りょう

20 件の小説
Profile picture

りょう

泥(仮

父と母からは想像どうりの答えが帰ってきた。 「え、何言ってんの?」 分かっていたはずなのにやっぱり、ちょっと悲しい。 「私、東京に行く。 上京するの。」 私は空気が読めない。だから何度も言う。 【東京に行く。】 「夢を潰すようで悪いけど、無理。」 母からこんな言葉が飛んできた。 「大学を東京に選べばいいやろ?」 父も言う。 私は空気が読めない。 だから諦めない 「私は、高校生で上京する。 仕送りも要らない。縁を切られてもいい。1人で生きていきたい。もう、みんなに迷惑はかけたくない。社会を知りたい。」 2人とも黙ってしまった。 「東京に行ってもいい?」 今の空気で聞かない方が良かったのは何となく分かっていた。 でも、私はどうしても東京に行きたい。 「今日は、もう寝なさい。」 母が言った。 「おやすみ。」 私は階段を登る。 布団には入らず、2人の話を聞いていた。 最初はひそひそと話していたが、だんだん声が大きくなり、口論へ発展して行った。 【YouTuberになる】こと言わなくて良かったなぁ。私はそんなことを思いながら突っ立っていた。

5
0

泥(仮

「あ、父さん。母さんは?」 今日から学校があった。授業はなく、先生は高校の特進クラスについて話していた。私には関係ない。そう思っていたが私の計画を知っているのは親友一人。当たり前だ。みんな 「一般?特進?」 「ウチらみんな高校でも一緒だねー」 と言っている。 私はその紙を握りしめ、帰路に着いた。 (あ、父さん。母さんは?) 自分で言ったことだが違う人に口を動かされている気分だ。緊張を通り越して泣きそうになってきた。父と母がダイニングテーブルに座った。私も座る。 「今日、このプリントもらった。」 握りしめたあとが着いているプリント。 【これからの進路について】と大きな字で書いてある。 「進路のことなんだけど、私」 息が詰まる。喉に空気の塊が詰まって取れない。 「特進でしょ?頑張ってね」 母が笑顔で答える。父も嬉しそうだ。 違う、違う。でも、 今は空気を読んで話さない方がいいのだろう。 でも、私は空気読めないから。 「違う。 私は東京に行く。一人暮らしをする。高校は、東京の高校に行く。」 言ってしまった。言葉はもう戻せない。 親はぽかんとしている。 「私は、上京する。」 「え、何言ってんの?」

3
0

泥(仮

「あんたかっこいいよ。最近元気ないの分かっとった。いつか死んでしまうんやないかって不安やった。」 私はとても嬉しかった。 絶対バカにされると思った。 あんたには無理だ。やめとき。そう言われると思った。 「ありがと」 これしか言えなかった。 「どんだけバカにされてもあんたの味方やから。」 そんな言葉を貰った。 相談する相手が出来て本当に良かったと思う。色々なことを相談して、誰にも言えなかった私の家庭環境も少しだけど話すことができた。 ああ、もう中2の生活が終わる…。 私は中3の初めに親にこのことを言おうと決めていた。 不安だった。 いつも親をガッカリさせて、怒らせて。 そんな自分を認めてくれるのか。 空気読め ここは空気を読んで諦めた方がいいのだろうか。 でも、 私は空気が読めない。 このことを逆手に取って、ちゃんと言おう。 私には味方がいる。 たった1人だけどすごく大きな存在が。

7
0

今日も怒られた。 私が全てわるい。 2階で勉強しちゃいけないのにしたし、 勝手に美容用品を買った。 あんたなんか要らない。 妹が可哀想。 もう疲れた。 警察に通報するぞ こんな言葉が投げかけられる。 家族は何も悪くない。 悪いのは全て私 泣いちゃいけいないのに勝手に涙が溢れて 必要とされていないのがよく分かる 学校にも居場所はなくて 家にも居場所はなくて どうしょうもない。 死にたい 何度思ったことだろう。 でも私が全てわるい。 だから生きる為に目標を作った。 達成するかなんて分からない。 実はもう達成しているのかもしれない。 ママとパパに 「愛されたい」

7
0

泥(仮

「私、東京に行こうと思ってる。」 即既読。 、 、 、 、 既読が着いてから5分たった。 返信はない。 私はLINEの画面を開いたまま固まっていた。 ピコン 「りょうはまた、うちから離れるんだね。」 中学の事だろう。私は言いにくくて、受験直前まで受験することを言っていなかった。 「でも、それがどうしてもやりたいことなんだったら応援する。りょうは親友以上の存在だから。」 久しぶりに聞いた私たちのキャッチフレーズ 「親友以上の存在」 すごく大好きな友達。喧嘩さえも楽しくて、いつまでもずっとこのままが良かった。 でも、私が1番したいことはなんだろう。 たとえ空気が読めて居なくても、私は私がやりたいことをやる。 どんなに言われても、私だけは私のことを認めたい。 次の返信はこうだった。

3
0

泥(仮

高校で岩手から上京することにそもそも親がなんというか分からない。 多分、絶対に反対するだろう。精神が安定しない時期があった私。今は、どこにいるのか分かるようにGPSが着いている。学校、家、気づいたらどこにも居場所はなくなっていた。私はYouTubeに逃げたのかもしれない。この人達なら私を認めてくれるかもしれない、と。 家族や友達が私のことをどう思っているのか分からない。何となく、嫌がっているように感じてしまう。 「空気読め」この言葉が私に降りかかる。 今はどうなるかわからないけど、上京するために学校に行ったり家族と一緒にいるようにしている。 行けるかもしれない。今1番やりたいことだから。 ほんのわずかの「希望」をもって私は這いつくばりながらも、生きている。 上京出来るかもしれない。 根拠のない想像。だけど、私は絶対に行く! という強い意志を持ってしまっていた。 自分で土曜は夜ご飯を作るようになった。休みの日にしかしなかったメイクも毎晩練習した。お小遣いも保険など以外自分で出すと何週間も掛けて説得し、増やしてもらい貯金している。 今まで120人中50位ぐらいだったテストも5位には入るようになった。 忙しい日々をすごしいると、いつの間にか年越しになっていた。 今まで誰にも言って来なかった私の生きる術。 小学校の親友にこのことを伝えた。 「私、東京に行こうと思ってる。」 会ってからじゃ言えない気がしてLINEでそう伝えた。

3
0

泥(仮

私が投稿した動画はダンス動画だった。流行りの音源を使った。なのに、再生回数は12回。1週間毎日投稿したが1番多くて57回だった。 このままじゃダメだ…どうしよう、 私の頭の中にグルグルと 「お前には無理だ、空気読め」 という言葉が流れる。 そんな自分に最初はみんなこんなもんだよ。と言い聞かせながら不安と戦っていた。 そんな時、あるアカウントを見つけた。私が推している「サイクル」というYouTuberの推し垢。しかし、フォロワーは1.1kもいる。フォロー中になっているのはインフルエンサーや芸能人だけだった。インスタには「お仕事はメッセージまでお願いします。」の文字が。 そして私は思いついた。 推し垢で有名になって、YouTubeの宣伝をしたらいいじゃないか! 私もこの人のように有名になれば東京で一人暮らしをして、チャンネル登録者数を増やせる こう思った。 私はすぐにアカウントを作り直し、サイクルの推し垢を作った。 名前は「推しが多い系の人間🐒」 1ヶ月ほど本格的な推し活を続け、インスタは600人。Tiktokは250人のフォロワーを獲得できた。 順調ではあるが、私は急がなければいけなかった。 サイクルは5人全員が25歳。全員彼女がいてもおかしくない。実際に熱愛疑惑があるメンバーもいる。もしかしたら、結婚して解散してしまうかもしれない。 私が大学生になったらもう30歳。今の勢いを捨ててのんびりコラボもしないスタイルになるかもしれない。 高校で一人暮らしをして1年後にコラボしたら…。サイクルは27歳。早いに超したことはないだろう。 しかし、 私の通っている中学は中高一貫校なのだ。清水中に通っている生徒は絶対に清水高に通うことになっている。私は余程のとことがない限り、清水高に通わなければいけない。 これは、空気を読めてないのだろうか。 でも、私は夢を追いたい。

2
0

大丈夫

私はなぜ存在しているんだろう。 生きている意味を見つけられない。 今すぐに死んでしまいたい。 でも、 私は死ぬことが出来ない。 死ぬほど嫌なことがないから、 分からないから、 大人はみな 困ったことは無い? 嫌なことはなんでも言ってね、 という。 でも、わからない。 だから私は 大丈夫です。 という。 自分が大丈夫なのかも分からない。 普通が分からないくて もう、分からないんだ

7
2

泥(仮

友達と話すことが大好きだった私の口は閉ざされていった。 楽しみが無くなった私は前から好きだったYouTubeにどハマりした。部活が終わったらすぐに帰ってYouTube。朝早く起きてYouTube。暇電も雑談LINEもしなくなった。もう、YouTubeがないと生きていけない。私がYouTubeに興味を惹かれたのは話すことが好きだった私と重ねていたのかもしれない。いつしかYouTuberが推しになり推しに会いたい!認知して欲しい!と思うようになった。 じゃあYouTuberになってコラボしてもらえばいいじゃないか! 中二の初夏、緑が美しく涼しい風が吹いている。 私は決心した。 大物YouTuberになる! 私がYouTuberになるメリットは沢山あった。 1 推しに会える。 2夢が叶う。 3元々の夢か作家→有名になって小説を出せば売れる! 私は、YouTuberになるために色々なことをメモしていった。 だが、現実はそう甘くはなかった。 私は岩手に住んでいる。しかし、推しはみんな東京にいる。つまり、コラボできる可能性は少ない。親にも言わないといけない。 だけど…私は親の手は借りたくなかった。嫌いだからだ。自分の力でやりたい。 しかも、1番コラボしたいサイクルというYouTuberはチャンネル登録者数が350万人を超える大物だ。私もすごく有名にならなければいけない。 とりあえずやってみよう!! 私はTiktokに動画を投稿した。

5
0

泥(仮

「人に雇われたくない」 私は小さい頃からずっと思っていた。 目立ちたがり屋で恥知らずという言葉がよく似合った。 人に指図されるのが大嫌いで親も先生も好きではなかった。そもそも大人が嫌いだったのかもしれない。 まあ、ひねくれてたのだろう。 友達が休んで1人になっても何も気にしなかったし、人と無言になって気まずいと思ったことはなかった。 そんな私が変わってしまったのはいつ頃だろう。 こんな性格ながら私の周りには友達がたけさんいた。私はすぐ驚くのでみんな面白がって私を驚かせた。そんなある日、普段は一緒にいない子に驚かされた。私は本心で驚いたが「今、気づいてたでしょ、」 と言われた。どうしてそんな風に見えたのだろう。私は気持ちに正直に驚いたのに何故か焦っていた。 その頃かもしれない。 自分のありのままで過ごしては行けない。変な人だと思われる。 そんなことを思った。 Twitterでも、 「私は肌が汚いから頑張って綺麗になってきたのに、肌が綺麗な友達に肌どうにかしたらって言われた…」 というツイートを見つけた。私の友達にも肌で悩んでいる子がいてその子から聞いたことを教えた。 すると通知が鳴り止まない。 「クソリプ」 「怖すぎ」 「バカにしてる。」 「自分語り」 「可哀想な中学生」 「自分の生き方に悲しくなったことないの」 「空気読め」 半年以上前のことだけど、どうしてこんなことになったのか今でも分からない。 いいね0、RT125件。物凄いことになってしまった。 ここで初めて「空気読め」と言われ、私が空気を読めてないことを知った。 これまでの行動ひとつひとつに「空気読め」と言っている友達の姿が浮かんできた。 「もう喋らないでおこう。」 そう強く思った。

6
0