湊星

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湊星

どうも!みなせです!! 他ジャンルの小説を書きます! 沢山観てくれるとうれしいな! 初作▶︎惨禍乃夜(ホラー) 次作▶︎事故旅館(ホラー) 三次作▶︎根の国(ホラー)

第三話 白旗乃縊鬼遮那王

「何処にいるかとかって分かるの?クロエは」 「私の能力の一つは霊の強さ位置なんかを見通せる。」 「す、すごいね。」 「遼夜の方がもっと凄い可能性を秘めている。」 「うん、頑張る。」 「ところで猫の置物はどこいった?」 思い返せば幻覚の中で柚葉は猫の置物を失っている。 「大丈夫。ランクが低いから既に遼夜の中に取り込ませて おいたから安心。」 「え!??僕の中に…!??」 「呪物ってそのままで使えないの?」 「説明しておく。霊と呪物は強さが比例する。」 霊には死霊、悪霊、怨霊、荒魂、神霊とランクがある。 死霊ー未練のある浮遊霊。人に影響を及ぼす。  一般呪物も該当する。五級呪物が出る。 悪霊ー心霊スポットレベル。土地に影響を及ぼす。  早良親王、井上内親王、藤原広嗣が代表例だ。  霊媒師、住職、神主が制圧・管理している。  三・四級呪物が出る。 怨霊ー壊滅的影響を及ぼす。社会に影響を及ぼす。  日本三大怨霊も属する。陰陽師が管理している。  一・二級呪物が出る。 荒魂ー祟り神。鎮めば護り神になるが厳しい。  古くから封印されている。国家に影響を及ぼす。  須佐之男命、天照大御神、大物主大神が属する。  和魂を持つ者しか封印出来ないとされている。  特級呪物が出る。 神霊ー地球が滅ぶレベルの災厄。伝説の禍神。  空海によって封印されたと言われる禍津日神。  伊弉諾伊奘冉から産まれたとされている。  空海は神直毘神、大直毘神連れて封印した。   「呪物はそのままで使えるが、吸収した場合本来の能力を 最大限に使え、倍近くの能力を発揮できる。その代償に 黒い蝕化が進行するけど。」 「ちなみに猫の置物の能力は結局なんだったの?」 「その猫は特級呪物欠けた猫の贋作だった。」 「偽物ってこと?」 「ただ、五級呪物に成り上がるほど念が籠っていた。 能力は相手に確率で災いを発生させる悪運だ。」 「そんな中途半端な…」 「私がいるから大丈夫だ。」 そんな話をしていると、前に池が出てきて、真ん中に 小さな祠が建っているのが見えた。 「気をつけろ。相手は悪霊の中でも名高い奴だ。」 白旗乃縊鬼遮那王(しらはたのいき しゃなおう) 首を縄で縛られた騎士遮那王が骸晒しになっている。 「奴の能力は無間瀑布首塗ノ儀。池の水、奴の血 全て触れたら切れて滑り堕ちる。」 「近付けない上に奴のテリトリーに居る訳か。」 「私が何とかする。二人は逃げて。」 「絶対に発動させてみせるから!」 クロエは微笑み、二人は後ろへ下がって発動を試みた。 『ほぉ、お主は女子(おなご)であるのに強いな。』 「喋る余裕は与えない。行くぞ、大嶽丸。」 クロエの宿した一級呪物大嶽丸が神通力を現した。 『凄いでは無いか。しかし私には効かん』 大嶽丸は二枚の刃を出した。 雷を宿す大通蓮と雨を宿す小通蓮。 クロエは斬りかかるが池を支配する遮那王には効かない。 「くそ、相性が悪い。」 しかも遮那王の攻撃は一度でも喰らえば終わりだ。 何度も斬りかかるが倒せる未来が一向に見えない。 そんな時、遮那王の水飛沫がクロエの左腕を掠った。 間一髪でクロエが左腕を押さえたが、遅かった。 ヌルリと切れた腕が滑り堕ちた。 『その命、貰った。』 機会を逃すまいと遮那王が斬りかかってきた。 「当たれ!招肉の歪猫!」 背後で光が差し、クロエが振り返ると遼夜が猫の呪物を 発動させていた! 『なに!五級呪物の分際で!!』 遮那王が護るより早く、猫の呪物は黒い雨を降らせた。 クロエは間一髪で遼夜が助けた。 『その能力は…!!…神の…』 遮那王は話し終えるより前に黒い雨に溶かされ、瘴気 となって消えていった。 「クロエ!大丈夫!??」 「左腕は失ったが大丈夫。それよりも呪物を。」 遼夜は池に残った呪物を取ってきた。 「遼夜、遮那王の呪物を取り込んで。」 「いいの?」 「私は新たに取り込むことは出来ない。」 「分かった。」 そう言うと遼夜は遮那王の呪物を胸に取り込んだ。 「どう?使える?」 「うん、血を操る能力みたい。ちょっと使ってみる。」 そういうと遼夜は池の淵に立ち言い放った。 無間瀑布首塗ノ儀! すると、池の中から散り散りに砕けた肉片が集まり、 クロエの左腕の形を取り戻した。 そしてクロエのちぎれた腕と融合した。 「これは…!!?」 「あの能力の根源が液体を刃の様に扱う事だったから 逆に集めて形成してみたんだけど、大丈夫?」 「う、うん。ちゃんと動く。」 「遼夜って頭だけはいいもんね。」 柚葉が笑って遼夜に問いかける。 気付けば夜は明け始め、綺麗な街並みが見えていた。 「こんなに綺麗な場所だったんだね。」 「そうだね。」 「これから呪物を集めていけば、報われることも沢山 あるだろう。頑張ろう。」 「そうだね。よろしくね、二人とも。」 「私も頑張るからね!」 三人は笑って歩き出した。 「そうだ、さっきそこで拾ったんだけど。」 凌夜が一枚の札を見せた。 「あ、それ滝の麓にも貼ってあったね。」 「一応写真に撮っておこう。」 疑問が残りつつ、三人は帰路に着いた。 ーしばらく経った頃ー 「へぇー、遮那王を倒したのか。凄いじゃん」 帽子と眼鏡をかけた謎の男が言った。 「そろそろ準備されては如何ですか」 隣で老婆が言った。 「分かってる。あの陰陽師は処分しておけ。」 「仰せのままに。」

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第二話 源氏の滝

ー翌日夕方ー 「それで、柚葉サン、一体何処へ向かってるの?」 柚葉が車に遼夜と真を乗せて走らせている。 「ふふーん、聞いて驚け!源氏の滝だー!」 「え、どこ?」 「本当に遼夜は無関心だなー。先輩は知ってるよね?」 「うん、大阪で有名な心霊スポットの一つ。滝壺辺りで オーブが撮れたり子供の霊が出るって噂だよね。」 「そうそう!猫の置物を使う初陣にもってこいだ!」 「流石に先輩も怖いですよね。心霊スポットなんて」 遼夜がビビりながら真に問いかけた。 「いや、初陣がAランクスポットなのが怖い…。」 「ランクってなに?」 柚葉が笑顔で聞いてきた。 「やっぱり!君達ランクを知らずに来たでしょ! まぁ僕らみたいな一般人が行っても何もないと思うけど」 柚葉が遼夜の方を向いて言った。 「あそっか、遼夜の霊媒体質を実際には見てないもんね」 「…え?」 そんな中、車は源氏の滝の麓まで辿り着いていた。 「もうすぐ着くよー!」 「いや、なんか、違くない?」 真が何やら震え出した。 「僕が来るとこうなるんです。」 遼夜が冷や汗を流しながら真に言った。 「それにしても、こんなに霊が居るのって初めてじゃない?」 柚葉も違和感に気付いている。 「確かに…。引き返した方が良いんじゃ…」 「…そう思ったんだけどね、車が止まらない…。」 「え??」 二人は聞き返した。 「もう物理的な霊障に遭っている。」 二人が運転席をよく見ると、アクセルを浮遊霊が 押し込んでいる。 「物理的に干渉してくるレベルは初めてだ…。」 「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」 遼夜が言い返した。 「お願い!止まって!!」 柚葉は全力でブレーキを踏み込む! 制御の効かない車は源氏の滝の正面へ近付いてきた! 「………!!」 車は滝の手前で無事止まった。 「…死ぬかと思った…」 「本当だね、アトラクションより怖かった」 「柚葉、呑気な事言ってる場合じゃないでしょ。」 「…いや、本当に油断してはいけないよ。」 真が立ち上がって言った。 「わざと誘導され、わざとここで止められたと考える 方が良い。罠に嵌められたんだ。」 「そんな…。」 三人が驚いていると、辺り一面に霧がかかり始めた。 「二人とも、手を繋いで。」 怯えていた真が真剣な声色で言って手を伸ばした。 二人は頷き、手を握り合った。 「よし、猫の置物!助けて!」 シーン… 「ダメだ。調べたけどさっぱりわからない。」 「呪物には発動するための言葉、呪禁を言わないと ダメだって聞いたことがある。」 「でもそんなのわからなくない?」 「とにかく手を繋いだまま進もう。」 真が先頭となって二人を導こうとする。 「気をつけてね、遼夜。」 「…」 「あれ、遼夜?」 柚葉が振り向くと遼夜が消えていた。 握っていた手を見ると… 「キャアアアアア!!」 柚葉が握っていた遼夜の手は日本人形に変わっていた。 「先輩!!助けて!!遼夜が!!」 そう言って真の方を見ると、真も日本人形に変わっていた。 「うそ…そんな…」 ー遼夜ー 「二人とも!!どこに行ったんだ…!!」 突然二人の手の感触が消え、一人になった遼夜は焦って 走っていた。 おぎゃあ…おぎゃあ… 赤ちゃんの泣き声が聞こえて来た。 「いや、こんな場所に赤ちゃんがいる訳がない。 これは幻聴だ…そうだ…。」 何とか惑わされずに進もうとしたが、足元が絡んで転倒 してしまった。 足元を見ると、赤ん坊が眼をひん剥いてしがみ付いている。 「う…うわぁぁぁああ!!」 遼夜は必死に逃げようと抗っていた。 ー柚葉ー 「二人ともどこに行ったの…!!りょうやー!! せんぱーい!!助けてー!」 今まで霊障に遭わず中和していた柚葉だが、ここでは 霊障を中和できずにいた。 「これは、私がここの霊より弱いって事だ。」 すると、霧が晴れて目の前に源氏の滝が現れた。 「…これはまずい…!」 柚葉は全力で走って逃げようとするが、どれだけ走っても 何故か源氏の滝の前に帰ってくる。 「閉じ込められた…。どうしよう」 柚葉は走って逃げる事しか出来ずにいた。 ー真ー 二人の気配が消えて霧が晴れると、森の中にひとり 佇んでいた。 「あれ、ここは…」 真は分かっていた。ここは滝森と言って、これは幻覚の 中でも最悪の場所。現実世界では滝に堕ちたと言う事だ。 源氏の滝には呪いの番がある。 その一、霧に囲まれる。幻覚の始まりだ。 その二、霧が晴れて滝が姿を現す。 その三、すでに滝に堕ちて滝森に囲まれる。 「早く幻覚から醒めないと。でもどうすれば…!」 絶対絶命の状況で真は死を覚悟した。 そこに見知らぬ少女がぼやっと現れた。 若草の刺繍の入った赤い服を着ていて不気味だ。 彼女の腕が黒い痣を纏っていて尚不気味さが増している。 「…お前…、厭…。」 彼女がそう言うと意識が遠のいて行った。 同時刻、柚葉の方にも彼女が現れた。 「…お前か…?いや違う…。」 「貴方は…誰?」 柚菜は尋ねたが直後に意識が遠のいて行った。 遼夜は何とか力づくで足にしがみ付いている赤ん坊を 蹴飛ばして、立ち上がって足を踏み出した。 「はぁ…はぁ…くそっ!」 その瞬間、霧が晴れ足元に滝が姿を現した。 「う…うわあああぁぁ!!」 「遼夜!!」 振り返ると柚葉が手を伸ばしていた! 「柚葉…!!」 間一髪で遼夜は引き上げられた。 「はぁ、ごめん、助かった。」 そこに謎の少女がやってきて遼夜の胸を掴んで言った。 「お前か。こんな所で何をしている。」 「いや、僕たちはオカルト部で…、」 遼夜は驚いた様子で二人をチラチラと見つめる。 柚葉「ねぇ、君。ちょっと…」 柚葉は少女に経緯を説明した。 「私はクロエ。世間で言う霊媒師みたいなものだ。」 「僕は、遼夜。」 「遼夜。お前のそれは呪いどころではない。」 「え?でも霊媒体質で…。」 「今日あった事は、お前の能力と私の能力が引き合わせ 霊障を吸い寄せたんだ。」 「能力?ただ僕は…」 「遼夜は、呪物を取り込める完全なる器"呪胎なのだ。」 「僕が?呪胎…?なんだよそれ」 「私も同じく呪胎だ。でも不完全だった。だから、 能力を使う度に身体が黒い痣に蝕まれ、やがてそれは 全身を蝕むと灰となって消えていく。」 そう言うと彼女は腕の痣を見せた。 「私は過去の記憶が無いが、初めから体内に呪物を宿していた。しかしお前は違う。呪物を無限に取り込める 器なのだ。」 「だからなんだよ器って。」 「そもそも呪いを中和するだなんて聞いたことがない。 柚葉は遼夜の呪いを中和する為に産まれたのではないのか」 「いやいや!私は至って普通に生きてきた!」 「遼夜は養子だと聞いた。本当の親を知りたく無いか?」 「それは、そうだけど。」 三人とも理解が追いつかない。 「私は記憶を取り戻したい。遼夜達の普通の生活を 取り戻すと言うのも協力しよう。だから、一緒に 呪いを払わないか?」 「確かに君が居たら遼夜の呪いの事も分かるかもしれない」 「僕も、自分の力を制御して、呪いを解きたい。柚葉に 普通の生活を取り戻させてあげたい。」 「ありがとう。早速だが、ここの霊を対峙しよう。」 「え!?そんな突然…!」 「柚葉の中和する力、神聖力をサポートできる。」 「そうなの?神聖力って言うんだね。」 「今適当に名付けた。」 「あ、そうなんだ。」 「あの…、」 真が立ち上がって言った。 「悪いけど僕は帰るよ。」 「え、どうして?」 「怖いんだ!もう行きたく無い。名前だけは残すから、 僕をもう放っておいて!」 そう言うと真は走って帰っていった。 「真は死ぬ間際だった。逃げてもおかしく無い。 それに真は霊障に耐性が無い。かえって安心だ」 「とりあえず、三人で行こう。」 「クロエ、よろしくね」 「二人とも、覚悟して。」 三人は滝の隣の階段を登り始めた。

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第一話 廃部寸前のオカルト部

桜が咲き誇る四月の朝。 まるで桜が散るかの如く、下を向いて怯えて歩く遼夜がいた。 「りょうやー!!おはよう!!」 そこに、真反対で明るい柚葉が現れた。 「あ、柚葉、おはよう」 「相変わらず暗いねー。そんなんじゃ友達出来ないよ?」 柚葉が顔を覗く様に語りかけてくる。 「いいよ、どうせ柚葉以外に友達ができた事なんて無いし。」 「もー、新学期なんだから元気出そうよ!ね?」 「だって…、」 二人は小学校からの幼馴染。 霊群遼夜には両親がおらず、幼い頃に養子に出されて この街に来たらしい。 しかし彼はどこか普通ではなかった。 「だって、僕と仲良くなったら呪われるから。」 遼夜は超が付くほどの霊媒体質だった。 霊を寄せ付ける体質で、しかし遼夜は霊障に強い為周囲の人間に影響が及ぶと言った所だ。 「それはこれから解決しよっ!」 神崎柚葉は異例だった。 唯一、霊障や呪いを一切受け付けない存在だった。 それどころか遼夜についた呪いを無意識のうちに中和 する程だった。 「この学校には関西で唯一のオカルト部があるんだって。」 「大丈夫かなぁ…」 「きっと何かわかるはずだよ!!」 柚葉のその自信はどこから来るのか。 二人は学校へ足を進めた。 しばらくして始業式が終わり、新入生歓迎会が開かれた。 「あれー?オカルト部ってどこ?」 二人はどれだけ探しても見つからない。 「無い方が良い…」 遼のは乗り気では無い。 「おお新入生!オカルト部を探しているのか?」 吹奏楽部の先輩が声をかけてきた。 「そうなんです。でも無くて。」 「そうか、知らないのか。オカルト部は今月で廃部に なるらしいぞ。」 遼夜の安堵とは裏腹に柚葉は驚きを露にした。 「えー!?なんで?どうして?」 「最低部員数の三人を下回ったからだよ。」 後ろから別の先輩が声を掛けてきた。 「一応部長の國光真(まこと)です。」 「僕たちは…」 「私!私と遼夜が入ります!!」 「え、僕も?」 「当たり前じゃん!ね!これで足りる…」 「三年生が卒業して、俺しか残っていない。」 「先輩が唯一のオカルト部員…?」 「俺も辞めようと思っている。」 先輩は視線を逸らして廊下の先を指差した。 「あそこ、部室だった場所。」 そこは木の板で杭を刺されて封鎖されている。 いかにも何かが出そうな異質な空気感が漂っている。 「ある日先輩が持ち帰ってきた呪物を置いてから、 霊障が絶えなくて当時の顧問が封鎖した。」 二人は驚きを隠せない。 「柚葉、やっぱり辞めよう。」 「いや、私に任せて!!」 柚葉がそう言うと、鞄からバールの様なものを出して 木の板を外し始めた。 「何でそんなものを持っているの?見つかったらまずいよ…」 「そんなの何かあった時の護身用に決まってるじゃん!」 「や、辞めた方がいいって!」 先輩が叫ぶ。 「先輩、大丈夫です。柚葉はああ見えて…、」 柚葉は扉をこじ開けて、中に置かれたままの呪物に 手を出した。 そこにあるのは、オカルトでは有名な猫の置物。 柚葉は躊躇いなく猫の置物に手を出した。 すると、禍々しかった異質な空気は消えていった。 「柚葉は呪いを受けず中和出来るんです。」 「すごい…、消えた。」 「ぶい!」 柚葉がピースしている。 「でも、三人じゃまだ使えないな」 遼夜もうなずく。 「よし!一人連れてくるから待ってて!」 そう言うと柚葉は走ってどこかへ行ってしまった。 「…帰りますか…。」 「え、でもあの子は大丈夫?」 「はい。よく飛び出してどこかへ行くので。」 「それなら…」 先輩の言葉を遮る様に柚葉が戻ってきた。 「連れてきたよー!!」 柚葉が連れてきたのは同級生の清明依代梨(いより)。 「数合わせだけだからね?部活動には参加しないから」 「いいよね!先輩!」 「まあ、いいけど何でそこまでして…」 柚葉は目を見て言う。 「私は、遼夜の霊媒体質を治したいの。私の打ち消す 力が何なのかも知りたいし。だからオカルト部なら 何かわかるかもって思ったんだ。」 「でも廃部になるほどの部活だから。」 真は顔を逸らして小声で言った。 「でも、ここでなら何かわかるかもしれない。」 「そうだよね!遼夜!」 二人は微笑んだ。 「それなら僕も協力するよ。」 「でも何をすれば…」 「心霊スポットに行ってみたら?」 依代梨が言った。 「心霊スポット?危なくない?」 「霊媒体質は受け入れるか使える程強くなるしかない。 今後も霊障に遭い続けて周りの人に被害を与えるか、 霊より強くなって霊障に遭わなくするか。 今の君達は一般の死霊にすら劣っていて、既に遼夜には沢山憑いている。」 「でも私が中和するしか出来ないけど」 「柚葉の中和は中でも弱い浮遊霊にしか対応出来ない。 強くなりたいなら、心霊スポットを巡って呪物を集め 使える様にする事だね。猫の置物みたいに。」 「君、猫の置物を知っていたのか」 「私の家系は霊媒師を輩出する家でね。」 「そうなんだね。」 「猫の置物は柚葉の中和力に負けた。それだけ。 呪物の中でも底辺だから制圧できた。」 「ありがとう。とりあえず部活動の目的は決まったね!」 「いや、どうやって対峙するつもり?」 「何とかして猫の置物を使うよ!」 「何とかしてって…、何て計画性の低さ…」 「まぁとにかく!部室も部員も確保したし!明日から 部活動開始するよー!!」 柚葉が三人に向かって言った。 「私は遠慮しとくわ。」 依代梨は颯爽と帰っていった。 「じゃあ先輩!また明日!!」 「うん、またね。(僕が部長なんだけどな…)」 「ほら遼夜、帰るよ。」 「わかってるって。」 二人は学校を後にした。

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天才

僕は三十歳の今、Barでピアニストをしている。 この三十年間、音楽に膨大な時間を尽くし、気が狂う程 練習を積み重ねてきた。 産まれる前から両親にクラシックを聴かされ、生後は 英才教育を受けさせられた。 親は会社を受け継がせる野望と、芸術家として成功させる 野望の両方を押し付けてきた。 思春期には反抗したものの、それまでの努力を無駄に するわけにもいかず音楽と勉強を無心で続けた。 こういう完璧な人間は何て言われると思う? 『天才でいいね』 羨ましいと思われて当然だ。 しかし心のどこかでは亀裂が着々と広がっていた。 結局親の理想通りに生きたが親の基準は到底満たせず、 そのまま社会人になり、大手企業に就職した。 音楽は切り捨て、ひたすら仕事で成果を出そうと尽力した。 しかし親の言いなりに生きてきた自分には目標も何も なく、結局続けられずに辞めた。 親は心底失望し、家族を失った。 そこでピアノを始めた。 それまでの25年分の経験値があったからすぐに弾けた。 コンサートを開いたり、テレビに出たり、それなりに 楽しんだし知名度も上がった。 しかし世間はまた僕をこう言った。 『天才で羨ましい』と。 他人からすれば、たった数年でピアノで実績を残せる 僕が羨ましかったのだ。 友人やSNSで虐められるようになった。 幼稚園から孤立し虐められていた自分にとって、慣れた 事のように感じたが本当は辛かったのだろう。 世間から誹謗中傷を受け、居場所を失った気がした。 『努力もしないで何でも出来るってずるい。』 なんて言われた時には息が詰まりそうになった。 どこに行っても、誰と出会っても言われる言葉は ずっと同じだった。 親の言いなりに生きてきて、それなのに親を失望させて 破門になって、世間からも除け者にされて、近付いて きた友達も悉く離れていった。 寂しかった。天才でいる事が苦しかった。 普通でありたかった。 完璧で居続けるのが辛かった。 せめて、ただ一言、 『頑張ったね』と言われたかった。 そんな天才という言葉に苦しみ苛立ち忌み嫌った、 あるひとりの男の子の物語…。

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天才

十年後の私へ

20代はあまりにも苦しかった。 詐欺に遭って多額の借金を得たこと。 鬱になって会社をクビになったこと。 その先で友達が居なくなったこと。 彼女が突然の失踪を遂げたこと。 そして、余命10年と宣告されたこと。 ドラマの様な話だけど全て実際に起きたこと。 正直未来が見えない。 何も残せず誰にも必要とされず、暗闇で死んでゆく事が 怖くなって、最近は夜も眠れない。 後悔だけが心を埋め尽くす。 だから10年後の自分に手紙を残すことにした。 『十年後の私へ 生きていますか? 借金は返せましたか? 何かこの世界に遺すことはできましたか? 友達はできましたか? 失踪した彼女は元気で暮らしていますか? その人生に、悔いはありませんか? 孤独に死ぬ事だけが怖いです。 どうか生きた証を残していてくれたら嬉しいです。 二〇二六年の私より』 この手紙を、未来の私に向けて遺す事にした。

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十年後の私へ

水占い

「ねぇ、水占いって知ってる?」 学校で友達に訊かれた。 「知らないなぁ。」 私はそう答える。 「満月の夜に独りでトイレに入って器に水を張るんだ。 そして、カミソリを口に咥えて水を覗くと、未来の 運命の人が見えるんだって」 「そんな噂私は信じないよー!」 「でも彼氏と将来もずっと一緒に居たいでしょ?」 「いやまぁそうだけど…。」 実際にクラスメイトが何人か水占いをして、運命の 人を見たと言うのだ。 私は信じなかったが、心のどこかで彼氏への不安もあった。 その夜。 「いや、まぁ嘘だと思うけどやる価値はあるかなぁ」 私は好奇心に負けて水占いをする事にした。 満月の夜、私は支度をして学校に忍び込んだ。 そしてトイレに行った私は桶に水を入れた。 私はカミソリを口に咥えて水を覗こうとした。 プルルルルル!!! ちょうど水を除いた所で友達から電話だ。 「ねぇ、注意だけど、カミソリは絶対に落としたらダメ!」 そう言われた時、私の目前には運命の人が見えていた。 (えっ、誰この人…!!) そう思った時には既に口に咥えていたカミソリは 水飛沫を上げて水面に落ちていた。 「あ!落としちゃったー。ねぇ、落としたら何って?」 「…私知らない!」 友達は電話を切ってしまった。 それから十年、私は事務員として働いていた。 「結局あの彼氏とは卒業前に別れた。運命の人よ 早く私の前に現れて!!」 中々運命の人と出逢えない。 そんな事を思っていると、向かいから歩いてくる人と ぶつかってしまった。 「あっごめんなさい。」 あ、この人じゃないな。私はそう思った。 その人は明らかに普通じゃない。 私は過ぎ去ろうとした。 しかし男は私の手を強く掴んだ。 「何ですか!謝ったじゃないですか!!」 振り返るとその男はマスクを外した。 その顔は、ズタズタにされて見るに堪えない姿だった。 「きゃあ!!」 私は逃げようとしたが男は手を離さない。 「離して!痛い!!」 私は必死に手を振り解こうとする。 しかし男は頑固として離さない。 それどころか執念のような物をひたひたと感じる。 そして男は遂に口を開いた。 「…よくも俺の顔をズタズタにしてくれたな!」 その男をよく見ると、水面に浮かんだあの顔だった。 しかし面影は殆ど残っていない。 「あ…、あなたが…、そんなわけない…!!」 私は涙ぐみながら言い返した。 「お前がカミソリを落としたせいで!俺の顔はこの様だ! お陰で十年、生き地獄だったよ。」 私は悟った。 あの日友達が言おうとしたのはこの事かと! 「ご…ごめんなさい…。」 「お前だけは赦さない。」 突っかかる様に言い返してきた男の左手には包丁があった。 「や、やめて!!」 「お前が悪いんだ。同じ目に遭えばいい。」 男は刃を私目掛けて振り下ろした。 それからの記憶はない。 次に目が覚めた時には病院にいた。 「あぁ、目覚めた!目覚めたわ!!」 母が必死に看護師を呼びに行った。 そして看護師と医師、そして両親が集まった。 「非常に伝え辛いんですが…、」 医師が口を開く。両親は泣いている。 「貴方は男に何度も何度も切り付けられた後、 手足を切断されました。」 「…え?だって感覚はある…」 私は目線を体に向けた。 手足は無かった。 向かいにある鏡に写っている私は、まるで怪物だった…。 水占い。 実際に存在するらしい。 貴方はそれでも運命の人を知りたいですか?

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水占い

第三章二十二話 裏切り“”

大和「お前どうして…」 大和の腹部を剣で貫いたのは、なんと優太だった! 八神と隻眼も驚くように見ている。 八神「優太!!何をしている!!」 隻眼「何でこんなこと…!」 大太郎法師は見下して笑っている。 優太「ごめんねぇ皆。実は僕、人間じゃないんだ。」 大和「なんだと!?」 優太「僕…、いや、俺は八大龍王が一人、徳叉迦だ。」 八神「いや、でも修学旅行の途中に根の国に来た所を…」 優太「俺は嫁、鬼子母神が神の子を産む為に魂を集めて いた。そこに偶然お前達が現れたから修学旅行生に 扮して優太として仲間になったのだ。」 信じられない。三人はそう思っていた。 大和「でも何のために俺達に混ざった?」 優太「お前だよ。大和。お前の黄金の血が目的だ。」 隻眼「まて、お前じゃあ唯が死んだ時何してた?」 優太は不吉な笑顔を浮かべる。 優太「あぁ、あれか。喰ったよ。」 八神「なんだと!?」 優太「お前らおかしいと思わなかったか?俺が居ない時に 敵が居ないのも、俺が喰ってたからだよ。」 大太郎法師「同胞喰いも力になるからな。」 優太「そうだ。まぁ大した力にはならないがな。 そこでだ。大和の黄金の血を奪う機会を伺っていたわけだ。」 大和「…俺の血が何になる。」 優太「お前の血は卑弥呼から継がれし穢れなき血。 その血があれば龍王で最強になれるのだ。」 八神「そんな凄いのか。」 優太「ただ、鬼子母神が産む千一人目の神の子が持つ 魔障の能力が必要だ。その力は世界の破滅どころか 怪を人間界へ送る事も可能だ。 ただ、神の子を産むのに黄金の血がどうしても必要だった。 大和「それで俺達に近付いたって訳か。」 優太「ああ。大太郎法師のお陰だよ。ありがとう」 大太郎法師「我は楽しませて貰った。あとは自由にしろ」 優太「あ?何を言ってる?」 気付けば大太郎法師は半分に斬り落とされていた! 大太郎法師「何!!?お前恩を仇で返す気か!」 優太「お前の魂でも少しは役になつだろうな。」 龍王の力を解放した優太は空間を操る。 優太「じゃあな、お前らも苦しませず殺してやるよ。」 そして八神、大和、隻眼も息途絶えてしまった。 優太「…どいつもこいつも雑魚いな。」 優太は一人歩き始めた。 グサッ…!! 優太「?なんだこれは。」 優太の背中に見た事の無い剣が刺さっている。 「卑弥呼とスサノオはかつて対比して存在していた。 卑弥呼から授かった神獣鏡、そしてスサノオから 授かった草薙剣。それは日本で最大の武器と化す。」 優太「神刀叢雨…か。」 大和「そうだ。叢雨は死神を司る。お陰で蘇ったよ」 優太「厄介な野郎だな。だが黄金の血はもう無いだろ」 大和「そんな物要らない。それより自分の体を心配したら?」 優太「は?」 優太に刺さっている叢雨が急に優太の生命エネルギーを 吸い取った! 優太「お前…、絶対に許さない…」 そう言い残して優太は塵となった。 大和「お前達、救ってやるから待ってろ。」 そして大和は叢雨の力で四人を生き返らせた。 八神「…生き返ったのか…?」 隻眼「大和、お前がやったのか。」 大和「そうだよ。良かった。」 沖田「優太が敵だったなんて信じられないよ。」 遥「私は気付いていた。でも確信は出来なかった。」 隻眼「気付いていたのか!」 遥「うん、だって不自然な言動が多かったから。」 八神「そうか。残念だが助かって良かった。」 大和「今回皆を救えたのは、優太の龍王の力があった からで、生命を蘇らせる事はもう不可能だと思った 方がいい。」 沖田「そういえば今回の戦利品は?」 大和「蒼赫珠が一つと、天変地異を操る魔導書。」 隻眼「魔導書は遥が使え。」 遥「分かった。」 隻眼「そして我々は弱すぎる。」 八神「ああ、もっと強くならねば。」 沖田「魅穢の関ヶ原に入る前に、舞荊で強くなろう。」 大和「そうしよう。」 一人減り、五人は舞荊市で特訓を始めた。

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第三章二十一話 禍神登場

六人はやがて大きな街、凰廻市へ辿り着いた。 沖田「ここを越えると緋御禰か!!」 八神「その先は次の県、魅穢か。」 遥「この世界では本当に休めないね。」 優太「早くこの世界から出たいですからね!」 大和「出来ればこのまま遭遇したくないな。」 隻眼「だがそうもいかなさそうだ。」 隻眼が渋い顔で話す。 八神「湖の方を見てみろ。」 四人が湖の方角を向く。 優太「なんだ…!あの巨大な怪物は!!」 隻眼「この湖にまつわる怪…、ダイダラボッチか。」 遥か先で蠢く怪物が見える。 沖田「迂回したらバレないか…?」 遥「あれは湖から出られないはず。」 ?「誰がそう決めた?」 野太い声が全員の耳に聞こえた。 六人「誰だ!??」 隻眼「禍神のお出ましだ。」 遠くに見えていた禍神があっという間に目の前まで 来ている。 ?「我は創地弩兵大葬大太郎法師。贄駕禍神である。」 大和「どうやって俺達を見つけた!」 大太郎法師「何も、最初から見ておったわ。誰の土地だと 思うておるのだ。」 隻眼「我々が強くなるのを敢えて待っていたと言う事か。」 大太郎法師が見下している。 大太郎法師「お主らの様な塵屑が卿都禍神を倒したとは 信じられん。が、それも神器の力あってだ。」 八神「素直に通しては…くれないだろうな」 大太郎法師「だが我は機嫌が良い。十分は力を使わずに いてやろうではないか。」 隻眼「こいつからは…、逃げられないな。」 沖田「覚悟を決めるしかない。」 遥「元より覚悟は出来ている。」 大和「優太、お前に草薙の剣は預ける。お前が使え。」 優太「ありがとうございます。」 大太郎法師が不気味な笑顔を浮かべて言った。 大太郎法師「では、開始じゃ。」 六人は禍神の力も分からない中、攻撃を始めた。 隻眼「俺の紫苑雷切丸と八神の水口剣で先にやる。」 大和「俺の神獣鏡でサポートだ。」 八神「沖田と優太で銅鐸の時の神器解放だ。」 沖田「了解っ!遥はサポート頼んだ!」 遥「分かった。」 隻眼と八神が大太郎法師に斬りかかる! 水口剣が斬った傷跡に紫苑雷切丸が追い討ちをかけ、 禍神の内部から感電させていく。 大太郎法師「そんなものか?痒くもないわ」 その背後から大和が神獣を呼び出し、禍神に喰らいつく。 大太郎法師が振り返る。 大太郎法師「神獣か。それは厄介だな。」 大和「よし!効いている…」 大太郎法師「禍神じゃなければな。」 割り込む様に言う。 隻眼「今だ!開いた傷口に喰らわせろ!」 準備していた沖田と優太が神器を合わせ、全力で 斬りかかる!! 沖田優太「行けぇー!!」 神器は大太郎法師を貫通し、内部から爆散させていった! 大太郎法師「これはまずいな…。」 大太郎法師の腹部は抉れ、後ろに倒れた。 隻眼「やったか!?」 大太郎法師「…十分経った。」 八神「なに!!」 大太郎法師が起き上がると傷跡は消えていた! 大太郎法師「楽しかったぞ。人間よ」 そう言うと、禍神の周囲の土地が抉れて浮き出した! 大太郎法師「我の能力は天変地異。全てを自在に操る。」 隻眼「…チートだろ。」 八神「分散しろ!!もろとも死ぬぞ!!」 六人は分散して禍神に攻撃を始めた。 優太「僕が風の力で抑える!!」 大和「まて!あいつには…!!」 大和が言い切る前に優太は浮いた大地に踏み潰された! 五人「優太…!!!」 大太郎法師「こいつは阿呆なのか?天変地異を司る 我に効く筈がないだろう」 大和「くそっ、優太…。」 隻眼「草薙の剣も堕ちた大地の中か。絶望的だ。」 八神「これは…、逃げた方が良い…!」 沖田「無駄だ。こいつから逃げられる可能性が見えない。」 大太郎法師「無駄話していて良いのか?」 振り返ると、遥が串刺しにされていた。 遥「…油断した…。」 遥を刺していたのは氷柱だ。 更に遥を刺していた氷柱が浮き出すと、四人を目掛けて 飛んできた!! 八神「くそっ!!まずいぞ!!」 隻眼「八神お前の剣は相性が悪い!逃げろ!」 大太郎法師「ほう、そうか。」 ニタァと笑って禍神は八神目掛けて氷柱を飛ばした。 逃げる八神を遠慮なく貫く。 それを沖田が護ろうと前に立った!! 沖田「っぐは…!!」 八神「ぐっ…!!沖田…!どうして…!!」 沖田は護ろうとしたが叶わず、氷柱は二人まとめて 刺していた。 隻眼「八神!沖田!!」 大和「そんな…!!」 沖田「俺達昔から一緒だったじゃないか。」 八神「頼むから死なないでくれ…!」 沖田「ありがとうな…」 八神の背後で沖田は動かなくなった。 隻眼「八神!お前もまずい!動くな!」 八神「…分かってる。」 徐々に血の気が引いていく八神。 先は長くないと悟った。 隻眼「大和、動けるのは俺達だけか。」 大和「絶対許さない。」 大太郎法師「逃げも死、争えども死。どうする」 隻眼「逃げない。」 怒った隻眼は紫苑雷切丸に全ての力を与え、攻撃を 始めた!」 大太郎法師「そうだな、隣の奴は要らないな。」 大和が神獣を呼び出して攻撃する。 隻眼も死を覚悟で禍神に対峙している! しかし力及ばず、隻眼までが大地の力によって潰されて しまった!! 隻眼「…大和…すまない。」 隻眼と八神は辛うじて意識があるが、遥と優太、そして 沖田は既に息絶えていた。 大太郎法師「そんなものか。期待した我が愚かだった。 おや?お主、何故人間などと行動しているのだ?」 大和「俺は人間だ!!何を言う!」 大太郎法師「お前じゃないわ。」 すると、何者かが大和の背中に刃物を突き刺した! 大和「…!!?お前…どうして…。」

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三章二十話 不動の呪物、銅鐸

分散してから一ヶ月。 六人は彌洲市で再集合を果たした。 隻眼「優太!生きていたのか!」 優太「逸れてごめんなさい…。」 大和「でも優太はやったぞ!」 八神「そうだ、優太がガタロウを捕まえた。」 隻眼「なに!お前よくやった!」 遥「…」 沖田「悔しがるなって遥。よかったじゃないか。」 遥「まぁいいけど。」 隻眼「ガタロウ。皿は返す。草薙の剣を出してくれるか。」 衰弱したガタロウは頷き、掌から剣を引き抜いた。 八神「これが草薙の剣か。」 隻眼「まぁ形代だがな。」 大和「形代?」 隻眼「これは沖田の天叢雲剣を模った偽物に、呪いを 込めて作られた形代。天叢雲は雲を司るのに対し、 草薙の剣は風を司る。」 沖田「そうなんだ。初めて知った。」 隻眼「これは大和。お前が使え。」 大和「俺が…。分かった。」 八神「これで四人は武器を持った。先を進むか。」 遥「ねぇ、あいつは何?」 五人が遥の方向を向くと、指を指している先に 何か不気味な怪がいた。 その方向から僅かに鐘のような音が聞こえる。 隻眼「なんだあれは。逆さになった人間…?」 八神「まるでクネクネだな。だが違う。」 大和「…なんか歴史の本で見た事がある。えーと…」 沖田「…銅鐸か。」 銅鐸(どうたく)と言えば鐘のイメージがある。 隻眼「銅鐸か。まずいな。」 優太「何がまずいの?」 隻眼「あの逆さ人間は怪では無いな。そして、あの辺りに銅鐸がある筈だ。銅鐸は、呪う為に作られた 最恐の呪物。それが怪として現れたのか。」 沖田「銅鐸はどんな攻撃を仕掛けてくるのかな」 隻眼「もう呪いにかかっている。」 八神「なんだと!?」 隻眼「銅鐸はかつて祈りに使われていたが、何か怖くなり 畏怖を感じた人々は破壊して土に埋めた。 その怒りから銅鐸は呪物となりこの地に現れたのだろう。 逆さ人間は鐘を聴いた生存者の成れの果てだろう。」 優太「そんな!じゃあ僕達ももしかして…。」 隻眼「ああ。青銅でしかあれは壊せない。呪いは 解けないと言うことだ。」 遥「怪より厄介だね。」 沖田「俺と大和の剣は元は青銅だよな?」 隻眼「いや、根の国においては青銅は使われていない。 あくまで元いた世界で使われていただけだ。」 大和「じゃあどうする。」 隻眼「時間は長くないだろう。どうしたらいいか。」 優太「…天叢雲剣と八咫鏡は本体と形代に分かれる。 本体の役割を形代が受け持つ。別つ二つを併せたら?」 大和「そうか!本来の力を取り戻せるかもしれない!」 大和の草薙の剣と、沖田の天叢雲剣。 二人は剣を銅鐸に向けて合わせた。 すると、二つの件は引き合わせて風雲となり、やがて 青銅の本来の姿に成った!! 八神「凄い。これが日本の三大神器の一つか。」 遥「窮鼠に取られた八咫鏡も本来の力を発揮して いなかったという事だね。」 優太「八尺瓊勾玉は元より一つしか存在しないらしい。」 八神「やけに詳しいよな。優太」 優太「勉強してたから…!!」 隻眼「沖田、大和。やれ。」 二人が持つ青銅の剣は風雲を纏い、大きな剣と成って 銅鐸を斬り落とした!! 沖田「どうだ!」 大和「やったのか…?」 周りにいた逆さ人間は昇華し、銅鐸は灰になって 消えていった。 隻眼「やったな!!呪いは解けたぞ!」 八神「よかった。ありがとう。」 遥「助かった。二人ともありがとう。」 優太「…すごかったね!」 六人は喜び合った。 灰となった銅鐸の中から青銅で造られた鏡が現れた。 隻眼「大和神獣鏡か。これは大和が持て。」 大和「俺が…、ありがとう。」 大和が手に取ると不思議と使い方が分かった。 隻眼「黄金の血は日本の人類の起源、卑弥呼の血。 その鏡は卑弥呼が持っていた鏡。大和、お前が 卑弥呼の血を継ぐ子孫だと言うことだ。」 大和「俺が卑弥呼の子孫だと!!」 隻眼「そうだ。だからお前が持つんだ。」 大和「分かった。」 隻眼「さて、これで次の街凰廻市に進める。」 六人は次の街へと歩き進めた。 まさかあんな事になるとは、まだ知らない。

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三章十九話 草薙の剣を求めて

6人は杜夜麻市へ入って行った。 隻眼「極力逢いたくないが、贄駕県の禍神も厄介だ。 大和、優太、遥。お前らの武器も拵えようか。」 そう、窮鼠に取られてから武器が無かった。 大和「でもどうやって手に入れる?」 隻眼「この市に存在する怪ガタロウから獲る。」 八神「ガタロウは現在の名で河童か。」 遥「倒すのはそんなに苦じゃない。だけど見つけるのが 大変だ。」 そう。ガタロウは伝説で言われる程数が少ない。 隻眼「そうだ。そもそも存在が希少すぎる。 しかもこの市にはオロチがうじゃうじゃ居る。」 優太「オロチって大蛇の…?」 沖田「それは厄介だな。その中で探すとなると…」 隻眼「それでだ。分かれて探そう。」 八神「確かにその方がいい。」 八神と大和、隻眼と優太、沖田と遥。 3組に分かれて捜索を始めた。 八神「次の町、彌洲で1ヶ月後に落ち合おう。」 沖田「分かった。気をつけて。」 隻眼「1ヶ月。分かった。」 六人は分散した。 そして気付けば3週間が経過していた。 八神「大和、ガタロウどころかオロチすらいないな。」 大和「本当にいないね。他の四人はどうだろう」 沖田「こんなに遭遇しないことってある?」 遥「絶対におかしい。」 一方隻眼と優太。 隻眼「くそっ、どこで逸れた!!」 隻眼は優太と逸れていたのだ。 隻眼「あいつ運はあるから大丈夫だと思うが…。」 心配を胸に独りで歩き進めていた。 そして1ヶ月が経つ頃。 優太「八神さーん!!」 八神「優太!?隻眼はどうした!!」 優太は八神大和ペアの元に辿り着いた。 優太「逸れちゃって。それよりこれ!!」 なんと優太がガタロウを引き摺っている。 大和「お前!それ!どうしたんだ!!」 優太「偶然見つけて、背後を狙って捕まえました! ガタロウは皿さえ奪えば動けないんで!!」 八神「お前、たまに凄いよな。まるでこの世界を 理解してるかのように。それで運がいい。」 優太「昔から運だけはいいんです!」 大和「でもでかした!運が良いことにオロチも出ないし このまま彌洲へ進もう。」 八神「そうだな。」 三人は集合地点へと歩み始めた。 同時刻、沖田と遥はオロチに遭遇していた。 沖田「なんで今更出てくるんだよ!」 遥「本当にね。そんなに甘く無かったね。」 二人を睨むようにジリジリと近付くオロチ。 奴はとにかく速い。毒を喰らえばお陀仏だ。 沖田「遥は逃げろ。俺が天叢雲剣で対峙する。」 遥「…分かった。」 オロチが沖田目掛けて飛びかかる! 沖田「俺は強くなった!行くぞ!!」 エネルギーを天叢雲剣に捧げ、剣が飛びかかる オロチを刺した!! しかしオロチは怯まない。 背後にいる遙が言った。 遥「オロチは耐性が強すぎる!!」 沖田「これはまずい…!!」 沖田を喰らう様にオロチが口を開けて飛び掛かる!! 沖田「諦めるか!」 沖田は全エネルギーを剣に与え、貫通した剣を更に オロチの背に貫いた!! 高エネルギーが剣を通して黒炎となってオロチを焼く。 流石にオロチに効いた様だ。 しかし何故か黒炎は止まり、オロチは沖田を喰らった。 沖田「…あとは頼n…」 遥が叫ぶ!! 遥「沖田!!だめ!!」 するとオロチが突然爆散した!! 遥「何!???」 沖田「は、助かった…!?」 二人は驚きを隠せない。 隻眼「間に合った様だな。」 沖田「隻眼!どうしてここに!!」 助けたのは隻眼だった。 隻眼「優太と逸れてな。だが大丈夫だろう。」 遥「そう…、よかった。」 沖田「とにかく助かった。」 隻眼「お前の力は毒持ちと相性が悪いから仕方ない。」 遥「それより、もうすぐ集合する時間でしょ?」 沖田「そうだな、仕方ないが先を急ごう。」 隻眼「ガタロウは他の奴らに期待するか。」 三人も彌洲を目指して歩き始めた。

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