はてなまる
3 件の小説第2話 サボり癖のある女子高生
「お、おいマコト。ベンチで誰か寝てるぞ。」 レンの言った通り、いつもマコトたちが使っているベンチに一人の女子高生が横になっており、気持ちよさそうに寝ていた。 「誰だろう。」 校舎から屋上に繋がる扉から少し離れた場所にあったので、二人とも女子であることしか認識できなかった。二人はベンチに向かって少しずつ近づく。顔が見えるところまできたとき、二人揃って、「あ。」と言う声が漏れた。 「なんだエマじゃねぇか。」 ベンチに横たわって寝ていたのは、マコトたちと同じクラスメイトの、鈴凪 絵舞(スズナギ エマ)だった。彼女の性格は明るく元気でクラスのみんなから好かれるマドンナ的存在。レンの幼馴染でもある。 「ほんとだ、鈴凪さんだ。なんでこんなところに。」 「おーい、起きろー。」 レンがエマを起こそうとした瞬間、エマの目がゆっくりと開き出す。 「ふぁあ•••。」 「いやーよく寝たー。」 エマはあくびをしながら、少しづつ体を起こして体を伸ばし始める。 「あれ、レンとマコトくんじゃん。こんなとこで何してるの。」 目を擦りながら、エマはマコトたちの方をじっと見つめる。 「それはこっちのセリフだ!なんでこんなとこで寝てんだよ。」 レンがエマを指差して強めにツッこむ。 「あれ、でも鈴凪さん、さっきの灰田先生の授業途中で保健室行くって言って抜け出して行ったよね?」 そう言われ、エマは頭を掻く。 「いやー、最近のハイセンの授業面白くないからさ、もう限界きてここまで逃げてきちゃった。」 マコトが言っている灰田先生というのは、灰田 安仁(ハイダ ヤスヒト)というマコトたちのクラスの教科担任の先生。性格がゆるく、いつも気だるげそうにしており、結構な頻度で授業を早めに切り上げることが多い。そして、あまりのゆるさから生徒たちに舐められており、大半の生徒はエマのように “”ハイセン“”というあだ名で呼ばれている。本人はあまり気にしていない。 「あんまそういうこと言ってると、内申点に響くぞー。」 レンは少しニヤけた表情で、エマを軽く煽る。が、彼女には全く効いていなかった。 「いいもーん。わたし、進学とかする気全然ないし。」 どうやら、彼女は大学や専門学校に行く気は無いらしい。 「マジかよ。じゃあ、進路どうすんだよ。」 「それは言わないよー。」 少し驚いた表情のレンに対して、エマが挑発気味に言う。 「てか、二人ともお昼ご飯食べないの?もうお昼休み半分終わっちゃうよ。」 時計の針は昼の休憩が始まってから、かなりの時間が経っていた。 「やば!マコト、早く食おうぜ。」 「う、うん!」 「マコトくん、わたしも隣で食べていいかな。」 「あ、う、うん、もちろん!」 三人はベンチに腰掛け、少し急ぎながらお弁当を食べ始める。
第一話 マコトとレン
そよ風が吹いて、心地良いぽかぽかした暖かい空気とともに散った桜の花びらが宙を舞っている。 そんな春真っ只中でとある教室では授業をしていた。 「えー、じゃあここの文法、英訳できるやついるかー。」 少し気だるげそうな先生が黒板にチョークで問題を書いたあと振り返って生徒たちに問いかける。 しかしなかなか手をあげる生徒はおらず、ほとんどの人が下を向いていた。内容としては少し難しい問題だった。そんな中、一人の生徒が挙手をする。 「おー、じゃあ白楽ー。前に出て書いてみろー。」 手をあげたのは白楽 真(ハクラ マコト)。温厚篤実でクラスでは学級委員長を務める超がつくほど真面目で、どんなことにも手は絶対に抜かない。クラスメイトや先生たちからの信頼も厚く、校内ではトップクラスの高校生。 そんなマコトが周囲がざわつくなか、黒板へと向かいチョークで黒板に慣れた手つきで回答を書く。 「さすがだな。正解だ。」 「やっぱ白楽すげー。」 「さすが白楽くん。」 クラスメートのマコトに対しての褒め言葉とともに教室中に拍手の音が響き渡る。 「ありがとう。」 マコトは少し無愛想に返す。 「そろそろ時間だなー。ちょっと早いけど今日はここまで。お前らちゃんと復習しとけよー。」 時計の針はまだ授業終了時刻の位置まで進んでいなかったが、キリがいいからか先生は教材をまとめて教室を退室して行った。時間帯的にはちょうどお昼時だったので、みんな、食堂へ移動したり、お弁当を用意したりと、昼食の準備をしていた。マコトもかばんからお弁当を出そうとしたそのとき、背後から誰かに肩を組まれた。 「まーことっ♪」 「うわぁっっ!」 マコトは驚いた声を出しながらそっと後ろを振り向く。 「アハハハッ、お前ほんとおもしろ声出すよなー。」 肩を組んできたのは綾戸 蓮(アヤト レン)。マコトのクラスメートで、クラスのムードメーカー的な存在。髪も染めててピアスもつけていて見た目はとてもチャラいが、友達思いで優しい一面もある。 「なんだレンかよ。びっくりしたじゃないか。」 「悪りぃ悪りぃ。」 少しキレ気味なマコトに対して軽々しく謝罪する。 「それより、早く昼飯食おうぜ。」 「うん。いつものとこでね。」 そう言って二人は屋上へと向かう。 「やっぱここだよなー。」 そう言いながらレンは背伸びをし始める。 「だね。」と、マコトも軽く返す。 「早くベンチの方いこう。」 そう言って、二人は屋上の隅に置いてあるベンチへと向かった。しかし途中でレンが急に止まり出す。 「いてっ。ちょっと、急に止まらないでよ。」 レンは唖然とした顔でベンチの方向を指差していた。 「おいマコト。ベンチで誰か寝てるぞ。」 「え?」 レンが指差した先には、誰かがベンチに横たわっていた。
序章
人には、いろんな性格がある。そして、性格にはその性格に見合った色がある。 たとえば、「ポジティブ」とか「明るい」とかだったら、赤や黄色、オレンジといった暖色系の色、「おとなしい」とか「物静か」だったら、青や紺色などの寒色系の色が想像できると思う。みんな人それぞれ特徴的な個性があって、いろんな色がある。まるで、キャンバスに絵画を描くかのように。 でも、僕には、なにもない。まわりの人たちは、きっと、カラフルな絵が目の前に広がっているだろう。 けど、僕の目の前に広がっているのは、絵の具のないパレットと、 真っ白なキャンバスだけだ。