林檎ノ芽
30 件の小説空気の薄い場所へ
いつもの様にご飯を食べて、 いつもの様に服を着替えて、 いつもの様に学校に行って、 いつもの様にバイトをして、 いつもの様に夜眠る。 ただ、 それだけだった ずっとずっと、 それだけだったから たまに後ろを振り返っては、 息が出来なくなる。 首を絞められているわけじゃない、 それは、 空気の薄い場所へ歩いていく様に 少しづつ、 少しづつ 白くなっていく。 前を向けばまた、 いつもの様に生活がある けして終わらない、 いつもの生活。 変わろうとしなきゃ変われない、 でも、 変わる勇気がないから ずっとずっとずっと、 空気の薄い場所から目を逸らして 歩いていく。
【詩集】空差し仰ぐ
雲の上の存在 私は何時もいつも、 貴女様の事を思っておりました 学び舎で挨拶をしたくれた貴女様 とても愛おしく思っておりました。 雲の上の存在だけど、 少し身近に感じてしまっていたのです。 それを知ってか神様は、 貴女様を傍に置くのです。 きっと、 私には過ぎた思いだったのでしょう。 机に置かれた白百合は、 貴女様のように美しく 凛と咲いていました。 今も尚私は、 貴女様の事を思っております。 空を切る 母はいつも空を見ていた 私が「なんかあるん?」と聞いても 返事がかえってきたことは無かった。 結局、 母の瞳は一度も私を映さずに閉じた、 それからは、 私もよく空を見るようになった。 「空、 綺麗やね ━━━━。 」 偽りの空 私の空は 変わらない 私の空は 動かない 私の空は 限りある それが 私の空 雲に泳ぐ鯨の日記 今日はとても天気がいい、 すごく暑い あまり進めそうにない。 今日は曇り空だ、 風はないけど少し涼しい 昨日よりは進めそうだ。 今日は恵みの雨だ、 乾いた肌が良く潤う だいぶ進めそうだ。 今日は風が強い、 向かい風が酷い 少しも進めそうにない。 今日は嵐の予感だ、 昨日から天気が荒れていた どこかで嵐をしのげたらいいのだが。 今日は久しぶりの晴れだ、 肌がヒリヒリする あの楽園まであと少しだ。 今日はとても体が軽い、 ふわふわとした所を泳いでいる 初めての感覚だ、 これが求めていた楽園? どんどん、 どんどん減っていく、 もうやめて ━━━━。 スマホに写る虹 12年間共に暮らした母が地に帰りました、 多くの親戚たちに囲まれ、 私はとても泣きました 泣かねばなりませんでした、 たとえ偽りでもソレは確かに私の涙でした。 私はある親戚の人に引き取られるようです、 今まで女手ひとつで育ててくれてありがとう 今日から私はいい子になります、 だってもう、 貴女達は居ないから。 車の窓に写る私のスマホには、 綺麗な虹が映り込んでいた。 私の知らない景色 貴方がいつもいつも空を見上げているから 私はいつもいつも地面を見ているの、 帽子を深く被り、 あなたの見えない景色を 私が変わりに見ているの、 だって、 私と貴方は2人で1人でしょ? 嵐の隣 私のクラスには嵐がいる、 いつもいつもクラスを荒らす まさしく、 嵐なのだ 私のクラスの嵐は愛情表現?が激しく その激しさのあまり周りから嫌われている 私よりも嫌われている、 だから、 私は嵐を隠れ蓑にする 許してね、 私は私が可愛いの あめもやう 雨降るゝ、 我が衣 恋慕なるは、 あめもやう ついぞ費える 雲のまにまに 雲移ろふ、 縁側に並び酒酒煽る 雲消ゆる、 閨に消えまぐはふ 中天 貴方と見るそれは、 一等美美しひ 浮かぶ月も流るゝ雲も、 澄んだ空気も眩い光も、 貴方がいるから、
水の中、唄う歌
水の中、 その冷やかさよ 浸食す 水の中、 その光の眩さよ 染み込むる 水の中、 ゆらゆらと流るゝを 揺るむ いづれも、 貴女思い出づ
飢ゑ
けう、 寝汚し 食う忘るゝは、 朝餉 学侶たるや、 学ぶ 学ぶたるや、 強いて勉めるゝ あゝ、 饑るし 煩わしきや 侘びしきや
熱病
間々あるゝ事よ、 床に入りゐむる、 熟寝移ろふ半ら 我が身蝕みうるは、 遠つ日 彼方ねもごろたる日日かな 瘧病のごとし其は、 猶 我が身蝕む、 熱病なり。
チウインガム
お前さんはいつも堅苦しゐ、 何年経つてもとれぬ敬語がその証だ 結婚して何年も何年もたつ 数十回目の結婚記念日を迎ゑる時、 今年は前と違つて敬語など使わぬお前さん 数十の歳が経つまで何度も愛を噛み与えたぶん やつと伝わつたと思えれば、 いくらかこの心の重荷も晴れろうに お前さんは変わつてもうた 「初めましてやんな、 菓子喰ふ? 今なチウイングガムしかあらへんねやけど。」 けうもまた、 お前さんは解けた言葉をはきだすんや
かきおき
これを読んでるってことは私は死んだのかな? それとも、 貴方がたまたまこれを見つけて読んでいるのかな? どちらにしてもこれは貴方のために書いたものではなくて、 私が私の尊厳を守るために書いたもの。 だから、 私が貴方に侮辱されないように貴方の知らない私を私のために綴ります、 例えば少し前に話題になった、 死刑になりたいから人を殺した人の気持ち、 私は分かるんだ、 貴方は「関係の無い人を殺すぐらいなら勝手に車で海にでも沈めばええんに」「ほんとに迷惑やわ」と、ニュースを見て言っていたけど強いあなたには私みたいな弱い人の気持ちは分からないんだろうね、 自分の体にカッターの刃を当てて死んでしまおうと力を入れても、 刃を動かせないの、 涙は流れ落ちてってそれでも動かせない自分がすっごく嫌になってこんなだから私はって、 何度も思った、 それでも私の手首は傷一つ無い綺麗なままで、 だから自分は傷付けられなくても他人なら傷付けられる思いに共感出来ちゃうこと、 他にも私は貴方の言葉通りに生きてきた、 貴方が「娘はチーズが好きなの」って、 言ったから私はチーズを優先して食べるようになった、でも黄色いチーズや貴方が好んで食べていた白いチーズは大嫌いだった事、 貴方が「娘は方向音痴だから」って、 言ったから車の窓から覗く景色に頓珍漢な場所を言った、でも1度通った道はちゃんと覚えてるし貴方がいない時に迷ったことが無い事、 貴方が「娘はズボンの方が好きみたいで」って、 言ったから私はズボンばっかり履くようになった、でも本当はワンピースやスカートの方が欲しかったし店員さんはスカートばっかり見てるのに気づいてくれてた事、 貴方が「娘はインフルエンザとかなったことないから」って、 言ったから小学校の時罹ったインフルエンザも忘れたし、 冬は好きな外遊びも封印した事、 貴方が「娘は運動できないから」って、 言ってたから好きだったバスケの習い事も辞めて、 体育の授業も見学してた事、 貴方が「娘はよく食べる子で」って、 言ったから食べてる途中でトイレで吐いてでもお兄ちゃんと同じ量を食べてた事、 私が担任に首を絞められて泣いて帰ってきた時、 貴方が「私の時はそんなん当たり前やったのに」って、 少しイラついていたからそれからは殴られても蹴られても泣かないように頑張った事、 後々周りから「娘さん学校で厳しくされてるみたいやけど大丈夫?」って、 聞かれて「娘はダメな子だから多少のことは仕方ないんよ」って、 私の前でヘラヘラと言っていた時初めてなんで生まれてきたんだろって思った事。 これだけじゃないよ、 でも全部貴方が私の母親だった証、 貴方が私の心に刻んだものだから、 私のために忘れないで欲しいの。 娘からの最初で最後のお願い。 私はもしドラえもんのひみつ道具があったらタイムマシンで産まれたばかりの自分の首を折って殺してしまいたい、 そんなことばっかり考えてる、 死にたい理由は沢山あるけど、 死なない理由は無いし生きたいという思いも希望も無くなったの、 こんなこと考えるのは貴方のせいじゃないよ、 あくまでこんなことを考えるのが本当の自分だっただけ、 むしろ知ることが出来て良かった、 きっとどこに生まれても私はこうだから、 気にしないでね、 私に沢山のことをおしえてくれてありがとう。 貴方は私の母親だったことは1度も無かったけどね。
雪の語り部
暗く狭い雲の中、 いと寒くある 寒いと皆で身を寄せ合えば 雲が耐えぬと落ちにける けふは、 下も寒からう 溶けなんだ身を積もらせる 下のモノらは我らを雪と呼ぶ 下のモノらは我らの上を歩む 凝る 溶け、 また天に昇るまで 我らは雪でいてやらう
久遠
歩を進めける、 朝があり 昼があり 夜があり 引き返す。 悲しみ消えぬうち、 幾度と参る 共に生きた吾旧友よ まだ決心さうなく事許しけれ、 結末決まれど躊躇う事許しけれ、 次逢う時は久遠の時 諸共に、
母
私の愛い子、 愛しの息子 なぜと幾度問いかけようと 届かぬ声、 返らぬ声、 せめて片割れが お前で無ければこんなにも苦しむことは無かろうて 私の完璧な子がなぜこんな目に、 あゝ、 全部全部あの無能のせいなのだ 私の傑作を なぜ壊す。 嫌だ手放してなどなるものか どんなにお金がかかろうと どんなに苦しかろうと どんなことを言われようと 手放してなどなるものか、 何も知らぬ無能の片割れ風情が 出来損ないの分際であーだこーだと あゝ、 五月蝿い 知った口で愚痴愚痴と 出来損ないが親に口答えを、 許せぬ、許せぬ、許せぬ、許せぬ、許せぬ、 「私の可愛い息子 ━━━━ 。」 私の許可なく死なせやしない、 誰にも殺させやしない、 必ず守り通すからね。