もちもち金斗雲

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もちもち金斗雲

書きたいままに、頭に浮かんだ映像を文字にしています。たまに二次創作も書きます。基本サムネは自分が旅先などで撮った写真かフリー素材です。いつもいいねありがとうございます! 投稿頻度が高まったり落ちたりしますが、隙を見計らって投稿していきます。

何かが見ていた。

実体験のお話でございます。 私は一人暮らしをしておりまして、もう半年がすぎると言う頃のお話です。私は昔から自分のことが嫌いで自己嫌悪の思考に陥りやすい人間でした。そういう時は昔の記憶を掘り起こしてまで自分を責め立てる心と脳がいるのです。考えたくなくても勝手に考えては嫌な気持ちになり泣くのがセットでした。ある時、体が動かせなくなるような事態になりました。這わなければ動けないのです。トイレに行くのもやっとの状況、普通じゃないと思いました。そしてベッドにも這って移動し眠りにつきました。 翌日、いつも通り生活をして夜にお風呂に入りました。ドアを開け髪を拭いている時視線を感じるのです。左下から何かが私の顔を覗き込んでいるような感覚。でも改めて見てもいない。しかし何かが見ている。具体的には、黒や濃い紫色の楕円体にぐるぐるとしたいたずら書きのような目玉(白目と黒目)が張り付いていて、細い手足(4本)が蜘蛛のように前と後ろについているのです。それがこちらを見ているのです。怖いという思いもありつつ、心当たりがあるのです。このように地面に這って動くものは、「昨日の自分」しかいない、と。これは私の生霊かと何故か腑に落ちたのです。可愛くないな、とも思いました。人型ですらないのですから。 何故、風呂場の前にいたのかと申しますと、私の部屋の構造上、部屋に入って左手にトイレ、洗濯機、お風呂があります。そして1段高くなっているから、下から見られていたのでしょう。それに、私の部屋の扉には晴明神社のステッカーが廊下と自室を区切るところに挟むように貼ってありますから、生霊も出るに出れなかったのでしょうか。 そもそも私は自分に対する感情が強いためどこかの誰かに憑くというより自分を見るのではないでしょうか。 時折、電池が切れたように身体中の力が抜けてしばらく無気力に床に倒れていることもあります。昨日に私の残留思念ってやつなんでしょうか。

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月が照る頃に僕の家に来て。

胃に消え入った薬は数知れず、 今日も薬片手に窓を見る。 錠剤ばかりが棚に増え、 空いた瓶はゴミ袋に溜まっていく。 瓶を開け、手から溢れるほど取り出す。 風邪の症状もなければ寝れない訳でもない。 ただ心の中の雨雲を晴らしたいがために 太陽と同じ形をした薬を飲み込むのである。 吐きそうになりながら飲み込んで 窓辺に座ってじっと待つ。 月が傾き、自分を照らすようになった頃 視界が歪む。吐き気が襲う。心臓が痛む。 そばにあったカッターを腕に、首に、足に。 血まみれになるまでが日常。 気が遠くなって眠るように気絶する。 夢の中で罵倒する君。泣きながら手当てする君 やけに暖かい。 あぁ…。 君は…今度もまた僕を生かそうとする。 放っておいてと言えない僕も僕だ。

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月が照る頃に僕の家に来て。

世界のどこかに 私の足りない部分を補う ジグソーパズルのひとピースのような そんな相手がいると考えていた。 それが世界の普通だとすれば 私はそのピースですらないのかもしれない。 せめて恋心、健気な心がひとつでもあれば 何倍にもすることが出来る。 でもゼロはゼロだ。 考えようとしても 虚空に触れた感覚になってしまう ないのだ。 もしくは遠い遠い場所に 何重にも鍵をかけて 閉まってしまったのかもしれない 開ける鍵も錆びて無くしてしまった 男性が近くに寄ると 手足が冷たくなる 冷や汗をかき 心拍数が上がる 体の内部がぐるぐると回る 船酔いをした感覚 どんなに信頼していても この人は私を襲わないとわかっていても 何重にも境界線を引く バリケードを貼って、結界を作る 自衛するには こうするしかないのだ。 生きづらさの中で 今日も私は生きていく。 普通に生きられたなら 良かったのに。

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気遣い

「気遣いは最低限のマナーよ。」 僕を育ててくれた人はよく僕に言っていた。 そのおかげで僕は気遣いできる、いい人になった。 気遣いは僕を作り、僕は気遣いで優しさを生む。 次第に蝕まれていく心に蓋をして 壊れかけた両手で人を救う 裏切りも、使い捨てにされても 笑顔でいた。 使い勝手がいいのだろう。 僕はブルーシートに包まり、ホルマリンを飲む そして希釈したホルマリンを点滴する。 さようなら 優しい人を食いものにする世界よ。 腐敗を防ぎつつ死んでいく。 僕は気遣いができるでしょ? 今世も世界は腐ってる。

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仮面

私は初めから 「普通」という仮面をつけて生きてきた 迷惑をかけぬよう 扱いやすいように 大人が求めるいい子であるように。 これは無意識だった。 自分を自分で守ってきたようだった。 思い返せば物心ついた時から 世の中の普通と自分の感覚に ズレがあったのは覚えている。 特に「好き」という感情。 「女の子ならピンクが好きで当たり前」 私はそうじゃなかった。 「塗り絵は紙を動かさない」 塗りやすい角度から動かすのはおかしい。 「恋をして好きな人がいて当たり前」 異性だろうが人は人。 私の一存でどうにかしていいわけじゃない。 生きているうちに、色々知った。 いつからだろうか。 「普通」を口にする度 嘘吐きになっていく気がした。 ついには何が好きなのかも 分からなくなっていった 出る杭は打たれる。 自分は変わってますよというと それは勘違いだと言われる 自分の感覚さえも 信じられなくなった 普通は好まれる。 私は まっさらな 本当の自分は この世界に「いる」 のだろうか。

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地獄のショッピングモール

地獄には大きな大きなショッピングモールがある。三途の川を渡る前にあるショッピングモールとは違って、ここは地獄で暮らす鬼神や獄卒のためにある。あ、今わけが分からないって思ったでしょう?大丈夫です。地獄で生まれ育った私が紹介して差し上げますから。 地獄のショッピングモール「火車(かしゃ)」は地獄の中でもダントツに大きい場所です。ここに来る人は夫婦はもちろん、家族連れや友達同士など様々な鬼が訪れます。先程話した獄卒というのは、地獄の刑場で働く鬼を指す言葉です。 さてさて、大きな扉を通れば各階層ごとに売っているものが異なります。1階は食品です。脳吸い鳥の卵、シーラカンスの煮付け、それから…巨大な紫色のキノコなんかも売っていますよ。どれも美味しいんです。量り売りしてくれるものもあるので後で見てくださいね。次は2階です。衣服や雑貨が中心です。基本地獄は着物を着る方が多いので、そういったお店が多いんですよ。オーダーメイドを受け付けているお店もあるんです。それに合わせた巾着や簪、アクセサリーなんかも取り扱っています。またその他は茶碗などの陶器、本屋さんや筆記用具を扱うお店も。獄卒の方は職業柄筆を使ったり、ボールペンを使うかは分かれるので、自分の好きなお店を見つけるのがいいと思います。 目新しいものばかりで疲れていませんか?そんな方には、3階のフードコートへ。ここは地獄の食事だけでなく現世の食事もできるということで大人気なんです。某チェーン店のケン○ッキーや○亀製麺など地獄に合わせた料理を出してくれることで有名です。フードコートだけでなくレストラン街もあるので楽しめると思いますよ。ちなみに私はレストラン街にある「二枚舌」という海鮮系のお店が好きです。八寒地獄(普通の大八地獄とは違って寒い地獄)から直送で送られてくるお魚が美味しいんです。普通にサーモンとかも食べれるのでよく行ってます。さて次は4階へ。ここはまたまた服屋が多く集います。しかし2階と違うのは、ここは洋服だということ。現世へ出張する獄卒の方や、お仕事で行く人などをターゲットに展開しています。普通のパーカーやシャツがあるはもちろん、スーツの仕立てや洋服のコーディネートまでお任せあれ。そして階層の端と端に靴屋も。下駄や草履が基本ではあるものの、必要な人には必要ですから。 5階はゲームセンターやゲーム関連のものが売っています。ここは子供たちが多くいます。たまにおじさんがいて白熱した戦いを見せてくれることもありますが、基本子供たちが多いです。しかし、年末。クリスマスが近くなるとサンタさんになるであろう親たちがこぞって集まります。見ていて面白いですよ。 さてさて。最終階にやってまいりました。ここは休憩所及び展望台となっております。このショッピングモールは一階層が縦長になっておりますから、通常のビルで言うと2階分ございます。ですからここは6階。通常の12階に相当するわけでございます。地獄の家は非常に背が低うございます。そうですねぇ、現世でいえば江戸の街並みを想像してもらえれば早いですね。そんなビルから見下ろす地獄は、薄暗く、遠くには針山がうっすらと見えるのです。地獄という亡者にとっては逃げ場のない場所でも、鬼にとっては暮らす場所なのでございます。 皆様がここに来られる場合は、裁判で天国行きが決まり天国から旅行で来る時でございましょう。その時はここに来て買い物を楽しんで見てはいかがでしょうか? 本日はショッピングモール火車をご利用頂きまして 誠にありがとうございます。 またのご利用をお待ちしております。

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地獄のショッピングモール

趣味。

好きなことを好きなようにしている。 私はそれを趣味と呼びたい。 たとえ上達が遅くても、下手の横好き程度でも それを商いにする訳じゃないから 好きなようにやりたいのだ。 お金だけが正義じゃない。 もちろんお金は大事だけれど それだけが大事だとは思わない。 私は 好きなものを嫌いになりたくない。 好きなことは縛られずにやりたい。 期限とか売上とかいいね数とか。 自由に書きたいだけ。 好きなようにやりたいだけ。 趣味に必ず成果や成長の 観察過程の提出が必要ですか? 何回投稿したかとか 提出が必要ですか? 私はただ自由に生きたい 自由に言葉を紡ぎたい 自由に絵を描きたい それだけなんです。 私は籠の中の鳥じゃない。 全ては自分に必要だと思うからやりたいのだ これ以上自分を苦しめたくない。

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趣味。

近頃は眠れません

なんだかね、眠れないの。 寝ようと思っても 頭が拒否するの 明日も一限からあるっていうのに 毎日毎日 暗い部屋で時間が過ぎるのを 待つばかり 今日もまた 眠れない

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あの日交わした約束はいつまでも。

「毎年あなたと見る桜は格段に綺麗」 僕の妻は結婚する前、僕にそう言って 逆プロポーズしてくれた そう。あれは四月十九日のこと。 まさかそんなこと言われると思ってなかったし そう思ってくれていたなんて知らなかった。 自分の実家はThe日本家屋で山にあって 庭が広くて大きな桜の木があったから、 わざわざ他のところに行って お花見なんてしなかったんだけど 妻は毎年見るのが楽しみみたいで 毎年毎年違う場所で一緒にコーヒーを飲みながら 他愛のないおしゃべりをするのが恒例だった 桜はいい。 目に優しい色をしているし 八重桜の八分咲きは洗って塩漬けにすれば 桜茶になる。 ああそういえば 毎年母が卒業式に持っていってたな。 まぁ妻は、事故で他界してそれっきり。 塞ぎ込んだ僕は桜を見れなくなった。 でも3年がすぎた今なら お花見もできる気がする。 今度、君が僕にプロポーズしてくれた場所で 2本の缶コーヒーを買って お花見をするとしよう。 一緒にあの桜を見よう。 四月十九日 午後一時に 東丘公園の桜の木の下で。

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あの日交わした約束はいつまでも。

愛する人は無口なまま。

空と地面の間に、君がいた。 儚い色を纏った君。 触れたら崩れそうで 声をかけたら消えてしまいそうだった 僕は臆病だ だからいつまでも 僕は花束を抱えたまま 声をかけることも 花を手向けることも出来ない 君は笑顔が素敵で 作る料理はどれも美味しくて 手先が器用で 感受性豊かで 慈愛に溢れた人だった そんな君は 3年前の今日 道路に飛び出した子供を庇って トラックに轢かれた 僕は本当に 「どうして君が死ななきゃいけなかったんだ?」 と心の底から思ったんだ。 誕生日にして命日の今日は 三年経った今でも 笑うことはできないよ 今日は 下界に来ることが許されたんだね。 今でも僕のことを 君は覚えているのかな

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愛する人は無口なまま。