令上
4 件の小説僕は普通じゃないらしいよ
僕の家族は周りと違うらしい。 周りが否定するまで、それが普通だと思っていた。 「お母さんは夜男と遊んでる」 『お母さんは夜、遊びに出かけたことない』 「お父さんは誰かとホテルに行ってる」 『お父さんは家にすぐ帰ってくる』 「お兄ちゃんは僕が喋ると叩いてくる」 『お兄ちゃんは優しくて好き』 僕が“普通”だと思っていたことは、 みんなには“おかしい”と言うらしい。 またみんなには“普通”だと思ったことは、 僕には“おかしい”と言う。 僕は「普通ってなんだろう」 そんなことを否定された日からずっと思っていた。 それだけを考えていたら1年が経った___ 学年が上がり クラスの大半が見慣れない人に変わっていた。 そんなある時学校で、 〈学級委員を決める〉ということになった。 みんなは次々と頼りになる友達の名前を あげて言った。 『笠田いんじゃね?』 『いや、末水の方がまとまるんじゃ?』 『鈴木もいいかも』 『それなら赤星とかは?出席番号1番だし』 僕は心臓が飛び出そうな程驚いた なぜ僕の名前が出てくるのか、 しかも理由そんなのでいいのかよ…… でも結局最後まで残ったのは、 出席番号が1番という理由だけで残った僕と、 クラスのリーダー的存在の川村さんが残っていた。 多数決を取ることになり 結果は言うまでもない… クラスの6分の5が川村さんに入れ、 学級委員は川村さんになった。 『まぁ普通だよなぁ』 1人の男子がそう言うと 僕はこう思った。 そうか……多数決で多いい方が普通。 みんなが望む方が普通。 僕に投票を入れた人はおかしいんだ。 これは正しく間違っていた 1歩外にでると 仕事をしてる人と仕事をしない人 これは仕事をしてる人が仕事をしない人より多いので、 “仕事をしてる人”が普通となる。 ほかの例で言うと 異性愛者と同性愛者は 異性愛者の方が圧倒的に人数が多い。 なので異性愛者が世の中には普通で、 同性愛者はおかしいとなっている。 僕は“普通”は簡単に作り出せて、 “おかしい”も簡単に言えるんだな。 つくづくそう思う。 だから僕の家族は世間的にはおかしくて、 普通じゃないことが分かる。 ただこの僕みたいな家族が世の中には少ないだけで、 多かったら普通なのかなって 最近はずっと思っている。 終わり。
無知な少年
私は元々目が見えなかった 私の一番の頼りは白杖だったんです “ガゴッ” やばい、誰かに当たった どうしようどうしようという不安で頭がいっぱいなりました 「す、すみません、少し避けて貰えますか、?」 (し、静か?) 「お姉さんなんで杖なんかついてるの?どこか痛いの?」 私はかなり幼い声がしてつい言ってしまいました 「あ、あ。えと君今いくつ?」 まてまてこれ完全に不審者みたいなんですけど! 「9歳!」 戸惑いもなくその子は言ったんです とりあえず足に当たったことを謝ろうとしました 「そう、さっきは足に当たったでしょごめんなさいね」 私は多分この辺だろうと思うところに頭を何度も下げました。 横断歩道が青に変わったという音がなり私は歩き始めました 「じゃあまたね避けてくれてありがとう」 「避ける?なにを?」 まだこの子は知らないんだと思い少し分かりやすく言ったんです 「そこの黄色いボツボツしたのだよ」 ってね。
白色の杖のお姉さん
“ガゴッ” 「す、すみません、少し避けて貰えますか、?」 学校帰り横断歩道待ちだった僕は誰かがぶつかってきたんだ。 その人は杖をついていてどこか痛いのかとおもった 「お姉さんなんで杖なんかついてるの?どこか痛いの?」 「あ、あ。えと君今いくつ?」 「9歳!」 元気よく僕は答えた 「そう、さっきは足に当たったでしょごめんなさいね」 そう言ってお姉さんはペコペコと頭を下げていたんだ 横断歩道の信号が青に変わってね少し経って音がなり始めた時にお姉さんは歩き始めたんだよ 「じゃあまたね避けてくれてありがとう」 避ける?なにを? 「避ける?なにを?」 お姉さんは目が下にむいたまま微笑んだんだ 「そこの黄色いボツボツしたのだよ」
花火と太陽
「あぁーむっ!おいひぃー」 彼女は自分のたれそうなほっぺを両手で包み込んだ。 「なんで俺が「あーん」なんてしなきゃいけないんだしかもこれ普通のかき氷だし!」 彼女は不思議そうにコテンっと頭を傾げた。 「え?だって私たち恋人だよ?するのが当たり前だしっ!!」 なに逆ギレしてんだと思いながらも次に彼女の口に運ぶかき氷を用意していた まあ良くあることかと思った。 「いやぁ賑わっているねぇ」 冷静を取り戻したのか彼女が言った 「あ、そうだ今日花火何時からだっけ?」 何してんだろ俺…… 「何ボーっとしてるの?花火8時かららしいよ!あと5分だよ!!」 急げと言わんばかりに俺の袖を掴んで歩いた 彼女につられて花火が1番綺麗に見えるらしいからと神社の階段を上がって行った だがやけに直角と言うか転げ落ちたらかすり傷じゃ済まされないだろうというぐらいの急な階段だった。1歩、また1歩へ、彼女のスペースに合わせて歩き始めた。 まあいいかと俺の浴衣の袖を掴んでいる彼女がその手を離し、 「ここ?」 と俺は周りを見渡した 彼女の“1番綺麗に見える”という場所はSNSで見たと思い、人が集まると思っていたが全然人の気配が全くと言うほどなかった。 “ドンっ” 「…………………………え」 彼女は俺の方を向いていた。 俺は階段を背にしていて…多分…そう……落とされた。 その瞬間はとても遅く感じた (あぁ死ぬんだな……俺) 直感でそう感じた 彼女とは言うと俺を押したかであろう右手が押し出されていた。本当に俺を愛していたのかと疑うぐらいの冷めた目をした。 彼女の後ろには大きな大きなとても美しく綺麗な丸い花火が咲いていた。 これが“1番綺麗に見える”か 彼女と一緒に映る花火はとてもとてもとてもとっても。 綺麗だった___ −ピー…ピー…ピー……… 「ぐずっ。うぅ……」 誰かのすすり声が聞こえた 目を少しずつ開けると真っ白だった。 手を動かそうとすると左腕に誰かが掴んでいるのがわかった。細めている目を横目に見た 「___ッ」 彼女だった。 俺を階段から突き落としたあの彼女だ 手をピクっと動かすと彼女はうつ伏せになっていた頭をあげた 「良かった、生きてた…助かったんだ……」 と彼女は笑顔で言った 彼女的には涙を出せていると思ったのだろうか、だがその肌白くて汚れひとつもない顔には何もたれてはいなかった 奥の方から母らしき人物は泣いていて隣に多分父と思う人物がいた、2人とも泣いていたんだ。 俺はよく分からない状況に混乱してまた目を閉じてしまった_ 後日意識が戻り体をゆっくり起きあげた。それに母は気が付き 「大丈夫?」 と優しく言ってくれた。 俺は恐る恐る聞いてみた 「彼女は……どこ…?」 母は笑顔でこういったんだ 「あんた最高にかっこいい男ね」 どういうこと?という俺の表情に母はこういったんだ 「何言ってるのさ、あんた〇〇ちゃんが落ちそうだからって庇って自分が落ちたんだよ、しかもあんな高い階段でからよく生きれたわね」 ますますよく分からなくなった。 「ちょっと外の風当たりたいから行ってくるね、」 そう言い残して屋上へと慣れてない松葉杖を左手で不格好につきながら階段を上がった ドアノブを握り奥に押すと開いた。 そこにはそう……彼女がいたんだ 彼女は俺の方に早足で歩いてきて俺の後ろにあるドアを閉めた。 彼女は“いい場所があるの“と微笑み俺の松葉杖を持っていない手を引いた。 俺はつられるがまま歩き始めた 1歩、また1歩へ俺のスペースに合わせてくれて歩き始めた。 彼女は俺の手を離した。 「ここ?」 俺は初めてきた屋上を見渡した 彼女は過去にこの屋上に来たことがあるのだろうかと思った。 “ドンっ” 「…………………………ッ」 声は出なかった。 何故か運良くフェンスがなかった。 多分…そう…落とされた…… その瞬間はとても遅く感じた (あぁ…今度こそ死ぬな…俺) 直感で感じたんだ 彼女とは言うと俺を押したかであろう両手が押し出されていた。本当に俺を愛していたのがわかる優しい笑顔で俺を見ていた。 彼女の後ろには丸くて明るい太陽が俺らを照らしていた。 これが“いい場所”か 彼女と一緒に映る太陽はとてもとてもとてもとっても。 綺麗だった___