YasuAki小説執筆中…(›´ω`‹ )

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YasuAki小説執筆中…(›´ω`‹ )

Pixivにて小説執筆中&ニコニコ動画で「叩いてみた」配信中ヽ( ▼∀▼)ノ フォー!!最近はアニメ&本の虫((((( ´・ω・`)ブーン 演奏のお誘い等はtwitterのDMでΣd(。・`ω・´)ビシッ!!

執行人 #2

「しかし、とんでもない処刑方法を思いついたよな。人外に殺させるなんて」  ぞろぞろと続く列を眺めながら、マイクはどこか遠い目をして言った。絞首刑でも電気椅子でも、ひとおもいに殺してしまえばいいのにと思っていからだ。しかし、警察内部の一部の人たちは、殺された被害者と同じ恐怖を味合わせてやりたいとかなんとか言い出し、しかも死体処理までしてくれるなんてラッキーじゃん的なノリでこの方法が正式に決定したのだとか。支持率低下がと言っていた割に、大統領然り、アメリカ政府も案外適当なようだ。 「接触した! 周りを囲い始めたぞ。おっ! 覆い被さるようになんかしてるな? ……あれは、もしかして……」  チャーリーもマイクも実際の現場を見るのは初めてである。ナイトマーチャーズは人を食べると話では聞いていたが、かなりの生々しさだったのだろう。双眼鏡を覗いていたチャーリーは見るのをやめ、スッとマイクに手渡してきた。青い顔で口を押さえている。マイクはそれを受け取ると、蟻のような列が群がって膨らんでいる場所を双眼鏡で覗き込んだ。確かにチャーリーの言う通り、覆いかぶさるようにして囚人を襲っているようだ。  しかし……  ここから場所は離れているものの、人外がぐちゃぐちゃと人を食べている音が耳元で聞こえてくる気がしてならなかった。すると、一人の立派な髭面をした男が、何か片手をあげていた。マイクはその先を凝視するように見る。男が手に持っていたものは……  引きちぎられた人間の腕だった。そして、男はそれを口元に持ってくると、執行人たちに見せつけるように美味しそうに食べ始めた。  マイクは慌てて、双眼鏡から目をそらした。腹の奥から熱いものが込み上げてくる。隣にいたはずのチャーリーはすでにおらず、どうやら茂みの奥の方で吐いているようだった。  マイクも我慢できず、茂みの奥に逃げるように駆け込むと、胃の中のものを勢いよく地面にぶちまけた。  奥からふらふらしながらチャーリーがこっちに向かってくる。 「大丈夫か? って俺は大丈夫じゃないけど……」  チャーリーは青い顔をしながら聞いてきた。 「さすがにきついね……」  生きたまま食べられる感覚とは一体どんなものなのだろうか。 「でも、これで処刑は確認できたし、あとは群れが消えるのを待つだけだな」  任務無事終了とばかりにチャーリーは言った。  監視していた場所に二人で戻ると、列はずっと先の方まで伸びて、先頭は全く見えなくなっていた。マイクは列の後ろの方を確認する。現代風の格好をした人々が目についてきた。Tシャツに短パンや水着姿の者。肌の色は小麦色に焼けていたり、中には透き通るようなまっしろな者までいる。恐らく、さまざまな人種の人たちが混じっているのだろう。 「もうすぐで列が途切れるぞ」  まるで、チャーリーのその言葉が合図かのように、海と空が白く染まると、その隙間から丸く大きな太陽が「おはよう諸君」と言わんばかりにひょこっと顔を出した。それと当時に、ずっと先まで続いていた人々の群れは、霧のように霧散しはじめ、太陽が完全に昇る頃にはその姿を消していた。 「終わったな」  チャーリーは言った。 「ああ、もう二度とごめんだね」  マイクはそう返した。  砂浜に残された血痕は、押し寄せる波によって綺麗に流されていく。 「そういえば、ナイトマーチャーズってなんで匂い嗅ぐんだろうね。目が見えてないとかなのかな?」  チャーリーは唐突には変なことを言いだした。そんなことをマイクが知るわけもない。 「さあ。でも、今のお前なら遭遇しても大丈夫かもな」 「なんでだよ」  不思議そうな顔をしてチャーリーは言った。 「だって、ゲロ臭いじゃん」 「そりゃ、お互い様だ」    波の音をかき消すように、男二人の笑い声が響いた。

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執行人 #2

執行人 #1

「ほら、来たぞ」  茂みに隠れながらチャーリーは言った。  海の中から人々の群れがぞろぞろと砂浜に上陸してきた。  手には槍のようなものを持ち、立派な髭を蓄え上半身は裸で腰蓑を巻いた者や、膨らんだ双丘を露わにし、フリフリとした腰蓑だけで何やら不思議な踊りを踊っている者、首から小太鼓を下げてタンタンとリズムを刻み、時々手に持ったスティックをくるくると回しては無表情で演奏し続けている者。  彼らの顔からは生気は失われ、目は虚で、ただひたすらダイヤモンドヘッドを目指して列を作って行進している。 「しかし、こんなの監視する必要があるのかよ」  マイクは口を尖らせ不満そうにチャーリーに言った。  西暦二〇三六年。チャーリーとマイクはハワイ州ホノルル警察の保安官兼死刑執行人代理である。  そもそも、ハワイは死刑が廃止されていた州であった。しかし、二〇二八年に起こった”ワイキキビーチ無差別銃乱射事件”を皮切りに凶悪な殺人事件が年々増加。あまりの犯罪率の高さに、自身の支持率低下を危惧した現アメリカ大統領がハワイ州の犯罪抑制と銘打ち、翌年に死刑制度を復活させた。  当時、死刑制度の復活は人々に賛同されていた。強盗や強姦、人殺しが日常茶飯事になりつつあった当州の犯罪数が、目に見えるように減少傾向になってきていたからである。  しかし、そううまくいかないのが世の常と言うもの。  凶悪な犯罪者が減った一方、力を持ちすぎた警察組織は力を持て余し、軽犯罪でも容赦なく逮捕。酷い時にはそのまま刑務所に投獄される。 「罪は罪」  情状酌量と言う言葉は、いつのまにか辞書から姿を消していた。  市民の不満は徐々に膨れ上がると、次第にあちこちで暴動が起きるようになっていた。  そして、毎日のように行われる警察と市民の衝突。それは日が追うごとに過激さを増し、終いには内戦へと発展していく。二〇三三年にはその内戦も終結はしたが、各地の爪痕は今も尚多く残され、人気観光地として栄華を誇っていたハワイの姿は見る影もなくなっていた。 「あそこまで拘束してたら逃げ出すことはないと思うけど、一応は消滅の確認しなきゃだし、なんでも、親戚いたらだめとか言う例外があるじゃん。って、昔の人たちすぎて親戚とかわかるのかよって感じだけど」  チャーリーがそう言うと、マイクは群れが向かっている先の砂浜でモゴモゴと蠢いている塊に双眼鏡を向けた。なかなか生きがいいみたいだ。頑張って立ち上がろうとしているようだった。 「しかし、立ち上がって逃げたりしないのかね?」 「大丈夫だって。足の腱切ってあるし」  双眼鏡をチャーリーに渡し、それを受け取りながらも彼は怖いことをこともなさげに言った。 「今回のは奴は快楽殺人犯だっけ?」  マイクが列の先頭を眺めながら聞いた。 「そうなんだよ! 何人殺したと思う? 十二人だぞ、十二人! しかも全員五歳くらいの小さな女の子。捕まった時も薄気味悪く笑ってたみたいだし、それからも全く反省の色がなかったんだってよ! まじで狂ってやがる!」  チャーリーは怒りに声を震わせながら言った。おそらく、自分の妹と同じ歳くらいの子が殺されたのが許せないのだろう。何よりも、彼は重度のシスコンなので尚更なのかもしれない。 「十二人は確かにやばいな、って人数の問題じゃないけど」  あと何分もしないうちに人々の群れは拘束された殺人犯のところまで到達するだろう。そして、死刑囚の匂いを嗅ぎ、そのままあの世に連れ去ってしまう。もちろん、死体は跡形も残らない。そして、次に群れが現れた時には一番最後尾に彼の姿が確認できる。 「あっ! もうすぐ接触するぞ」  双眼鏡を覗きながらチャーリーは言った。  サラサラと吹く優しい海風に乗って、汚い悲鳴がうっすらと聞こえてくる。

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執行人 #1

アイスコヒー

 カランとグラスの中で氷が転んだ。  季節は夏真っ盛り。  冷房の効いたこの部屋で、ダイニングチェアに座った彼女は不機嫌そうに口を尖らせている。ただじっと、何かに耐えるように、俯きながら表面の濡れたグラスを見つめていた。  テーブルの上には整列された文字の中に、独特な形をしたかわいらしい文字や、主張が強い赤色で丸やらバツやら数字やらが書かれた紙が数枚置かれている。 「愛美、わかってるの! こんな点数とってて、総武高校受かると思ってるんじゃないでしょうね」 「だから、お母さんが行けって言った高校は行かないって言ってるじゃん! 私は自分で行きたい高校探すの!」  愛美は椅子から立ち上がるようにバンとテーブルを強く叩いた。  ガタンとグラスが揺れ氷が跳ねると、一緒に跳ねた液体が少し溢れた。溢れた液体は紙に飛び散り、白い部分をじんわりと茶色く染めていく。 「お母さんはあなたのためを思って言ってるの! 良い高校入って、良い大学に行って、良いところに就職して良い男を捕まえなさい!」 「良い高……って、なんでこの歳で結婚のことまで言われなきゃいけないの!」 「お父さんを見てみなさい! 三流大学を出て会社に入って、係長になったのは大分前。一向に出世する気配もないし、学歴のせいで良いところの転職もままならない。あなたにはこんな思いしてほしくないのよ」 「それはお父さんとお母さんの問題でしょ! 子供の私に押し付けないで!」 「あなたには幸せになって欲しいから言ってるの!」 「今だって十分幸せですぅ!!」 「だから、そういうことを言ってるんじゃないの! あなたの将来のためを思って——」  そしてかれこれ三十分ほど押し問答が続いた。  大きな声を出していたせいか、愛美はどうやら喉が渇いたようだった。目の前のグラスを手に取り、その小さな唇をグラスの縁をかけると、グイッと喉に流し込んだ。 「苦っ……」  透明な甘い水も白い乳水も入っていない。溶けた氷と混ざり、薄くなっただけの黒い飲み物。 「ぷっ……」 「な、なにがおかしいの」 「愛美はまだまだ子供ねってことよ。アイスコーヒーもブラックで飲めないなんて」 「そ、それは今関係ないでしょ! コーヒーなんか、べ、別に好きじゃないけど、努力すれば飲めるようになるし……」 「はいはい。それじゃ総武高校に入学できるように勉強も努力しなさい」 「また話し蒸し返した! だから私は行かないって言って——」  いつの間にか、グラスの中の氷は全部溶けていた。 味の薄くなったアイスコーヒーは、きっとこのまま排水溝に流されてしまうのだろう。  テレビの前で丸くなっていた私は、大きく欠伸をすると、親子喧嘩を横目に夕食の時間まで再び寝ることにした。  今日のご飯はなにかな。  ごろにゃ~♪

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アイスコヒー

打ち上げ花火

 床に新聞紙を大きめに敷き、真ん中に白い画用紙をセット。  絵の具にパレットに筆と……おっと!バケツに水を入れて準備しなきゃ!  ストロー君は今回使いません。  だって、君を使うと頑張り過ぎて、息がハアハア切れちゃうから。  君の出番はまた次回。  まず、絵の具をパレットの小分けにされた、溝? に出します。出す色は自分の好きな色でOK!  さんさん太陽の赤色でも。  えっ? 太陽は黄色じゃないかって?  うーん、そうだな。よし! 赤と黄色を混ぜちゃおう!  二つの色を同じ溝? に入れてっと。  じゃじゃん! ここで筆君の登場だ!  マダラにならないようにしっかりとかき混ぜて——よしできた! キレイなオレンジ色の出来上がり。  オレンジ色と言ったらオレンジの色。  僕の家は白だけどね。  ……ここ笑うとこ。  さてと、気を取り直して続き続き。  俺ん家色の隣には、大きな海の青を入れよう。  空の方が青いよとか言う君には、もくもく雲の白をあげる。えっ、いらない?  もう、白だけにしらけるなぁ。  ……ここ笑うとこ。  おっと、脱線。よくないよくない。  青のとなりはもちろん緑。緑色代表と言えばこれしかない!  せーの。 「ナメック星人」  今まさに、誰? って顔してるね。  仕方ない、教えてあげよう。  ナメック星人とは、ナメック星という惑星に住む人型の宇宙人のことで、顔には触手と尖った耳があって、体毛はなく、肌の色は緑色なんだ。血の色は僕たち人間と違って紫色をしていて……  紫色の血って気持ち悪いね。赤血球ならぬ紫血球ってことか。じゃ、紫色はナメック星人の血を使おう!  って、おらんがな!  ……そろそろ傷つくよ。  さぁ、ここからが本番です。  筆を水に浸して絵の具とまぜまぜ。ありゃりゃ? さっきのオレンジ色がついてる。  まぁいいか。ではでは、最初はオレンジ色で殺ってしまおう。  絵の具少々、水分多め。画用紙の上からぽたりと垂らす。  絵の具の混ざった水滴は、画用紙にぶつかり弾けて飛び散る。  垂らす高さを変えるだけで、飛び散る大きさは変わっていく。  最初は10センチ。次は20センチ。秒速は5センチメートル。  これが小さな君にも簡単にできる「ドリッピング」って言うアート技法さ。  白い画用紙に色とりどりの絵の具を垂らすだけで、なんと! 打ち上げ花火のような模様が簡単にできちゃう!  本当、素晴らしすぎて鼻血ものですよ。  さてさてオレンジ色も飽きたから、次は青いの殺っちゃおう。  バケツに筆を入れてグルグルとかき混ぜて。さっきまでついていたオレンジ色をキレイにしなきゃ。  キレイに絵の具が落ちたところで青色つけて、画用紙の上からぽたりぽたり。  ところどころでオレンジ色と混ざって、ぐにゃっと色が滲んでる。これはこれで、趣があります。  さてさて次は緑色。  バケツに筆に以下省略。  ぽたり。    ぽたり。  いい感じ!  さて次は——あれあれパレットに色がないね。  何色だそうかな?  黄色と赤は弾けて混ざって、青色とフュージョンして、緑色は以下省略。  あっそうだ!  不思議な「絵の具」があるの思い出した。  なんと! 乾くと色が変わるんだ。  これまた、打ち上げ花火が儚く闇に消えていくように、キレイな赤色が黒くなるのさ。  ではではその「絵の具」を少しいただこうかな。  大丈夫だよ、痛くしないから。  最初はチクっとするけれど、すぐに気持ちよくなるからさ。  例の道具はどこにあったかなぁ——あった!  はいはい動かないでね、って動けないか。  ちょっと失礼。  プスッと刺して——って、やば! 空気入ってた!  ——まぁいっか。  さてさて、あれれ? 色が出てこないぞ?おかしいなぁ。  あっ!そっか。  さっき全部出して使っちゃったんだった。  失敗失敗。  おっ!窓から綺麗な花火が見えるね。  そう言えば、今日は海の方で花火大会だったっけ。  確か近くの神社でも屋台が出てたはず。  よし! お腹も空いたしちょっと行ってくるよ。  それに、新しい「絵の具」も調達しなきゃだしね。

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打ち上げ花火