もみじ

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もみじ

マジの初心者です 小説を中心に書こうと思います 暖かく見守ってくれると嬉しいですよろしくお願いします 不定期に出します

桜の木の下に居るのは

桜の花が咲くと丘の上にある桜の木の下に人が立って居る その人はいつも何時も一人っきりで 話しかけようと丘を登れば木の下にはもう人影は無い ミステリー小説が好きな僕はその人の正体を知りたくなった だから連休の日に一気に調べる事にした 「丘の上の桜の木の下に居る人」 では長いので名前をつけたと言っても安直に“桜さん”にした ただ省略してさんをつけただけだが僕はますますやる気が出た まずは聞き込みから始めることにした 今の僕の気分は宛ら探偵になったような気分だ 芝刈りをするお爺さんや桜を見に来た子供達など色々な人に 「あの桜の下にいつも居る人って誰か知ってますか?」 誰にでも同じ様な質問をして誰もが同じ様な言葉で応えた 「「「あの桜の木の下にいつも居る人なんていないですよ」」」 そう、居ないのだいつも同じ人間があの桜の木の下には居なかった 僕にしか見えていなかった 僕は無性に怖くなった、ただこの桜が好きなのか そんなありふれた日常会話がしてみたかっただけなのに 僕は今まで何を見て何を感じていたのか怖かった 今日もまた僕の部屋の窓から丘の上を見ればあの人が “桜さん”が居る 此方を見た 微笑んだ 何だか寂しそうだった そういえば母から聞いた事がある 昔 僕が通っている中学校で生徒の失踪事件があって 今もまだ見つかっていないらしく駄菓子屋に当時のポスター があったと話していたのを 僕は思い出すと同時に足が動き家を飛び出ていた 向かう先はこの町に一つある昔ながらの駄菓子屋だ ハァ、ハッ 息も途切れ途切れになる程に全力で走り目的地に着くと 店主のお婆ちゃんが「急がんでも無くならんよ」と僕を宥めるが 僕の耳にその声は聞こえない 駄菓子屋の壁を上から下まで一面見ると僕の探していたポスター を見つけて近寄り詳細を読むとその内容はこうだった 行方不明になった女の子を探しています。 年齢は14歳 身長は153cm程 名前は“花咲若奈” 服装は──── 僕はこの時初めて本当の名前を知った すると一気に僕の中でどこか嘘っぽい現象が現実味を帯びてきた 僕の感情はぐちゃぐちゃになってしまった 恐怖に同情、困惑、疑い… その時店主のお婆ちゃんが話しかけてくれた 「大丈夫かい?そのポスターが気になるのかい?その子はねぇ もう15年前かなぁ中学生だったんだけど行方不明になっちゃって 当時は凄く騒がれたんだけどもう皆忘れちゃったのかなぁ ここにも偶に来てくれててね珍しい子だったからよく覚えてるよ」 「珍しい、子?」 お婆ちゃんの方を見ながら問いかけるとすぐに答えてくれた 「あぁいつも一人で暗い顔して来るのに一人で食べるには多い位 沢山のお菓子を買って行ってたから」 遠い目をして応えたお婆ちゃんにお礼を一言言って僕は丘へ 一目散に走った 僕の頭の中である仮説が立ったから 丘へ行くといつもはいないあの人が居た 「こんにちは。目が合ったのは随分前なのに遅かったね。」 「そりゃ駄菓子屋に行って来たからね」 肩を揺らしながら僕は答えた 「そうなんだ。どうして?」 「どうしてって君の事が知りたくなったから“花咲さん”」 「?!どうやって名前を知ったの?」 「駄菓子屋にあったポスターに書いてあったよ そして突然だけど聞いてもいいかな?」 「いいよ。答えられる範囲で答えるよ。」 僕はその言葉を聞いて少し小説の主人公である探偵になった気分で 話し始めた 「まず君はその見た目からしてもうこの世には居ない 亡くなった理由には二つ予想が立っているけど、 不確定だから話さないでおくが亡くなった理由は二つとも “イジメ”が関係あると思っているどうかな」 不安が隠し切れないまま問いかけると花咲さんは頷いて 「当たりだよ。死因の二つは自殺か他殺かって所かな。」 「うん、でもそこまで話さなくていいよ僕が知りたいのは別にある 花咲さんはどうしてここに居て何をしているの?」 沈黙が流れしばらくすると花咲さんが口を開く 「幽霊は体からあまり離れられないからここに居る いつもは暇だから町を見てる。 ねぇお願いしたら頼まれてくれる?」 「沢山質問をして答えてくれたお礼に僕に出来ることなら」 花咲さんは口に緩い弧を描いた 「私の死体を親でも警察でも誰でもいいから誰かに教えてあげて」 「どこにあるの?」 「赤い花が沢山咲いている丘の斜面だよ。」 それからと花咲さんは続ける 「私今までなんで成仏できなかったか分からなかったけど 今分かった気がする。 きっと誰かに知って欲しかったんだよ。 私がどうしてこうなったかを だからありがとう。」 名前を教えて欲しいと言われたので答えると今度は名前と共に 「ありがとう。速水賢太くん。」 消えかかった暖かな光を纏って花咲さんは消えた

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桜の木の下に居るのは

青年に名前をつけるなら

この世は非情なのだと言うやつが居た 人間は自分が見えている世界が全てだと言う人が居た 生命は儚いのだと それでいて散る瞬間はため息が出る程美しいらしいと誰かが言った 僕はそれらが本当か知りたかった まずはこの世の非情の真偽を確かめた 沢山の人が悲しむような事件を起こした そうしたら話題になって新聞やニュースになったが 数日したら何もなかったかのように事件は消えた 僕はその時この世は非情なのだと言うやつが正しかったと知った 次は人間は自分が見えている世界が全てなのか検証した だからある男の後を着けてその男が見えない死角で 誰もが嫌うような悪い事をした 男は気づかずに呑気に歩き続け辺りの人々が気づき悲鳴を上げる その時まで平和な世界だと思い込んでいた これも自分が見えている世界が全てだと言う人が正しかった それなら生命は儚いのだとそれでいて散る瞬間はため息が出る程 美しいのだと言う誰かを今度は信じてみた 信じてみる為に僕は沢山の命が散る瞬間を目に収めた まずは植物 花は花弁を散らしながら葉を落としながら花生を終えた 次は動物を 猫は段々と温もりを無くして冷たくなり動かなくなって猫生に 幕を引いた でもどれも綺麗だったが美しいとは言えなかった それでも僕は誰かが言った言葉を信じたかった だから探したんだ 色んな生き物を知って沢山の生命が亡くなる その瞬間を見て、見て、見て そしたら見つけたんだ 美しくその生命を散らす生き物を それが────── 犯人はそう述べていた つまり奴は人の言葉の真偽を確かめる為 人を信じる為に “人を殺害した” 要するに人の心が判らない人間だった これが若き青年の動機で 一生を牢の中で過ごした青年の罪だ この事を人は“サイコパス”と言うらしい アナタはどう思いますか? この青年は怖い殺人鬼?悲しい青年? それとも無垢な人間?

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花便り

“花便り” 意味は花の様子を知らせる便りのことだが僕の場合は違う 春に花が咲くと手紙が届く 綺麗な春の花を押し花にして手紙に同封して僕に届く 春に届く僕の大切な手紙 春になると毎日のように届く手紙には毎年 僕の心配と自分は大丈夫だと言う事書いて僕を心配させたくない と言う気持ちが見える手紙に僕はとっても嬉しくなる だって夏も秋も冬も心配を募らせていた相手から普段と変わらずの 優しさを見たら安心して嬉しくなってしまうものだから そして手紙を受け取ったら僕も夏秋冬にあった事を この春に起こった僕の身の回りの面白い事を上機嫌で書いている 書き終われば読みずらくないか?とか文章は変じゃないか?とか 不安が募って何度も読み返してしまうのはここだけの秘密だ ようやく安心出来たら緊張と手紙の無事を願い手紙をポストに 投函する僕はこの時いつも同じ思いを込める 『僕より長く生き続けて欲しいな、優しい“妹”だから』 病弱な妹が少しでも長く笑える様に僕も頑張るよ この物語の題名の意味を記載しますが読んでも読まなくても 大丈夫です 花便り 意味:病弱な妹が春夏秋冬の中で唯一外に出れる季節が春で 春の花を押し花にすることで外に出た事を兄に伝えている

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花便り

世の中単純ではない

僕らが扉を開けて警戒しながらも片足ずつ室内に入るり 僕らの足が両足とも室内に入ると扉が勢いよく閉じた 驚き扉を振り向くと前から僕らの喉元をめがけて薄い板の様なもの が高速で飛んで来たのを僕らはギリギリで避けるとどこからか 機械音が響く中警戒しつつも僕らへ向かって飛んで来た物を 見ると扉に刺さっていたそれは切符だった 「きっぷ?」 「違う…見た目はそうだけど紙じゃなくて鉄で出来てる」 そう言って扉に刺さった切符を取りコンコンと叩いてみる 亜佐香は背に背負っていた武器【薙刀】を前に出し構えた 「で、この機械音は何だと思う?」 緊張を含む力強い声の問いかけに答える前に領域が動き出した 古びた駅の不気味な暗さや赤黒い蛍光灯から更に不気味な まるで生き物の体内かの様な赤一色に変わる 「な…なにこれ」 驚き声が出なくなっていると四方八方から肉塊が僕らをめがけて 一斉に飛んで来た 僕は足を蹴り上げて向かって来た肉塊を蹴った 亜佐香は薙刀を使って肉塊を切りつけた 一旦攻撃が止むと今度は駅構内にある物を投げつける様に 僕らに向かって来た大きさも重さもバラバラに投げる順番にも 規則性なんか感じられない すると改札機が飛んで来た 「幾らなんでも改札機は切れないよ?!」 「僕がやる」 亜佐香に向かって来ていたので改札機と亜佐香の間に入る 妖術 獣人化 鎌鼬 一部のみの妖化で腕の部分だけをカマイタチにして改札機を 一刀両断にした瞬間に僕は妖術を解いた 「……すっごいね 切れ味」 「そっち?!てっきり一部カマイタチになった事かと…」 そんな意味のない会話をしていると攻撃が落ち着いてきたので 駅構内の探索を始める事にした 床や壁が肉になってしまっていたので歩きずらかったが 唯一あった入って来た扉でわない扉の前まで来た 「多分ここにこのきさらぎ駅の核があるはずだ」 「早く行こう」 僕らは扉を開けた 一方その頃赤坂達は怪異の入口を見つけていた 赤坂:「やっと見つけたけど…やっぱり入れないね」 赤坂が手を伸ばし入口と思われる空間に手を入れるが バチバチっと音を立てて入ろうとする手を拒絶している 雷馬:「無理やり入れないんですか?」 永倉:「うーん普通ならすんなり入れるんだがこれは多分… 入る為の条件があるタイプだからそれを達成しないと 入れないだろうな」 雷馬:「条件って何か分かるんですか?」 赤坂:「確定では無いけど目星ならついてるよ 多分だけど神力を持ってるか持って無いか かな」 雷馬:「え?でもそれじゃお客さん全員連れてかれるはずじゃ…」 永倉:「否、流石にそこまでの妖力が無かったんじゃ無いか?」 冷静に分析するも中に入る方法を思いつかないでいると赤坂が 諦めた様に口を開いた 「仕方がない……この領域を壊して入るしか無いね」 永倉の制しを聞かずに赤坂は入口に近ずき神術を発動する 神術 赤キ坂 この技は物理的なアドバンテージを強制的に創る この技は数ある神術の中では領域型と言う そして領域と領域をぶつけた際はどちらが強かろうと必ず 一瞬の隙が出来る

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世の中単純ではない

秘密を告白

きさらぎ駅に来てどれ程たっただろうか 僕らのやって来たこの駅は小さい駅だった 田舎にある無人駅これが駅の見た目に関する感想だった 周りを一周するのにそう時間はかからなかったし 実際に何かあった訳じゃない“外側は” 「一周したけど特に何もなかったね」 「つまり中に必ず何かあるって事でしょ」 私が扉に手を掛けると流星が一言問う 「ここに来れる条件が何か分からないままでいいの?」 「流星は分かったの? 私は全く分からないけど」 「……何を聞いても“怖がらない”でくれる?」 「内容によるかな」 空気が緊張で張り詰める中 流星が口を開く 「僕……実はさ…“半分妖なんだ”」 「半分…妖………」 驚きで目を大きく見開く その様子を苦く苦しい表情で見る流星 だが、次の言葉は流星にとって予想外の発言だった 「どういう事?ん?」 頭を捻りながら考え込む亜佐香はまるで課題の問題が分からない 学生のような軽さであった その予想外の反応に告白した本人すらも驚いてしまうくらいだった 「えっと説明が足りなかった…よね?」 「うんめっちゃ 半分って事はもう半分は…人間であってる?」 「そう、僕は半分人間でもう半分が“カマイタチ”なんだ」 「カマイタチ…でもそれとここに入る条件の関係って何? 私妖じゃないんだけど」 「否、攫われた人達の共通点も合わせたら考えられる一番の要因は 神力が全くない事じゃないかな」 「あぁなるほど 確かにそれなら納得だわ」 「ってそれより僕が半分妖なのに反応薄くない? 普通もっとこう…「大袈裟な反応して欲しかったの?」 その声は酷く冷静だった 「ううん」と首を横に振る僕を見てさらに続けた 「別に驚かなかった訳じゃないけど、半分妖だからって私が 見てきた流星の頑張りが無くなった訳じゃないから 私に優しくしてくれた事実が変わる事は無いから」 真っ直ぐに僕の眼を見て話した言葉が僕の胸にスっと入って来て 僕の中にある恐怖心を消してしまった 「…ありがとう……なんか心がスッキリした」 「それは良かった、じゃあとは中に入って核を壊すだけだね」 「そうだね、しかし年下に救われるなんて思ってなかったや」 「そんな救われたなんて………え!年下!!」 今まで見た中で一番驚いた顔で見上げられる 「僕の秘密の告白よりも驚いてるの?!」 そっち方がダメージがデカかった 「同い年じゃないの?!今何歳ですか」急に敬語を使い出して聞く 「20歳だよ」若干落ち込んた声色で答えると 「マジかよ」と先程よりも数倍驚きの声で呟いた 「だってそっちまだ高校生でしょ?」 「はい、まぁ高二ですけど……えぇ20歳かぁ」 「まぁ年下とか年上とか気にしなくていいよ」 「OK」 軽い返事を聞いて僕の口が緩い弧を描く 僕らの気が緊張ではなく前向きな覚悟として引き締まる 「それじゃ行こうか」 僕らは両扉をそれぞれ片方ずつ開けた

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秘密を告白

花の嘘に惑わされる僕の話

春が来る 春が来ると皆は喜ぶ、だって春には綺麗な花が咲き 日差しも暖かく、人々の気持ちも晴れ空となる でも僕は皆とは別の理由で春が来ることを喜ぶその理由は 花達の嘘に惑わされたいから 変だと笑うならそれでもいいでも僕はあの日から幻に心を奪われた 春の嘘つきの日に嘘みたいに綺麗な君と出会った 春の花が満開に咲き誇る花畑で 君の周りが絵画から丸ごと出てきたみたいな幻のようだった 僕は君と話した、くだらない話ばかりだっただろう 会話の内容は余り覚えてない だって少しでも君と一緒に居たかったから でも君がよく笑っていたのはしっかりと覚えてる 僕は幸せだった例え君が僕の見る哀しい妄想でも だけどいつも通りの晴れた空の日に君が居なくなった 花が各々の個性を忘れ緑色一色に変わり始めた時 君は花が色を忘れたからとでも言いたげに 姿を消した、何の前触れもなく それを何度も何度も繰り返し続ける 僕が聞いても君はただ一言言うんだ 「私は貴方の楽しい話が聞きたい」 僕はきっと春の花が魅せる嘘に騙されているんだ でも僕は騙され続ける 君と云う絵画の中の人みたいな 幻想郷みたいな花畑の中で 幸せな夢を見続ける 例え花の一時の嘘だろうと

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花の嘘に惑わされる僕の話

脱獄 自由になった者 下

俺が空へ飛び立った時お前は “寂しそうで嬉しそうな顔”で俺を見ていた 小さい頃からずっと一緒だったんだ考えてる事くらい分かる 例え立場が変わろうと なんて嘘かもしれない 考えが分かると言っても全部は分からないし 立場が変われば考えも変わるかもしれない それでも俺はお前と夢を見た時のままに お前の“寂しそう”が本物だと信じて、勘違いでも 聞かないと分からないから 俺はもう一度お前に会って話したい 満月の夜、風が窓を叩く中“コンコン”明らかに人が叩く音がした 僕は耳を疑ったが音のした窓を見ると君が居た 記憶の中の君と同じニシシと笑う君が 窓へ駆け寄り勢いよく窓を開けたその勢いのままに 「なぜ君がここに…どうして戻って来たんだ」 「まぁまぁ焦るなって一気に質問されても困るって」 嬉しそうに悪戯が成功した時の子供の様に笑う君が少しムカついた 「……こんな所に戻って来た理由はなんだ」 怒った様な顔をして脅す様な声で聞いてきた 俺は少し反省しつつも答えた 「戻ってきた理由なんて一つだ…俺の夢はまだ終わってない」 「…………は?」 意味が分からないとでも言いたげな間と声に笑ってしまった 「お前なら分かるだろ それとも忘れたのか?俺達の夢を」 「覚えているとも 空を自由に翔ぶこと だろ」 「違うな 俺達の夢は“二人で自由になること”だ」 驚いた顔で俺の言葉を聞いた “二人で”と言う言葉を聞いた瞬間に理解した 君の戻ってきた理由を僕と話した理由を 君は僕もこの“監獄という名の魔界”から逃がそうとしている事に 素直に嬉しかったでも君とは 「ほら見てよ、設計図この設計図で作った飛行船があるんだ “一緒に乗ろう”そして空を飛ぼう」 君の笑顔を真正面から久々に見た瞬間に僕の心の氷が溶けた 僕を縛り付けていた何もかもが全て消え去った 僕の心には一つ、本心だけが残った 「行きたい、僕も自由になりたい」 「やっと聞けた」 伸ばされた手を真っ直ぐに握って窓から外へ 監獄と言う縛りから自由と言う解放へ 今度は二人で、あの満月の様に 二人 欠けることなく 空へ翔いた

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脱獄 残った者 中

幼い頃の君との約束を僕は守れなかった 君が一緒に“逃げよう”と言った その夢の約束を僕は裏切って自分も偽った でも君は正直に真っ直ぐに僕を捉えて 大空へ羽ばたいた 幼い頃君が夢を語り僕はその夢に魅せられた 君はこの檻の外は自由だと語った キラキラとした輝いた目で きっとその時の僕も同じ様に夢を膨らませたのだろう あの頃の僕らは2人で1つだったから でも終わりはやって来る やって来た終わりは静かに確実に僕らを引き剥がした その頃から僕は何も出来なくなって命令のままに動く事しかできず 君みたいに自分の意思や夢を忘れてしまった でも僕はきっと君が居なければ夢すら見れなかった そう思うと僕は今も昔もそしてこれからも誰かに着いていく 事しかできないそんな気がする、その度自分が嫌になる 君と笑い合いながら夢を見た思い出を信じれなくなってしまう だからもう僕に光を見せないでくれ 僕に君の笑顔は、光は 眩し過ぎるから 飛行機に乗りながらこちらを見てニシシと笑う君は 僕を見て言うんだ、言ったんだ 「逃げよう」 僕は言えないんだ、苦しい顔をしてしまうんだ 「……ふざけるな」 君は真っ直ぐに僕を見詰めてまるで“諦めてない” とでも言いたげな瞳を僕に向けた その後遅れて来た監守達の足音を聞いた君は 蒼空へ翔いた 僕の心はあの蒼空とまでは言わないけれど 常に雨が降り続けることはなくなるくらいには晴れた それで終わりで良かった…………はずだった

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脱獄 上

サイレンが鳴り響く監獄 大きな足音を立てながら走り回る監守 影を走りながらも輝いた笑みを宿す青年 多くの監守へ指示を出す険しい表情の青年 それぞれが別の感情を持って目的を果たそうと足を速める 事の始まりは十数年前 二人の赤子が生まれ同じ檻の中で育ち夢を見た事 夢を見た少年が夢の内容をもう一人の少年に教えた事 これが全ての始まりにして二人の夢の原点 夢の内容はとてもシンプルな“空を自由に翔ぶ”ただそれだけ それでも二人には夢を描く、自由を求めるには十分だ その日から二人は空想を広げた 自由に生きるのだ、この檻の外は何があるのか この狭い檻の中は二人の空想を広げる事を加速させた 少年達が生まれ十になる頃二人の片割れが監守に呼ばれた そして少年は上監に真実を告げられる それは狭い狭い檻の中で生きてきた少年の夢を見る心を壊すには 十分過ぎる程に自分達は管理され続けていると分からせた 今この少年には二つの選択肢がある この真実を知ったからには人権を失くすか監守になるか 二つに一つの選択肢に少年は怯えながら選んだ 「僕は……か、監守に…なります」 そこから二人は別々の道を歩み始める 夢を諦めた青年と 夢を見続ける青年 作者から この物語の原案は「脱獄」と云う歌です。 独自の設定などを追加しているので解釈違いがあるかもしれない ですが暖かく見て下さい。

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悲しい人形遊び

ヒューヒュー 苦しい息をしながらベッドに寝込む老人が一人 その姿を険しい表情で見守る老婆が一人 老人の方が口を開け弱々しく呟く様に話し出した 「もうすぐで……僕は……死ぬ」 苦しそうに息をしながら言葉を絶え絶えながらも話す老人 「そんな事…言わないでください」 涙を堪えながらも悟った様に応える老婆 「最後に……君に……言いたい事が…」 「はい、何でしょう」 「すまないね……僕の……一人芝居に付き合わせ…て」 「そんな事ないですよ…それに私も…」 老婆はその先の言葉を呑み込んだ でも老人はその先の言葉を察した様に柔らかな笑みをした 「最後に……命令だ……君はもう縛られないで」 「自……ゆぅ」 老人はこの言葉を最後に息を引き取った 「了解しました。最後のご命令は、“自由”ですね。」 先程の感情的な声とは全く変わって機械的な声で応える 老婆はみるみる内に若々しい姿になり白髪だった髪が淡い金髪へ 「しかし主様、自由とはどの様にすれば宜しいでしょうか」 老人は答えない、答えられない 「主様」 そう問いかける様に訊きながら老人の手に触れた だが老人は冷たくなる一方だった 「では、主様私は“自由”の方法を探して参ります」 一礼すると扉を開き外へ歩みを進めた 女の胸ポケットには一つの本があった 説明書 妻が流行り病で無くなった 僕は立ち直れそうにないだから妻を模した“人形”を作る事にした 遺書 君には悪い事をした と云う自覚はある だからせめて僕が居なくなった後には自由でいて欲しい 僕からの願いはそれだけだ ありがとう 十数年後 この本を読みながら涙を静かに流す一人の少女が居る 「私もありがとう、主様 今の私は“自由”です」

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悲しい人形遊び