月城家
4 件の小説月城家
初めまして!いじめや、虐待などを乗り越えて、歌い手活動を頑張っています! 今苦しくて辛い思いしている人に小説や音楽を通して背中押せるような作品作りを頑張っていきます!よかったら応援よろしくお願いします!
月城家
ベッドに座り込む。 静かな部屋。 でも、頭の中は違った。 【叶蒼】「……本当にいるのか」 【大翔】「いるって言ってんだろ」 ため息混じりの声。 【大翔】「しかも俺だけじゃねぇ」 【叶蒼】「は?」 ——ぱたぱた 【快】「ねぇねぇ!だれー!」 【叶蒼】「っ!?」 【大翔】「快、落ち着け」 【快】「やだー!」 【蒼羽】「ちょっと、びっくりしてるでしょ」 優しい声が割って入る。 【叶蒼】「……誰」 【蒼羽】「蒼羽だよ。よろしくね」 さらに、落ち着いた低い声。 【優】「状況を整理する」 【彩桃】「固いなぁ〜」 【優】「君は一人じゃない」 沈黙。 【優】「俺たちは“月城家”」 【優】「君の中で生きてる存在だ」 言葉が、重く落ちた。
知らない帰り道
目を開けたとき、最初に思ったのは—— 「ここ、どこだろう」だった。 見慣れない道。 知らない帰り道。 ポケットのスマホが震える。 画面に表示された名前。 ——大翔 「……誰?」 震える手で開く。 『勝手に出て悪かったな』 「は……?」 意味が分からない。 『でも大丈夫だ。ちゃんと帰れる場所にいる』 「ふざけてるのか……」 その時—— 【大翔】「遅ぇよ。やっと気づいたか」 「っ!?」 周りを見る。でも誰もいない。 【叶蒼】「……どこにいる」 【大翔】「ここだよ」 【大翔】「お前の中」 心臓が跳ねる。 【叶蒼】「意味分かんねぇよ……」 【大翔】「まぁ最初はな」 少しだけ、優しい声になる。 【大翔】「でも安心しろ」 【大翔】「俺がいる」 ——その言葉だけが、妙に安心できた。
2人の僕〜続編
朝の光は優しく静かに、僕の部屋を満たしていた。カーテンの隙間から差し込む陽射しが、まるで昨日の涙を拭うようにカーペットの上に広がっている。 ――生きている。 まだ信じられない気持ちだったけれど、ベッドの中で、僕はそっと腕を伸ばした。指先には、昨日貼られたばかりの小さな絆創膏。痛みは、もう前ほど怖くなかった。 ゆっくりと起き上がる。鏡の前で髪を直しながら、ふと自分の目が、以前より少しだけ温かくなっていることに気付く。 朝食のパンをゆっくりと噛みしめる。いつもは味さえ感じなかったはずのバターの香り――今日だけは、不思議なほど鮮やかに舌に残った。 家を出て、街の空気を吸い込む。行き交う人の波の中で、不意に足がすくみそうになる。それでも、大丈夫――君の声を胸の奥で思い出す。「大丈夫、そのままの君でいいんだよ。」 そして学校――。廊下の片隅、窓際に君が立っていた。小さな鞄を抱えて、こちらに手を振る。その姿は、ありふれているのに、まるで新しい世界の入り口みたいに眩しかった。 「おはよう、よく眠れた?」 笑顔ひとつで、胸の奥にぽっと火が灯る。 「うん、おかげで。」 答えながら、昨日までの暗闇が少しずつ遠ざかっていくのを感じていた。 ――でも、心の中の影は、まだ完全に消えたわけじゃない。 昼休み、ふとした拍子に胸がぎゅっと苦しくなる。周りの声に紛れて、今にも涙がこぼれそうになる。そんなとき、君がそっと机の下から小さなメモを差し出してきた。 「無理しないで、ここにいるよ。」 丸い字で綴られたひと言。それだけで、息をつくことができた。 夜が明けたこの世界でも、影は消えない。だけど、“光”をくれる誰かがいるだけで、歩いていける――そんな小さな確信が、静かに心に根を下ろしていった。
二人の僕
夜は、まるで底の見えない湖のように深く、静かだった。窓の外では、街灯すら霞んで、ただ黒い闇が部屋の隅々にまで染み込んでいる。ベッドの上、僕はじっと天井を見ていた。 けれど、僕の中は静かじゃなかった。僕ははっきり、二つに裂けていた。 ひとりは冷たく肩をすくめ、目を閉じながら呟く。「もう疲れた、もういいよ」と。 その声は、どこか遠く、氷のように静かだ。 「ねえ、もうやめようよ」 死にたい僕が、ぽつりと言う。 「どうせ明日も同じだ。辛くて、苦しくて、傷だらけで…また絶望と一緒に目を覚ますだけさ」 一方で、もうひとりの僕は、暗闇の中でかすかに拳を握っていた。必死に、何かを探している。 「それでも」 その声は、震えているけれども、たしかな熱を帯びている。 「でも、それでも生きたいんだ」 「君が――あの人が、笑ったときの顔、もう一度だけでいい、見たいんだ」 沈黙が落ちた。 その空白の中で、死にたい僕が小さく嗤う。 「傷だらけの僕なんて誰も必要としないさ。こんな醜い自分、どうして…」 でもそのとき、不意に――胸の奥から、柔らかな光が滲むように蘇った。 あの声だ。優しくて、ほんのり温かい、君の声。 「大丈夫。そのままの君でいいんだよ」 まるで包み込むように、そっと背中を押してくれる。 気がつくと、死にたい僕の手にも温もりがあった。掌に、小さな絆創膏が貼り付けられている。君が、僕の傷を見つけて、そっと貼ってくれた記憶。 「痛いね」と君が言う。 「うん」と僕は頷く。 「でも――まだ歩けるよ」 その瞬間、どちらの僕だったのか分からないけれど、瞳から涙がひとしずく、ぽつんと零れ落ちた。 夜に閉ざされた部屋で、二人の僕は、初めて同じ方角を見ていた。僕が生きていた証や痛みを、どちらも抱きしめて。もはや敵と味方じゃない、二つに裂けた心が、ゆっくりと融け合っていく。 そして、やがて――黒い夜の向こう側で、東の窓から淡い朝焼けが差し始める。 僕は顔を上げる。 この新しい朝を、君とまた迎えるために―― まだ歩き出せる。 たとえ同じ痛みを抱えても、君がくれた光を信じて、歩き出せる