高嶋のぎ

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高嶋のぎ

はじめまして、高嶋(たかしま)のぎです!よろしくお願いします ♡やコメント、フォロー励みになります! ただいま、長編ファンタジー 「世界の果てから」執筆してます! 誤字脱字報告、感想お気軽に〜! イラストも趣味です 写真は自家製 生成画像に表示貼るようにしましたが、二年前くらいの古いのは画像が残ってないので画力で察してください クマは自作アイコン

君と歩いた道

「お父さんしっかりね」 「おう、お前もドレス踏むなよ」  そして教会の扉が開いた。 同じみの結婚行進曲。  参列者に囲まれ厳かな雰囲気に緊張感があるが、長いバージンロードのおかげで少しずつ慣れていく。  一歩ずつ純白の姿と歩む度に、小さい娘と歩いた公園、家への道、祭りの屋台の思い出が走馬灯の様によみがえる。  涙ぐむ俺に、隣で小さく幸せそうに微笑む。 「まだ泣くのは早いわよ、お父さん」 ささやいて組んでいた腕を解いて娘は、花婿の隣りに並んだ。 ぐっと奥歯を噛んで涙をこらえて指定の椅子に座わる。  これからは俺の代わりに隣りをずっとあの男が歩んで行くのだと思うと、また万感の思いが込み上げる。 そして、またその子供へとそうやって続いていくのかと。 ……自分達のように。 気がつくと母さんが笑いを噛み殺していた。 「なんだよ」 「だって、貴方。あんなに花婿にらんで」  にらんでるつもりはなかった。涙を耐えたせいでそう見えたらしいが、格好付かないので何も言えなかった。

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question

クエッション、問い、知的好奇心。 Q.いつか好奇心は私を殺すだろうか? 「あんたの場合はそーッスね!」 「冷たいなぁ、南君」 助手の南が資料をどさりと私のデスクに置き、手の埃を払った。不機嫌そうだ。 「好奇心で毎回事件に首突っ込んで、命を危険にさらしてまで解決しようとするの止めません?」 「お母さんみたいだなぁ」 応募で探偵事務所に来たときはまだ中学生だったのに。 春になり、学ランになった制服はまだ真新しい。 「南君はなんでこの事務所で働いてるんだい?」 「あんたの監視!浮気調査とかならともかく、殺人事件の依頼なんてぜってー断らせるッス!!」 前回の殺人事件で私も襲われた事がよほど心配させたのだろう。 「傷なんて残ったらもらい手がなくなるッスよ」 「その時は、南君にもらってもらおうかぁ」 「んなぁッ⁉︎」 耳まで真っ赤になっている、からかいがいのある助手だ。 私はもう適齢期も過ぎているというのにーー。 カランコン、と一階の客間のドアが開く音がした。 自然と口角が吊り上る。 「さぁ、次の依頼は何かなぁ?」

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【第三章】第七幕 泉の鏡面

また頭痛だ、やけに今度は響いている。  頭を抑えながら手探りでよろよろと、本棚のうちの一つに寄りかかりしばらく深呼吸をした。 するとウソのように治まる。 (なんなんだ、そういえば何度か頭の痛みを繰り返してるな……?)  疑問に思っていると、ふと視線のような気配を感じる。  誰か他に人がいるのではないかと期待してあたりを見渡したが、不気味なほどこの書庫は静まりかえっていた。 僕にまるでまとわりつくようで、ひょっとしてあの目が三つもある神があの不思議な力で監視しているのではと思いいたって嫌気がさす。 「さっきから神様は何がしたいです!ここまで連れて来て、嫌な本を見せて!記憶のない僕になんの答えを出させたいんだ!!」 かえって来たのはただ沈黙だけだった。 僕はまた振り返らずに歩き始める、視線から逃げるように。  一刻ほどだろうか。  壁を求め手に当たる本棚づたいに歩いて、幾度目かの曲がり角にさしかかったときだ。   何段にも生えるように無造作にあった書架たちが、不自然に途切れて空間が出来ている。  振り返ってみると、まとわりついていた視線もなくなっていた。 どこでもいいから逃げ込みたかった僕は、さらに奥へ進む。  薄暗くなりはじめてだんだんと視界が暗くなっていき、片手で探りなが中に入っていく。 ごつごつとした手触りで無骨な石を感じる。 足音も硬い石を踏む、反響音。 ……ポタ、ポタ。  やがて水滴が落ちるような音が断続的に聞こえた。 一気に視界が開けると洞窟の中のようだ。 (黒い、泉?)  見たこともない、漆黒の泉が底も見えずに広がっていた。 風がないせいか水面はさざめくことなく、鏡のように静かだ。 腕をついて覗き込むと十代半ばぐらいの少年の姿が映っていた。 「若返えさせられた、と思ったけど想像以上に幼いな……」  若い僕が老人のようにくたびれた表情で苦笑いする。  そういえば長いこと、食料も水も口にしていないのに空腹感も喉の渇きすら覚えていない。 (水を入れておく道具がないけど、ここで今飲んでおくのがいいんだろうな……)  しかし、この水は飲めるのだろうか。 濁った様子や不純物は不思議と感じないのだが、底も見えない黒さが不吉だ。 ためしに両手で水をすくってみようと漆黒の水面に触れたとき。 【止めい、無礼者。人の分際で水鏡に触れるでない】 幼い少年の声と老獪な老婆の声が、雷のように腹に響いた。  神とは違うがまた人間とも思えない圧倒的な力をまとった声に、とっさに飛び退く。 「だっ、誰⁉︎」 【この場所は、謁見の水鏡の間。あの方が久しぶりに会いに来られたかと思えば、人ごときがここでなに用ぞ】 漆黒の泉に変化が起きた。影が写り、水面の向こう側に巨大な何かが確か存在している気配がする。 水ごしの圧倒的な威圧に、とっさに身を縮こませた。 「あ、貴方は誰だ!僕は逃げてきただけで……いい加減、元の世界に返してくれ!!」 また人ではない何かの出現に、生きている人間に会いたいと切実に思った。 【……何やら、人も混乱しておるな。ただのネズミか、何をなされたのだあのお方は】 水面の影の声にあきれた色がにじむ。 ふ、と威圧感がやわらいだ。 【哀れなネズミ、人の子よ。あの方でなければ“表”の世界には戻れぬ】 哀れみの感情を確かに感じる声音に、人間味を感じて僕はわずかに落ち着きを取り戻す。 【……三つ、問答を許そう。関連する問いは数には入れぬ。水鏡に座して問え】 まだ信頼したわけでもないが他に成すすべもなく、黒い水際に座った。 磨かれたように僕を映すそれは確かに水鏡という名に相応しい。 「……じゃあ、一つ目。あの方とは誰なんです?」 他に何かがいるのかと、戸惑う僕に水鏡の向こうの影が答える。 【かつては我と同じ“創造主”の一柱。我が誕生と引き換えに滅びゆくはずだった存在】 声は続ける。 【それを現世に引き留め、身体を与えて神に堕とした。この世界の唯一の神】 本に囲まれた、黒い影法師のような姿が脳裏に浮かぶ。人と違う身体を持つ異形の神。 「神……つまり、あの目の多い存在はかつての世界の創造主?」 よくわからないながらも整理をしてみる。 【そうだ。旧き世界の残滓、我も及びもつかぬ存在の意思】 手も触れずに人々が屠られ、赤く彩られた砂漠を思いだしてゾッとした。あの時の神の問いかけの無垢さを思い出して心が冷える。 (神様だから分かり合えないのではなく、最初から異質だかったから……?) 問いたいことは山ほどあるが、質問は限られている。少なくとも関連しなくてはならない。 「じゃあ……貴方は、神様とは違う存在ということですか」 【我は“世界を創りしもの”この星、この惑星、この宇宙を創る存在。今のあの方とは根底が違う】 言葉の意味の自体はよく飲み込めない。 しかし、その声は確かにーー何かを作り、あり続ける者が持つ無感動で途方もない説得力があった。 (意味を深追いすると違う質問になりそうだ……せっかく神様についてわかるのなら) 少なくとも、鏡の相手は問えば答えてくれる。 「二つ目。神様はここでなにをしているんですか?」 【人を知りたいとおっしゃるのでこの場を与えた】 「人を…?」 【願いとは単純な欲望。それならわかりやすいだろうと、人の願いを叶えるよう縛りを与えた。“最果てにて1人にひとつ】 「縛りを……なぜです?そのせいで悲劇が起こっているのに」 本から見せられた不思議な光景にはどれも神が願いを叶えたせいで不幸な結末が待っていた。 【あの方の古い力は強すぎる。私の世界の均衡を崩しかねないほどに。何をも出来るが、何をも壊しかねない】 「じゃあ、あの無数の本は神が作ったわけではないのですね。あれは一体……?」 自然と口をついた疑問にハッとする。 3つ目の疑問になってしまうだろうかと、おそるおそる水鏡をうかがう。 【あれは、この世界の全ての亡くなる寸前の人の願いが結晶化したモノ。人の願いを通して感情を読むことで理解できることを、求められたのでな】 何事もなく神の関連として質問が通ったので内心胸を撫で下ろす。 (それにしても、そんなに人間を気にする存在には見えなかったけど……) 確かに自分に感想を求めてはいたが。 わからない。人を知りたいーーあの神が? 確かに目が覚めた時に、無数の本に囲まれた中に長い爪で不器用にページをめくる神を見た気はした。 (この創造主様と違って“旧い”世界の方だとしてもそんなに人間ってわからないものか……?) 考え込んでいた僕に創造主が平坦に告げる。 幼い無垢な声と老いた狡猾な声の響き。 【三つ目を問え】 最後の質問はもう決めている。 黒い水鏡に映る僕がぎゅっと拳を握った。

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置いていかないで

どうして、が胸につっかえる。 言葉にしても、答える貴方はもう居なくて。 もっと喋りたかったよ。 もっと会いたかったよ。 もっと一緒に笑いたかった。 貴方が去った悔しさを噛みしめる。 涙で溢れたこの気持ちを、貴方だけが知らない。 ーー私を置いて逝かないで。

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Usさんの文章イメージ

Usさんのイメージは 炭が入った囲炉裏の炎が浮かんできました! 優しいパチパチとした音や、炭を赤く燃やす熱、激しさと暖かさが混ざる火の演舞。 最初はイメージが暖炉と囲炉裏とで区別つかなかったんですが、画像検索したら暖炉ではありませんでした笑 すっごい世界観が美しくて、はじめびっくりして打ちのめされた感じがしました それがまた心地よいのです、まさに才能を感じました(どの目線よ) ご本人様とのやり取りは丁寧かつ腰が低くて、憧れますね ファンなので(宣言2回目)これからも読みに行きます、よろしくお願いします

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だkedさんの文章イメージ

だkedさんのイメージは 夏の学校のソメイヨシノの木が浮かびました! 広葉樹の葉が青々と広がり、でも葉影の影もしっかり濃くて 学校の窓の日差しの反射を受けながら、清々しく根を伸ばしている そんな感じがございます だkedさんは青春の闇や光をきっちり丁寧に捉えて切り取るのが上手い方だなー、と読んでて感じました! やり取りしてるとライトで気さくでしっかりしている方だなーと思います これからもどうぞよしなに

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【第二章】第六幕 染められた砂漠

 ページをめくるように、僕を残してまた景色が変わっていく。 砂漠に兵が列を並べ大戦の時が訪れる。  戦士は騎乗しており、この本の文面がまた頭上に現れた。 『この日が来てしまった。あの日から老婆の預言は胸に引っかかり続けている。いや、信じてしまったのかもしれない。最後まで老婆を笑うことは、私にはできなかった』 合図と共に気合いの雄叫びが周囲を包む、開戦の始まりだ。 文字は続き、戦士を中心にまた物語は進んでいく。 『王は、我が国の勝利を願えと言った。しかし、それで本当に真に平和が来るのだろうか。あの強欲で冷徹な王が、国ひとつをもぎ取ったところで満足するのだろうか?』 混乱と怒号の中で、彼は先陣をとって道を切り開いていった。 嵐のような中で、僕はただその時を待つ。 『私はどうなってもいい。平和な世の中が来るなら、この身が犠牲になろうとも。神よ、もしおられるなら平和な世をこの地にーー!』 声に出したわけでもないその文字に、戦士の心に応えるモノがいた。 【それが、お前の望みか】  風も、叫び声も、ひずめの音もなくなる。 男の低音、女の高音、そして獣の声を混ぜた独特の声音だけが降る。  同時に戦士と僕を残して、石像のように全てがと止まった。  忽然と目の前に現れるのは、長い影のような黒い姿。 『な、なんだ』 端正な人形のような顔に三つの目と五つの瞳を持ち、鱗がある両手と翼のある耳を備えるその容姿に、気圧され戦士が後ずさった。 【私を呼んだのは、お前だろう】 『神とは……このような、いや。このようなことができるのは、神しかいない』 【願いを、叶えるか?】 神はそう言って、笑いかける。 『ああ、頼む。俺はこの国の平和を願う』 決意をしたように、固く拳を握った戦士に神は告げた。 【汝の名と、願いにかけて、承知した】  次の瞬間、戦場が赤く染まった。 「えっ?」 見ていた思わず僕も声が出た。 『はぁ……?』  すでに神の姿はなく、見渡す限りの赤、赤、赤。 本の中で、生きているのは戦士だけだった。 敵味方関係なく砂漠に転がっている。 『なぜ……なぜ、皆が犠牲になっている……?』 『わ、私は平和を願ったはずだ!おい起きろ、お前は帰ったら結婚の予定だったろ⁉︎お前も、娘が待っていたはずだ!』  狂ったように戦士は近くの兵士達が生きていないか順に確かめていくが、誰一人として一目で息をしていないのが、わかる有り様だった。 『誰か、誰でもいい!生きている者はいないのか!!』 その時、遠くから馬の足音がした。 『「預言が当たりおったわ、凄まじい有り様じゃ!」』 『預言殿……』 真っ赤に染まった戦士を、老婆が服が汚れるのも構わず抱きしめた。 『お主だけでも生きていて上好じゃ。何があったか話せるか?』 虚ろにうなずくと、戦士は簡単に話すと呟く。 アレは神ではなく悪魔ではないかと。 『「それは間違いなく神でいらっしゃる。神はワシらの想像をはるかに超えるお力と考えをもっておられるのじゃ。だから、落ち込むでない。幸いおぬしは生きとる。共に国に帰ろうぞ、寝床で休め」』 老婆の腕の中でしばらく、戦士は肩を震わせて嗚咽をこらえていた。 文字は綴る、戦士の頭上に。 『国へ帰った私は、なぜか神を召喚し勝利をもたらした英雄としてもてはやされ、かつぎ上げられた。老婆の仕業とも、神の仕業ともわからぬそれに、私はただ流されるしかなかった。抗う気力も、戦う労力もなく、ただ与えられた仕事に没頭をしていた。自死を考えた時には遅く、英雄という名の重みに足枷をつけられていた。そして年老いて病魔でこの世を去った。最後まで自責の呵責と平和を祈りながら』 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 本が閉じる音に目をつむった。あの砂場に一面の赤色が、頭からこびりついて離れない。 「なぜあんなことを……?」 【戦を終わらすには戦える者、戦いを指導する者を無くさなければならない。あの場にはそれがそろっていた】 「もっと違うやり方があったのではないですか!神様なんでしょう!?」  女々しい事を言っている自覚はあった、終わったとうにはるか昔のことだ。見たものへの八つ当たりだったかもしれない。でも異形の神を責めずにはいられない。 【戦う意志を無くすよう洗脳してもいいが、私が姿を消せば効力は継続しなくなる。効率がよかった】 ーー絶句した。  でも、そうだ。これは、神だ。人ではない。 外見も中身も。 人の倫理など関係ないのだ。 【戦士は平和を望んだ。その国は戦士が死ぬまで平和が続いた。方法までは指定されていない】  神はうつむく僕の様子にも気付かずに続ける。 【だが、なぜ戦士は苦しんでいた?なぜあの時に泣いていた、お前にはわかるか】 「………」    言葉が詰まる。なんとか舌を動かして答えた。 「神様、には、わからないと思います。絶対」  足が自然とその場から離れる、神も逃げるように遠ざかる僕を止めたりはしなかった。  感情が溢れるがままに書庫をがむしゃらに歩き回る。 なるべく神から離れるように。 (ーーもし戦争がこの世からなくす方法があれば×××は×××にすんだのにーー)  はっきりしない思考がよぎったとき、頭に痛みが走った。 第二章 終

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【第二章】第六幕 染められた砂漠

チドさんの文章イメージ語り

チドさんのイメージは 夜空のオーロラが浮かびました! 神秘的ですねー、読んでてすぐに浮かび上がったのコレなんですよ でも夜空は冷たい寒い感じではないですね 文章力足りなくて表現が占い師じみてきた笑 すいません、チドさん 点々と置かれる、文体と表現がとても詩的でときおり官能性すら感じてします やり取りすると明るい方で、🥋のスタンプが印象的ですね!押忍!って勝手に脳内変換されてしまいます笑 これからもどうぞよろしくお願いします

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はるきちさんの文章イメージ語り

はるきちさんは 黄色いハンカチのイメージが浮かびました! 木綿じゃなくて、タオルタイプでふわふわの吸水力がいいやつ! 刺繍入ってますね、小さなうさぎ これだけでは何なので笑 暖かな文章を書く方だなぁ、と思ってます あと明るくて優しい人柄がうかがえて素敵な方だなとやり取りして感じました! ちょくちょく読みに行くので、これからもよろしくお願いします!

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(相互さま限)貴方の文のイメージ語ります

こちらは『貴方の文章は』の派生企画になっております! 私、のぎは人の文章に対して共感覚?というものをもっています(あんま人に話したことないけど) 共感覚とはあるひとつの感覚に対して異なる種類の感覚を自動的に生じる知覚現象…… 例えば、数字を見て色を感じるとか 音に対して味やカタチを感じるとかですね 人それぞれらしいんですが 私の場合は、人の書くある一定の文章量を読むとふとイメージが浮かんできます 今回フォロワー限定にさせていた理由は、なんの根拠もない感覚だから責任とれないのです! という、 まったくの臆病心からです笑 興味のあるフォロワーの方はぜひぜひ気軽にコメント欄にていただけたらと思います! あ、すでにコメントいただいたはるきちさんありがとうございました! 追記、すいませんが事情があり相互さま限定にさせていただきました。 7月2日、追記 一旦締め切らせていただきます、沢山の方のご参加ありがとうございました!交流もできて嬉しかったです♪

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