十利ハレ

21 件の小説
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十利ハレ

駄文を書き連ねる学生

断捨離

いつか使うかもしれない程度ものは、必要のないものだ。 本当に必要なものだったら迷うことはないのだから。 物を極力減らすことでQOLが上がったように思う。 ストレスが溜まらなくなったし、気持ちも軽くなった。 学生の頃の教科書なんて持っていても仕方がない。 友人や恋人から貰った手紙も、どうせ一度読み返すかどうかくらいだし捨ててしまおう。 本も全部電子書籍に移してしまおう。 服も一セットあれば問題ないだろう。 ソファがあればベッドはいらないな。 冷蔵庫なんてあったら物が増えてしまいそうだし、洗濯機もほとんど使わないからいらないな。というか、服って着る必要あるだろうか。食器も全部捨ててしまおう。ご飯なんて食べなくていい。ということは、口もいらないかもしれない。胃もいらないな。お腹が空かなくなれば便利だしな。目って二つもいらないよな? 脚とか手とかも二つは多い気がする。脚がないと動けないし、動かないなら体っていらないな。音が聞こえるのはストレスになるかもしれない。ならば、見えることもストレスだろうか。 ああ、そうだ。脳みそが無ければこんなに思い悩むこともないじゃないか。

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断捨離

君はサバ缶ガール

実家から仕送りが届いた。 両腕でちょうど抱えられるくらいのダンボールを開け、中から出てきたのはサバ缶だった。 たった一つのサバ缶だった。 「なぜ??」 不思議に思いながらもサバ缶を開けると、そこから女の子が飛び出してきた。 「うわ!? え、え??」 驚きすぎて思わず尻もちを着いてしまう。 水色のイルカの着ぐるみを着た不思議な少女だった。色の抜け落ちたような白髪に、水晶のような瞳。 何を思ったのか、彼女はしっぽ部分をふりふりさせてガオー、と両手を立てて見せた。 「私はサバ缶です」 「お、おう......俺は人間です」 「そうか、人間。人間はサバ缶が食べたいか? サバ缶パーティーをしたいか!!」 「へ?」 「君もサバ缶になりたいか!!」 「え、いや、なりたくはないかなあ......」 「では私のサバを少し食べさせてやろう」 そう言うと、少女は頭部をぺろりんとめくり、頭蓋の中身を俺に見せてきた。 そこにあったのは紛うことなきサバであった。瑞々しくちょっと硬そうなサバ缶によく入っているようなサバだった。 と、そんなことはどうでもよくて、絵面がとにかくグロい。 「え、いやさすがに食べられ――」 突如意識の紐が緩む。 世界のピースが欠け出して、徐々に崩れるように輪郭は曖昧になる。 嗚呼、そうか―― 「はあはあ、なんだ、夢か」 額の汗を拭う。 どうにもおかしな夢だった。 ――宅配便でーす! 玄関のチャイムがなった。 ああ、そういえば母が仕送りを送ってくれると言っていたなあ。

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君はサバ缶ガール

冬が好き

夏は暑いから嫌いです。 春は花粉が飛ぶので嫌いです。 秋はそもそも存在しなくなってきていますね。 冬はつとめてと言うけれど、私は冬こそ夜が好きです。 コートに身を包んだ上半身は温かくて、下半身がそれより少しだけ寂しくて、頬とか首とか肌の露出した部分に当たるつんと刺すような空気が好きです。

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冬が好き

ユビキタス

「ユビキタスの語源はラテン語で、いたるところに存在する(遍在)という意味。 インターネットなどの情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境を指し、ユビキタスが普及すると、場所にとらわれない働き方や娯楽が実現出来るようになる。」 らしい。 ユビキタスというタイトルでなにか書いて見たかったけど思いつかなかったお話。 いつかちゃんと書きますね......いつか。

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ユビキタス

ハロウィン・ナイト・ロリポップ

「トリックオアトリートじゃ!!」 快活な声が響き扉を開けると、そこには自分の腰あたりまでの身長の幼女が立っていた。 小悪魔のコスプレだろうか。八重歯に、蝙蝠の羽に見立てた耳、擬人化したバイ菌のような尻尾がよく似合っている。 幼女はいたずらっ子のように白い歯を見せて笑うと、猫の手で「ガオー」と可愛らしく威嚇をした。 「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、と?」 「そうじゃ! だから大人しく我にお菓子を献上するのじゃ!」 「こんなかわいい子のイタズラなら受けてもいいかなあ」 「なぬ!? もしやお主、変態というやつじゃな」 「ええ......」 「しかし困った。我はお菓子が欲しいのに、イタズラを受け入れられてしまったらそれが叶わぬ......」 幼女は腕を組み、悩ましげに唸りをあげる。 「そうじゃ! イタズラしてあげるのでお菓子をください!」 妙案だと言わんばかりの満面の笑みで幼女はそう答える。これでは、本当に変態みたいだ。 だが、「イタズラもしてみたかったのでちょうどいいのじゃ」と嬉しそうな幼女に毒気を抜かれてしまい、彼女のかわいいイタズラを受けるのだった。

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ハロウィン・ナイト・ロリポップ

叶うまで努力すれば夢は叶う

叶うまで努力すれば夢は叶う。 そんな文言を聞いたことがある。 それはあなたが成功したからそう言えるのだろう? あなたの下にはそれでも叶わなかった人々の無数の屍がある。 華やかな成功例ばかり目について、残酷な失敗談に人々は目を向けることができないでいる。 叶うまで? それは具体的にいつまでだ。本当にいつか叶うのか? どれだけ時間が経っても自分は何者にもなれないんじゃないか。 それでも続けることができたあなたは、望んだ形ではなくとも、きっと何かを得ることはできるだろう。

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叶うまで努力すれば夢は叶う

呪われた魅惑の人魚姫

とある漁村にとても歌が上手な女の子がいました。 毎晩海岸に出向いては、海に向かって歌を紡ぐのが彼女の日課でした。 その女の子の噂は隣の国の王子様にまで届き、王子様は女の子に大変興味を持ちました。 早速女の子に会いに行った王子様は、幼い頃から習っているバイオリンを披露し、女の子とはすぐに打ち解けたようでした。 王子様は城に帰ると、召使の者に言います。 「あの水晶のような瞳に、美しい海色の長髪。人々を魅了する歌声。彼女こそ人魚に違いない」 と。 その国には人魚の血を飲めば不老不死になるという言い伝えがありました。 数度の邂逅を経て思いを寄せる女の子には、王子様への警戒心など一切ありません。王子様は不老不死を求めて人魚を狩るべく、家来を引連れて女の子に逢いに来ました。 その光景を不思議に思う女の子を尻目に、王子様は家来に人魚を捉えるように命令します。必死に抵抗する女の子ですが、相手は数人の大男。力で叶うわけもありません。 「どうしてこんなに酷いことをするの?」 滂沱の涙を流して、叫ぶ女の子。 しかし、王子様から帰ってきたのは汚らわしいものを見下すような鋭い視線のみでした。 家来たちに、腕をもがれ、脚を絶たれ、臓腑を掘り出さられ、搾られた血は瓶に注がれます。 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。 途切れる意識の最後に女の子が見たのはニタリと口角を上げて、瓶に詰まった血を見つめる王子様の姿。バラバラに解体され、血溜まりに沈む女の子それは――呪われた魅惑の人魚姫。

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呪われた魅惑の人魚姫

スイカの種を飲み込んでしまった。

スイカを食べた。 スイカの種を飲み込んでしまった。 「スイカの種を飲み込むと、胃の中で育って体を突き破ってスイカが出てくるんだ」と、おじいちゃんが言っていたのを思い出して、僕の顔は真っ青になった。 最初は嘘だと思ったが、医学部を目指しているお兄ちゃんも言っていたから多分本当なのだろう。 だから、僕は決意した。 スイカが僕のお腹を突き破るまでに、できるだけ多くのスイカを駆逐しよう、と。 これ以上僕のような犠牲者を出さないために。

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スイカの種を飲み込んでしまった。

プルんぷるン雀蜂先っちょだけチンダル現象

ある夏の日の夜の午前のおやつの時間でした。 「白髪プランテーションダンゴムシパーティーハーピィ!」 「まあ、別にいいよ」 「そげんこと狙撃追撃夜になったら白玉ぜんざい土下座しよ」 「結構大変そうだあなあ」 「なまはげなめろう! プリン大気圏突入率パターンTシャツ?」 「ああ! それなら全然あり!」 「ぶつ切りあっちゃん。らららオムツカーニバル也」 「え??」 「愛してるぶりぶりサンクス! べべんべんモードレッド青い黒」 「ふぅん。君、最低だね」

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プルんぷるン雀蜂先っちょだけチンダル現象

ドリンク・ハーレム

カフェオレ 「なにを迷っているのですか? お兄ちゃん甘いの好きですよね。 ほら、私を選んでください!」 ブラックコーヒー 「甘ったれたこと言ってんじゃないわよ! アンタ今から勉強しに行くんでしょ、私を飲んでしっかり目覚ましなさい!」 今朝コンビニでの出来事です。擬人化したコーヒーたちが頭の中で言い争っていましたとさ。 ブラックコーヒーさんすみません甘ったれました、やっぱ僕甘いのが好きです。 後お兄ちゃん呼びポイント高いです。 カフェオレ買います。

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ドリンク・ハーレム