める

3 件の小説
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小説初心者です。 小説読むのが好きで書いてみました。 文章の系列が至らない点があると思いますが暖かく見守って頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ

君を知らない世界で

春の風が、キャンパスの並木道をそっと撫でていく。 桜の花びらが髪に絡んで、君は小さく笑った。 「春、来たんだね」 となりにいる彼が、ふわりと笑う。 柔らかい茶色の髪が光に透けて、まるで光そのものだった。 「君と見る桜は、これで何度目だろう」 「…何度目?」 「ううん、なんでもない。変なこと言ったね」 彼はすぐに目をそらした。 君の手をそっと握る。あたたかくて、でもどこか頼りないその指先が、少しだけ震えていた。 それから数日後。 彼の名前を思い出せなくなった。 写真にも、LINEにも、授業のメモにも。 どこを探しても、“彼”の痕跡はない。 それでも、君は覚えている。 あの笑顔も、声も、手のぬくもりも。 何ひとつ、消えちゃいない。 でも、友達に訊いても言う。 「誰のこと?そんな人、最初からいなかったよ」 そのとき、君は気づいた。 彼は、世界から“忘れられる”存在だということに 夜、君は夢を見た。 薄明かりの中、ベンチに座る彼がぽつんと、君を待っている。 「…遅かったね」 その声に、胸がぎゅっとなる。忘れるわけがない。 君は駆け寄って、その肩にそっと触れた。 「ジェヒ…君、だよね?」 彼は微笑む。切なげに、少しだけ嬉しそうに。 「やっと、名前を呼んでくれた」 「…みんな、君のこと、覚えてないって言うの。写真も、記録も、全部消えたの」 「うん。そういうふうに、できてるんだ。僕は、“記憶に残れない存在”だから」 彼は空を見上げた。 「でもね、君だけは違う。君は、どうしてか僕を忘れなかった」 「…嬉しかったよ。ずっと、誰にも残れないって思ってたから」 君は彼の手を握る。 「だったら、ここにいて。私が覚えてる。ずっと、君を覚えてるから」 「…だめなんだ。君の中に残れば残るほど、君の心が痛む」 「それは、僕がいちばんよく知ってる」 沈黙がふたりの間を包む。 でも、手のぬくもりだけは、まだ消えていなかった 朝。 目を覚ますと、春の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。 君は、ゆっくりとベッドから起き上がる。 胸の奥が、何かを求めている気がした。 何か、大切なものが──そこにあった気がして。 携帯を開いても、何もない。 日記にも、空白。 写真フォルダには、桜の景色が1枚だけ。 だけど。 風が吹くたびに思い出す。 優しくて、儚くて、ほんの少し寂しそうに笑う男の子のことを。 君の名前を呼ぶ声が、耳に残ってる。 手を握ったときの温度が、まだ消えない。 世界からは消えてしまった彼。 けれど、君の中には確かにいる。 忘れない。 忘れられない。 たとえ、誰に話しても信じてもらえなくても。 たとえ、時間が流れても。 彼は、君の春にずっと生きている。 だから君は、今日も静かに歩く。 あの日と同じ桜の並木道を。 風に乗って、ふっと聞こえる気がする。 「君に出会えて、よかったよ」 その声に、君はそっと微笑んだ。

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君を知らない世界で

ギター

「あれ、おかしいな。全然涙が止まらない。」 俺はギターを置いて窓の外を見る。 そこには綺麗な夕焼けが広がっていた。 俺は、ただじっとその景色を見つめていた。 そして、目を閉じると彼女との日々を思い出す。 彼女はいつも笑っていた。 彼女の笑顔を見るたびに、俺も幸せな気分になれた。 彼女のいないこの世界は静かで寂しかった。 彼女を失った悲しみは永遠に癒えることはないだろう。 彼女は俺にとってかけがえのない存在だった。 彼女がいなければ俺の人生は大きく変わっていただろう。 しかし、彼女はもういない。その事実を受け入れるしかなかった。そしてまた、ギターを弾く。

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ギター

好きでした。

4月の春、私は彼に恋をした。 でもこの思いは彼には届かない。 だって彼は、別の人が好きだから。 この思いは心に閉まっておこう。 彼の幸せを願いながら一人涙を流す。

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好きでした。