苦い紅茶

苦い紅茶
僕には、密かに思いを寄せている人が居る。 その人は、僕の会社へ行く道の途中にある小さなカフェの店員さんだ。 カフェは海の目の前にあり、 夏は海水浴場の海の家にもなるそうだ。 彼女との出会いは1年前、新しく出来たこのカフェに同僚と寄ってみた時の事だった。「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか。」 その時、僕は彼女に一目惚れしてしまった。ぱっちりとした目に、少し高めの鼻、くせ毛ひとつないポニーテールの髪とその間から見えるうなじ。 口では言い表せないが、とにかく運命的なものを感じてしまったのだ。 それから僕は毎日会社へ行く途中、彼女に会うために必ずカフェを寄った。 今日もまたぼくはそのカフェでブラックコーヒーを頼む。 「いらっしゃいませ。」
憧れ屋
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