憧れ屋

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憧れ屋

雨が降った。 ふと窓を見ると一滴の雫が窓の縁に落ちた。 横になりながら、こんな日も悪くないと目を瞑る。 雨の音を聞くと心が落ち着く、今日はゆったりと読書でもしようか。それとも、ベッドから見える外の景色を描こうか。 そんなことをずっと考えている。 雨に心を揺さぶられながら、 やりたいことを連想させる。 そのうち雨の音も強くなる。そしてまた弱くなる。動かない体と、よく動く心を雨に委ねて、病室の窓に映る景色を見ていた。

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雨

明るい空 薄暗い空 綺麗な空 悲しい空 色々な空がある。 空は自分の鏡 自分の感情が空に映る。 今日の空はどんな空でしたか。

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空

今日も僕は嫉妬する。 こんなに悲しい夜でも星は見える。 今日も僕は嫉妬する。 辛く嘆いた夜も星は輝いている。 今日みたいに雲におおわれて星が見えなくても、 雲のはるか上で光を発したり、反射したりしている。 誰にも見られてない夜でも、星は輝く。 届いて欲しいと光る。 そんな星たちに、僕は今日も嫉妬する。

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星

2つ生きる

頑張ると疲れます。苦しみます。辛くなります。 頑張らないと、楽です。苦しくないです。辛くないです。 頑張るか頑張らないか このふたつで生きています。

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2つ生きる

怖いこと

僕は今、とても重い病気にかかっている。 僕は男だから、外では怖がらないようにしているのだが、内心はすごく怖い。 そして、とうとう明日はその病気の手術の日だ。 震えが止まらないよ。 お母さんは言う、手術しなければもっと大変なことになるよ。と でも怖いものは怖いのだ。 後悔の念が僕の胸に押し付けられる。 早く終わって欲しい。 過去に戻りたい。 そんな何がしたいか分からない自分にもうんざりしてくる。 本当に怖いけど、頑張るしかないし、 辞めることが出来ない。 僕は人生の壁にぶち当たっているんだ。 この壁をぶっ壊して、次のステージに行くんだ。 そう言って自分を奮いだたせた。 よし、 虫歯に立ち向かおう。

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怖いこと

ロボット

「いらっしゃいませ。」 僕は感情を持ったロボットだ。 やりたいこともできず、日々、同じセリフを繰り返す。 人間とそっくりにできてるから、普通に話しかけられることも多々ある。 そんな時はロボットですなんて言わず、人間を突き通すんだ。 でも僕はロボット、人間より出来が悪い。そして感情がある。 だから多分そこらのロボットにも負ける。 なぜ僕はロボットなのか、自由になりたい。 だから僕は人間になりたい

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ロボット

転がる石

だんだん自分がかけていくような日々 だんだん誰かに抜かれていきそうな日々 だんだん日が暮れて、 だんだん暗くなる。 だんだん怖くなって、 だんだん辛くなる。 だんだん疲れてくる。 だんだん嫌になる。 でも僕らは転がり続ける。

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転がる石

傘をさそう。 傘は君を雨から護ってくれる。 しかし、そこに本質はない。 君が傘を持つことに意味がある。

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傘

絵空事

僕は絵空事 僕はまだ本気を出していない。 頑張ろうとしたことはあるが、結果は出なかった。 多分、本気でやっていなかったのだろう。 今日も僕は絵空事

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絵空事

苦い紅茶

僕には、密かに思いを寄せている人が居る。 その人は、僕の会社へ行く道の途中にある小さなカフェの店員さんだ。 カフェは海の目の前にあり、 夏は海水浴場の海の家にもなるそうだ。 彼女との出会いは1年前、新しく出来たこのカフェに同僚と寄ってみた時の事だった。「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか。」 その時、僕は彼女に一目惚れしてしまった。ぱっちりとした目に、少し高めの鼻、くせ毛ひとつないポニーテールの髪とその間から見えるうなじ。 口では言い表せないが、とにかく運命的なものを感じてしまったのだ。 それから僕は毎日会社へ行く途中、彼女に会うために必ずカフェを寄った。 今日もまたぼくはそのカフェでブラックコーヒーを頼む。 「いらっしゃいませ。」 海のように透き通る声が僕の耳を捕まえる。彼女はいつものように黒のエプロンを着け、美貌な顔面を晒していた。 「ブラックで」 「はい、今日はお早いですね。」 「今日は大事な会議があるんだ。」 「そうなんですね。頑張ってください。」 「ありがとう。」 僕はいつものテラス席に座った。 彼女は微笑みしながらコーヒーを運び、僕の目の前に置く。 「お待たせしました。」 冬の海を眺め、ブラックコーヒーを1口。 元々僕は苦いのが苦手だが、このカフェでいつも頼み、克服した。理由は言うまでもない。 ブラックコーヒーを飲み終えると、すぐに会計をした。「100円です。」100円をカルトンに置き、店を立ち去ろうとする。「頑張ってくださいね。」 片手をポケットに入れ、軽く会釈をした。 今日は帰りが遅く、もう辺りは街灯の光だけで埋め尽くされる。 かじかんだ手をポケットに入れ、暗くなった海を眺めて歩く。 カフェはもう閉じているが、僕のいつも座るテラス席が、また明日も来いと導くように月の光を吸っているのが見えた。 次の日、僕は家の用事で昼から出勤することになった。 その日も欠かさずカフェに寄る。 いつものようにコーヒーを頼もうとしたが、この日は何となく無糖のレモンティーを頼んだ。 少し店員さんも驚いた顔をしていたが、すぐ、いつものにこやかな顔に戻った。 テラス席につき、すぐに紅茶が来た。 「今日は遅いですね。」 「今日はたまたま用事があってね。」 「今日は珍しく紅茶なんですね。」 「なんとなくだよ。特に理由はない。」 「そうなんですね。ではごゆっくり。」 レジに高身長の男性客が並んでるのに気づき、少し笑って小走りで戻る彼女。 そんな彼女を自然と目で追って、会計姿を眺めた。 苦い紅茶が舌を刺激した。

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苦い紅茶