KLAHA(クラハ)
35 件の小説lonly world
いつもと変わらない日常。 いつもの道。 ふと、違和感に気づく。 「あれ、誰も居ない。」 家を出ると、世界から人が消えていた。 「どうして僕だけが…」 どれだけ歩いても人は居ない。 この日は、ただ街を歩き1日を終えた。 次の日、外に出るとまた違和感に気づく。 「生き物がいない。」 どれだけ歩いても、どこにも生き物の気配を感じない。 静寂が僕を襲う。 怖くなった僕は、そのまま眠りについた。 次の日、世界から建物が消えた。 世界はただただ平らだ。 怖くなって僕は走り出した。 そして、この世界は何かと考えた。 どうして僕の世界から全て消えたのかと考えた。 それなら寿命が尽きるまで生きて、僕がこの世界から 消えた方が良かったと思った。 そして気づく。 僕がこの世界に取り残されたのではなく、 世界から僕が取り残されたのだと。 死んだ事に気付かないと、人は現世を彷徨うらしい。 僕は生涯孤独だった。 だから世界は僕から全てを奪ったのだ。 こんな事なら生きた証を1つでも残すべきだったと後悔を した所でもう遅い。 悔しいけど過去は変えられない。 生きている人には後悔なく生きてほしいと心から願う。 ー終わりー 追伸 これを書いている僕は20代にして余命10年と宣告 されました。 最近、夜が怖くて、時間の経過が早くなるのが怖くて、 虚無と不安の狭間で生きています。 何とか生きた証を、生きた形跡を、想い出を、実績を、 何か残したいと思いつつ何も残せずにいることが 辛くて死を恐れています。 どうか皆は、自分の存在がこの世界に遺せるように 生きてほしいと思います。
Order-01
母「一華、早く学校行きなさい」 一華「遅刻じゃんー、起こしてよ!」 母「起こしたわよ、起きなかったあんたが悪い」 一華「もー、行ってきます!」 彼女は家を出て走って学校へと向かった。 一華「絶対遅刻じゃん、最悪!」 走っていると、角から女の子が飛び出してきた。 ドン!!! 「あーごめんごめん!急いでてさー」 一華「いったぁー。てか急がなきゃ」 2人は休む間もなく再び走り出した。 先生「おい、お前遅刻だぞ。気をつけろよー」 一華「すいませんー。」 遅刻して一華は席に座った。 友達「また遅刻かよー」 一華「そうそう、知らない学生とぶつかって。」 友達「それは災難だわ。」 一華「SNSネタにしよー…ってあれ?」 一華の携帯はぶつかった人と入れ替わっていた。 一華「うわー、落とした時に入れ替わったんかな?」 友達「でもそれでどこの学校かわかるんじゃない?」 一華「うんー、でもあんな制服見た事なかった。」 友達「そうなの?携帯はつく?」 一華は携帯をつけた。 一華「ロックかかってないし。」 友達「じゃあわかるじゃん?」 しかしホーム画面に行くと、再生途中の動画が流れ出した。 先生「こら、携帯しまえ」 一華「はいはい、また後でみよっと。」 授業終わり、私は動画の続きを再生した。 それは、零という人の動画だった。 零『Orderは…1番…』 一華「なにこの配信者、ラグすぎ!」 動画はそれだけで終わってしまった。 友達「なになに、誰だったの?」 動画を見終わったと同時に友達がやってきた。 一華「んー?もう一回流そうか?」 友達「うんうん流して!!」 一華は再び携帯をつけて流そうとした。 一華「あれ、出てこなくなった。」 友達「そうなの?まぁいいや、見つかったら教えて」 一華「うん…。」 学校の帰り道、一華はあの動画の事を疑問に思っていた。 一華「Orderって何だったんだろ。」 いつも通る帰り道、今朝ぶつかった女の子が線路の 向こう側に居た。 一華「おーい!!まって!!」 一華は踏切を渡り声をかけようとした。 ーーーードォォォンーーーー 踏切は降りていないのに、電車が一華を跳ね飛ばした。 「………」 今朝の少女は、ぐちゃぐちゃになった一華をじーっと 見つめていた。 【Order01 踏切を渡る】
一話 後悔の魂
朝、起きると目の前に"死神"がいた。 死神はこう言った。 「今日が終わる時、お前は絶命する。」 まさかとは思ったが、死神を前に僕は信じるしか無かった。 「1日か…どう生きよう。」 自然と焦りはなかった。 この生きづらい世の中で、彼女も大切な物もない僕に 生きる意味はなかった。 いつも通り身支度をして、学校へ行き、変わりない 一日を過ごした。 「もう夜か、早かったな。」 死神「あと1時間だ。」 「そうだな、遺言でも書くか。」 僕は家族と数少ない友達へ遺言を書いた。 死神「時間だ。」 死神が鎌を振りかざすその時、僕は走馬灯を見た。 過去の記憶が鮮明に脳裏をよぎる。 「まて!やり残した事が…!!」 もう僕は鎌に切り落とされていた。 死神「任務完了…。」 死神は少し不服そうな顔をしていた。
第一話 あらすじ
人類がまだ到達したことのない未開の地をアビスと言う。 いつから存在していたのかも分からない。 アビスとは、国1つ分くらいの巨大な穴。 どこまで続いているかも分からない。 この世界はかつて古代文明が栄えていたという。 その文明の遺物がアビスにあると伝承にあり、 人類は異物を手に入れる為に何百年もの間アビスに 命を捧げて来た。 2050年、日本は世界的な貧困国となり、金の無い 方浪人が増え続けた挙句、奴隷制度ができた。 金持ちは奴隷をスレイブと呼び、スレイブを手駒に アビスの探索を趣味としている。 アビスで遺物や未知の生物を採取したスレイブは、 奴隷から解放され金持ちとなる仕組みだ。 スレイブでなくても、アビスに潜り遺物を狙う ものも少なくない。 まさに一発逆転の世界だ。 しかしそう簡単に甘くない まず深度。山に登ると同じ様に気圧温度酸素濃度の 変化が目まぐるしく起きる。 更に、一度潜れば数ヶ月数年は帰れない。 宝掘士はシーカーと呼ばれているが、シーカーの 殆どはアビスの中で命を失う。 それでも尚、彼らはアビスに潜るのである。
第二章 第五話 喰霊
優太が奴らを抑えている間に僕は祠へ走った。 女将「お前!祠に触れるんじゃねぇ!!」 「どこだ!!出てこい!!」 祠に手を突っ込むと、奥に箱を見つけた。 しかし後ろから引っ張られ、箱を落としてしまった。 「優太!!」 優太は祭壇に押し付けられていた。 優太「ごめん、抑えられなかった」 「いや、絶対助ける!どうなろうとも!」 僕は掴まれている手を振り解き、箱を再び手に取った。 開けると中には小さな粘土人形があった。 感じたことの無い黒いオーラを感じる。 これまで数百年数千年と生贄を喰らってきた 呪いの念を感じる。 女将「返せぇー!!!」 女将達が化けの皮を剥ぎ、呪霊化し襲って来た。 「ぐぁぁ!!」 身体を何かに貫かれた。 「どうすれば壊せるんだよ…」 壊そうとしても壊れない。それが呪物っていう物 だと初めて知った。 女将「お前らは黙って贄となればいい!」 だめだ、意識が朦朧としてきた。 「…優太…」 僕は何を思ったのか、手に持っている呪物を喰らった。 女将「お前ぇ!!何をしてい………」 僕は意識を失ったみたいだ。 気付けば病院に居た。 「あれ…ここは…?」 見渡す限り、病院の様だ。 優太「蓮!!大丈夫か!!」 「優太、生きていたのか、よかった。」 優太「俺ももう駄目だと思った。そしたら、俺を 捕らえていた奴らが壊れ出して、気付けば神社の 前に倒れていたんだ。」 「みんなはやっぱり…」 優太「あぁ、光と遥は駄目だった。」 「そうか、優太だけでも無事でよかった。」 優太「そういえば、呪物は壊せたのか?」 「あ、あぁ、たぶんな」 優太「それは良かった、退院したら神社に行こう 光と遥はあの神社の墓地に埋葬したんだ。」 「そうか、ありがとう。」 これでもう被害者は出ないと考えるとホッとした。 呪物を喰ってしまった事は心配だったが、何ともない 様子で安心した。 後日、僕は優太と神社へ向かった。 2人の墓へ行き、全てが終わったことを報告した。 優太「また暫くしたらここに来ような」 「そうだね!」 住職「あんたら、旅館へ行ったのか…?」 優太「あ、住職さん。無事終わらせる事ができました」 住職「私の前の住職が行ってしまったのだが、 何か知っていないか?」 あの本を書いた人のことか。 「残念ながら救う事はできませんでしたが、彼の 本のお陰で連鎖を終わらせる事ができました」 住職「そうか、ありがとう」 住職は涙を流しながら礼を言った。 優太「それじゃ!また来ます!!」 僕達は住職に挨拶をして振り返った。 住職は安堵と共に恐怖を感じた。 住職「あ…あんた…」 「はい?どうしましたか?」 住職「もしかして…、いや、なんでも無い…」 「?」 住職「あんた、気をつけなさいね。」 「?ありがとうございます」 僕達は神社を後にした。 ーーー 住職「あれは、間違いなく呪霊の氣だ。 現世と霊界の壁が崩落した。 かつて存在した呪術師が封じた本来交わる事のない 二つの世界の扉が開きかけていた。 我ら住職は神通力を以て閉ざそうとしていたが、遅かった様だ。 再びこの世界に呪霊が解放されてしまったという事だ。 ーーー 蓮のその判断が後に世界を崩壊に導く事になるとは 彼らはまだ知らない。 完
第二章 第四話 裏切り
僕と優太は部屋を飛び出し、皆の捜索を始めた。 優太「誰もいない、噂で聞いた受付も清掃員も。」 「もしかしたら呪いの力が弱まっているのかも」 僕達は入り口を越えて奥の部屋へ向かった。 休憩室に入ると、そこには遥が居た。 「はるかっ…」 優太「死んでいる。」 女将が後ろから入って来た。 女将「部屋から出るなといったのに出たのかい。 でも、残念だったねぇ。」 「どういうことだ!!」 女将「奥の部屋へ行ってみな」 優太が襖をあけると、そこには首を吊った光がいた。 「そんな…。葉月はどこだ?」 女将「あぁ、彼女は祠にいるよ。」 僕達は女将を押し飛ばして祠のある洞穴へ向かった。 「葉月ー!どこだ!!葉月ー!!」 優太「まて!だめだ…。」 「どうしてだよ!」 洞穴を前に、僕達は立ち止まった。 優太「葉月だけ、後からこの話に乗って来ただろ?」 「そうだけどどうした?」 優太「あいつ、初めて来た時に角川葉月と名乗ったんだ。 噂に載っていた名前は、女将・清掃員・受付 そして紅谷澄香という女だ。」 「そういえばそうだったな」 優太「角川って、澄香なんじゃないのか?」 「…じゃあ光と遥は葉月にやられたのか…」 優太「やばい、後ろから女将が来た。走るぞ」 僕達は無心で洞穴に入っていった。 優太「絶対霊核を壊すぞ!!」 「どうやって!!」 優太「わからん!とりあえず見つける! 女将らは俺らが知った事を知らない!」 奥に潜ると、葉月が祠の前で立ちどまっていた。 葉月「馬鹿だね、わざわざ贄となりにやってくるとは」 後ろからは女将が追いついて来た。 祭壇から嫌なオーラを感じる。 気付くと、受付寺丘と清掃員上野も現れた。 優太「総動員ってわけか。これはまずい」 「俺がやる、優太は壊せ」 優太「いや、お前の身内がかつて来た事には意味が あるはずだ、お前が壊すんだ」 「…絶対生きて帰るぞ。」 優太「もちろんだ。」 そう言うと、優太は奴らに向かって手を振り翳した。
第二章 第三話 ナオイ様
気付けば僕は旅館の中に居た。 「光!優太!!」 同じ部屋に横たわっていた2人を起こす。 優太「うぅん、遥と葉月は!?」 光「遥達もきっと大丈夫だよ。」 「とりあえず部屋を出たいが、生憎鍵が掛かっている」 優太「噂通りだと、女将達が居るはず。そして、 奴らは生贄を定期的に納めないと災いが起きると 思っていて焦っているはず。」 「確かに、噂よりも旅館が古びている様に感じるのも 関係しているのかもしれないな」 キャァー!!! 悲鳴が聞こえた。 遥の声だ。 優太「急いで出るぞ!!」 優太は部屋にある机で扉を壊して部屋を出た。 女将「あら、壊しおって、アンタらは部屋にいて もらわなくちゃ困るんだよ。」 「女将…!!お前!遥をどうした!!」 女将「あら、人の心配をしている場合かな、死にたく なかったら部屋から出ないことだね」 僕達は言う通りにするしかなかった。 しばらく経って、女将が葉月を連れて来た。 葉月「…すみません、遥ちゃんを救えませんでした…」 女将「余計なこと言うんじゃ無いよ、早く入りな」 僕達4人は部屋に閉じ込められた。 優太「くそっ!!」 光「とりあえず、この部屋で出来ることを探そう」 葉月「そうね」 僕達は部屋のあらゆる場所を調べた。 「おい、畳の下に穴があるぞ!」 優太「俺と蓮で入る、2人は待っててくれ」 僕達は穴に入った。 「まるで、誰かが居た様な形跡だな」 優太「そうだな、あれ、本が落ちている」 僕達は本を開いた。 ーーー この場所にやっと辿り着いた。 私はずっとこの場所を求め探していた。 この旅館は、存在しない場所。 私は以前、尾張大国霊神社の住職だった。 その神社ではかつて、儺追い祭という習わしがあった。 毎年厄災を独りに背負わせ、人身御供として贄に 差し出すことで平和を保っていたと言う。 その風習が、特級呪物ナオイ様を生み出したとされる。 ナオイ様はこの地に訪れた者を領域に誘い自身への 贄とする事で力を蓄える呪霊だ。 更に、領域内で生まれた生命体は領域外に出る事も 呪力と共に可能となり、危険性を増す。 私はこの呪霊を封印する為に来た。 祠の霊核を壊せば良いのだが、これを読んでいる 者がいると言う事は失敗したと言う事だ。 どうかナオイ様を封じてほしい。 ーーー 優太「やはり、普通の世界ではなかったか。」 「そうだな、部屋へ戻って2人にも話そう。」 僕達は地下空間を後にした。 「おい、光と葉月はどこだ?」 部屋に戻ると誰も居なかった。 優太「遅かったか、」 「部屋が開いている、部屋を出よう」 僕達は部屋から出て2人を探す事にした。
第二章 第二話 事故旅館
僕達は車で愛知県稲沢市までやって来た。 優太「一体どこにあるんだろうか」 葉月「みて、大きな神社が横にあるわ」 光「なんか、不気味な感じがする…」 遥「そう?普通にしか見えないけど。ってか、 全然渓谷どころか住宅街しかないじゃん!」 確かにかれこれ2時間、住宅街しか見ていない。 優太「…なぁ、ナビがバグったんだけど」 「おかしいな、常に最新で読み込むんだけど」 遥「ねぇ、景色、おかしく無い?」 辺りを見渡してみると、住宅街だったが街並みが 明らかに現代では無いのだ。 光「まるで、昔の街みたいだね」 葉月「迷い込んだみたいね」 車が角を曲がると、奥に古びた旅館が見えた。 僕達は旅館の前に車を止めて降りた。 それぞれが辺りを見て回った。 「旅館は閉まっている見たいだ」 遥「ねぇ、来た道を戻ろうと歩いてみたんだけど、 ここに戻って来てしまうんだけど」 葉月「閉じ込められたみたいね」 優太「旅館の裏方に鳥居があるんだけど」 僕達は一緒に裏へ回った。 光「これ、噂のナオイ様が祀られていると言う 神社じゃないかな?」 「そうだね、洞穴かな、奥に続いている」 僕達は洞穴に入っていった。 遥「ねぇ、何だか息が詰まる」 光「確かに、空気が悪い」 優太「おい、祠が見えたぞ。祭壇みたいな物もある」 「待て、地面がぬかるんでいる。それも赤黒い」 葉月「…遺体の腐敗臭よ。腐り溶けたのが染みているのね」 遥は叫んで来た道を戻っていった。 「おい、はぐれるのはまずい!!」 葉月「私がついて行くわ」 優太「頼んだ!」 残った僕達は、更に中を探索した。 「これは、生贄を捧げていたと言う祭壇だな。 優太、調べてみて…!!?」 振り返ると優太と光が居なかった! 「優太?光?」 ?『新たな人身御供がノコノコやって来たね』 誰だ!!そう思って振り返ろうとした。 気付けば見知らぬ部屋にいた。
第二章 第一話 父の手記
僕は大阪に住む大学生レン。 先日亡くなった父の遺品整理をしている最中だ。 「んー、大して凄いものは無しか」 母「そうね、仕事一筋な人だったもの」 父の遺品は仕事道具ばかりだった。 母「あら?こんなもの見た事ないわ」 「なに?日記帳?」 箪笥の奥から出て来たそれは、とある手記だった。 「せっかくだし読んでみようよ!」 母「私はいいわ、レン家に持って帰ったら?」 「そうするね」 しばらくして僕は一人暮らしの家に帰った。 「んー?何が書いてあるのかな」 ーーー ○月○日 私の両親は若い時に亡くなっているので誰にも話した 事はなかったが、私には歳の離れた弟が居た。 弟も既に成人していたので別居していた事もあり 特に接点はなかった。 そんな弟が死んだと一報あった。 駆けつけた病院で見た弟は、見るに堪えない姿を していた。 ふと看護師の会話から噂を耳にした。 ネットで噂されている事故旅館に行ったと言うのだ。 私は詳しく調べた。 そして、行く事に決めたのだ。 しかし、問題が起きた。 急に私は身体を壊した、まるで計画されていたかの様に。 身体には何の問題も無かったが、日に日に体調は 崩れていった。 これを託すのは心底辛いが、どうか真相を明らかに して欲しいと思い箪笥の奥に隠す事にした。 父、菅原博士 ーーー 僕はすぐに調べた。 すると、ネットで菅原浩太という者の不可解な死と 事故旅館の噂が出て来た。 「これは調べるしか無いな。」 僕は友達を誘って例の地に向かう事にした。 友達の遥・優太・光を誘い、大学で計画を練った。 ?「私も入れて欲しいです」 そう言って来たのは大学生の角川葉月。 僕達5人は日々調査に明け暮れた。 優太「ナオイ様ってヤツを信仰して生贄に旅客を 捧げてたってことか。」 遥「でも場所は何処にも載っていない。レンの父の 話だと稲沢市の何処かなんだよね?」 「そう。優太の天才脳なら行けるかなって」 優太「わからないけど、何とかなるだろ!」 光「まぁ、稲沢を隅から隅まで調べよう」 葉月「でも、事故旅館の名前江丹渓から考えたら 渓谷が昔あったのかもね」 「そうだな!じゃあ今週末学校前で待ち合わせよう」 皆「オッケー」 そう言って僕達は解散した。
143日目の奇跡
今日も僕は他人の君をカメラに納める。 女性「勝手に撮らないでください、警察呼びますよ」 僕「あぁ、ごめんなさい」 他人の君と、今日もそんなやり取りを交わす。 ー次の日ー 女性「また貴方ですか、勝手に撮らないでください」 僕「ごめんなさい、あまりにも綺麗で」 ー次の日も、その次の日も女性を撮り続けたー 女性「本当にしつこいですね」 そういうと彼女は僕のカメラを盗って言った。 女性「盗ったものを見させてもらって、後で警察に 届けにいきます」 そういうと、女性はカメラロールを順に見ていった。 女性「いつから私を盗っていたんですか!」 僕「えぇ、ずーっと前から」 女性「ちゃんと反省してください!」 しばらく女性がカメラロールを遡ると、徐々に様子が変わっていった。 女性「え、どうして…。どうして貴方と一緒に映っているの?」 さらに遡ると、ある動画が目についた。 ー動画ー 女性《いつか、私達の関係も、貴方のことも忘れるのかな… 毎日二人で撮る写真から私は消えるのかな…》 僕《そうなったとしても、僕は毎日君を撮り続けるよ いつか、また僕を思い出してくれた時は一緒に撮ろうね》 女性「…私、こんな大切な事を忘れていたなんて…」 僕「いいんだよ、何があったとしても僕は毎日 君をカメラに納めるから」 女性「こんな私を愛してくれて、ありがとう」 僕「ほら、忘れる前に二人で撮ろう」 今日二人で撮った写真は、君が記憶を失ってから 143日ぶりの写真だった。 翌日、君は再び僕を忘れた。