだ。 そこで、列車内に存在する世界政府は遥か昔より 先遣隊(ファデュイ)を構成し、列車の先にある未開の 土地の開拓を一任し、先遣隊の功績によって人類は 発展を遂げたのであった。 千年前から存在すると言い伝えられているこの世界で 人類は稀に二十の齢を過ぎるまでに能力に目覚める事がある。 人はそれを【クロノダスト】と呼ぶ。 能力を発現した者は世界政府か先遣隊に抜擢される。 巨大列車の中にある移動国家は格差社会だ。 貧困街から貴族の住む区域まで、まるでカーストの様に 隔て別れているのだ。 そんなこの世界クロノスフィアで、今宵世界を変える ある少年の長き旅が始まる!!

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零話 プロローグ

死に際に君を見た。

コロナで重篤化した僕は数日間死の淵を彷徨った。 そして、1週間後僕は目覚めた。 流石に死を覚悟した。 人生がフラッシュバックする様に蘇る。 最後の記憶はこれだ。 彼女の家で倒れて呼吸困難になった。 彼女の寂しげな顔が浮かぶ。 数日間の入院を経て、僕は彼女の元へ走った。 死の淵から帰った僕を彼女は優しい笑顔で迎えてくれた。 人生で最も幸せな瞬間だった。 あの日の君の笑顔が僕の人生で1番輝いていた。

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死に際に君を見た。

アポトーシス

「私が犯人です。私が彼を殺しました。」 警察署へ自主してきた彼女。 ある男子生徒の遺体が河川敷で発見された事件。 その犯人だと言うのだ。 警察が指紋を照らした結果、彼女の間違いなかった。 しかし警察は違和感に気付く。 「殺したと言うが、まるで引っ張った様に遺体の袖に 指紋が付着していた。事実を話してほしい。」 「彼は橋で自殺しようとしていた。私は止めようとしたけれど 反動で彼は落ちてしまった。私が殺したんだ!!」 その夜彼女は釈放されたが同じ橋の下で遺体となって発見された。

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アポトーシス

第二話

黎は十五歳になった。 大和「僕は今年で六十歳だ。まさか十六年も居るとは。」 「でもここまできた。」 そう、私達は8番出口まで来たのだ。 大和「次の出口を当てられたら、僕達は帰れる…」 「そうだね、進もう」 私達は異変を探した。 何時間もかけて、何もない事を確信した。 大和「うん、何もない。」 「じゃあ、進むよ。」 大和「うん、行こう。」 角を曲がると、明るい光が照らしてきた。 大和「やった!!出口だよ!!」 「そうだね、進もう。」 大和「光の先でまた会おう!」 私達は光の先へと消えていった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ?「…あれ、私は何をしていた…?」 ハッと気付いた。 彼「私は!歩くおじさんになっていたのか!?」 記憶は無いがすぐにわかった。 彼「黎!黎は大丈夫か!!」 彼は走った。 彼「!!黎!!」 目の前に居たのは、システムと化した黎だった。 彼「うそだろ、おまえシステムに…」 ふと黎の懐に目がいった。 彼「それは私が持っていた日記、、、」 彼は日記を取り、中を開いた。 『助けられて、5年が経った。私は助けるために これからシステムに捕まる。私は元々この世界で 産まれた身だ。だから気にせず元の世界に戻って欲しい。おじさん、私を拾ってくれてありがとう。』 彼「黎…!!」 下を見ると、印が付いている。 彼「まさか黎、全ての道に印をつけたのか?」 黎は対策を考え確信していた。 この無限の通路にはルールがあるのだと。 そして、果てがあるのだと。 彼「ありがとう、黎。」 彼は同じく光の方へと消えていった。 そして果てしなき時間が流れる。 「は!何年経った!!」 黎は目覚めた。 黎は隣のロッカーの反射で自身を確認した。 「少なくとも10年は経っている…。」 そして次の歩く人を確認した。 「女の人だ。やはり絶えず人は迷い込むのだな」 私は落ち着いて現状整理をした。 「そうだ、私はシステムとなる前に真実に気付いた」 思い出した。 出口があると言うことは入口があると言うこと。 人が迷い込む始まりの場所には異変はないと言うこと。 私は過去に記した道標(印)を元に来た道を戻った。 それから私は何年も何年も歩いた。 … …… 「…ここだ。遂に辿り着いた。」 そこは始まりの地。同時に私が産まれた場所。 「この世界は迷いがある者が迷い込む場所。始まりの 地こそ迷いなき道。」 始まりのロッカーを横目に進むと、そこは行き止まり。 「絶対にここに何かあるはず。」 逆行したら行き止まり、誰も疑う事すらしない訳だ。 壁に突き当たると、まるでホログラムの様に透け通り抜けた。 暗闇の中暫く歩くと、ある部屋にたどり着いた。

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第一話 システム

私には産まれた時の記憶がある。 酸素の薄い閉鎖された空間、ただ恐怖を感じ私は鳴いた。 「オギャァー…オギャァー…」 この世界に迷い込んだ者は、果てしなく異変を 探してただひたすらに歩み続ける。 このままこの閉鎖空間で生きるのかと私は悟った。 そんな時、ある者によって私は救われた。 彼「ロッカーに赤ん坊…、まじかよ」 飢えることも死ぬ事もない限られたこの世界で、私は その者によって育てられた。 彼「いいか?俺から離れるな!共に行動するのだ」 彼は彼の胴と私の胴を紐で繋いだ。 この世界での別れは永遠の別れであるからだ。 外の世界を、この世界を教えてくれた。 彼はこの世界から出る事を諦めてしまっていた。 私がいつか助ける、幼児にして私はそう覚悟を決めた。 彼「おまえというのもあれだ。よし、これからおまえの名は 黎(れい)だ。」 「れい!おじさんありがとう!」 そして私が10の齢に達した頃、それは起きた。 彼が寝ている間に魔が刺し、私は紐を解いて通路を進んで しまったのだ。 年頃の好奇心が優ってしまったのだ。 彼はハッと目が覚めて、走って私を止めに入った。 彼「黎!!止まれ!!」 前から謎の男が走ってきた。 彼「こっちへ走れ!!そいつはヤバい!!」 「おじさん…!!」 終わった…と思い咄嗟に目を瞑った。 次に目を開けるとおじさんは居なかった。 一冊の本だけが残されて…。 「おじさん!!どこにいったの!!」 私は前に向かって走った。 産まれて初めての未知の世界。 私は角を曲がった。 なんとおじさんが、奥から歩いてきた。 「おじさん!!大丈夫??」 返事は無く、押しのける様に歩み続ける。 「おじさん!!おじさん!!」 やはり返事も反応もない。 私は先程拾ったおじさんの日記を読んだ。 『私は飛び込んで自殺しようと決心した。 生きる意味のない私にとって死は一番の幸せだ。 しかし、死に際になって私は迷った。 結局死にきれなかった私は駅を出ようと歩き出した。 そんな時、私はこの世界に迷い込んだ。 ひたすら歩いた。しかし抜け出すことが出来ず諦めていた そんな時に、ロッカーで無く赤ん坊を見つけた。』 「そうだったのか…。」 さらにめくると、ある殴り書きが目に入った。 『迷い込んだ者が異変に襲われると、システムと化す』 そう、彼は異変に襲われた後システムに飲み込まれ、 歩くオジサンとなったのだった。 いくら話しかけても魂が抜けたように反応はない。 「…僕が絶対に助ける。」 一方、私が産まれる前から歩くオジサンとして生きた男は 十一年の時を経て遂にシステムから解放された。 おじさん「私は…今まで何をしていたのだ!!」 彼は酷く驚いた。 システムである間、この世界で老いる事は無いが、 時はひたすら流れてゆく。 「おじさんもシステムに襲われたんだね。」 おじさん「君も迷い込んだの?」 「僕は産まれた時から居る。」 おじさん「え…?」 私は彼にこの十年の出来事を話した。 おじさん「そうか、なら私はここにきて十一年経つのか。 私は大和と言う。よろしくね」 そして彼は私と行動を共にした。 5年後、私達は異変に惑わされながらも歩き続けていた。

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