アール・ダークソード・サファイア

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アール・ダークソード・サファイア

自分の性癖詰め込んだ、最強のBL小説を書く人。腐向け。短髪、筋肉、犬系、爽やか男子、ノンケ、受け好き。ほぼBLしか書かないと思いますが、たまに夢小説とかもあるかもしれません。

突然の宣告

合宿から数日後。俺たち小説研究部は、「中高合同小説クラブ総合会」に首席することになった。この総合会では、俺たち以外の中高校の小説部の作品を見て参考にしたり、同じクラブ同士として交流を深めるものだ。有名な小説家の方も来るようで、もし運良く優秀な作品に選ばれれば表彰もされるらしい。そのため今現在、部長は張り切っている。 「うーん、どうもいい作品が生まれない…」 「そうですか?これなんていいと思いますけど」 「いや、これはダメだだって…」 部長と雛河先輩、すごい頑張ってる。それに比べて俺は、未だにあの日の先生のことで頭がいっぱいだ。先生は俺をほんとに必要としてくれている。でも、もし陸上をやっている俺だったら?そんなことをずっと考えては、頭を抱えている。 「おーい、高川くん手止まってるぞー」 「すみません……」 「…もう、部長ってば」 「なんだよ」 「ほんとに空気読めないですね」 「はぁ?俺なんかしたか?」 「いいですか?部長、今高川くんは成長期なんです、悩み事くらいありますよ」 「まぁー確かに俺も1年の頃は悩みに悩んだこともあったなぁ」 「まぁ、あんまり思い詰めるなよ」 「はい…」 先輩たちは本当に優しい。こんな状態の俺にも優しく声をかけてくれる。それは、俺がす小説部の後輩だからかもしれない。でも、俺には嬉しいことだ。 「やっほーみんな頑張ってるー?」 「春野先生、もう今日も遅かったじゃないですか」 「ごめんごめん、今日は教頭がうるさくてね〜」 春野先生は、あの日から全く変わっていない。俺は、こんなに考えてしまっているのになんだか悔しい。 「セイジくーん、どう?小説は順調かな」 「あ、まぁちょっとは書けたんですが……」 「高川小説かけたのかー?」 「見てもいい?」 「はい」 気がつけば、いつも君が目にとまる。僕の視界にはいつも君がいる世界が広がっている。あの日見せた、君の美しい横顔は今でも鮮明に覚えている。君にとって僕という存在はどうな風に見えているのだろう。知りたい。君の世界を知りたい。そして、君の望む僕の姿があるのなら、僕は君の《望む僕になりたい》。 「……っ」 「はるのせんせい……はるの……春野先生!!」 「っ!?」 「あ、ごめん...つい夢中になってたね」 「高川くんの小説どうですか?」 「うん...毎回思うけど素晴らしいね」 「ですよね〜!」 「高川...ちくしょうっ!お前って奴は!」 「あはは…」 「でも……」 「まだまだだねー」 「あれ?先生今日はなんか辛口だな」 「そうかな?先生は元々厳しいよ〜」 先生、あんまり気に入らなかったのかな。でもこの小説は、俺の今思っていることが全て書かれている。そう、《俺は先生の望む俺》になりたい…。小説を書いている俺に...。 「よーし、じゃあ今日はお疲れ様、みんな気をつけて帰ってねー」 「先生もお疲れ様です」 「高川くんお疲れ様ー」 「お疲れ様です」 今日は、あまり集中出来なかった。先生にもあまり小説好評じゃなかったみたいだし。明日は、もっと頑張ろう。 「…セイジくん」 「春野先生、お疲れ様です」 「ちょっといいかな」 「?はい」 「どうしたんですか?」 「セイジくんさぁ...」 「俺のこと好き?」 「え...」 「な、なんで急に…///」 「好き?」 「...///」 「...はい///」 「...そっか」 言ってしまった。ついに告白してしまった。こんな形でバレるなんて、恥ずかしい。 「...高川、」 「え、」 「もう小説書くのやめなよ」 「...…え?」

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突然の宣告

君の瞳

あたりはもう暗くなって、鈴虫が羽を羽ばたかせて鳴いている。空には、無限に広がる銀河とその中の無数の星たちがそれぞれの光を放っている。その光を君の瞳が受け止めて、君の瞳の中に別の君だけの世界が映る。それを隣で見つめている私は、ただ幸せな時だった。 「…って、ポエムかよっ!」 「だ、ダメですか?」 「ダメという訳では無いが、ちょっと臭すぎるぞ…」 「そうですか?でも綺麗な表現で私は好きですけど」 「それはそうかもしれないが、もう少しナチュラルにした方が万人受けなんだよ」 俺たちは、鷹辻高校小説研究部。小説を読んで感想を書いたり、自分たちで小説を書いて出品している。俺の名前は高川セイジ。この小説部に今年入部したばかりの1年。俺は元々陸上部だったが中学の時に怪我をしてしまいもう運動を続けるのが厳しくなっていた。だが、この学校では部活に1年は絶対に入るのが定められている。困っていた時この部を見つけた。あまり目立たない部だったから見つけた時は、こんな部があったんだと驚いた。小説は嫌いではなかったし、話を書くのにも興味があった俺は入部を決めた。それが俺のこの部に入ったきっかけだった。今、俺は初めて自分で小説を書くのに挑戦しているのだが、あまりよくないらしい。 「まぁ、初めてでここまで書く事ができたのは君が初めてだし、文章力はあるようだな」 「そうですね、基礎文もしっかりしていますしこれはこれからが楽しみです」 「ありがとうございます」 うちの部は、部長の安藤先輩と副部長の雛河先輩。そして、1年の俺。現在部員3名で活動している。 「それにしても高川くん、君どうして恋愛というジャンルを選んだんだ?」 「えっとそれは…」 「もしかして、今絶賛恋愛中とか?」 「いや、えっと…」 「こら、部長、後輩のプライベート聞き出さない」 「だって気になるだろ?」 「あはは…」 そう、俺にはもうひとつこの部に入ったきっかけがある。 「おおーみんな暑い中頑張ってるねー」 「あ、ちょっと遅いですよ先生」 「ごめんごめん会議長引いちゃった」 「春野先生…」 「おお、セイジくんも頑張ってるねー」 春野 友也。小説研究部の顧問。誰にでもフレンドリーな対応でイケメンなので、生徒先生関係なく大人気。 「先生、これ高川くんが書いた小説です」 「おお〜ついにセイジくんも作家デビューか」 「恥ずかしいのであんまりじっくり読まないでください…」 「うーん、なるほど」 「先生から見てどうです?高川の小説」 「うーん、これは…」 「紛れもないダイヤの原石だな」 「そう思いますよね」 「あぁ、文章力はもちろん表現も綺麗だし、」 「えぇ、でも表現が大袈裟すぎじゃないか?」 「部長は黙ってください」 「そ、そんなぁ〜雛河〜」 「やっぱり俺の目は間違ってなかったな〜良かった良かったセイジくんをうちの部に引き入れて」 「これからもよろしくな」 「はい///」 好きだ。そう、俺はこの人が好きだ。先生だから恋をするのは良くないってわかってる。でも、初めて俺を必要としてくれたのは先生だったから。大事な足を怪我で使えなくなって、誰にも必要として貰えなくなっていた時、俺が必要だって言ってくれたのは先生だった。それがものすごく嬉しくて、先生の期待に応えたいと思った。 「先生、俺、これからも頑張ります!」 「おお、やる気があっていいぞ〜」 「でも頑張りすぎはダメだぞ?」 「はい!」 「うん、いい返事だ」 俺の恋は、叶わなくてもいい。先生の傍にいられるならそれで俺は十分幸せだから。俺がすることはひとつだけ、先生のために最高の小説を書く。 「そういえばみんなに速報がありま〜す」 「なんですか?」 「なんと…」 「我が小説研究部!夏の合宿が決まりました〜!」 「えぇ〜!?」 「合宿?」 「なんと、校長に夏のイメージを膨らませるために合宿に行きたいってお願いしたら許可貰えちゃいました〜」 「いや、さすが春野先生!」 「これでやっと我が部も!他の部と同じように青春が遅れるのですなっ!」 「合宿ってどこに行くんですか?」 「それはね…」 「みんなでキャンプに行きまーす!」 「え?」 …というわけで、今、俺たち小説研究部は夏のキャンプ合宿に来ている。部長は虫が苦手みたいであまり楽しめていないみたいだけど、自然にふれあいながら生活するのはそう悪いものではない。せっかくだし、先生とのキャンプ楽しもう。 「はーい、それじゃぁまずはみんなで水遊びでーす」 「先生、水遊びって私たち何歳だと思ってるんですか?」 「まぁまあ、きっと楽しいよ」 「ほーらっ!」 「うわあっ!」 「も〜!高川くんびしょびしょじゃないですか!」 「まだまだこれからだよっ!」 「うおっ!」 「あははっ」 「もうすっかり夕方だね」 「よし、そろそろみんな上がろうか」 すっかりびしょびしょに濡れてしまった。ちょっとさすがに肌寒いな。 「くしゅんっ!」 「寒いかい?」 「いえ、大丈夫です」 「ほらタオル」 「ありがとうございます」 …先生の匂いがする。良くないよな匂い嗅ぐとか///…。 「へー、セイジくんって前は運動部って聞いてたけどこのいい体つきは相当頑張ってたんだね」 「いや、そんなことないですよ」 「それにしても、いい体つきだ」 「あ、そうだちょっと触ってもいい?」 「え、触るんですか?…」 「ほら、ここら辺よくこるって聞くし、いっつも頑張ってくれてるセイジくんにお礼にマッサージ」 「わ、わかりました…」 ムニュッ。 「うわぁ、意外と胸筋の辺りって柔らかいんだ」 「んんッ//////」 「えっ」 「あ、ご、ごめんなさっ///あんまり、触られるの慣れてなくて…///」 「いや、そうだよね、ごめんね変なこと言って」 「いえ、マッサージありがとうございます」 「これはまずいな…」 「?」 今日はほんとにあっという間だった。気づけば楽しくてつい時間を忘れてしまう。これもきっと先生と一緒だから。もし、自分が生徒じゃなくて先生と同い年だったらと思うことがある。小説を書く前みたいに走っている俺だったら、先生は俺を必要と言ってくれるだろうか。いや、そうは思わない。だって先生が必要としている俺は小説部にいてすごい小説を書く俺だ。走っている俺じゃない。でも、まだ走るのを諦めきれていない自分がいるのは事実だ。 「おーい高川ー」 「はい、今行きます」 「わぁーすごい先生テントまで用意したんですか?」 「まーね、友達に借りたんだけど」 「…よし、やっと組み立て終わった」 「じゃあ、雛河はそっちのテント使って俺たちはこっちのテントねー」 「わぁー見てください先生!」 「ん?どうした?」 「おお〜すごい綺麗だな」 「あ、…」 そこには、空に広がる果てしない星があった。茂みの奥からは鈴虫の声が聞こえる。 「綺麗ですね」 「…雛河の方が綺麗だけどな…///」 「なんですって?」 「な、なんでもないよ!///」 「もぉ、部長何言ってるんですか」 薄々気づいていたけど、部長は多分雛河先輩のことが好きだ。甘酸っぱい男女の恋愛。これこそが美しい愛なんだろう。男同士の恋愛。それは、それなりに覚悟も必要になる。世間が言う普通では無いのだから。 「それにしても綺麗だな」 「そうですね」 隣には先生がいる。綺麗な横顔。そういえば、この場面、俺の書いた小説と似ている。 『あたりはもう暗くなって、鈴虫が羽を羽ばたかせて鳴いている。空には、無限に広がる銀河とその中の無数の星たちがそれぞれの光を放っている。その光を君の瞳が受け止めて、君の瞳の中に別の君だけの世界が映る。それを隣で見つめている私は、ただ幸せな時だった。』 先生の瞳には、今何が写っているのだろう。星空か、それとももっと遠くを見つめているのだろうか。 「…先生の方が綺麗です///」 「ん?なんか言ったか?」 「いやっ!別になんでもないです!///」 言ってみたかった臭いセリフ。言うのがこんなにも恥ずかしいものだったなんて。部長はほんとにすごい。 「なんかこの場面、セイジくんの小説と似てるね」 「そうですね///」 「それを隣で見つめている私はただ幸せだった…か。」 「先生?」 「ううん、なんでもないよ」 「そろそろみんな寝ようか」 満開の星空と甘酸っぱい夏の匂いでその日は終わった。先生があの時何を思っていたのかは分からない。でも、俺はあの瞬間確かに幸せだった。先生の綺麗な横顔を今でも思い出す。あの日確かに俺は、先生に恋をしていた。

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君の瞳

ドキドキする瞬間

「なぁ、」 「ん?」 「お前って好きな人いる?」 「なんだよ急に」 「だって最近ずっとスマホいじってるし、彼女でもできたのかと思って」 「何、構ってくれないからいじけてんのか?」 「そんなわけあるか」 「うーん、しいて言うなら」 「え、いるの?」 「この子とか?」 「え、いやこれ俺の写真」 「うん」 「…は?」 「好きだよ」

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ドキドキする瞬間