椿ましゅ
6 件の小説5.7
白江さんを話して一週間が経った。今のところ全く手がかりすらもない。 最初は頑張っていたマヤメさん、橋本さんも精神を安定させていてくれた白江さんが居なくなってしまったことにより精神崩壊一歩手前まできている。 だけど今日少しだけ進展があった。 白江さんの旦那……ヒロさんと出会ったんだ。 探している僕達の背後に現れもう諦めろ、と冷たく言ってきた。ヒロさんの目は真っ黒くなっていて精神が安定している人の目ではない。そう思った。 唐突の出来事だった。 いきなり橋本さんがヒロさんに殴りかかった。だけどそれは軽く受け止められ攻撃は失敗となる。 その後ヒロさんから出た言葉は意外なものだった。 もうこれ以上俺の虹子に依存して困らせるのはやめてくれ。虹子はもう人に頼られるのは嫌なんだ。何故なら……。 最後までヒロさんは言わなかった。 どこか苦しんでいるように見える無表情のヒロさんを見た。きっとヒロさんは白江さんに依存しているから自分も困らせてしまっている原因にいることに気づいてしまったのだろう。だからどんな顔をすればいいのか分からない、そんな気がした。 沈黙の時間が数分続いた後、マヤメさんがいきなり口を開いた。 ヒロさんも一緒に私たちと白江さんを探しましょうよ。それで今まで困らせてきたことを謝りましょう。 その答えはYESだった。 橋本さんはヒロさんに謝り僕達は協力すことになった。 ヒロさんいわく白江さんがどこにいるのかは黒猫に聞けばわかるらしい。 でも黒猫の在処をここにいる人たちは誰一人として知らないみたいだ。 僕は今晩黒猫を探しに行くことにした。 それではいってきます。
4.30
授業も終わり僕は友達とご飯を食べていた。 最近仲良くなった奏の科学部勧誘の話やメイサちゃんの恋人が欲しいとかの愚痴、まことの一目惚れした夜ちゃん?っていう子のお話。僕はずっと聞き専だったけど楽しい時間だった。 でもいきなりその時間は終わる。 僕の名前を呼ぶ赤髪のタッセルボブの人。見覚えなんかない。なのに親しげに流星!なんて笑顔で言ってくる。 正直怖かった。 でも行かないとなにをしてくるのかわからないから行くことにした。 その人はマヤメという人で図書愛好会会長らしい。 昨日みた部活動一覧の裏に書いてあったなそんなの、なんて思いながら僕はその人がなんの用で来たのかを聞いた。 どうやら白江さんがいきなり行方不明になってしまったらしく、僕が何かを知っていると思って聞きに来たらしい。 僕は白江さんがどこにいるかのヒントなんて知らないけど、行方不明になる前僕がショートカットの女の子を見たって言ったら泣いていた。と伝える。 マヤメさんは困った顔をしたあと僕に一緒に探して欲しい、と頼んできた。 どうしようか……なんて考えていたら、この前出会った黒猫の飼い主のような人が後ろから来た。橋本さんというらしい。 その人も白江さんを探しているらしくて、二人だけだと本当に見つからないから助けて欲しいと言われる。 二人から頼まれたら僕は断れない。 やります、と言ったら二人は僕の手を握り深くお辞儀をした。 なんだか何かが起こりそう。
4.29
今日は授業がなくて一日中自分の部屋でごろごろしてようかと計画していたのだが一年生は自分のクラスに行け、と言われてしまったので行った。 正直香川くんに会えるのだから別にいいかと思って僕はるんるんで教室に向かう。 どうやら六月からはじまる部活でどこに所属したいのかのアンケートを今日とることになったらしい。 部活はこのお屋敷の中でかなり重要なもので、何故だか分からないが似た属性の人が集まるらしい。また、お屋敷内のイベントや授業でも部活で分けられることがある。だから軽い気持ちで選ぶのは絶対にやめてほしい。どこもピンと来ないなら無所属になってくれ。と先生は真剣な顔で僕達に言った。 僕はどこにしようか、できれば香川くんと同じところに行きたいななんて考えながら部活動一覧をみた。 でも、正直どこがいいのか分からなかった。 僕にあうところはここのどこにもないように思えてしまった。 結局時間内に決まらなかったが五月に部活動説明会があるらしいので少し安心した。 香川くんは決まったのだろうか。 それが一番気になる。
4.25
僕は気がついたら白髪の女の人(白江さんというらしい)に手を握られていた。 どうやら僕は気絶したあと一日自然愛好かつ保護部の部室で寝ていたらしい。 白江さんはこの部活の部長なので僕のことを一日付きっきりで見ていてくれたということがわかった。 僕は白江さんのような美人な方に手を握られたのは初めてで顔が真っ赤になってしまった。白江さんでこんなになってしまうならいつか香川くんに手を握られた時どうなるのだろう。 何故僕が急に気絶したのか、その時どうだったのかを白江さんは知りたいと言った。なので僕は事の経緯を全て話した。 そしたら白江さんはいきなり泣き出した。 感情全てが出たような泣き方ではなく、人形の目に水を垂らしたような。そんな泣き方だった。 僕はどうしたらいいのか分からなくてあたふたとしていた。そんな時いきなり黒髪の男の人(ヒロさんというらしい)に殴られた。 おい!俺の虹子を泣かすな……みたいなことを言われたと思う。 この二人はどうやら夫婦とヒロさんは言い張っていた。でも白江さんは顔を横に振っていた。だから本当なのかは分からない。 そんな白江さんをみておい!というヒロさん。白江さんは笑っていたけど少し寂しそうな顔をしていて僕は少し複雑な気持ちになった。
4.24
今日は僕が受ける授業がない日で課題も終わっていたからお屋敷内を散歩することにした。 散歩してる時に変な黒猫と出会ったのでその黒猫について行った。 気がついたらバラ園にいて黒猫は飼い主みたいな人の元にいた。手招きをされたからその人の元にいくと手を繋がれてそのまま図書館のような場所に連れてかれた。 中に入って階段を上り二階へ入る。 本当は行ったらダメって先生に言われている場所だから少しだけ嫌がったけど、その飼い主みたいな人はバレねえよって言って僕を引っ張った。 二階には僕含めたお屋敷のマリオネット達の顔が描かれた絵が飾られていた。 それを見つめていた時いきなり全部の顔から睨まれ僕は恐ろしくなって気がついたら失神していた。 失神する前になんだかショートカットの女の子が僕を心配した顔で見てきたような気がした。
4.18
今日から貴方達は三年間私のものです。 開始早々僕らは顔がないおじさんからそう言われた。 僕らは理由は違うと思うけど優秀なドールを目指すためここで三年間マリオネットとなることにしたのだ。だからここにいる。 みんな国も育った環境下も違う。でも三年間僕らは家族のように一緒に過ごさなくては行けないんだ。 周りを見た時みんなの緊張した表情が僕の中で印象に残っている。 その後僕は1C21という番号を貰った。 一年間使う番号らしいからしっかりと覚えなくては行けない。 一年C組のみんなはいい人だ。 特に香川くん!かわいくて優しくて綺麗な声をした香川くん。この子が一番いい人だと思う。 今日ぶつかってしまった時に怒らないでびくってした姿、本当に可愛かった。 ずっとその姿が忘れられないしクラスに入ってもずっと見ていた。これが恋というものなのだろう! どこかで見た顔だったから少し懐かしい気持ちにもなった。香川くん、素敵な子。 みんなに話しかけて僕にお友達がいっぱいできた。 香川くんは基本一人でいたいみたい。 だから僕はそっとしておいたけどヘンリーくんは僕よりも香川くんと話していた。少しヤキモチをした。 これからどんな生活になるんだろう!楽しみだな