君を知らない世界で

君を知らない世界で
春の風が、キャンパスの並木道をそっと撫でていく。 桜の花びらが髪に絡んで、君は小さく笑った。 「春、来たんだね」 となりにいる彼が、ふわりと笑う。 柔らかい茶色の髪が光に透けて、まるで光そのものだった。 「君と見る桜は、これで何度目だろう」 「…何度目?」 「ううん、なんでもない。変なこと言ったね」 彼はすぐに目をそらした。 君の手をそっと握る。あたたかくて、でもどこか頼りないその指先が、少しだけ震えていた。
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小説初心者です。 小説読むのが好きで書いてみました。 文章の系列が至らない点があると思いますが暖かく見守って頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ