もちもち金斗雲
90 件の小説もちもち金斗雲
書きたいままに、頭に浮かんだ映像を文字にしています。たまに二次創作も書きます。基本サムネは自分が旅先などで撮った写真かフリー素材です。いつもいいねありがとうございます! 投稿頻度が高まったり落ちたりしますが、隙を見計らって投稿していきます。
地獄のショッピングモール
地獄には大きな大きなショッピングモールがある。三途の川を渡る前にあるショッピングモールとは違って、ここは地獄で暮らす鬼神や獄卒のためにある。あ、今わけが分からないって思ったでしょう?大丈夫です。地獄で生まれ育った私が紹介して差し上げますから。 地獄のショッピングモール「火車(かしゃ)」は地獄の中でもダントツに大きい場所です。ここに来る人は夫婦はもちろん、家族連れや友達同士など様々な鬼が訪れます。先程話した獄卒というのは、地獄の刑場で働く鬼を指す言葉です。 さてさて、大きな扉を通れば各階層ごとに売っているものが異なります。1階は食品です。脳吸い鳥の卵、シーラカンスの煮付け、それから…巨大な紫色のキノコなんかも売っていますよ。どれも美味しいんです。量り売りしてくれるものもあるので後で見てくださいね。次は2階です。衣服や雑貨が中心です。基本地獄は着物を着る方が多いので、そういったお店が多いんですよ。オーダーメイドを受け付けているお店もあるんです。それに合わせた巾着や簪、アクセサリーなんかも取り扱っています。またその他は茶碗などの陶器、本屋さんや筆記用具を扱うお店も。獄卒の方は職業柄筆を使ったり、ボールペンを使うかは分かれるので、自分の好きなお店を見つけるのがいいと思います。 目新しいものばかりで疲れていませんか?そんな方には、3階のフードコートへ。ここは地獄の食事だけでなく現世の食事もできるということで大人気なんです。某チェーン店のケン○ッキーや○亀製麺など地獄に合わせた料理を出してくれることで有名です。フードコートだけでなくレストラン街もあるので楽しめると思いますよ。ちなみに私はレストラン街にある「二枚舌」という海鮮系のお店が好きです。八寒地獄(普通の大八地獄とは違って寒い地獄)から直送で送られてくるお魚が美味しいんです。普通にサーモンとかも食べれるのでよく行ってます。さて次は4階へ。ここはまたまた服屋が多く集います。しかし2階と違うのは、ここは洋服だということ。現世へ出張する獄卒の方や、お仕事で行く人などをターゲットに展開しています。普通のパーカーやシャツがあるはもちろん、スーツの仕立てや洋服のコーディネートまでお任せあれ。そして階層の端と端に靴屋も。下駄や草履が基本ではあるものの、必要な人には必要ですから。 5階はゲームセンターやゲーム関連のものが売っています。ここは子供たちが多くいます。たまにおじさんがいて白熱した戦いを見せてくれることもありますが、基本子供たちが多いです。しかし、年末。クリスマスが近くなるとサンタさんになるであろう親たちがこぞって集まります。見ていて面白いですよ。 さてさて。最終階にやってまいりました。ここは休憩所及び展望台となっております。このショッピングモールは一階層が縦長になっておりますから、通常のビルで言うと2階分ございます。ですからここは6階。通常の12階に相当するわけでございます。地獄の家は非常に背が低うございます。そうですねぇ、現世でいえば江戸の街並みを想像してもらえれば早いですね。そんなビルから見下ろす地獄は、薄暗く、遠くには針山がうっすらと見えるのです。地獄という亡者にとっては逃げ場のない場所でも、鬼にとっては暮らす場所なのでございます。 皆様がここに来られる場合は、裁判で天国行きが決まり天国から旅行で来る時でございましょう。その時はここに来て買い物を楽しんで見てはいかがでしょうか? 本日はショッピングモール火車をご利用頂きまして 誠にありがとうございます。 またのご利用をお待ちしております。
趣味。
好きなことを好きなようにしている。 私はそれを趣味と呼びたい。 たとえ上達が遅くても、下手の横好き程度でも それを商いにする訳じゃないから 好きなようにやりたいのだ。 お金だけが正義じゃない。 もちろんお金は大事だけれど それだけが大事だとは思わない。 私は 好きなものを嫌いになりたくない。 好きなことは縛られずにやりたい。 期限とか売上とかいいね数とか。 自由に書きたいだけ。 好きなようにやりたいだけ。 趣味に必ず成果や成長の 観察過程の提出が必要ですか? 何回投稿したかとか 提出が必要ですか? 私はただ自由に生きたい 自由に言葉を紡ぎたい 自由に絵を描きたい それだけなんです。 私は籠の中の鳥じゃない。 全ては自分に必要だと思うからやりたいのだ これ以上自分を苦しめたくない。
近頃は眠れません
なんだかね、眠れないの。 寝ようと思っても 頭が拒否するの 明日も一限からあるっていうのに 毎日毎日 暗い部屋で時間が過ぎるのを 待つばかり 今日もまた 眠れない
あの日交わした約束はいつまでも。
「毎年あなたと見る桜は格段に綺麗」 僕の妻は結婚する前、僕にそう言って 逆プロポーズしてくれた そう。あれは四月十九日のこと。 まさかそんなこと言われると思ってなかったし そう思ってくれていたなんて知らなかった。 自分の実家はThe日本家屋で山にあって 庭が広くて大きな桜の木があったから、 わざわざ他のところに行って お花見なんてしなかったんだけど 妻は毎年見るのが楽しみみたいで 毎年毎年違う場所で一緒にコーヒーを飲みながら 他愛のないおしゃべりをするのが恒例だった 桜はいい。 目に優しい色をしているし 八重桜の八分咲きは洗って塩漬けにすれば 桜茶になる。 ああそういえば 毎年母が卒業式に持っていってたな。 まぁ妻は、事故で他界してそれっきり。 塞ぎ込んだ僕は桜を見れなくなった。 でも3年がすぎた今なら お花見もできる気がする。 今度、君が僕にプロポーズしてくれた場所で 2本の缶コーヒーを買って お花見をするとしよう。 一緒にあの桜を見よう。 四月十九日 午後一時に 東丘公園の桜の木の下で。
愛する人は無口なまま。
空と地面の間に、君がいた。 儚い色を纏った君。 触れたら崩れそうで 声をかけたら消えてしまいそうだった 僕は臆病だ だからいつまでも 僕は花束を抱えたまま 声をかけることも 花を手向けることも出来ない 君は笑顔が素敵で 作る料理はどれも美味しくて 手先が器用で 感受性豊かで 慈愛に溢れた人だった そんな君は 3年前の今日 道路に飛び出した子供を庇って トラックに轢かれた 僕は本当に 「どうして君が死ななきゃいけなかったんだ?」 と心の底から思ったんだ。 誕生日にして命日の今日は 三年経った今でも 笑うことはできないよ 今日は 下界に来ることが許されたんだね。 今でも僕のことを 君は覚えているのかな
ソフトクリーム
溶けてなくなりたい 溶けて消えてしまいたい 溶けて... ソフトクリームを見る度に そんなことを言う君。 そんな君は 僕が食べてあげるよ 今夜は寝かせない。 後悔しても 遅いからね?
生きる屍と電池
プツンと 自分の中で何かが切れた 私は地面に倒れ込む 世界が反転している 何が起きたのかは分からない でも すごく 眠い 今なら永久に眠れる 安らかに... 電池が切れたように... 私が… 会社から居なくなったら… 仕事、回らなくなるんだろうな… 私は笑う 大声で ビルとビルの間を反響して みんなの耳に届くくらいに 私はそこから覚えていない 人間は 電池式なのだ
ちいさな世界
空から降った 飴 モグラがくれた 金平糖 鯉がくれた 羊羹 狐が咥えていた かりんとう ハクビシンが見つけた 金つば 君がくれた 緑茶の茶葉 太陽が少し傾き始めた頃に みんなでお菓子を持ち寄って お茶会をしようね。 僕らはみんな生きている。
取り扱い説明書
「取り扱い...説明書...?」 僕が部屋の掃除をしていると、2枚の手紙を見つけた。1番上には「取り扱い説明書」と書いてある。コピー機とかエアコンとかそういうものの類いかと思ったがどうもそうじゃないらしい。 「庄司...るな...」 対象者は庄司るなという女性のようだ。同級生...?幼なじみ...?いやどれにも当てはまらない。誰のことなんだ?僕は階段を降りて母と姉に聞いてみた。 「面白いもん出てきた。取り扱い説明書なんだけどさ。」 姉と母はテレビを見ながらふぅん。と相槌を打つ。 「庄司るなって言う人のやつ。書いたのは僕っぽいんだけど...誰か知ってる?」 紙をペラっと見せると母は 「庄司?あぁ..。高校時代の先生でしょ。あんたが嫌いだった、あの委員会の先生。」 姉も賛同する。 「ほらキレ散らかしてたじゃん。勝手に業者に出したとかで。」 母と姉は「あの時は大変だったわねぇ」と笑っている。 僕は少々腑に落ちないまま自室に戻る。 ベッドに腰かけ、手紙を開くとそこにはいくつかの注意点が書いてあった。 一、先生は二転三転する。決定事項の確認した2日後には言うことが真逆になる。 二、先生は八時十五分以降に出勤するため朝には会えない。 三、学校中探し回って会えない時はだいたい音楽室横の部屋にいる。 四、先生は確認していないものも勝手に業者に出す。 五、付箋やメモ書きを残しても高確率で読んでくれない。 六、先生の戯言には耳を貸さないこと。イラッとしても受け流すこと。 七、僕はあの先生を許さない。 僕は先生を許さない。一生。呪ってやる。 手紙はここで終わっていた。高校時代の自分はかなり火力が強かったのだなぁと思いつつ、高校時代の記憶は嫌なものが多かったからか、自分の脳は記憶の多くを閉ざしてしまった。だから今は覚えていない。これを読んでも、ぼんやりとしか思い出せないのだ。 あの頃の僕は、苦労していたのだな。 2日後、高校教諭である 庄司るな が突然死を迎えたのは、ここだけの秘密である。
虹は雨が降らねば出来ぬ物
ふわふわのお布団 ふわふわの枕 ふわふわのカーペット 新生活がもうすぐ始まる 大学生 高校生の時は高校生って感じがしないまま 卒業しちゃった 今度は大学生だなぁって思えるような 生活になればいいな 嫌いになってしまった勉強も自分のためなら きっと頑張れる 憂鬱な日々にさようなら 私の新しい生活は きっと桜色