古都綾音

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古都綾音

ライトノベル等書いてます よろしくお願いいたします 主に巫女ものがすきです 和風ファンタジー どうぞいらっしゃいませ ド天然おばさんでーす 一緒に書こうよ 幸せを💞がモットーでーす\(^o^)/ 元 蛍里 時雨です 風の標しは16年も前の小説を書き足してます なのでね出てくる携帯が ガラケーだったり 自動改札が普及し始めたりも❣️ノスタルジックな冒険をお楽しみください 西洋物にも最近目覚め万進しています 蒼月なんかもおたのしみに

リラ1-5

第6節 傷  サーラ達は可愛らしい花がいっぱいに咲く 花畑についた  きゃー!  サーラが馬車を飛び降りる  神子様! ルキオ 真っ青 お怪我でもされたら! ルーテルがわらった 「大丈夫 うちらの神子様は体育会系だから」 「はぁ」  カームはおでこを ぴしゃり  王都でもあれだけお元気があれば 「それは無理でしょ」  里を焼いたり里人を戦に駆り出したのは王都の王だから 「それは」  カームが顔を曇らせる 「そう……ですな」  リリーおいでー  サーラの声に一足飛びのリリー  花の中を 駆け抜けて飛び出していく  がばっ  サーラに 飛びついて  サーラはきゃあきゃあ騒いでいる  ああ見ると まるでお子ですな  カームが わらう ルーテル!  ルキオ!  カーム!  神官兵のみなさーん  サーラが手をぶんぶん  手を振り返すのは神官兵  おほん!  カームと咳払いに ぴ と姿勢をただした 「ここでお昼にしよーよ」 サーラがあまりに楽しげすぎて 皆はほっこりしてしまう 「良さそうですな」  カームが言うと  ルキオが バスケットと敷物を抱える 「持ちますよ!ルキオ様」  神官兵が 親切に抱えた 「ありがとうございます」  ルキオぺこり  いやあ これくらいは おほん!  ぴ  一同かたまる 「浮かれすぎずに」  念を押されて 全員でランチといきたいが  神官兵は 離れて堅パンを食べていた 「神官兵さん」  サーラはサンドイッチを食べながら  心配そう 「こっちに来ればいいのに」 「なりません!」 サーラは サンドイッチを 抱えて駆け出した 「神子様」 「はい!」  神官兵に差し出す 「そ……そんな滅相もありません神子様」 「お手づからいただくなんて」  いいからいいから……ね  ニッコリ サーラが笑むと 皆蕩けそう  カームの睨みに ピッ と正す 「カーム!」  サーラに睨まれてカームが黙る 「座って食べてね荷馬車みたいなので疲れたでしょ?」 この子達も馬車馬に 餌を用意したバケツに 手を差し入れる 「はい!おたべ」  神子様ぁ  お優しすぎます  みんなが涙を流した  えへへ  手を後ろ手に組むと鼻歌を歌って戻っていく 「神子様」  お仕えできて光栄です  皆こう思うのであった  と  バチ  空に傷が出来た  真っ黒な傷! 「何!」  ルーテルが ルキオを 抱きしめた 「星の傷です!」  これが? 「サーラ様!星の歌を」 「傷が広がる!」  サーラはリラを持ち上げると  そっと労わるようにうたった  傷ついた星はきっと痛いだろうから

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リラ1-5

リラ1-4

第5節 飛び立てピクニック?  サーラは髪の毛をくくりたかった  ただでさえ飾りまみれで  ネックレスやら耳飾りが重い  オマケに髪まで鎖のついた 黒水晶と 水晶の 金の鎖をかけられてしまい  もーう!  なのである 「神子様なのですから!」  ルキオがなだめる 「そりゃあ……盛りすぎよね」 走れないし転がり回れない  サーラむーんと腕を組んだ 「カームこれでいかなきゃだめ?」 「神子様なのですから」  きーっ  爪にまでチェリーブロッサムからとった汁をぬられる  これじゃあそべない!  拷問とおなじよ?  おててパタパタ 反論する 「神子様 少年のようなお姿で行かれたいと」  ルキオが言う 「それだけはなりません大神官のお願いです……女神さまなのですから」  あう…… はぁ…… ため息サーラにリリーが甘える 「しょうがないわね?リリー」  きゃん! リリーが鳴いた  はあ…… いい日なのにおもたーい衣装が サーラの行く手を阻む  私って飾り物なのかしら?  おもったりもする  神子さま  そのまま……口に出てらっしゃいますよ? 「へ?」  カームがほほえんだ  神殿の改革になると神官達は喜んでおります  神子様は決してお飾りではありません  カームはそう言って恭しくサーラの手をとった 「私とて 走ったりはしゃいだりして頂きたいのです……」 「だったら」  星を 過去世の 健康な星にもどせるのは あなたさまだけお許しください  カームの言っている過去世とはなんだろう?  サーラは首をひねる 「さあ……参りましょうお時間も」  お花畑行きたいな  サーラは思った 「お花畑いっていい?」  もちろんです お花の綺麗なところでご飯にしましょう  一同は大きめな馬車に乗るとルキオが 「神子様と外出なんて嬉しいです」  ウキウキしている  サーラはもっていた いちごの砂糖菓子を皆とわける  そんなものいつの間に?  と……カーム  じつは……神官兵にかってきてもらったのである  ……ふーむ!  叱らんとなりませんかな? 「いいでしょカーム!おこらないであげて お兄ちゃんやさしいの」  神官兵とおよびください!  はい  おこらない?  はぁ……  カームがため息 「おこりませぬよ!」  ルーテルが親指をグッと突き出す 「おいしいでしょ?」 「美味しいですね神子様」  ルキオが ほんわか笑った  有名なんですって  サーラもシャリと口に含んで ニッコリする 「神子様! 王都でももうすこし人当たりよく……」  カームのお小言 「王都は嫌い」 「はぁ」  馬車が町を出る時  少年がかけでてきて  馬車のサーラに 花冠をくれた 「神子様に」 サーラは思わず涙した  ありがとう……お名前は  ケイともうします 行く行くは神官兵になりたくて  嬉しいわ!是非いらっしゃい……  はい!  少年は1つ頭を下げて  再び走り出す馬車を見送る  そして続く神官兵の馬車に敬礼した 「弟がふえそうですな」  カームに微笑まれて 「うふふ」サーラは笑った  花冠は バラを基調にし 可愛らしい野花で編まれている  バラは丁寧にトゲが抜いてある 素敵  チョンと頭にのせる  お似合いですわ  ルキオが手をたたく  ルーテルは 「よかったじゃない」  と手をのばす  泣くなよサーラ  気ずけば泣いていた 「嬉しくて」  リリーがサーラの頬をなめる 「リリー 白粉とれるからだめ」  サーラに避けられるも  リリーはべったり 「きっと守っているつもりなのでしょうね」  カームが わしっとリリーの頭を撫でた  サーラは 里のみんなが好きだった  明るい歌を歌いはじめた お綺麗です  ルキオがうっとりする すばらしいですな!  リラが サーラの指で弾かれると  光の粒が舞うようであった

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リラ1-4

リラ1-3

第4節 リリー説得する  サーラはうれしくて朝から あれと これとーと 準備を始める 「神子様 私がいたします  かっとんでくるルキオが後をくっついてまわる  いいからいいから  ルキオ朝からいそがしかったんだから  長椅子にルキオを座らせると 腕まくり  よーし お弁当はー 「大神官様がご用意くださると」  きゅんきゅん  リリーがくっついてまわる 何とも可愛らしい  サーラがとまると  ポテンとお座りをする 「リリー」  サーラは撫でくりまわした  いい匂いだ  昨日お風呂に入ったのだ  リリーだっこしていい?  サーラが聞くと  うみ?  と小首を傾げる  だっこ  膝をしめすと  リリーは臆する事なくのぼってくる  そしてサーラを頬をなめた  リリーってば……  サーラは高い高いすると 「一緒いこうね――」  とほほえんだ  神子様溺愛し過ぎです  躾もされませんと  はーーい  神官が苦笑 「神子様」  輝くばかりの美しさであった  銀の髪に紫の瞳  そして額のサークレット  指輪にネックレス  華美に飾り過ぎよカームにはいったが 「星の神子なのですから もっと華美でもよろしいくらいです」  つっぱねられて 「ルーテルー ルキオー」  お泣きついたのだった  まあ  いけるだけいいでしょ?  ルーテルにいわれて  白絹のワンピースにきがえる  汚しそう はあ  リリーがきゃわんとサーラに抱きつく 「お散歩もね中庭だけじゃね……リリー?」  リリーは くんくんと  耳をなめる  くすぐったいってば 「本当にリリーは説得するの上手ね」  キャハハ  リリーに なめまわされて サーラもしょうがないと服装の件は諦めた  しかし  神官兵10人ついてくるってどうなのよ  サーラプンプン 「私たちだけじゃダメなの?」  あの辺は熊や 山賊もおりますので 「山賊?」  聞いてなかったけど  でるのならしかたない 「過去の民は希少ゆえ狙われやすいのです  故に…………神子さま?」 「へ?」  リリーの肉球をぷにぷにしていたサーラ 「おわかりですか!お立場というものを」  しかられたけど  ピクニックの為にここは怒らない  はーい 「神子様」 「はい カーム大神官」 「ふざけていらっしゃる!」  わかりましたカーム  サーラが息をおとした

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リラ1-3

リラ1-2

 第3節 ああ愛しのリリーちゃん  そして神子として 朝な夕なに祈り……ルキオの給仕のもと暮したサーラだが退屈  町のお店に行って 民族音楽にも触れたいし 町の子供と駆け回りたい  前はそれが出来たのに まあ里の中だけだけども  サーラは朝から 星の歌を歌い 祈る  そして怪我人 病人への祈祷が始まり  星の歌  そして昼に王都の祈祷会  夜に敬老院の為に歌う  サーラ キレそうである 「ルーテル……このまま死にそう」 「まあまあ……そう言わない」  ルーテルが自分の髪をかき混ぜる  ルーテルの髪が 日に透けて炎のようだ  退屈  サーラがぶちぶち……言いながら  敬老院の仕事が終わった時  カームが可愛らしい子犬を連れてきた  サーラ初めて満面の笑顔  きゃーーーーーつ  抱っこー  子犬を抱き上げてキスをする 「なりません」  カームがとがめる  キスはなりません  だってこの子女の子よ  ぷくー  サーラふくれて ぴん……と弦をはねた 「ご機嫌が?」  カーム ルーテルにきく 「そりゃあもう」  こう 角を指でつくってみせる 「神子様おつかれで」  ルキオがため息 「ルーテル……ルキオー」  ぶちぶちと呻く 「この子にキス出来ないなら歌わない」  神子ぉ  大神官カーム絶体絶命である 「ふーんだ」 「リリー……このコーギーの名はリリーです」  かぁわいい 「リリー」  この点 カーム 上手である  断尾してませんが 「かまわないわ尾っぽは残して!かわいそうよ」  では?歌は?  ルーテル ニヤリ  歌ってくださいますな? 「はーい」  サーラすりすり 「カーム大好き」  単純だった  はぁ  ため息をつくカーム  若々しい神子さま 「有り余ってからねパワー」 「ルーテル様からも」  ルーテルでいいです大神官  ルーテル笑顔 「ルーテル協力を」  ……うーんことと次第だね? 「と言うと?」  明日晴れそうだからピクニックをさせてやって!ルキオもつれて!私も行くから  あー  カームパチリとおでこを叩く  そうきますか? 「そうきます」  わかりました  サーラはリリーに夢中  お手  ぺちゃ  リリーがかわいくてしかたない 「神子様……明日ピクニックにでもいかれますか?」  聞くカーム  いいの?  サーラはカームに抱きつく 「わーい」  神殿中に響いたサーラの明るい声に神官達は苦笑い  ただし……!  ぴくとサーラ  カームめもまいります  リリーなどもつれて  カームため息   良いわ!ありがとうルーテル  カーム目をまん丸  ばれていた

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リラ1-2

リラ

里に美しい乙女がいた 彼女がリラを奏でると 鳥も獣も共に聴き 鳥はうたった その乙女の名はサーラ 流れる銀の髪の 今の世では 存在しえない 過去の民と……その証拠の 紫の瞳の乙女  彼女が歌うと 怪我人が 癒え国が栄えた  サーラは 里に隠された乙女  この乙女は 里人の宝  熊が小熊を連れてやって来た  腕に怪我をしている  サーラが 歌った  音と 声が 傷を 纏わり なで 皮膚を宿し 毛皮すら回復させる 「おかえり……」  サーラがふ……と笑う  ドン!ドン!と太鼓の音  昼の仕事の時間だ 「いくわね……」  サーラが木の根からたった  ぴちち……ひばりも席を立つ  獣たちも思い思いに散っていった 「サーラ!サーラ」 「ルーテル」  サーラが 呼ばれて  診療所の 門をくぐった  ここには戦で 運ばれる負傷兵ばかり  元里民である  サーラが歌った  伸びやかな しなやかな声に重症兵がつつまれる 「ルーテル このままでは ここも」 「いっぱいね」  赤い髪と 金の瞳のルーテルが 頭を抱えた  ここしか秘密を 守れる場所がないの!  ルーテルの呟き  サーラは 負傷兵から記憶を 消した  彼らは癒され  戦地へ帰っていく  どんどん……どんどん  太鼓が嫌な響き 「サーラ出ないで」  ルーテルが サーラを隠し部屋に隠す  あいつらだわ 「よおルーテル!お前の診療所随分回転が早いな」  クレオ  王国の役人……  サーラが身を固くした  秘密の 薬草でもあるのかね?  クレオが ルーテルの頬を撫でる  魔女でも飼っているのでは?  大臣のお達しだ  検める 「……!」  サーラ!  ルーテルが 扉になっている薬草棚に ふさがった 「おい!」  兵士の 一人が ルーテルを ひったてる  棚を検める 「きゃ!」  ルーテルの悲鳴 「ルーテル!」  サーラがリラに 指を立てる  眠りの歌  そっと奏でる  ドタン複数人が倒れる音  ルーテルが 棚をずらす  サーラ!  やーっぱりか!  クレオがたった  過去の民 クレオは耳栓をしていた  そしてルーテルの 胸を剣で刺した! 「いや!ルーテル!」  サーラが  後ろ手に組まれリラが取り上げられる  王国へいく……  里は焼き払え! 「いやー!」  サーラが 引きずられる  ルーテル!  歌えないようにしろ!  猿ぐつわをかまされる  んーっんーっ  サーラが ルーテルを救いたくて涙を 流す  うるさい!  クレオがバシと 平手で打った 「いいお土産だ!」  王のお好みだろう!  珍品が お好きだからな!  いけ!  兵士たちが 里に散った  そして里人が 子供が里ごと焼き払われた! 「んーーーーーっ」  サーラが 泣いた  クレオが リラを 抱え  サーラを 値踏みする  さーて  金貨何枚になるかねー!  涙が眦をやく  サーラが暴れるので クレオが  眠らせろ!  薬品を かがされる  サーラは くったりと たおれた  味見もいいかね!  クレオが  サーラの 髪をなでた  いーい女だ!  クレオ 悪逆非道の 役人のクズであった  第1節 星の運命  サーラが目覚めると安宿の中  ホコリ臭いベッドにほおり投げられていた  めざめたかい?  クレオがサーラに触れる そしてリラを放って寄越した  そして汚い手で 猿ぐつわに 触れる 「王に献上する前に!そうだねー歌ってみな」  サーラがギリと睨む 「このまま安楽の歌でもいいからな」  手が自由だ  サーラは ブンブンと首を振った 「この小娘」  クレオが手を上げる  と……そこへコンコンとノックの音  クレオが 狂喜に満ちる  買い手は多い方がいい! 「ああ大神官様!」  クレオが慇懃に腰を折った 「クレオ殿」  サーラは大神官様の顔を見た 「おお!過去の民!神子様にお引き合わせ出来る」 「神子?」  サーラが くっと睨んだ 「いい目をしておいでだ!そうだね金貨5000で!」  ……!……  クレオが舞い上がった  純潔だろうね? 「歌えなくなる」  クレオが ぴくと手を震わせる  味見したかったが……金貨5000  いい商売だ 「売りましょう」  揉み手をする 「お名前は?」  丁重に大神官が聞いてくる  キラキラした美しい目だ  救いかもしれない  サーラです 「おお……なんと美しいお声 」  私 過去世の神子様にお仕えする信徒です  サーラの縄目のある手をさすった 「手荒い目に?」  サーラが 目を背ける 「まさかクレオ殿!あの里にいらっしゃった方ではあるまいね?」  厳しく睨まれて  クレオはだまった  エルクにいらっしゃった?  優しく問われてコクと頷く  あの里の民は 滅びましたが  ルーテルが生きております 「ルーテル!」  サーラがはねる  やはり!  記憶は失っておりますが  傷を負っていて 「今神殿に……」 「行きます!連れて行ってください!」  サーラが涙ぐむ 「クレオ殿!罪科如何程か?テス様にご報告させていただく」  サーラの足にサンダルを履かせると  大神官がサーラを導いた  リラも無事ですな!  よかったよかった……  代わりにクレオに縄をうつ  新たな神子様への無礼!そして里人の命の代価  罪人クレオ  牢につなげ!  廊下で待っていた神官兵に命ずると  サーラを 上等な貴賓用の馬車に案内する  さあ足下ご注意  優しく 雅な足台まで添えて  サーラが乗り込むと  大神官は死者への弔いに歌っては?と笑った 「ありがとうこざいます」  サーラの唇から 鎮魂歌つむがれる  大神官が目を閉じて身を揺らす  流石 過去の民の方  大変に……大変にすばらしい  耳を済ませる大神官  馬車から漏れる声に皆が聞き惚れた 「どなただろう」  貴族の姫様だろうか  町の人々が馬車に頭を下げる 「祝福を――」  大神官様!  皆が深く礼をとった 「大神官様!」  サーラが大神官の手をとった  見ればリュウマチ  サーラが癒しの歌を歌った  すると  腰が悪い老人がたち  大神官の病気は癒された 「ああ奇跡を……」  大神官が手をあわせた 「いえお助けいただいて……」  こちらこそ  値をおつけするようなまねをお許しくださいますかな?  はい!  サーラが 花のように笑った  なんとお美しい!  リンカ様もお美しいがサーラ様  大神官がはらはらとなみだした  リンカ様がご危篤で継承者もなく星が傷を訴えるばかり  テス様は戦争に明け暮れ……  嘆く大神官にサーラが心の安息をと里の店で聴いた明るい歌を歌った 「ああ……サーラ様」  大神官が涙した  お優しい方  祈る大神官  御者がリズムを足でとる  楽しくなってサーラの舞台は彩りを得る 「つきました」  里を出なかったサーラの目に白亜の神殿は美しい  サーラ様……さ……  御者が足台をすえる  とん……と降りると神官兵が最敬礼をした 「ささ……リンカさまに」  大神官が神殿をくぐった  奥の間に進むと  天蓋付きのベッドにうつくしき人が青い顔で横たわっていた  リンカさま……大神官がそ……と耳打ち  過去の民であろう美貌の人は  やわらかく目を開けた  ……ああ……  よかった……  手を震わせてサーラの頬に触れた 「……」  ご……  過去世の歌がながれこんでくる 「サーラ?」 「はい」  サーラが手を額にいただく  星の神子としてまもって……  はた……  リンカの手から生命が抜ける 「リンカ様」  どれほど慕われた方だったのか神殿中から嗚咽があがった 「神子様」  大神官が リンカの魂のこもった黄金のリラをサーラへとたくした  それには宝玉がはまり  天窓からの七色の光に照り輝く 「サファイヤです」  神官の1人が  リンカの指輪を託す  深海の青!コーンフラワーの青  美しい指輪は運命の継承と共にサーラに継がれる 「お優しい方で」  大神官様が指を組ませると乱れた髪を整える 1000年守られたびだたれた  1000年!  リンカ様はまだお若いはずのに  神子となり禊をおえられると時がとまるのです  大神官が泣きながらいのった  リンカ様の時代に王室  貴族達に狩られ過去の民が犠牲に  大神官がサーラに土下座をした  どうか!どうか禊をお受けになり  星をお守りください  今こそ過去世の星を  戻す時このままでは星が滅びます 「大神官様」  神官の皆様……神官兵の皆様  私に出来ることなら 「ははーっ」  大神官が顔をあげ  カームとお呼びください神子  カーム様  カームと!  カーム  大事な言葉のように口にすればカームが身を震わせた  恐悦至極でございます  まさしく至宝 「あのカームルーテルに」 「は……お連れして」  神子様のご友人ご丁重に! 「はい」  駆けていく神官にサーラがお願いしますといった  勿体ないです神子さま!  リンカ様に似た丸いお人柄ありがたや!  神官の肩を借りてルーテルの姿!  サーラが座る長椅子に座ると  きょとんとした  神子様ご記憶が……  カームにいわれてサーラが傷だけでもと癒しの歌を歌う  ルーテルは最初こそ不安そうだったが  靄が晴れたように生き生きとしていった 「サーラ!」 「ルーテル!」  2人は抱きあった  記憶が戻るなんて……カーム達が平伏する 「あ……」  ルーテルが長椅子をおりる  サーラ様どうかお傍に 「ルーテル?サーラでいいわ!」  明るく笑い合う2人に神殿が安堵に包まれた  奇跡ばかりだ  カームが 幾度と平伏しサーラの足に口付ける  おゆるしを  何をです  サーラがカームのてをとった  神子様!神子様に祝福を!  神殿は湧いたのである  そして夜までリンカの鎮魂歌が歌われ神殿に葬られたのだった  第2節 禊  サーラは白大理石の聖なる泉でカームの聖別の元禊を受けた  泉の水はプラチナに輝き大きな翼を持つ女性と民たちのステンドグラスを染み通った煌めく光が水面を揺らしサーラの白絹を輝かせた  白い細い肌を艶めく光が転がる 「神子様……さあ……」  身の回りは少女たちがする  紫の瞳にプラチナの水面が光をなげた 「神子様」  可愛らしい少女は黄金の髪を白絹でゆい  サーラの手をそっと額にいただく  少女たちは厳選されたであろう貴族の子女  神子のお手伝いをした……それだけで婚姻の儀式では 有利である  でもサーラはそれに戸惑い……  だって歳もそう変わらないあどけない少女に身の回りをさせるなんて…… 「お名前は?お友達になって?」  少女は平伏した 「私の名などお耳汚しであらせられます巫女」 「お友達になりたいの……」  サーラが少女の手をとった 「聞かれたいとご命令ですか?」 「命令です」  華やかにお笑いになる神子に少女は腰を折った 「ルキオともうします」  ああ……どうか!どうかお耳汚しになりませぬよう 「いい名前」  ルーテルが脇で苦笑している 「この神子は手強いわよ!ルキオ」 「ルーテル様」  ルキオ小首をかしげる 「お友達!言い出したらきかないぞー!」  戸惑うルキオ  サーラがくすくすと笑った 「お友達になってもらうから」  わがままなんである  ルキオ花のように笑った 「素晴らしいお方」  神官達はサーラの体を覆う薄衣に目を向けるも許されず範囲にちかづくこともゆるされない 「カーム!やり過ぎです」  ひとばらいもたいがいに 「ごりっぶくですか」 「もちろん!」  サーラは里の民と笑い合い……歌いあい……過ごしたのだ  ルキオも友達にしたいし  神官は兄にしたい 「私……わがままよ?カーム」 「楽しい方だ」 「野山の動物とすら……親友だったからね」  ルーテルも人が悪い  サーラが腕組みする  カームはお父さん この迷惑な物言いに周りは仰天! 「犬が欲しいの」 「そしてね」  サーラ様!  神官達には兄!カームは父  ルキオは友!  言い出したサーラは止まらない! 「ふ……」  ルーテルがルキオの髪を混ぜた  貴族の姫様?  サーラはわがままだよー!  カームは苦笑いしたのである  何処に大神官を父扱いする  女神があろうか? 「とにかく!今日はみんなでご飯!」  歌いましょ  ルキオ頭を抱えた 「神子様!」  神官達が笑顔  神殿をひっくりかえすかもしれない  カームは早速血統のよい……躾の行き届いた犬探し 「野良でいいのに……」  なりません  御手など噛まれたら 「べつにいいわ」  なりませーーーーん!  カーム受難のはじまりである

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リラ

妖精エンドのスピンオフ エルフィさん作品

第一章 初登場編 月明かりが差し込む古い森の奥。 シャリーは息をひそめ、闇の道を進んでいた。 ふわりと足元に金色の光が舞い降り、それは小さな少女の姿へ。 翡翠色の髪、光る羽、花びらのドレス、小さな手にはクッキー。 「……あなた、迷子?」 少女はにっこり笑う。 「私はエンド。光のエレメントよ」 クッキーをかじった瞬間、黄金色の羽が輝き、 闇を切り裂くように道を照らした。 ⸻ 第二章 クッキー魔法編 森の泉でエンドは色とりどりのクッキーを取り出す。 星型クッキーは《道しるべの蝶》。 暗闇の中でも蝶が道を示してくれる。 花型クッキーは《癒やしの花嵐》。 光の花びらが傷や枯れた草木を優しく包み、元に戻す。 ハート型クッキーは《約束の灯》。 食べた者と心をつなぎ、遠く離れても互いを感じられる。 シャリーはその温かさに、胸の奥がほんのりと明るくなるのを感じた。 ⸻ 第三章 バトル編 黒い霧の中から現れる、紅い目のシャドウウルフ。 エンドは《クッキー・フォース・ライト》で獣の動きを封じ、 シャリーの剣が一閃する。 しかし完全には消えず、エンドは星とハートを組み合わせた特別なクッキーを取り出した。 「これで終わり。《スター・ハート・バースト》!」 金色と桃色の光が混ざり合い、獣を優しく浄化していった。 「……クッキーの力、なめないでね」 ⸻ 第四章 秘密編 焚き火の前、シャリーは問いかける。 「どうして、クッキーなの?」 エンドは語り始めた。 月光の村で暮らしていた頃、闇の軍勢が村を襲った。 傷ついた精霊たちを救ったのは、一人の老婦人――お菓子職人だった。 光の花粉を混ぜた特別なクッキーが、精霊たちの命をつないだ。 エンドはその唯一の生き残りであり、今もその味を忘れず、魔力をクッキーに宿している。 ⸻ 第五章 再会編 旅の途中、港町の甘い香りがエンドを立ち止まらせた。 その先にあった小さな菓子店。 そこには、あの日の老婦人がいた。 二人は涙ながらに抱き合い、あの夜と同じ星型クッキーを分け合った。 「あなたは今も、その光を誰かのために使っているのね」 老婦人の言葉に、エンドは微笑みながら頷いた。

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妖精エンドのスピンオフ エルフィさん作品

ルナマーレの夢 最高のファン エルフィ作品

第一章 月光の誓い 白い花が敷き詰められた回廊を、シャリーはゆっくりと歩く。 ヴェール越しに差し込む月光が、ドレスのレースと宝石を淡く輝かせ、その姿はまるで月の女神。 祭壇の前で待つライト様は、彼女を見つめたまま、まるで時間が止まったように動けなかった。 「…君が来てくれた」 その声は、優しさと安堵が混じり合った囁き。 司祭の声が静かに響く。 「あなたは、この人を生涯愛し、守り抜くことを誓いますか?」 ライト様は迷いなく答えた。 「誓う。どんな闇が訪れても、必ず君を照らす」 シャリーもまた微笑み、彼の手を握った。 「誓います。あなたが望む未来を、一緒に見続けます」 鐘の音と星空が、二人の誓いを永遠に刻んだ。 ⸻ 第二章 小さな約束 披露宴会場は、ルナマーレの海を望むテラス付きのホール。 賑やかな祝福の声の中、シャリーはライト様の袖を引いた。 「…ちょっと外に出ませんか?」 夜風がヴェールを揺らし、波音が二人を包む。 「今日、たくさんお祝いをもらったけど…私の一番の宝物は、あなたです」 ライト様はその手に口づけを落とした。 「なら、これから毎日、その宝物をもっと輝かせてみせよう」 ⸻ 第三章 港町ルナマーレ 古くから「月と海の町」と呼ばれる港町ルナマーレ。 恋人たちが訪れると永遠に結ばれるという伝承が残る。 新婚旅行で訪れた二人は、石畳の通りに並ぶ朝市や小さなカフェを歩き回った。 ある露店で、月の形をした取っ手の深い青の陶器カップを見つける。 「これ、家で蒼月ブレンドを飲むときに使おう」 二人はそのカップを抱きしめるように持ち、笑い合った。 ⸻ 第四章 蒼月の初夜ブレンド 夜、ルナマーレの海辺の宿。 窓から差し込む満月の光が波を銀色に染めている。 シャリーは小さなミルで、港町で手に入れた豆を挽き始めた。 「今日のために取っておいた、特別なブレンドよ」 カップを手にしたライト様は、一口飲んで微笑む。 「…香りが、君みたいだ」 二人は同じカップから交互に味わい、湯気と月光に包まれながら、静かに夜を過ごした。

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ルナマーレの夢 最高のファン エルフィ作品

蒼月のエレメント新章2結婚 総集編

「わぁ!」  エンドが 小さい子等とふざけている  ミソノと シャリーは 17歳  かなり手足も長くなり  元気に 学校で学んでいた  魔物使いには ひやひやだけど  カイルさんとライラさんの結婚式の後  2人の引退式 そして  サイ隊長と テア副隊長の 任命式が 同時に行われた  シャリーの右手の薬指にはライト王からいただいた アレキサンドライトの 指輪が光っていた  地金は シルバーとても 美しい細工物である 「シャリー……最近指輪を見てため息ついてるね?」  ミソノが こちょっと シャリーの 頬を 擽った 「どうしたの?」  ミソノに 顔を覗かれる 「うーんライト様にはもっと相応しい方がいるのじゃないかと……」  シャリーが 目を下げる  指輪は 相変わらず輝いている  指輪に 魔法が かけられているのか  常に傷なく キラリと 輝く 「ばぁ……」  ちびっこと かくれんぼをしていた エンドが  シャリーをびっくりさせる  もう……!エンド!  シャリーが にっこり笑った 「やぁっと笑った!シャリー よーくこんな顔してるもーん」  変顔をして見せる 「おやまあ……」  背後で校長が 笑った 「随分にぎやかね……」  校長は 足を痛めて杖をついているけれど  お元気だ 「かわいいおチビさん達オヤツですよ!」  用務員さんが クッキーを 差し入れる  びゅん……  エンドが かっとんでいった 「やれやれ……」  シャリーは 頭をかく 「ねぇミソノ……」 「ん……?」  いつもあんなかな?私 「ふふ……どーだろうねシャリー!幸せボケかもよ!」 「こらーっ」  シャリーは ミソノに抱きついた  もう!  2人の輝く笑顔に ハイツが 満足そう  ハイツは なんと 副隊長補佐に なったのだった 「きゃっ……きゃっ!」  エンドと おチビさんが クッキーに 群がる  こらー先輩の 分はー? 「はーい!」  エリリが わーいと 5枚程掴んでかけてくる 「ありがとう」  シャリーは エリリを なでたのであった  第1章 とんでも……? 「シャリー!ミソノ!ちょっと来て ついでにハイツもね!そこにいるでしょ!わかってんのよー!」  テア副隊長が 直々のお呼び出し  そろり……逃げようとしたハイツくん 襟首を掴まれた 「こら……副隊長補佐!」  サイに とっつかまる 「わ……」  テアが かけてきた 「やっぱりね!」  見回りほったらかしてなにしてんの!  魔物使いよ!  西の森に出たって  つけつけと 怒られて ハイツ君がっかり…… 「もう……」  ミソノが 手を腰にあてる 「ほら!しっかり!」  テアが ずる……と ハイツを 引っ張った 「すみません隊長行きます!」 「シャリー」  サイに 付き従う シャリーに エンドが 飛びついた 「エンドもー!」  はいはい!  エンド お口が クッキーまみれ 苦笑した シャリーが丁寧に ぬぐう  お口からココアクッキーの 匂いがした  さっきのクッキーね!  ちょん……  シャリーが つっついた 「てへへ……」  ミソノとウンディーネは 少しご立腹気味 「もう……もう……副隊長補佐になってから遊んでくれない!」  ごもっともである  新規隊員の 世話 そして見回り それからそれから……  なのである……  ミソノとデート出来ないのも仕方ない 「もーう……!おろしてもらおうかしら!」  ミソノ…ぷーってしてるよ!  エンドが ほっぺを膨らます  シャリーに こら……と 叱られた 「えっへへ」 「エンドまで……」  ミソノが ガックリ来たのも無理ないかもしれない…… 「はいはい……3人ならんで!」  テアが 手を鳴らす 「隊長!」 「あのな……ハイツ……お前が シャキッとしないとな俺が休めない」 「馬鹿!」  テアに頭をひっぱたかれる 「いて……っ!だってさー」 「あんたも馬鹿ね!執務室でもあるって思ってたの!  しっかりしてよもう!」  テアに 叩かれすぎて ハゲそうなんだよー! 「はぁ……」  一同ため息を ついた! 「さて3人で!」  気を取り直したか 気合いでも入ったか  隊長が 話す 「西の森へ!いってこーい」  相変わらずである 「もー」  敬礼する 3人に テアが  帰ったらテア特製の コーヒーゼリーあるから!チャチャッとお願い!  と拝まれた 「はーい」  一同伸び伸びと 西の森へと 思いきや 「ハイツ副隊長補佐!少しは遊んでっ」  ミソノさん ツノがはえそう  ハイツ君ガックリ……少しは労って欲しいもんである 「ごめん……今やる事沢山でさ!」  拝まれても ため息しか出ない!  ミソノが ぷいっとした 「知らない!」  ミソノー!  ねーシャリー!ミソノがー!  泣きつかれても 困ったもんである 「馬鹿ね デートしてあげなさい!」  ちょんと シャリーにまで つつかれた  ミソノー!  ぷーん  3人は 移動の時はこんな感じである 「あのね……」  エンドが オズルに 耳打ち  シャリーね 焼きもちやいてるのよ! 「エンド!」  シャリーに 言われて てへっと舌を出す  相も変わらず!エンドは 可愛い!  不動の プリティエンジェルは エンドであろうか 「モー!エンドまでー」  ミソノが 振り返る……と  ハイツの 背に緊張が 走る  皆!来る!  凄まじい 魔力を 練り上げて サイクロプスが 造形される 「なに……あれ!」  ミソノが 下がる 「1つ目巨人!」  エンドも シャリーの 隊服の 襟に 隠れた 「でかい!」  3人は見上げた  と……その肩に 少年の 姿 「へっへーん」  少年は 3人を 見下ろすと 「こんばんは!お兄さんとお姉さん」  と からかうように 眉をあげた  第2章 突破なるか?  シャリーが オズルと共に駆けた そしてミソノが イサを唱え 氷結の帝王を呼び出す  ハイツは 剣を抜き放つと 足元を狙う 「ちょっと……ちょっとお話させて貰えませんかねー」  少年はひょいひょいと かわしながら 嘲笑を浮かべる 「ばっかだなーお兄さん達!人の話は聞けってならってないのー?」  いやな言い方に エンドが ぷーっと むくれた 「何よー!どチビいいなさいよー!」 「おーい超ド級どチビにいわれたかありませんねー」  ドンっ  サイクロプスが 足を踏み鳴らす  ぴょん……と エンドが跳ねた 「んッもー!頭きた言わせてあげるわよー」 「ちょっとちょっとエンド挑発にのらないで」  シャリーが 怒り心頭の エンドを すくいあげる 「サイクロン」  シャリーが放って オズルが 火炎放射を あわせた  ごおっ  炎の 渦が サイクロプスを みまう 「おおっと……」  少年が 中空へ消える 「頭に血がのぼった妖精さん僕の名前覚えといてクゥっていうよー」 「知るかー!」  サイクロプスも 霧と なって消えた 「あのチビ助ー」  エンド……パタパタ  むっきーっと 憤慨している  ハイツは ペタとしりをついた 「良かった……あんなの相手にしたらやられる!」  シャリーが 肩で息をする  ミソノの 氷帝は つぃっと ミソノに礼をすると 消え去った 「あれ……伝説の巨人族じゃない!」  シャリーが エンドの 頭を撫でてやりながら呻く  ミソノが ぶるりと 肩を竦めた 「あーのガキンチョに操られるんじゃ……」  エンドが 腕組みしてプンプン!  たいしたもんじゃ  しーっ 「あいつは強敵だよエンド……」  ハイツが 告げる  まるで死刑宣告のようだ 「うん」  あの魔力!すごかった  シャリーが 冷や汗を拭う  3人じゃ勝てない……誰か殺られたら全滅だ!  ハイツが大地を どっと 殴る 「遊ばれてたしな」  悔しいらしい  そこは男の子 当然と言えた  シャリーは  とにかく戻ろう 隊長と副隊長に 報告!  そう言って 指輪を撫でる  ライト様お守りください  願うのみであった  3人は嫌な思いを 個々に秘め学校へ戻る そして隊長に報告した 「サイクロプス!?」  お茶をいれていたテアの手も サイの悲鳴にも似た声に ピタととまった 「まさか……あの?」 「はい……紛れもなく」  ハイツが うなだれる 「魔物使いは少年……遊ばれてるだけでした!悔しいです」 「よしよし」  サイが ハイツを 撫でた  3人で行かせてごめんな!  クシャ……  ハイツの 前髪を もむ…… 「お前もハゲろ!って言いたいとこだが!よく行ってくれた」  なんだろう?はげまされてるのかもしれなかった 「な……ほら!テアのコーヒーゼリー!」  上には クリームが のっている 「まるで自分が作ったみたいにいわない!」  テアがサイの 耳を引っ張った  いてっ!  ふ……ハイツが ようやく笑う 「可愛い顔して凶暴なんだからなー」  サイが 耳をさする 「ま……いいやね!今度みんなでやっつけに行こうや」  なんだかんだ サイ隊長!たよりになるのであった  第3章 愛するコーヒーゼリー?  サイがあんぐりと 大口を開けて ゼリーを 食べている  ミソノが ペしゃと ゼリーを 器に落とした  あんまりにも美味しそうに食べるものだから……  エンドが シャリーの脇で 口をクリームまみれにしている ほら!隊長!もう……シャキッと!  本当は嬉しいのだろうか テアの 頬が赤らんでいる 「美味いもんは美味い」  パコっ!  軽く 叩かれるサイだったが 意に関せず  パク……ヒョイ……パクと ほおばった  馬鹿ね……  ポソ……テアの呟きをシャリーは聞き逃さなかった  仲良いのよね!実際  クス  シャリーも負けずとほおばる 「美味しいです」  ハイツが 明るく言って ミソノに つねられた  いてぇ  跳ね上がって 一同の笑いをとる 「馬鹿!」  こっちの馬鹿は ニュアンスが 違う  シャリーが クスクスわらって ハイツを 見つめた 「やめてよー」  ハイツ涙目  可笑しいの!  こうして夜もふけて それぞれ自室に帰る  ハイツに サイが 言った 「な……ミソノちゃん……さ……もっと大切にしてやれ」  優しい サイである  ハイツは にっこり笑う 「はい!」 「よっし……!告白練習」 「えーっいいですよー!!」  宿舎中に その声は響き渡った 「うっるさーい!」  テアに 怒鳴られ すごすごハイツ 「ほらぁ……だから……俺をミソノちゃんとするだろ?」 「嫌です」 「なぁに?」 「ミソノはミソノです」  今度はドンドンと 叩かれた 「私がなぁに?」  ミソノさんである 「いやぁ……明日あたりデートしよってさ」  先を越されたハイツくん 悔しそう 「ほんとー?」  ミソノが 顔を輝かせる 「うん」  なんだかハイツ項垂れた 「嬉しくなさそうねー?」  下から睨まれて  ハイツ 姿勢を 正す  東の 丘の花畑いこう!  ほらね!  なんだかやけっぱち  ミソノが 「……?……」  と サイを 覗く 「いいから行ってこい!テアは 抑えとくから」 「だぁれを?」  ミソノの 後ろから ツノの生えたテア出現  サイ 死んだフリ 「馬鹿ね!わかってるわよ!」  ピン!  ハイツの おでこを指で弾く 「激務ご苦労!補佐行ってよろしい」  本当ですかぁ?  ハイツが 笑う 「うん!私は嘘つかないでしょ!いいわよ」  ミソノの 背をパンと 叩くと 部屋へ戻って行った 「わーい」  うるさぁーい  また叱られた  第4章 おデート 作戦 朝 起き抜けに サイ隊長が一言  「なぁハイツ?チューくらいしただろな?」  チュー!  ハイツが 真っ赤になる  そんな 不道徳ですよ!  したことないんかい?  おでこになら…… 「ふーん?どんなもん?」  サイが ハイツを探る 「ただ チュッて」  あの?隊長?  ポーリポリ  サイが 頭をかいている 「まさか?隊長?キスまだですか?」 「るっさい!マセガキ」  まだだったようである  ハイツが 頭を抱える  いっつも隊長と副隊長 漫才してるから  とっくかと……思った  しかしサイは ウブだった  ハイツ ここは勝ったと 満足する  お互い アホである 「隊長!スノードロップつんできますよ!」  テアは スノードロップが 好きなのだ 「ね……」  少し励ましながらガッツポーズ  馬鹿である  少年よ何を考える?  サイが 涙ぐんだ  頼めるか?  毎日 ビシバシやられて さー  泣くんである 「はい!」  ハイツ ここで敬礼 「よっしゃ行ってこい」  ワシッ  ハイツの頭を混ぜ込んで サイも敬礼!  お互い 意地がある  勝負なのだった 「ミーソノ!行こう」  ピョコ  ハイツが 顔を覗かせる 「はぁい……」  ミソノが 髪をツインテールに して おリボンまで結んでいた 「シャリーがね!」  そう シャリーの 力作 必殺ミソノちゃん  シャリーが ちょいちょいと 手を振った 「夜までにはかえるのよー」 「もっと早めに帰るわよ!シャリーったら!」 「えへへ……ちゅー」  エンドが 唇を 突き出す 「もう……!」  ミソノが 真っ赤だ  ハイツは 愛おしそうに眺めていたが ミソノの 背をエスコート 「ガッツ!」  シャリーの ポーズに ピースで答えた  2人は 隊服の 上にオーバーを 着ていたが寒い  ハイツが ミソノの 肩に 自分の オーバーを かけた 「プシュ…」  ハイツ クシャミをする  馬鹿ね……  ミソノが ハイツに オーバーを かけ返した 「そこ!見せつけない!朝練つきあわすわよ!」  テアに こん……こん……と 杖で はたかれる 「はい……」  ふたりはテテッと 駆け出した 「全くもう!今の若いもんは!」  テア……オヤジである シャリーが テアの 肩を抱く 「副隊長……」  テアが わかってくれるの?シャリーだけね……と 項垂れた  そして 恐怖の 朝練が 始まる  一同そろってオートマタ 2回倒す  そして 体幹トレーニング  オマケに腹筋  そしてそして 宿舎周り20周  さすがスパルタのテア  いや?  ムカついているだけか?  やけであった  ハイツは 東の 丘をめがけると ミソノの 手をとった  ちゅ……  ミソノが そっと頬に キス……  ハイツが ポッと赤くなる 「えへ!」  ミソノさん にっこり 「嬉しいんだもん!」  かっ……かわいい!  ハイツ ドッキドキである  ね……キス……していい?  ミソノの手を握った 「え……?」  ミソノが 頬を染める  これは反則だ  花火大会の キスポーズは?  ハイツが そっと キスを……なんと唇に した  勝ったァ!  何にである  ハイツと ミソノは お互い真っ赤で 丘についた  そして綺麗な スノードロップを そっとつむ 「隊長がね副隊長に あげたいって!」 「ふふ……」  ミソノが 髪のリボンを くれた 「これでしばってあげて」  そっと……手が触れ  また 真っ赤  ハイツが ありがとう……と 受け取った  ふたりは 空を 見上げて  ひばりがいると はしゃいだ  なんだか泣けるくらい平和である  ゾクッ……  ハイツの 背を何かが駆けた  まさか?  ミソノと ハイツが 振り返ると クゥが居た 「よっ!お兄さん達」  そして バサッと ハーピーを 呼んだ  いけない!  ミソノを……  ハイツが ミソノを 庇い込む 「ハイツ」  ミソノ!走れ!誰か呼んできてくれ!  ハイツが ミソノの 背を押す 「はい!」  ミソノが 駆け出した 「えーっ逃がさないよー」  追おうとしたハーピーに 剣をみまうハイツ  しかし左に 花束を 抱えたまま 「ムカつくんだよねー片手間じゃ勝てないよー」  ハイツが ドリアードを呼ぶ  そして フローズンを 放った  ドリアードは ハーピーの 羽を 根でぬい止める 「クゥくん……守りたいものはある?」 「ないねぇ……」  どっ!  背後から 狼に 倒されたハイツの手から スノードロップが 落ちた  そしてスノードロップは無惨に 踏みにじられる 「馬鹿だろー!」  そこを サイクロンが 叩いた  サイである 「君が クゥ?」 「はーい」  サイの 後ろには ミソノが いた 「精鋭隊の隊長さんでしょ?」  クゥは 仰々しいまでに 最敬礼を する  今日は ご挨拶!  ヒョイ クゥが ハーピーに捕まるとハーピーは 飛び去った 「ハイツ!」  ミソノが 駆け寄る  背に 狼の 爪痕と 牙の跡がある  ミソノとウンディーネが 癒しを かけた 「隊長……すみません……スノードロップ!」  サイが 踏みにじられた 花束を 抱く 「いいんだハイツ!」  そっと涙を拭った  そして立ち上がる 「あのチビ!喧嘩を 売ったこと後悔させてやる」  サイの 肩が震えていた  怒りか 涙かそれはわからない しかしサイは 決然として ハイツを 背負う  医務室へいこう!  ミソノの肩を抱く 「ミソノも 疲れたろ?」 「でも……」  いいから  3人は 学校へと 坂を 下る  そして サイは怒りに燃えるのであった  第5章 後悔……  サイが テアに 花束を 手渡した 「赦してくれ」  そして 両膝をつく 「ハイツとミソノを 守れないばかりか」 「馬鹿ね……」  テアが サイの おでこに 唇を おとす 「嬉しいわ……ありがとう3人とも」  無惨に 散った花束を テアが 胸に 抱く  ハイツ?  はい!  ごめんね  サイが 気配を 感じ取って もっと早くに 行ってれば  ……テア……俺を殴れ 「いいから……だまってて」  押しの強さは鉄板である 「もーお……」  テアが 手をのばす  大バカ  そっとサイの 唇に 唇をつけた 「きゃー……」  みんなが わく 「みちゃいましたぁ」  ルナが嬉しそう 「隊長……」  テアが サイの 胸をグーで押す 「やっつけましょ!」  最高の 笑顔  サイは 頭を かいた 「あ……ああ」  頬をそめた隊長を この時はじめてみた気がする  ハイツが パンと サイの 背をはたく 「良かったですね隊長……はじめて……」  わっ……こらバカ!  サイが ハイツの 口をおさえる 「どうしたの?」 「はじめてって?」  ミソノと テア たいがい鈍感なのである 「ちゅー」  ふざけるエンドに 「もう……!」  ミソノが手をぶんぶんと 振った 「なんなのー」  と……シャリー……ここにも鈍感は いたのである 「まずは……クゥは 沢山の魔物を いっぺんに 使える」  テア達に サイが 説明する  多分  サイクロプスの時は一体だけだろう……サイクロプスは強敵だ!だが……ここが……  ここが弱点だ…… 「うん……ここをみんなで叩けば……」  テアが シャリー達の顔を覗く 「とにかく……やろう……」  あいつは許せない!  サイが きっと 正面を 向く  そして テアを見た  テアは ドキリとした 「なーテア!コーヒーゼリーまた作ってよー」  あほーっ  テアの 炸裂パンチ  頬に決まる  せっかく男になったと思ったのに!  バカーっ  ドキドキをかえせー!  ひっくり返ったサイに テアは嘆いた 「作るけどね隊長にはあげません!」 「そんなー!」  サイの 涙は なかなか途切れなかった  第6章 打ちのめせ!  サイの 探知能力を 頼り 一同は 北へ向かう それには  ランドルも 加わった 「どうして……もっと早く言わない?」  サイの頭をこねくり回しランドルが言う 「危険だろう!バカモンが!カイルが嘆くぞ」 「す……すみません」  なんだかんだ サイは独歩でクリアしてきたのである 「教官」 「みんなすまないな……遅くなって」  テアとハイツが 頭を下げに行かなければ  サイ特攻していたかもしれない 「お前一人で全部背負うな!」  ランドルは わかっていた 「はい……」  サイが 敬礼  ありがとうこざいます! 「あー堅苦しいのはいい!いくぞ!」  北の ベルカナ付近 その辺でクゥの 匂いが消えている  サイは 地に手をおくと 足音を さぐった 「教官!あの少年 ベルカナの中に!」  なんだと!  ランドルが 眉をつりあげた  もう この都を 戦地にするわけには! 「連れ出せ ベルカナでサイクロプスに暴れられては!」 「ランドル?どうしたって?」  この声!ライト様!  愛しい婚約者の 気配に来てみれば……何かあったね?  柔らかいが 目が笑っていない 「今サイクロプスと?」  はい……  ランドルが バシッと 姿勢を正す  サイクロプスを 使う 魔物使いの 少年 クゥが…… 「都にいるんだね」  察しが早い  流石である 「はい」  僕には早目に言うように!特にランドル!  一人で走るな!  なんだか……どこかで聞いたお説教  シャリーが クスと 笑った 「エンド……ライト様好きー」  エンドったら!  シャリーが 真っ赤である 「うん!ありがとうエンド!シャリーはどうなんだろうねー?」  なんだか包まれている  そんな優しさを感じた 「す……」 「尊敬です」  サイに 妨害されたが シャリー 「好き?」  コク  迂闊に頷いて真っ赤になる 「嬉しいね!いいだろうランドル協力させてもらう みんなに傷1つ付けさせたくないからね」  ライト様は 門を抜ける  そして 光の 波紋を 放った  魔物使いの 苦手とする 気配  見事だ!都中に 広がる 「あの子だね」  駆け出して来るのはクゥである 「おや……お兄さん達!また味方沢山連れちゃって」  たっ!  ライト様の 脇を抜けると ライト様に 抱え上げられた 「クゥくん……外で話そうか?」 「ちぇっ!」  ライト様筆頭 一同は ベルカナから 距離を 取る 「いいよ!もう!全くライト王なんて反則でしょ!」  ライト様に 降ろされて  だっと 離れた  そして サイクロプスを 呼ぶ  なんと2体 「嘘だろ」  サイが あんぐりと口を開けた 「皆んなが反則するなら僕も反則!僕の名は!」 「名は?」  ランドルが かえした 「アビスさ……」  ど……くん!  皆の心に動揺が 走る  そんな馬鹿な  生身の 少年ではないか!  いくよー!  どがん……とサイクロプスが 棍棒を 振るう  ず……地面が割れる 「ち……動揺したね」  ライト様が 結界を はる  皆が 守られたが  ライト様の 顔に 傷が走った 「あ……」 「大丈夫だよ!シャリー君はそこにおいで」  ライト様の マントが シャリーを 覆っていた  ず……だん!  サイクロプス2体が 足を鳴らす  一同  腰が抜けた 「立て皆んな!」  ランドル!いいから  シャリーが たっと 進みでる  そして神炎の神剣を 瞬時に呼んだ  ライト様が 太陽の 神剣を 放つ  かっ……神剣が 太陽の 光をまとい  がかん!と 切り降ろされた  シャリーもそれにならう  神剣同士 真空と炎が 纏わって サイクロプス一体を 仕留めた 「やられたねー!」  なんだろう あの余裕!  隠し玉でもあるのか! 「エンドっ!」  真空波!  ていっ!  エンドが放つ 「おっと……」  少年を 狙ったそれはかわされた 「おー怖!凶悪フェアリーだね!」 「うっさいわね!巨人呼び出して暴れてるだけの ガキンチョがーっ」  エンド  プンプン! 「おやおや怒らすとご婦人は厄介だよ少年!」  ライト様が 笑う  とっ……!シャリーが跳んだ  足元に サイクロンを呼んで それを跳んで行く 「おいたもたいがいに!」  だが!迫る直前 身に覚えの ある重力波に 弾かれる 「きゃ……」  飛ばされたシャリーを ライト様が 抱きとめた 「こら!無理はしない!君に何かあっては……」  ライト様が 神剣に 光を流す 「こまるからね」  再び マントに覆われた  シャリー……皆のところにおいで!  見回すと 皆んないない  まさか 「転移」  ダメです!  シャリーが 駆け寄った 「命懸けなんて嫌です!何かあったら」  ふわ……シャリーの唇にライト様が 唇で触れた  そして転移! 「だめ!」  移動させられる中 シャリーは 叫んだ 「後でねシャリー!」  ライト様!  第7章 行方 「あっ……」  シャリーが 目を瞬いた時  学校前にいた!  ランドル教官!  傍に倒れているランドルを 揺する  皆も1様に 気を失っている 「おきてっ!」  バシッ!とシャリーが 背を叩いた 「う……?」  痛みに ランドルが 起き上がる 「シャリー!ここは」  学校です!  ライト様が! 「あの方は!暴走するなというくせに!」  皆を叩きおこす 「うーん」  サイが 頭を抱える  テアに ゲンコツを貰ったためだ 「ランドル教官転移お願いします」  わかった!  一同が 固まるランドルが 転移を 唱えた  しゅ……  皆は ベルカナへ戻った 「なんで……」  残りの一体と対峙していたライト様が 振り返る 「何故もどった!」  バチッ!  シャリーがライト様の頬を うつ 「暴走しないで下さいっ!」  皆が顔を覆った 「なんでわかんないんですか!」  シャリー……  ライト様が ふっと笑った  確かにだ  驚いた 無礼の筈なのに 笑っている 「ごめんよシャリー危うく 君を未亡人にする所」  ガク……シャリーが 項垂れた 「違います!男の人って正気ですか!あれはアビスです!おひとりでは無理です」  わかったよ  見た事のないような明るい笑顔で ライト様が  サイクロプスに 向き合う  シャリー!皆!たのむよ!  はいっっ!  皆の足並みがそろった  サナ!足封じ  ルナのサナが サイクロプスの 足を封じる  ミソノが 氷帝を 呼びアイスストーム  シャリーが 跳ねた!  とんっ!  サイクロプスの 目に 神剣を立てる 「よし!」  ブランク!  ライト様が 全てのルーンを 放つ  ずがん!  ルーンの束が サイクロプスの 首をはねる 「ちっ……役たたず!」  少年が 地におりた!  そして手に 深淵の 剣を よんだ 「あんたねー!」 「いかな魔物といえ自分の 相方なんだから!」 「うるさいよ!おばさん!」  腕の一振りで テアが はね飛ぶ! 「テア!」  サイが止めて そのままの勢いで 木に叩かれる 「サイ!」  テアが 涙をこぼす! 「このチビ!子供だと思って優しくしてるからって」  テアが 炎帝を よぶ!  おっとぉ!  ランドルが主役を食われる 「ご婦人はおこらせないんだよー!」  ライト様のほっぺたに シャリーの 手形  シャリーが 真っ赤になってモジモジした 「おかげで正気にもどったけどね」  テアの炎帝の ファイヤーストーム!  炎帝を呼び出したばかりのテアなのに  焼き払う威力に サイが うへーっと 息をつく 「もう怒らせるのやめよっと!」  軽々と跳んで  テアの前に立つ  そして 少年の 剣戟を ドリアードの 剣で受止めた 「サイ」 「いいから!まもらせろよ!」  サイが テアを 背で押した 「バカ!」  テアが 真っ赤だ  ライト様が 神剣で 真空を呼ぶ 「おっと!」  少年が ひょいと下がった  とと……と 後ろステップで下がりながら  重力波!  ズドン!  ハイツの結界に 一同が守られる 「よっしゃあ!」  サイが 神速でかけると どがんと 剣を打ち下ろす  少年が 尻もちをつく 「こいつ!」  少年の 瞳に 怒りがともった 「殺す!」 「炎帝!ファイヤーフレア!」  おいおい!ランドルが青くなる  テア!俺を超えたねと 肩をすくめる  皆の動きが活き活きしている  シャリーが 神炎を 纏い 剣を振り下ろす  ファイヤーフレアに焼かれた少年に 剣が落ちた  それをライト様が 止める 「!」  シャリーが顔をあげた 「この少年は器だよ」  ライト様が オーブを 抜き出した  あいつがいるね!  ギュンター!  ランドルが 地を叩く! 「こんな少年を食わせるなんて……!」  テアが 切れた 「許せない!」  シャリーが立ち上がる 「うん……!奴を探そう!近くにいる!」  ライト様が オーブを 転移させた  第8章 死闘 「オーブを?」 「ああ……アリアンロッド様にお預けする」  ライト様が シャリーの 頭を撫でた  パチン  ウインクされて  シャリーは ライト様とキスした事を 思い出した  顔から湯気をふきそうなほどシャリーが赤面する 「シャリー……」  ライト様が 膝を折る 「ありがとう!」  そして 毅然と 立ち上がる 「奴を叩こう!」  マントを はためかせ  古代王と一同が決起する  行きましょう 「くれぐれも!1人でも死んだら!アリアンロッド様に はたかれるから死なないでおくれ」  過激な ライト様  だけれど  シャリーは察した 凄く傷つく何かを隠されているのだと 「いくよ!」  一同は ベルカナを まわる  確か……この辺りです  ランドルが 闇を 追っている 手には 剣で 傷がつけられている 「ありがとうランドル」  ライト様が ランドルの 手に触れると 傷がきえた 「ライト様」  ライト様は 見回すと 1本の 大樹に 剣を 立てた 「出てこい!卑怯者!」  怒りが満ちているのか 温和なライト様の 声が  震えていた! 「おやおや!ライト王自ら おいでとは……」  その背後に ギュンターが現れた 「ギュンター!過去の主人まで食らうとは!」  ライト様が 剣を抜く  そして真っ向から斬りかかった 「どうされましたか?ライト王」  からかうようにして ギュンターは 消える そしてまたあらわれた 「ライト様!」  シャリーが 手をのばす! 「ライト様ともあろうお方が こんな小娘を お好みとは!」  ギュンターが 標的を シャリーに 定めた  そして……シャリー目掛けて 槍が 繰り出される 「ハミル様をお忘れか?」  ライト様の顔に青筋が走る 「その名を!」 「どうされた?王」 「口にするな!」  ライト様が 神剣で槍を絡め取る 「ライト様!」  シャリーが止めに入る 「おかしいです!落ち着いて!」 「王?」  ギュンターの 槍が 薄いシャリーの 胸を 貫いた  そしてライト様の 胸に埋まる 「馬鹿なお方だ!正気を 失ってハミルは愚か小娘も 救えないとは!」 「い……言うな!」  ソウェイル  ライト様が 残りの輝きを 放って  シャリーを 治癒した 「ライト様!」  死から救われた シャリーは ライト様にソウェイルを 使おうとする 「いい……あとは……あとは……」  消えかけた ライト様の 頬に 新たな手形! 「……?……」  シャリーが 首を傾げた 「ふ……追い返されたよ」  ふわ……  ライト様の傷が癒えている  アリアンロッド様も お人が悪い!  ががっ!  ギュンターの 鎧を 神剣が 切り裂いた 「お前を倒す……」  ライト様の剣が ギュンターを裂いた! 「ぐっ!」  ギュンターが 血を吐く 「お前は生身だろう?」  そして  ガンと 首を跳ねた  ギュンターは 血を撒いて 倒れる  テアが サラマンダーで 火葬を した  ライト様? 「シャリー……君に……」  言ってがくりと ライト様が 膝をおる  そして木に寄りかかった 「体力の限界だ!やれやれ!生身は 加減がね」  ふ…と 笑って ライト様が シャリーを 抱きしめた  このまま聞いておくれ 「僕にはね……ハミルという許嫁がいた」 「……!」  シャリーが 顔を上げる  なのに彼女も君と同じく 庇い 亡くなったんだよ  ふわ……唇が シャリーの 唇に 降る 「何とか倒しはした……だが このザマだ……許してくれるかい」 「はい……はい……!」  シャリーが 頷いた 「分かりますライト様」 「ありがとう……」  ライト様に ヒールを かけるウンディーネと 共に シャリーは 心の傷を 癒そうとした 「頼みがある!シャリー!僕の妻になっておくれ」 「も……もちろんです」  シャリーが 鎧に しがみつく 「良かった!」 「は?」  一同唖然  いやー断られたらと…… バッチーン  シャリーの 平手炸裂  ライト様は苦笑した 「1番の狸!逮捕です」  シャリーが 手形を 付けた頬にキスをした 「みーたわーよー」  テアとミソノに 背後霊のように  くっつかれて シャリーは 肩を竦める  だってぇ……  シャリーってばーチューした!  エンドが ぴっと指を指す  いけないんだー!  なにをよー!  シャリー 揉みくちゃである  アッハッハ ライト様が一際明るく笑った  あらまぁ1番の特効薬ね ウンディーネが ニッコリ  エンドが シャリーに キスをした  エンドもー  そしてライト様に キス 「エンド!」  シャリーに摘まれる 「えっへっへー」  こうして一同は めでたく凱旋したのである  エピローグ!ハッピーエンド  シャリーが卒業の日 ライト様が シャリーを 迎えに来た 「ライト様」  シャリーのお母さんが 膝をおる 「いいえ……お母様……そう呼ばせてください……」  勿体ない……  お母さんは 頭をたれた 「シャリーを 花嫁に下さるだけで幸せです」  ライト様は 手を差し伸べた  シャリーの お父さんは 木の影から覗いていた 「主人は……主人はお恥ずかしいからって」 「お父様……お顔を拝見させて下さい」  ライト様が 一礼する  お父さんは こそばゆそうに ひょっこりと 出てきた 「お父様シャリーを いただきありがとうこざいます!」 礼儀を重んじるライト様に お父さんは 涙をながす 「娘を……娘を よろしくお願いいたします!多少跳ねっ返りで……」 「それはもう」  やわらかく シャリーに流し目  シャリーは 赤くなったり青くなったり大変である  そっと ライト様は ベルカナへの 陣を 組み  式典参加者全員を 招待した  ハイツとミソノ  サイとテア  カイルとライラ あそして2人の間の赤ちゃん  ランドルと 校長 用務員さんにいたるまで それこそ学校中を 集める  カイルが ライラと 祝福を のべる 「おめでとう……本当に」 「結婚するなんて」  涙ぐんでいる…… 「わーい」  エンドは まさしく  本家本元 リングガールである  そして お友達の サナと 肩を組んで歌った  結婚式は 蒼月の夜にと ライト様の提案  つまり今日である  シャリーは 着慣れないドレスに 四苦八苦  裾を踏んで転びかけた  ライト様が 蒼月差し込む神殿で待つ  シャリーは 裾を ちょいと摘むと 首をしゃんと伸ばした  そして丁重に歩く  エンドとサナがリングガール……  結婚指輪を 運んだ  シャリーが ライト様の 前へ辿り着くと  慣れないドレスで かんっと転びそうになる  それをライト様が 包んで支える  わっ………………  会場から祝福の 拍手が 放たれた  シャリーは 赤くなって ライト様を 見上げる  ライト様は そっと長いキスをした……  おほん!  リング交換!  大神官様に 咎められて  ライト様が 赤くなる……  アッハッハ会場に笑顔が満ちた  蒼月の光の祝福のもと ふたりは夫婦になったのである  さぁ……おいわいだぁ!  ランドルに 校長の 一言 「羽目を外さないようにね?」  ピシャリ きまった  シャリーとライト様が にこやかに笑う それを蒼月が 見下ろしていた  さーて 2人の愛は深まるばかり……応援してね!  エンドちゃんでした!  めでたし……めでたし……        

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蒼月のエレメント新章2結婚  総集編

天使の梯子 総集編

おはよう……  おはよう……  起きてほら!今日は神様にお会いしにいくのでしょ  お母さん天使は まだ小さい羽の少女を おこした 「ね……ほら……ね」  優しい声  リンは もそっと 寝返る 「おきなさい!」  わっ!  布団をひっぺがされる 「優しいうちにおきなさい!」 「は……はいママ」  リンは 慌てて鏡台の前に向かう  あれ?私ってこんな顔だったっけ?  パパとママは 金髪巻き毛なのに私だけ栗毛  しかも 茶色の瞳 「うーん……」  悩んでみても考えて見てもわからない  髪にブラシをあてると てて……と 階下へ向かい顔を洗う  あれ?  やっぱり夢でもみてるのかな?  私ってこんな顔だっけ! 「リン!ご飯よ」 「はぁい」  食卓に向かうとパパが 天界新聞を読んでいた 「パパおはよう!」 「こら!もう1人前なんだからパパはやめなさい!」  はぁい  なんだかつまんない…… 「はい……でしょ?」 「はいお母様」  よろしい!  腕まくりをして お母さん天使は パンケーキを 焼いていた  いい匂い?  ……私は納豆ご飯がいいな……  ん……納豆ってなに?ごはんって?  次から次へと浮かぶ疑問  んーーーー?  小首をかしげる 「はい……リン」  でんと 前に置かれたのは15歳おめでとうと チョコペンで 書かれた 厚めの パンケーキだった! 「わぁ!」  もう……  くれぐれも神様に失礼のないようにするのよ!  いい?  パクっと 大口で頬張った リンをお母さん天使が しかる  リンはもう…… 「はい……気をつけます!」  本当ね?  はいお母様!  よろしい  第1章 与えられた運命  リンは 母スコットと 父ラナンの子 15歳でみんな運命をいただいて  いろんな仕事をする  リンはどうなるのか?  リンはたのしみで不安だった  何時までも子供ではいられない  わかってはいるのにね  リンは歯をみがいて  白いローブに着替えた  へまやらかしゃなきゃいいな  神様やみなさまのまえで  すってーーーーーんなんてやだな  白いローブは裾を踏みそう  ええと……リンは思った  成人するとみーんなこうなのよね  歩きずらいったらない……  さっきも裾を踏んで グェとなった 「なんだよ お前もかよリン」  天界の 空をはたはたと飛んでいると  いじめっ子の  クレイグが  飛んできた  げ……クレイグ!  リンは 身構える 「ふーん……似合うじゃん?そのローブ」  何となく ちらちらみる 「何よ!クレイグ文句あるの」 「いやあさ……いつもドタバタなリンが 花の露でなんか化粧しちゃってさ……」 「笑いに来たわけ?」  ちげーよ!  似合うな!多少 「むーん?」 「それほめてる?」  リンは腕組みする 「なんだよ どろんこ玉でもぶつけろってか?」  クレイグ真っ赤 「いい!いいわよ」  見れば  クレイグも 白いローブの上に皮鎧なんかつけてる 「似合うわねクレイグ」  まじかよ!  クレイグ君……ぱぁ……とあかるくわらった  あら  可愛い!  クレイグって笑うと八重歯がのぞくのよね 「似合うって言ったげてるでしょ」  リンは ツンと 顔を上げると  神様のお城まで 速度をあげた 「待てってリン!」  クレイグの初恋は この後実るのか?  はじまりはじまり 「ラナンとスコットの子リンです」  光り輝く お城につくとリンは 門番を務める天使に声をかけた 「と……クレイグです」  おい!省略しなかったかい?クレイグ  15歳の運命をいただきにまいりました  2人は姿勢を正す 「よろしい通りなさい……くれぐれも失礼のないように……」  リンは声高に「はい」  と答えた 城の 扉が ぎぃっと開く  大きな扉なのにまるで重さが無いようであった  2人が入ると背中でパタムと 閉まる  あたりは光り輝いていて  頭上の 天井は12個の宝石でステンドグラスのようであった  お進みなさい  優しい女天使が 階段を示す  はい  リンは てて……と 階段をめがける  と?  クレイグ君ローブの 裾を踏み背後でこけた 「バカねつまみなさいよ」 「なれてないんだよ!」  頭をかきかきクレイグ君 真っ赤になりながら 立ち上がる 「こら!静かに!」  神様のいらっしゃる扉の前に いらっしゃる 大天使様に叱られた 「しずかにね!」  プラチナブロンドで オッドアイの 美しい大天使さま 「はい」  リンが クレイグの 脇をつついた 「しかられたじゃないのよ!」 「おチビさん!お黙りなさい」  今度は赤い髪の大天使様に叱られる 「はい……」  リンは 神様の扉の前に立った  綺麗な扉 金かな?  リンが 一礼する 「お入り」  柔らかいがしっかりしたお声  神様だろうか? 「そんなに緊張しなくても良いのだよ……おチビさん」  つぅ……と 静かに扉が開く 「さあ……おいで……」  神様のお声に2人は 最敬礼をした 「よいよい……お入り」  凄くお優しいお声  リンは緊張が 抜けて行くのに気がついた 「リン……クレイグ」  神様に名前を覚えていただけるなんて リンはスキップしそうだった  オホンと大天使様に咳払いされて チョコチョコといく 「2人とも成人おめでとう」  光り輝く方が ふんわりと言う  お声から察するに男の方  リンが首をかしげる 「私には性別がないのだよ……リン」  クス  神様は笑われたようだった 「リン……まずは君に運命を 与えよう……人間の 浅野 鈴を守るように」  あさの……すず……? 「君と入れ替わっているこだよ」  リンが ちょこんとと首を傾げる 「あの子は追われていてね魔物が つきまとっていたのだよ……だからね リンと姿を入れ替えた……リンはおかしいとは思わなかったかい?」 「はい……確かに」  あの子はね特別なんだよ 楽園を育む子だ  だからね リン いってくれるかい?  はい……  リンが こくんと 頷いた  オホン  脇で控える大天使さまに咳払いされて  リンは……  御意……行かせて頂きますと 芯をとおした 「良いのだよ……皆は良い子だ 会いたかったのだよおチビさん達」 柔らかく お笑いになられて神様は 玉座を 降りられた  大天使様あたふた 「神様!」  赤い髪の大天使様が飛んでくる  良いのだよ……  神様は 輝いていて拝見することは出来ない  だけど神様は笑った それがわかる 「鈴はね祈りをかかさずする……良い子なのだよ」  はい……  リンとクレイグ 二人で 鈴を守るように  霊的みかけを 入れ替えてあるだけだから……周りにはリンは 金髪碧眼だよ  鈴は 見つけられるね 「はい……」  リンが頷く  では……行っておいで……  天使の梯子を呼ばれて リンは……そぅっとおりた 「行ってまいります」  頼んだよ  クレイグと 連れ立って地上へ降り立ったリンは 当たりを見渡した  そこは人間界で言う車がバンバン通る高速道路とかいうところであった  おりなきゃ  はたはたと 舞いながら降りると  そこは 公園の中  そこにあの子はいた  第2章 出会い  リンが 花畑を見ながらてけてけ歩く  当然ながら 他の人にはリン達は見えない  と……前方からシーズー犬が かけてくる  そしてそのあとを ピンクの首輪をつけたキジ猫ちゃんがついてきた  シーズー犬君リンに一声吠えると 甘えはじめた 「こら……ジョニーダメでしょ!クロちゃんも待って」  栗毛の あの子が かけてくる  鈴ちゃん!  かけて来てポカンと 立ち尽くしてしまう鈴ちゃん 「天……使様」  どうやらリン達が見えているらしかった 「初めましてリンです」  リンはそっとお辞儀した  クレイグは頭をかいている  そこへリンの肘鉄 「挨拶くらいしなさいよ!」 「あは……良いのです鈴っていいます」 「神様からおききしていますよ鈴ちゃん」  ぱあっと鈴ちゃんは顔を明るくして ぺこんとお辞儀 「嬉しいです天使様」  魔物に追われてるのですって? 「いえあの ちょっと変なのを見やすいタイプで悪魔とか見てしまいやすいんです」 「私たちが傍に居ることになりました守護天使として認めてくれますか?」 「もちろんです 光栄過ぎます 天使様」  クロちゃんが リンにすりつく 「2匹お友達なのね」 「はい!うちの子です」  可愛い!  リンは 鈴ちゃんと 手をつなぐ  クレイグは 後ろ手にくむと  口笛をふく  わぁ……賛美歌みたいです  そりゃ褒めすぎでしょう  リンが笑った 「酷いや!リン!鈴ちゃんありがとう」  赤くなるクレイグにリンは面白くない 「あんまり褒めちゃだめよ鈴ちゃん……クレイグすぐ調子にのるからね」 「クレイグ様っていうんですね」  クレイグは 鼻の下を 擦りながら鼻をすすった 「きたないでしょ!」 「あーあ……リンも鈴ちゃんみたく素直だったらなあ……」  そうボヤくクレイグに 鈴ちゃんはクスと笑った 「守護天使様が 2人もいらっしゃるなんて光栄です」  うふふ  リンはまんざらでもない  クレイグは 「様いらないからな鈴」  とへらっとわらった  ちょっとムカついたリンだったが そこは同意 「呼び捨てでいいよ鈴」  言ってみる  鈴ちゃんは 真っ赤になった 「はい……ありがとうございますリン……クレイグ」  なんだかめちゃ可愛いんですけど……  リンは同じ年頃の鈴を すっかり気に入った  第3章 対峙  リンと鈴 クレイグが 歩道を歩く  脇を 自動車が 走り抜けて行った 「私……車嫌いなんです」  鈴が 少しさみしそう  隣のわんちゃんが ひかれてしまって  悲しげな瞳  誰も助けてくれなくて  鈴がうめく 「そうか……」  感傷的にクレイグ  うん  リンは 鈴をなぐさめたくて 手をパタパタとふった 「ね……きっと……ほら天国であえるよ」 救いになるのかどうか!  天使であるのに 何も言えない それがリンは嫌だった  天国……気休めにしかならない 「リンが言うなら会えるねきっと……」  ほころんだ つぼみのように笑って鈴は ジョニー君の 頭を撫でた 「ねっ!」  2匹に問いかける鈴  めちゃくちゃかわいい  リンは胸をうたれた  何か言えたら  天使としての壁にぶつかったリンだった 「ありがとうリン」 「ううん……」  救いにならない……大きな壁  リンは 下を向いた  自動販売機の前で鈴はお茶を買った  そしてリン達の分まで買おうとするがクレイグが 止めた 「俺らのめないからさ」  あったかい  何故だか リンは 自分とクレイグの温度差にがっくりきた 「のんで」  クレイグが鈴にすすめる  はい!  鈴は目を細めると ペットボトルに 口をつける 美味しい  どうやら鈴は烏龍茶が 好きなようだ 「ふ……ふ」  リンは鈴の キュートさに 自分の悩みが 吹き飛ぶのがわかった  なるほどです神様  リンは 思う  確かに楽園を 育てる子 まさにです  こくん……  鈴は飲み干してしまうと 脇のゴミ箱に きちんと捨てた 「行きましょう」  やわらかく笑われると 切なく そして嬉しくなる 「鈴……」 「はい?」  リンの呼びかけに鈴が 顔をあげた 「何があっても守るから……」  つぶやいたリンに 「はい……」  と鈴は 笑った 「行きましょうお家すぐです」  てて……と行く鈴  リンも 続く  クレイグは少し考えた風だった 「リン……大丈夫かよ」 「う……ん……ううん大丈夫クレイグ」  と……黒い影が鈴に 近寄ってくる 「悪魔」  リンが 天界の力で祓い落とす  鈴は振り返る  気がついてないようだった  よかった 変に不安がらせては可哀想  きっと純粋すぎる 透明度の高い魂  悪魔が 欲しがる魂!  リンは きゅっと 手を握った  守ってみせる!  きっとね!  第4章 悪霊  鈴は 自宅へと戻ると 2匹の足を綺麗に拭いて ちょいちょいと 見回した 「今日はいないみたいですね」 「ご家族が?」  リンが 首を傾げる 「ううん……ここの所成仏できないのか良く悪霊みたいなのが……」  それってやばいでしょ!  リンとクレイグ顔を見交わす  良く玄関先にいるのです  ぴくり……クレイグが脇を見た 「リン……」 「うん……悪霊じゃない……それに化身した悪魔だ!」 「あ……この気配」  鈴が耳を澄ます  この音聴こえますか?  パキン……パキン……と音がする 「いけない」  どうやら天使の存在が刺激をしてしまったらしい……  悪魔は 鈴の真後ろに立って 手を伸ばした 「鈴ふせて!」 「はい……いっ」  素直にペチャリと 板の間にふせる鈴  リンは 天界の光で浄化を試みる 「おい……悪魔は浄化できないだろ!」  クレイグが 叫んだ  違うの!  この悪魔 1人くってるの 悪魔の中で 魂が 悪霊になりかかってる!  リンの 浄化で 悪霊が 天界へと昇る 「よし!」  クレイグが 手に剣を 呼んだ 「リン……」 「誘導しろって言うんでしょ!」 「おう!」  リンが 駆け出した  悪魔はリン目掛けて 爪を落とす  そして玄関からまろびでて リンを追おうとする  そこへ クレイグの 一閃!  悪魔の首が落ちた  きゃ……  鈴が 怯える 「悪い 怖いよな……」  そっとクレイグは 鈴の記憶を消そうとする 「大丈夫です知るのも大切な事ですから……」  びっくり 鈴は強かった!  リンが ほっとした 「ありがとうございますクレイグ!」 「敬語いるか?鈴」 「ふふ……わかった……クレイグ」  静かに笑って  ジョニーを抱きしめる 「最高の味方です2人は」  涙ぐむ 鈴 「泣かすな!おバカ」  リンのゲンコツ 「ちげーよ」 「私ね男の子苦手で喋れないのです……でもクレイグとは話せる!それが嬉しくて……」  ほんわりと笑うと クレイグが頭をかいた 「こいつガキだから……」  リンが クレイグを つつく…… 「うふふ……2人見てると夫婦漫才みたいです」 「夫婦?なんだよそれ?」 「夫婦みたいってこと……」  鈴に笑われる 「ちげーよ!リンなんかと……」  なんかって何よ  2人はほっておくといつもこう……  なんだか鈴は知ってる気がした  あがりましょ!  おつかれでしょ!  鈴は2人をあげると バタンと 玄関を閉めた  お茶……  鈴が 探そうとして 「あ……俺ら……」 「すみません……じゃあ……」  ……教会の聖水さえあれば  はい……  そっと 綺麗な小瓶  その中には煌めきが溢れていた  2人はぴっぴっと 己にかけて 力をみなぎらせる 「ありがとうな鈴」 「はい!」  わんわんと ジョニー君!  嗚呼ご飯ね  まってて  ドライフードを上げる鈴  リンは 鈴の動作が可愛くて 見とれていた 「いいこね……」 クレイグにしか聞こえない声で言うとクレイグも 「ああ……」  そうかえす  見習えよ!  相棒の 軽いジョークなのに 何となくリンの 心に刺さる  わかってるわよ!  リンがふんぞり返る  守ってみせるんだから!  クレイグは ふふ……と 笑った  第5章 予兆  鈴を魂を得たい何者かは どんな悪魔なのか予想もつかない……  だが 鈴のお母さんは優しい人だった  菊子さんという  お父さんは 横暴だった 「学校に行かず家の事をしろ!」  そんな父親  リンならワンパンチくらわせて 逃げたい父親  自分の父親は とやかく言わないので こればかりは腹がたった  鈴は優しく はい はい と返事をする  きっと 鈴はお母さん似だ  それこそ感謝だ  そして父親は 嫁にいけとも言い出す 「最低」  リンがボヤいた 「それ鈴の前で言うなよ」  クレイグに クギをさされる 「だけど」  ああ最低なのは もちろんだけどな リン  理解しろよ 鈴が悲しむ 「なんかクレイグ……かっこよくなったんじゃない?」  それともリンが気づかなかっだけ?  リンは頼もしそうだ 「おう……おう……よ」  当たり前だろ  お前の悲しむ顔見たくねーしな  鈴が悲しんで リンが 泣く姿は見たくない  いいたかった  でも言わない!  大人だもんな  クレイグは 自分で首筋をもんだ 「偉いな俺……」 「え……」  リンが クレイグの顔を覗く 「な……なんでもねーよ」 「真っ赤な顔しちゃってクレイグ!」  うっせーよ  クレイグは 一回り大きくなった  リンにはそう見える 「リン……クレイグ……待たせてごめんなさい」  鈴が てて……と 駆け寄ってくる  リンとクレイグは 廊下の 暗闇にいた 「お父さん クリスチャンなの?」  と……リン  ううん……鈴は首を横にふる  お母さんと 私だけ  でもね 大事だから!  見れば鈴は小さなロザリオを している 「神様がね鈴は いい子だって」  わあ……  鈴が 顔を明るく輝かせた 嬉しい……  鈴……誰と?  はなし……て 菊子さんが出てきて  鈴に 声をかける 「今ね天使様が」 「うるさいぞ……さっさと寝ろ」 「はい……すみませんお父さん」  本当に最低だ  鈴は 2階にあがると  リンとクレイグを 呼んだ  この聖書  神父さまが くださったの  見れば革の表紙の 金箔がほどこされた 素晴らしい聖書  愛されてるなあ  リンはおもった  鈴は3人で寝たいと言い出し  川の字になった  クレイグが 真ん中  なんだかどきどきである  3人が 寝静まったころ  うーん……うーん……と鈴が うなされはじめた 「鈴」  起こそうとして  夢魔の類が 鈴を苦しめているのがわかった  いけない……  リンが 浄化の 光をあてる 「あ……リン」  鈴が パチリと 目を開けた  お父さんが 聖書を 破く夢を見ちゃって  きっと あの父親に 夢魔が 住み着いているんだろう  リンは たたっと階下へおりた  そしていびきをかいているはずの 父親の部屋に入る  そこで父親は 瞬きもしないで 布団の上に座っていた  そしてぶつぶつと呪いを唱えている!  消えろ夢魔!  クレイグの剣が 夢魔の首をはねた  しかし……またくっついてしまう  どうしたらいい 焦るクレイグ  浄炎なら 通じるかな!  ぼっ……  リンの 手から 浄化の炎が 放たれた  そしてクレイグが はねたあとの 傷を焼く  すると父親は パタリと 横になったのだった  デーモン!  リンは 炎で悪魔を祓う  そして  そっと 父親に布団をかけた  これでかわってくれるといいけど  クレイグは鈴の側へいき  お父さんに悪魔がついていたと 丁寧にいい  クロちゃんに あまえられた鈴が にこと笑うのを 見ていた 「鈴……お前良い奴だな つらかったら泣くんだぞ」  ほろり……  鈴の頬を 涙がぬらした 「はい……」  クロちゃんが ごーろごーろと のどをならす 「な……」  鈴をだきしめてやる 「良い奴すぎるんだよ!お前」  リンは入るに入れない  クレイグが 鈴を抱きしめていたから  クレイグ 鈴の事?好きなのかな?  いやな 感覚がした  そして  奴はその隙を見逃さなかった  そしてリンの心に ポツリ 染みを おとしたのである  第6章 喰らう……  リンの心に 闇が舞い降りる  嫉妬?  そんな?  クレイグに?  不安がよぎる  いけないと知りつつ 天使でありながら……  リンの 闇を喰らう 「鈴……」  ふと 害意が 生まれてくる  何故!  リンはぶんぶんと首をふる  いけない!  私……天使なのに  神様……どうか……  その心をすら 喰らわれる  いや!いやぁ!  クレイグは気づいてはいない  硝子瓶に閉じ込められたリン  危うくもろく……そして固く  リンの意識は閉じ込められる  助けて……クレイグ ふと……クレイグと 鈴が ニタリ笑った気がした  やめて!やめて!  リンの心は闇堕ちした 「リン……おはよう……聖水」  鈴の 細い手が 聖水の 瓶を おこうとする 「いらない!」  ひどく冷たく  言い放たれて びく……と 鈴が 震えた 「ご……ごめんね」  鈴が おろおろと はなれた 「どうした?鈴」  クレイグは 聖水を 喜んでうけとる 「リン……」  鈴は言えなかった リンの変化を知りながら……  そして それは 闇の足音  リンの体を蝕むなにか?  クレイグ……助けて……  鈴は ジョニーと クロの お散歩に行く  クレイグは 喜んでついていき  リンは不貞腐れながらだった 「おい……リン!」  クレイグが リンを つつく  お前……冷たくないか?  鈴がかわいそうだろ! 「そんなに鈴がいいなら……鈴といれば!」  リンの言葉に クレイグは傷ついた顔を した  そして  目をそらす 「お前!」  最低だぞ!  言葉を飲み込む  リンに言えない!  リンは 硝子瓶の中でそれを見るしかできない  助けてクレイグ……  それが リンの魂を 狙う 奴だと リンは気づいた  だけど  クレイグ……クレイグ……クレイグ!  その声が届かない  鈴……悲しまないでお願い……  たすけてよぉ!  リンの祈りは届かなかった  第7章 激突  リンが変わった  魂の肌触りが 違う  クレイグが 少し距離をおく  それが リンの心の闇を決定づけることになるとは知りもしない 「鈴」  階段を 降りようとする鈴を リンの 腕が突き飛ばす 「危な……い」  クレイグが 抱きとめた 「リ……ン」 お前どうした!  クレイグが 食ってかかる 「邪魔なだけよ……」  つぶやいて リンは ふい……と 離れた 「まさか……あいつ」  今のは リンの 魂だった  そんな馬鹿な!  クレイグが 剣をかまえる リンは闇堕ちしてはじめて自由になった  硝子瓶が 粉々に 落ちる  そして頭をかきむしった  クレイグ……鈴!許さない!  逆上のまま  嵐を呼ぶ  バンッ  内圧の せいで窓が鳴る 「よせ!リン」  クレイグが 気づいた時には  リンの 翼は黒く染まっていた  リン……  鈴が へなと 座り込む 「殺す」  リンがたちあがった 「いいよ……リン」  鈴が 手を伸ばす  いいよ……?  クレイグが 鈴の前に立ちはだかる  リンは バシュと 矢を放つ  それはクレイグを 貫いて 鈴の 胸にたった  バカな……  クレイグが くずおれる 「なんで……だよ!」  なんで……おまえ!  クレイグが 手を伸ばす  鈴は 胸を貫かれて  倒れこんだ 「ふん……」  一瞥したリン……その目から黒い涙が溢れていた 「ばっか野郎」  クレイグが 起き上がると  リンを抱きしめる 「好きだよ……お前を……」  言って  クレイグは たおれた  ドクン……  リンの 魂が闇の中で 閃光を 放つ 「クレイグ……鈴」  リンの魂が 闇から駆け上がる  そして 羽が 純白に戻った  かっ……  白光を 放った リンの魂が リンを食った悪魔と 対峙する 「もう少しだったがな……」  けけけ……と笑われて  リンが 爆発した  そして浄化の白光を 放ち 悪魔を叩く 「おいちび……おまえでは 相手にならんセラフィムでも呼ぶんだな」 「いいや……お前だけは許さない!」  リンが リンの羽が6枚へと転じる  まさか……このチビが!  悪魔が 爪を突き立てようとして  セラフィムの 力に圧倒された  そして  爆炎が 悪魔を燃え上がらせる  あがぁ……  リンにおりたのは ミカエル様だった  そして塵になった悪魔を祓い捨て  クレイグと 鈴に 癒しを かける  間に合わないかもしれない!  でも……助ける!  リンの 髪が金髪に戻り 青い瞳が うるうると涙を零した 「リン……」  ミカエル様は言う  よく戻ったね そう言いながら  クレイグを癒し  鈴が 目を開けた  ああ……ミカエル様 鈴は 涙をこぼす 「抱きついてもよろしいですか?」 「良いよ……鈴……おいで……」  鈴は きゅっと すがる 「ごめんなさい」  リンは 涙をこぼす  良いよ  鈴が にっこり笑った 「リン……」  クレイグが リンの頭を抱く 「お前ってさ……めちゃ不器用だけどさ……好きだよ」  そっと言って リンの 額にキスを する 「バカだよな?お前」  どーしてよ……  しかしリンは ハラハラと泣く 「ごめんね……ありがとう……」  それが言いたい  クレイグが リンの金髪を 混ぜると ふんと 笑った 今回のは ツケ1な? 「へ?」  ツケ?  こら……クレイグ!  ふふ……鈴が 笑った  本当に2人ってお似合い  ミカエル様も笑う 「いいコンビだね……鈴」 「はい……」  見守る2人はあたたかかった  最終章 エピローグ  リンと 鈴 クレイグは 神様にお会いする  ミカエル様と天界へとのぼり お城の前にきた  叱られそう  ビクついていたリンだが 鈴が その手をゆっくり あったかく 握ってくれる 「鈴……」  リンが鈴に目線を合わせると 鈴は にっこり笑った  扉が開き  神様の前まで進む 「よく戻ったね」  優しく神様が言う そして再び神様は 玉座を おりられた 「あ……」  鈴の頭にふわりと触れ  優しく微笑まれたようだ 「鈴……良く来てくれたね…………会いたかったよ」  そんな……勿体ない  鈴が目を ふせた 「いつも祈りをありがとう」  やわらかく笑む 神様  お顔は みえないけれど そうと感じる  リン……  神様は リンをみて そっと包み込んだ  よくぞ戻った  我が子等よ  包まれると 痛かった心が癒される 「申し訳ありませんでした」 「鈴も赦したならば問うまい」  そうだろう?  神様は ミカエル様を みて笑う 「もちろんです」  ミカエル様が頷く  さあ 鈴どうする?  リンと クレイグを守護とするか?  神様が 鈴に笑顔を むける 「はい……もちろん傍にいて欲しいです」  鈴……  リンが 鈴の 手を取った  ならば行くといい 再び天使の梯子がかけられる  ミカエル様は天界にのこられたので  3人で降りていく  夢のあとさきへ……          

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天使の梯子 総集編

蒼月のエレメント 新章 聖戦 総集編

はじめに……  シャリーと ミソノ ハイツは 進級し 精鋭隊にも 後輩が 入ってきた  そして校長の 選抜の儀式を 終え カイルの 手始めの 試練を 終えたのが ルナである  なんと……!  なんとルナは シャリー達の選抜の 時から 目をつけられていたらしく 余裕でクリアした  そして  可愛いらしい笑顔全開で 「先輩ーっ」と はしゃぐ  なんとも 強者  エンド お目目まん丸 ただでさえ こぼれそうなのにである 「凄い!ドリアードの エンドだ!」  ハイツも 仰天! 「えへへ……」  才能とは恐ろしいもの!  カイルは 皆に優しく 厳しく 指導し ランドルの 采配の もと 訓練を開始する  ルナの ドリアードは 精鋭隊に 2人エンドが いるため 便宜上 サナと 名がついた  エンドとサナは 仲良し  きゃっきゃしている 「エンドちゃーん」 「サナちゃーん」と 呼び合う仲  そして!そして!ビッグニュース  カイルと ライラが 婚約した!  ババーン!  もう 学校中でお祝いしようということになり  おまじないに ライラさん 髪の毛くださいとか 女の子の お願いが 殺到した  カイルは 頭をかきかき……ライラの 中に母性を 見たと いう  結局 そっちか?  ランドルに からかわれ 更に真っ赤なカイル  そして惚気ける ライラの 瞳の中の 自分が 幸せそうで……とか 後輩に 取られたくなくて とか 宣う 「カイル様ーっ」  悩める女生徒の 諸君!  男は結局 母性に 弱い!  チーン!  ランドルも 納得!  ライラはいい女だ  で 終えた  サイが 副隊長補佐になり テアが なんとサイに 告白した  なんだか  周りは カップルまみれ  ハイツとミソノの仲の詮索も なりを潜めた頃に 恋愛ニュース  こればかりは カイル追っかけ サイ追っかけに 分断して 上へ下への 大騒ぎ 「何よぉ!ハイツだって……だって……かっこいいのに」  騒いで欲しいのかミソノさん  可愛いい 唇を 突き出した 「仕方ないさミソノ!カイル隊長にはかなわないよ」  ハイツは謙虚だ 「いや!」  ブンブン!ミソノ 首をふる 「おーい!最少年カップル君」  変なあだ名までつけられて ふたりは もう 笑うしかなかった  なんですか?それ  ランドルに問うたのは ルナ 「はは……いいだろ?なかなか」 「えーっ!最少年カップルは私ですぅ」  ルナの爆弾発言! 「あのですね!私シャリー先輩の彼氏になるんです」  バタッ……エンドが 顔から着地した 「?」  なんかへんですか?  ルナー!  天才ルナ!恋には疎いようである  第1章 あの夜……  なんだかんだで 騒がしい学校内……  シャリーは 恋愛には 興味なく ただ ある夢だけを 見ていた  それは ひたひたと 近づいてきて そして ある人物の 姿をとる  ギュンター  ただの悪夢の 類い……  そう信じた  だけど ギュンターの 悪意に 満ちた腕が シャリーの胸を 貫き あるものを 抜き出す  その幻視に シャリーは 悲鳴を 上げた 「どうしたの」 「闇の オーブ」 「シャリー!」  エンドが 涙顔で シャリーを 覗く 「闇のオーブが……!」  バン!  サイが 飛び込んできた 「シャリー?」 「すいません……シャリー……ひどく怯えてて……」  ミソノが 背を撫でてくれていた  シャリーは ガタガタと 震える 「どうしよう……怖いよミソノ……」  シャリーがシーツを握りしめ 泣き続ける 「怖い夢を……見てたようで……」  ミソノが説明する 「うん」  カイルがそっと シャリーの頭を 抱き寄せた  大丈夫だ  シャリー……!  大丈夫だから  脇にはライラが 居て ミルクの 入ったカップを くれる 「落ち着くかな?シャリーびっくりしたのよね……思い出さなくていいから……いいのよ」  ライラが そっと シャリーの 額におでこをくれた  そして 「夢よ……おいで……」  そう唱えて 悪夢を 吸い取ってくれた…… 「シャリー」  エンドが 癒しの 光を手に宿らせると シャリーの 肩に触れる  忘れなさい  ランドルが 微笑む  ふ…………  シャリーが パタリと目を閉じた  眠るといい……  ランドルが そっと シャリーを横たえる 「ハイツ……マンナズの 結界はれる?」  ライラが ハイツを 振り返った 「悪夢……あれは 辛いわ……自己防衛の 結界を……」 「 はい……」 「疾く来よ 守り給え……」  がかっ……  シャリーの 周りに 結界の 膜が 出来た 「エンド……」 「ここにいる!シャリー心配だもん」 「エンド……これはただの 夢ではないの……」  ライラが 不安気だ  もしかしたら 予知……  有り得るとしたら……  ライラさん?  皆が振り返る 「教官……!」 「言わなくていい……奴だろう……!この気配……」 「はい……」 「ギュンター……」  カイルが 手を握りこんだ  なんて奴!  テアが 壁を叩く  ハラが シーっと 口の前で人差し指を たてた 「寝かせてあげよう」  一同は そっと 離れた  ミソノは シャリーの 傍らの ベッドに 座ると そうっと 聖母の子守り歌をハミングする 「おねむり……羊達……お眠り……良い子……」  そっとハミングして シャリーを 気遣う 「ん……」  シャリーは 静かに うめくと 寝返りを うつ  エンドが ちゅっ……と シャリーの 頬に キスを した 「もう……怖い夢見ないようにね」  おまじない……  カイルとライラは 後任が選出されるまで 卒業後も 残ると発表された  が……しかし……それには もう1つの 理由がある  シャリーの悪夢……  それが心配だと シャリーと エンド  サナとルナを のぞく 全ての隊員に 告知された  皆は 歓迎し  カイルのライラの欠けた 精鋭隊など ありえないと 笑って迎えた  やれやれ……  ランドルが 肩をすくめる  卒業後に 結婚式の はずなのにな……カイル  と…… カイルの 肩をもんだ 「ご苦労さん」  なんだか……いいのか悪いのか! 「もうシャリーの泣き顔は見たくありませんから」  カイルとライラは異口同音 そう宣言した 「よろしくご指導くださいよ……隊長!僕……隊長クラスになりたいですから!」  サイの豪語に テアが 腹に パンチを 入れた 「いてっ!この乱暴もん!」  なんとか言って  このカップルの じゃれ合いなのである 「こんのバカ!失礼でしょ」  慎みなさいよ!  テアが バチっと サイの 額を 弾く 「しゅいません隊長」 「構わないさ……心強いよ!サイ……副隊長補佐!頼らせてもらう……」  カイルの 笑顔に サイが テアを ちょちょいと つつく 「ほらぁ……みたろ?聞いたろ?テアぁ」  腑抜けた サイである 「調子のらない!」  ピシッと 言われて サイはがっくり  一同が どっと笑った  シャリーが 眠そうに 部屋を出てくると ライラが そっと シャリーの 瞳を 覗く 「大丈夫?シャリー……?」  はい……  いつもの気丈さはどこへやら 気弱に シャリーは頷いた 「いつでもおいで!かわい子ちゃん」  サイが ガバと シャリーに 抱きついて テアに 蹴飛ばされる 「副隊長補佐のアホ!」  一同に 後ろ指をさされ むくれたサイである 「今日……一緒にねる?」  ライラが シャリーの 寝癖を 撫でた 「うふ……カイルさんに叱られたくないですよ?」  ちょっとシャリーが 笑う  ライラが 耳まで赤くなる 「こりゃいいや!」  ランドルが わっははと 笑った  第2章 夢の続き……  シャリーは その後 頑張って 訓練をこなし 次々と 点数を あげた……  でも エンドには それが痛ましくて……ハラハラの連続… 「シャリー……休もう」  わざと 音を上げてみせた 「エンド……わかった休もう」  カサカサ……  なんと……シャリー!  用務員さんの クッキーの 術を 心得た 「みゃー!」  エンドちゃん 馬力が 上がる  真空波を オートマタに お見舞いし 得意満面 チョコクッキーにかじりつく 「エンドったら……」  シャリーが笑った 「そーそー!シャリーは笑うと 最高なの!このクッキーより!」 「クッキーより?」  シャリーが 小首を傾げる 「そーなの!」 「本当に?」 「うん!」  エンドが お口の まわりを クッキーまみれに して ニカと わらった 「怪しいなぁ」  シャリーが エンドの 頬を つつく 「本当だってば!」  そう言いながら 2枚目をおねだり  シャリーが 楽しそうに 声を上げて笑うと カイルが 「おや……いいね!僕ももらおうかな?」  と……2人を覗いた 「だめぇ」  エンドが クッキーに すがりつく 「あはは……冗談だよ」  カイルが 笑う 「かわいいねエンド!」  ちょこんと……カイルが エンドの 鼻をつついた 「えへへ……あげないの!」  ハートマークを とばしながら クッキーと シャリーの 指を抱きしめるエンドに 皆が 笑う 「やーい!くいしんぼう」  サイが エンドを からかった 「いいもーん」  シャリーには あげる  シャリーの 口に ふよふよと 運ぶ 「わぁ……ありがとう!」  シャリーが 頬張ると 「おやまぁ……親子みたいだ」  ランドルに 笑われた  ふふ  なんだかシャリーは 涙をこぼしながら笑えて  幸せだった  こうして 夜になる訳だが シャリーは 暮れる毎に 不安で……心が しぼむ 「ミソノ……」 「大丈夫よ!一緒の ベッドで寝よ」  ミソノが 頼もしく 請け合って そっと シャリーの 手を取った 「ね?」  エンドも ウンディーネも ぺったりと シャリーに くっつく…… 「寝よ?」 「うん!」  しかし……また あの夢が はじまる  シャリーの 額に 脂汗が うき うなされはじめた  そして また!  闇のオーブ! 「いやぁっ!」  ガバっ  跳ね起きて エンドが シャリーに だきついた 「ミソノ……シャリーが!」  皆が 集まってくる 「また見たのね……」  ライラが おでこを コツン……  それすら シャリーは 恐怖で はねのけた 「いや!いや!いや!いやぁ」  悲鳴が続く 「シャリー……」  ライラさんが 涙を 浮かべた 「シャリー……ベルカナへいこう」  カイルが 静かに言う 「大神官様に相談しよう!」  聞こえる?  シャリーの 涙の 瞳を 見つめた 「カイル隊長……」  シャリーが俯く  今はカイルの 優しい アイスブルーの 瞳ですら怖い 「マンナ……」  ハイツが 唱えかけて 「子供騙しはやめて!」  シャリーに 怒鳴られた 「ごめん……ごめん……ハイツ……私」 「いいよ……シャリー」  ハイツが シャリーの 手をとった 「ベルカナまで……一緒だ……いいだろ?」  そして小指を 絡める 「私も行く」  ミソノが シャリーを 抱きしめた 「う……ん……っく!ごめん!ありがとう」  皆は一緒に朝をむかえると 校長室へ赴く 「ベルカナへ?」 「はい!」  カイルが 姿勢を 正す 「行かせてくだい!隊長不在でも副隊長と 補佐がいます」  校長は シャリーを 見て 全て察した様だった 「行ってらっしゃい!」  優しい笑顔を むけると シャリーに 自分の ペンダントを かけた 「お守りに!」  そっと 頬を寄せると 小さく 「彼氏が 出来るおまじない」 と 囁いた 「ふ……」  シャリーの口元が 少し緩んだ 「はい……いってきます!」  校長に敬礼する 「気をつけてね」 「はい!」  一同が 敬礼すると 校長が 言った 「転移ゲートは 空けてありますよ!」 「なんと心強い!」  ランドルが 頭を 下げる 「お行きなさい」 「はい!」  第3章 旅の先に……  シャリーは 見るものに 怯え 聞こえるものに怯え カイルの 隊服の 袖を掴みながら転移ゲートを くぐる 「大丈夫だよ行こう」  シャリーの 背を預かるハイツとミソノ  そして ベルカナの ゲートへと 転移した  しかし……そこで 真っ黒な 法衣を 着た男達があらわれ一同に 縛の 術を かけた 「何者!」  カイルがレイピアを 抜いて シャリーを 庇いこむ 「テイ……ワ……!きゃ」  背後からも 囲まれミソノが ティール神を 召喚しようと唱えるが その体が とばされる! 「ミソノ!」  ハイツが 弾かれたように 駆け出した  だが ハイツの 腕を捻りあげハイツ達を 人質にする男達! 「何が望みよ!」  テアが サラマンダーを 呼ぼうとする  そこへ シャリーが 進み出た 「た……多分私です!」  エンドが 泣きながら シャリーの 髪の毛を 後ろに 引く 「ダメ!シャリー」  しかしシャリーから怯みは消えていた…… 「みんなを離して!いくから!」  友達を 離して! 「聞き分けよくて結構ですな……」  男の1人が 手を上げる  すると……周りに控える男達が一斉に 消えた 「シャリー!」  ランドルの 手が 触れる前に シャリーの 身体は跡形もなく消え失せる 「いやぁ……」  エンドの 叫びが 周りの皆の 魂に 刺さった 「そんな!」  倒れた ハイツが叫んだ!  シャリーの 大バカ野郎!  シャリーと 男達は 暗黒の 渦の 中で 睨みあう…… 「あなた達!」  シャリーが グッと視線を巡らせた  闇のオーブが望みでしょ!  そんなの持ってない!  みてわかるでしょ!  虚勢を張ってみたものの 足が小刻みに震える 「大丈夫ですよ!器様」 「器?なんの?」  シャリーは 知っている この先に まつ 男の事を 皇帝ギュンター!  そして……闇のオーブは……!  エンド!エンドごめんね  シャリーは 舌をかもうとした  深淵の王の 器なら 生存が必須  ここで自分が 死ねば!  がっ!  その鳩尾に 男の当身が入る 「あ……」  シャリーの 意識は飛んで行った 「恐ろしいお嬢様だ!この歳で自害なさろうとするとはね……」  そして口に猿ぐつわをかませると  抱えあげた 「失礼のないようにおつれしないとな」  男の長であろう 高位の男は くっくっとわらう 「王の良い器とおなりあそばすだろうよ」  そうして足跡もなく 消えて行った  ただ 暗黒の 香りだけを残して……  そうして 闇夜よりも暗い儀式は 始まった  カイルが 膝をつく……自分がついていながら!  悔恨の 涙が 地面をぬらす 「隊長……」  ミソノが ハイツの 背を撫でながら 振り返った 「シャリーは……シャリーは大丈夫!エンド生きてるもん!」  シャリーと エンドは 一心一体 そう シャリーが 死ねば……エンドも……  いや……シャリー!  ランドルが 己の掌に 爪を食い込ませた  はやまるな!  シャリー!  焦りが 皆を包む…… 「行こう」  ランドルは闇の記憶から 闇の軌跡を 追う術を学んでいた  血で濡れた 手を 大地に押し当てる  すると……闇の足跡が 浮かんでは消える  追う……!  ランドルの目には 決意の 灯火がともっていた  シャリーは 暗黒の 鎖につながれて目を開けた 「おお……おきたかね……」  奇妙なぐらいに 柔らかいギュンターの 声  そして その 鏡面の ように 皆の足元には ベルカナ大神殿が 反射していた 「え……」  猿ぐつわは はずされたが その声は四方に 反響して耳にうるさい……  ギュンターの 声は反射しない……  なぜ?  そして その 声音に恐ろしい程の 恐怖を 感じる!  大神官様! 「ふふ……」  目覚めたね……器様……  やはり一致する  そんな馬鹿な 「こちら側は 暗黒面なんだよ!シャリーさん」  ここまでは気づかれてはならないのでね 色々利用させていただいた……  さあ……可愛い姫君……オーブを 見せておくれ  ギュンター……いや闇の大神官は シャリーの 胸に 腕を差し入れた  痛みも無く貫通する そして戻るその手に 握られていたのは闇のオーブ!  マッハ女神も よくよく人を信用なさる……  愚かだとは思わないかね?  ん?  しかし……  大神官は オーブを 叩き割った  まさか!  表の大神官めが!  声音が ギュンターの 声音に 戻っていく  馬鹿な!馬鹿な!紛い物だと!  おのれ!  ギュンターは闇の鏡面を 叩き割った  そして 槍で 空をないだ 「哀れだの双子の!」  大神官様が スタッフで 槍を止めている  だが その凶悪な 槍は スタッフを 砕き  大神官様の 純白の 法衣に 埋まった 「いやぁ……」  シャリーの絶叫に 神殿に控えていた精鋭隊が なだれ込む 「ランドル……」  ギュンターの 目がぎょろりと 睨みつけた 「大神官様!」  ミソノが かけて 大神官様を癒しにかかる  いいんだよ  お嬢さん  私を 器に なるように マッハ様にお力を いただいた……  これでいい……  ばたり……  大神官様の手が落ちた 「大神官め!おのれ」  大神官様の 胸からオーブが 抜け出ると 純白に 輝き 砕け散る  おのれの 死で聖別化するとは!  ギュンターが 地団駄を踏む  シャリーの 鎖を サイが 解いた 「ダメです!ダメです」 ギュンターが 蹴りつける 大神官様の ご遺体に 駆け寄りたくて ライラに 抱きとめられる! 「ダメよシャリー!」  ライラにしては毅然とした声  シャリーの目から 涙がしぼりだされる 「いや!」  と 校長の ペンダントが 白銀に 輝いた  ソウェイル……その呪文が シャリーの 唇にのる  だめ!  シャリー!  ミソノが シャリーを 止めたが間に合わない  がっ!  天から光の矢が降り注ぎ!大神官様を 包み込んだ  そして 大神官様は 安らかなお顔になり カッと目をあける  ブランク!  大神官様はその呪文を 唱えた  25のルーン が 束ねられ 暗黒面を 光で 薙ぎ払う 「ライト様!」  最後に降り立たれたのは ライト王その人 そして 白光を 帯びた 剣を抜き払うと ギュンターの 首を落とした 「永遠に眠れギュンター……」  その凛々しいお声に シャリーが 力尽きる 「シャリー!」  駆け寄る仲間!  エンドも 倒れふしていた パキ……  シャリーの 胸元で ソウェイルの ルーンの ペンダントが 砕け散る!  ぱぁっ……  放射にひろがる 光条に シャリーが 包まれる 「あ……エンド」  シャリーが シャリーの 声が愛しき半身を 呼び寄せる 「はぁ……い」  弱いが エンドの 声  皆が バンザイと 叫んだ  ライト様 良くぞ…… 「校長に託してよかったね……」  なんとも……  ランドルが皆が 最敬礼をする 「これで……安心だね……」  だが その王の 心臓を 貫く刃が あった! 「愚かなり!」  ギュンター! 「ライト王……討ち取ったり!」  そして その心臓こそが深淵の王アビスの オーブそのもの! 「ライト様!」 「王……」  王の体が解ける!  いかん!  もたん!  大神官が ソウェイルを 唱えようとして 王の 光の 粉に 包まれる  民の為につかっておくれ!  そして……そして……アビスを! 「小賢しい!」  ギュンターの 暗黒が 王の光を 喰らい尽くす 「あんただけは!許さない!」  シャリーの体が 神聖力の 炎に燃えた!  そして テイワズと ティールと スリサズの雷神トールを 融合させ 空から爆雷を 呼んだ! 「わ!バカ!シャリー」  エイワズを100重ねがけして ハイツが 皆を守った  ずどん……ずどんと 雷撃が 降り注ぐ これには ギュンターの魔法金属の 鎧も紙切れのようだった  しかし……  ギュンターは 深淵の王アビスを 取り込むと 全てを無にしてしまう 「死ぬ気か!」  ランドルが 吠える  望むところ!  アビスよ!目覚めよ!  ギュンターが 己の喉を裂いた  そして自分を生贄に 捧げ……アビスを 復活させる 「戻った……」  1000の 闇夜を束ねたような重い声……  ギュンター……  お前を 副官に しよう!  闇の呪文が ギュンターを 蘇えらせる 「蛆虫どもよ!都と共に死ね 」  巨大な 圧力の塊が 聖都を 破壊していく! 「少年」  大神官様が ハイツを 呼んだ  行くぞ 「ハイ!エイワズ」  2人の エイワズをもってしても 圧力には叶わない 「ソウェイル!」  大神官様は反対呪文として  古代魔法の 最高位呪文を唱えた  全てが 包まれ 太陽の オーラに 守られる  しかし…… 「大神官様!」  ミソノが 駆けつけたが 触れるまえに 大神官様の体は 灰と消えた! 「ダメです……大神官様」  ミソノが 泣く  だがそこに金の鎧を 身にまとった あの方が 降臨した  ライト様! 「大神官……参ったね寝かせないつもりだね」  優しく笑って 完全復活を遂げた 古代王は 太陽の神剣を 抜き放った  そして テイワズを 剣に 重ねると 空をないだ! 「太陽の神剣!」  ランドルが 感動している  だが そこへ 重力波がのびた 「エイワズ」  防御魔法が 間に合わず  飛ばされたが 手を 石畳につくと 後転でかわす 「じゃれ合いならば…… 他でやれ……」  目障りだ ガキども  アビスの まわりをビズビズと 闇が 回転する  それは常世の闇を従える王としての プライドだったのかもしれない 「フローズン」  シャリーの 音もない詠唱と 共に 氷の 巨大な 柱がふる  しかし  瞬間にして砕かれ シャリーが 弾かれた  氷が熱波になりシャリーを 茹でる 「エイワズ」  ハイツが 物理結界を 発動していなければ シャリーの 丸茹でが出来ていた 「赤ん坊にも満たないチビが……」  アビスが ぎゅと 圧搾  シャリーの 物理結界が 砕けた 「シャリー」  ライト王の マントが シャリーを そっと 守る  圧力波は 霧散した  王のまわりは黄金に満ちた  太陽の オーラが キラキラと 揺らめいている 「素敵」  ルナが 夢見るお姫様になって ライト王を見つめた 「恋敵かな?」  クス?  王は全てを知るように シャリーに 視線を 投げた 「やめてください」  小っ恥ずかしそうに シャリーが 頭をかく 「ルナはシャリーの彼氏?」  ランドルが 笑った  不思議だ  アビスの 巨大な 念の 中にいるのに 皆の闘志が 成長していく……  ライト王の 輝きが そうさせる 「ブランク!」  ミソノの 桃色の 唇が 呪文を 編んだ  ルーンが 編まれ 渦となり ライト王を 守る 「ありがとう……ミソノ」  優しい王  女性なら 恋するに 違いない 「ミソノ!」  ハイツが ミソノの 隊服を 引いた 「ハイツったら」  ウンディーネが クスとわらった  たっ……  王が舞う  シャリーが アイスストームを 重ね 王の 後押しを する 「ふん……!」  ギュンターが 闇の 重力波を ねると  アイスストームを 封じた 「エンド!」  真空波!  シャリーの 手に降りたエンドは 最大に 育ち  その 鱗粉が 虹の虹彩を 放っている  そのちいちゃなエンドなのに  真空波は 瞬間ですら割いて 唸りをあげた 「最高!」  テアが サラマンダーの ストームを 真空波に 織り込んだ 「のらせてもらうわ!」  ぼぉう!  真空が 炎を 纏い 爆風の 刃を 輝かせる  魔法金属を 切り裂いて ギュンターの 胸を 切り裂いた 「やるぅ!」  サイが 跳ねた 「小賢しいチビが!」  しかし血が出るのでもない! 闇が 傷からほとばしり 癒してしまう  王の 太陽の神剣が シャリーの オズルの 陽炎と共に 闇を裂いた  バシュ!  ギュンターの身体が 叩き割られる 「小僧!育ったのは一緒か!」  アビスの 渦巻く深淵魔法が 筋肉の 腕を 巻いて 王の 頬を 薄く切る 「おやおや!一緒にされては困るのだよ」  ライト王は 「シャリー神剣を!」  と エメラルドの 瞳で シャリーを 包む 「分かりました」  瞬間にして  シャリーの手に 神炎の神剣が 呼ばれた 「ち!」  王とシャリーの 神代の両断が アビスの マントを 散り散りに する 「チビの 闘気が 」  精鋭隊の オーラが 大理石を 輝かせ マッハを 呼んだ 「眠りなさいアビス!」  マッハの 神光が 放射に 放たれた  があ!  アビスが 喉を伸ばす  そこへすべての 精霊魔法が 渦となり叩き込まれる  そして テイワズ!  ミソノがシャリーが 爆雷を 降らせた 「ちいっ!」  アビスが 弾けた 「まだ!消えただけだ!」  皆!いけるかい? 王が 聞く 「もちろんです」  全てが声を束ねる  ……常世へ追う!  第4章 闇走り  一同は空間を踏むでもなく……泳ぎつつ  常世の 門を目指す  エンドは シャリーの 隊服に くるまると 両手で かっちりと ロックした  ライト王の 光のまわりを怨霊や 幽魔の 類が撫でていく  ひいいぃいい……  幽魔の 絶叫が 耳に痛い 「早くおいで?」  バンシーたちが きゃらきゃらと 笑った 「綺麗な魂のお兄さん」  王に 触れようと手をのべるバンシー  しかし  青白いその指は焼け爛れた 「早くおいで……」  老婆のように なって  ふいときえる 「魔界だよ!」 王が 使い魔に 結界を施す 「このままではつらいね?おちびさん」  優しい笑顔が 使い魔をいやす  死をこえた シャリーと エンド そしてランドル!  魔界では これを…… そっと 耳飾りをくれた  アイツらの狙いは 魔界に近い 清らかな魂だ!  シャリーは そっと 耳につける  きん…… 水晶を うち鳴らすような音がきこえる  エンドは ちいちゃな耳に そっと つけると  嬉しそうに えへへと 笑った 「綺麗なの!」  耳飾りは 魔界の 闇の中で ゆらと 光の 波をうち広げる  ゴブリンの 弓矢が シャリーの 頬をかすめた 「シャリーのお顔はエンドのなの!」  真空の刃が ゴブリンを薙ぎ払う 「あっちいって!しっしっ!」  エンド……ぷりぷりである  薄くシャリーの頬が出血するが エンドの ひとなでで消え去った 「痛いのだめなの!」  エンドは べったりと くっついて離れない  ある時はシャリーの 髪を掴み  ある時はポケットに 入り  またある時は…… 「エンド……」  さすがに ハイツに 笑われた 「絶対離れないの!」 「エンド……」  シャリーが そっと エンドの 髪をなでる 「だって!エンドは シャリーの 魂の一欠片だもん……」 「おやおや!」  ライトがにっこり笑う  愛されたね シャリー! 「はい……」  心の奥……魂がほんわかする  さあ……着いたよ  そこは闇の沸き立つ場所  闇が清水の ように 沸き立っている  ポコ……  ポコ ポコ ポコ すべてをのみこむようで まったりとした何かが足にまとわりついてくる 「シャリー」  エンドが ぷるぷると体を震わせた  闇が 濃すぎる……  アビスの 力が 満ちていく  ライト王が 神剣に 太陽をやどした さぁっ  闇を祓う神剣の輝き  そこには 骸骨が山をなしている 「スケルトンにすらなれなかったもの」  王が 片膝をつくと  骸骨の 頭を 撫でた  つらかったろう……  天へいくといい……  王が 門を開く 「さぁおいき……」  骸骨は 塵と なってすいこまれていくが  王に 黄金の ネックレスが とんだ 「これは……そうか巫女……あなたも」  王が ネックレスに 口付ける  すると 美しい女性があらわれた  胸にネックレスを かけている 「シャリーさん……」  不意によばれて シャリーが顔を上げた 「あなたにれを……」  銀の やじりであった 「きっと役にたつでしょう」 麗しい巫女は  柔らかく笑った 「王……」  ああ……逝かれるのだね 「はい……」  王は 巫女の手に 口付けた 「王……」  きっと愛していたのだろう  巫女は涙を浮かべ 門へとさった  王 は 見送ると黄金の ネックレスを下げる  仇はうつ!  第5章 聖なる戦い  ゆら……足元を 纏わるように 暗黒の世界  一同はライト王に まもられているとはいえ不安だった 「怖いです」  ルナが シャリーの 隊服の 袖を引く  大丈夫よ?  サナが ルナの巻き毛を なでた  ねっ 「サナー」  ルナが サナをだきしめる 「ルナ!」  みんないるよ!  ね?  振り返ると  誰かがたりない! 「嘘!サイ」  テアが涙目だ 「サイ!どこ?」  おかしい  なぜ消えた?  ランドルが 見回す  と……ハラの姿も消えた  闇にのまれた……まさにそうである  どうなって……わ!  テアが 消える瞬間!  シャリーが テアの 手をとった  一緒に消える覚悟で……  シャ……  シャリーの 指を エンドが はっしと掴む  ふわっ  エンドと使い魔達を残して  もはや4人が消えた 「シャリー 」 ゆら……王のくれたピアスが  ゆるやかに光る  泣きだしたエンドを王が手で包む  大丈夫だよ!エンド!  追える……シャリーが ピアスをしているからね  優しくエンドの 背を撫でる  行こう!  怖いものはいないね?  皆を振り返る 「はい……!」  カイルが みなの背を支えた 「いい子たちだね行こうか」  王は太陽の神剣で 天をさすと  エンドとランドルのピアスが キラリと 輝いた  かっ……  白光とともに  皆はシャリー達のもとへ  そこで見た景色は  惨殺された 魔女や魔導師の 遺骸の山である  その中に ある見慣れた姿が  まさか……サイ!  サイ……  ミソノが 手をのばし  ソウェイルを となえようとする 「きゃ……あああっ」  シャリー……  エンドが 飛ぼうとしたが 王が包んだ 「今バラけるのは危険だ みなで行こう」 「シャリ……」  エンドが 涙で王の手をぬらした 「大丈夫!」  ハイツが エンドを 元気づける 「ね……」  振り返って気づく  ライラさん?  ライラもいない……!  カイルの顔色が変わった 「王」  行こう  全員で深淵に 駆け込んでみたものは  鎖でつるされたシャリーと 半死半生の仲間であった ライラがカイルの姿に安堵したのか倒れ込む  ライラ  カイルは抱きとめるとぎゅと抱きしめた ライラを安全な場所に休ませると  カイルがレイピアを抜いた  それぞれが武装する  シャリーの背中から出血していた  刺されたのか切られたのか? 「こ……こ……で魔法をつかうと」  シャリーが呻く 「反射します」  ごく……王が つばをのんだ  とにかく下ろさないと  ハイツが シャリーの鎖をとく  シャリーはがっくりと倒れ込むと ハイツにだきかかえられた 「シャリー……」  エンドが シャリーに癒しの光をあびせた 「ふん!小虫どもが」  闇そのものを纏ったような漆黒の鎧をきて  アビスは立っていた 「氷帝アイス……ストーム」  めずらしく……激情にかられてか  カイルがアイスストームを呼んだ 「まて……ハイツ 結界!反射する」  アビスに 当たった 魔法 は すべてが放射に返る  氷のアイスストームは うなってこちらへかえった 「シャリーの助言を聞いていなかったのか?隊長!」 「すみません!」  愚か者! 「妻となる人に手をかけられてはね  男として返したくもなる!ランドルわかっておやり」  ライト王は ソウェイルと 倒れた各自にルーンをきって  声に出さずに癒した 「詠唱魔法は返る!ならばカイル?見せ場だよ」  カイルの髪をくしゃと まぜる王  カイルは 空間に 魔法陣を 描き 氷帝を 呼んだ  そして イサときざみ 放つ!  ずが……  アビスの 魔法金属は 魔界で強化されたのか 傷ができるだけである  マッハ女神 シャリーはたちあがると  マッハの紋章をきざみ  そこから錫杖を 取り出した 「シャリー」  エンドが シャリーのほっぺにキスをする  物理で倒すか 魔法力を纏わせた武具でぶんなぐる  それしかありません! 「ぶんなぐるってねシャリー人格変わってない?」  ミソノに肩をすくめられて 「えへへ」  と笑うシャリー 「魅力的だよ……」  王に言われて真っ赤になる  あの……いいえ……あの!  きたぞ!  モジモジしてるのをランドルに 咎められて  シャリーが  エイワズの防御をはった  7本の暗黒剣が 襲ってくる  がががん……  6本までは弾けたが 7本めがつきたった!  ぴっ  シャリーの頬を薄くさく 「女の子の顔なんだと!」  エンドの足元に毒蛇が あらわれていた 「にゃーーーーー」  エンドが 足をパクっとやられそうになって慌ててシャリーの結界へ逃げ込む 「おもってんのよー」  安全なところでプンスカ……  テアが ルーンをしめし フローズンを 呼ぶ  ザア……テアがふったいきおいのまま氷の矢ははしる  グオン……  鎧の肩を 傷つけたがはずれてしまう  シャリーはシャンと 錫杖をならすと  錫杖をうちふった  ぎゃん……!  ライトアロー  王が口の端を上げる  アリアンロッドと契約したのだね!  シャリーが 高く飛んで アビスを打ち据える  鎧を 金の光が覆う 「よし!ブランク!」  王が叫んだ 「王?」 不安げなカイルに  にこ……王が笑う  シャリーの錫杖の ちからで  やつの反転結界が やぶれた!  ルーンの 鋼鉄すら 貫通する矢はアビスを貫く  アイスストーム!  カイルも氷の嵐を招くと たんっと 地を蹴り レイピアで アビスの喉をついた  がしゅ…… アビスは 片膝をつく  精霊魔法 古代魔法 魔法のすべてをアビスにたたきこむ  そしてシャリーと王の一撃に アビスは痙攣しとけさった  これで……  シャリーがへたりこんだ  背中がいたいけど  もう大丈夫!  ……勝ちましたね!  ライト王は武装をとかない! 「出てこい!卑怯者」  太陽の神剣の切っ先が シャリーにむかう  王?  皆はいぶかる…… 「ほほう……小僧だまされないかね」 「シャリー?」  エンドが 近寄る  でも  オーラが 違う 「どうした?シャリー」  ランドルが 王とシャリーを見比べた  出て来いと行っている!  どくん  シャリーの心臓が脈打った 「た……」  シャリーの目が 赤くなる  それは まるで血のような  さがれ皆!来るぞ!  王が 叫んだ途端  ばじゅ……  シャリーの背が裂けた 「いやあ」  エンドが 抱きつこうとして  サナにとめられる  シャリーの裂けた傷から  鋼の手足がのびた 「やはり……寄生していたか」  そしてシャリーの 背から のっそりと蜘蛛があらわれた 「シャリー」  ミソノが かけだそうとして王にとめられる  がう……  蜘蛛が こちらにむかってくる 巨大な鋼鉄の蜘蛛 「今だミソノ!こいつはひきつける」  王がミソノに 耳打ちする 「はい」  蜘蛛に テイワズをぶつけおびき寄せる  ミソノは 遠回りしてシャリーの もとへ 「シャリー……」  背中をみると 心臓へのダメージが 大きすぎる 「そ……ソウェイル」  となえようとした  ミソノに エンドがふよふよと やってきた 「ミソノ……エンドを ありがとうとシャリーに伝えて」  エンド は酷くよわっているようで  このままでは! 「ソウェイル!」  エンド!  ミソノが青くなった! 「エンド」  はたり……  地に落ちたエンドは 息をしていない  シャリーは  パチと 目を開ける  エンド!エンド  一心一体のはずなのに!  決まりを破って!私をたすけるために! 「いやぁあ」  シャリーが 抱きしめる  エンド!  羽がツヤをなくし  エンドの あの声もあの姿も…… 「シャリー」  また聞きたい! 「シャリー」  ? 涙いーっぱいだねシャリー  ……エンド……  そんな!  アリアンロッド様においかえされちゃった 「エンドぉ!!」  シャリーが エンドを抱きしめる 「そしてね この月の弓矢をつかいなさいって」 かたん  シャリーの 足元に 魔法金属の 弓矢  シャリーは矢じりがないのに気がついた  たぶん……あの矢じりが  シャリーはポケットから鏃をとりだした  そして取り付けると 蜘蛛の 腹を狙う  きしゃあ!  蜘蛛が テアを 襲った時  シャリーとエンドは光をこめて  矢を放った シュオン…  矢は 光をやどしたまま  蜘蛛の腹に吸い込まれる 「ぎゃあああ!」 「流石はアリアンロッドの矢強力だね」  王が 上段から切り下ろす  矢の もたらす激痛に 動けなかった蜘蛛は  脳天を真っ二つに 割られ  もろもろと くずれはじめた 王は太陽のオーブに アビスを封じる 「よし!」  太陽のオーブはかがやきを失わない 「よくやってくれたねエンド」 王が微笑んだ  なんて子だ!主と使い魔の契りを破棄して 主を救うとは  王が手を伸ばしたエンドが ちょこんと王の手に乗る  良い主とあったね  王がフワとわらうと 小さいアレキサンドライトを くれた  持っておいで……君なら 僕の想い人を預けられるから 「?」  シャリーとエンドが首を傾げる 「シャリー大きくなったら花嫁になってくれるかい」 「ええええええええっ」  シャリーが 腰を抜かす 「ずっと君をみていたんだよ 」  強くなったね  僕は1万年近く生きているけど  ね……  君みたいな面白い子初めてなんだよ  ほめてるのだろうか? 「君ならベルカナの 王妃になれる お願いだ」 「王……?」  ふざけてますか? 「ふ……さてもどるかな!」  王!  みんなに叫ばれてライト王は  帰りの門へと消えた 「いってぇ……」サイの声だ 「サイっ」  テアが抱きつく 「いたた!ばかおまえ!」  テアがサイの額にキスした  無事でよかった  一同  戻るが 王の求婚が真なのか?と 皆がシャリーを取り囲む 「シャリー」 「シャリー!」 「シャリー!!」  ああうるさーい  悪夢よりもこちらにうなされそうな  シャリーであった  第6章 エピローグ  今日はお祝いの日 カイルとライラの結婚式だ  式は大神殿で行われ 一同がドレスアップする  特に楽しみなのは ライラのウエディングドレス姿  カイルのスーツもたのしみだが  女の子と言ったらウエディングドレス姿だろう  ライラは ドレス姿で しずかに神殿に 入る  そして皆に 一礼する  エスコートは ランドル教官  神殿奥には カイルが シルクのスーツで まっている  少しドキマギしているのか  頬が赤い 「きれーーーい」  ルナが  身を乗り出す  本当に……  校長の 同意 うつくしい シャリーのエンドとカイルのウンディーネが リングボーイならぬリングガールをしている  指輪の石は アレキサンドライト  エンドがライラ用を運び  ウンディーネが カイル用を運ぶ  とてもキラキラ綺麗だ  ……いつか私も……  と隣にライト王を 想像し ぶぶんと 首を振った  ただの冗談だってば  とシャリーの脇に座る人がある  見上げればライト様! 「しーーっ」  人差し指を 口元に持ってくると  笑いかけた  いつか君も?  茶目っ気なのかシャリーの 手をとった  そして  右手の薬指に アレキサンドライトの指輪を はめる  ……これでも信じられないかな?  ニッコリ笑われて  シャリーが 真っ赤になる 「さぁ式はこれからだ楽しもう」  ライト様が顔を前に向ける  そして リング交換 カイルは 気恥しいのが 額にキスをした  わっ!  周りは盛り上がり  ライト様が 立ち上がって拍手をする  シャリーはますます恥ずかしい  みんなの注目があつまる  そしてみつけた  ライト王の右手にはまっているリングを 「みんな僕のフィアンセを紹介するよ!」  さぁ立って  シャリーを立たせると  ウインクした  シャリーが フィアンセ!  周りは またまた大騒ぎ  まいった  頭を抱えた シャリーである 「おめでとう!」  ライラがブーケを 直接 シャリーにくれる  幸せに…… 聖なる戦いはこれにておしまい……  いい子たちに素敵な出会いがありますように  ちゅっ  エンドより

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蒼月のエレメント 新章  聖戦  総集編