しらづ
95 件の小説憎悪
僕は好きな人を憎んでいる。 好きと言い合ったあの甘酸っぱい夜も 思い出となっているデートも 一緒に過ごした時間。記憶その全てが 今は愛おしむものではなく憎悪として僕にある ただなにかあった訳ではない。 僕自身、僕を、相手を信じきれていないからこそである。 嫉妬だといえばいいのだろうか。 相手の些細な一言や、行動で 僕の自信は掻き消える 連絡がいつもより遅い。 電話の時もあの楽しそうな声は少なくなった。 マンネリ?いや、違う彼女が僕に対して気持ちの変化を感じられた。 確証はなくとも普段の生活から少し変わると疑問に思う。 「いつもと違う」と 苦しい そう思った。 考えれば考えるほど、僕は彼女のことを心から愛していて、 考えれば考えるほど憎らしい。 彼女との想いの差に勘違いを起こし 僕は彼女を疑い憎んでいた。 「ねぇ、好き」 「どうしたの?私も好きだよ」 満足な答えを聞いたのにも関わらず、 安心できない 確証が欲しい。 僕のことを好きだという確証が 勝手に焦って無理なお願いを沢山してしまう 「会いたい」 「今すぐは無理だよ」 「今日電話できない?」 「今日は飲み会があるって言ったよね」 「ねぇ今日は…」 「しつこい」 愛し合ってはずなのに、 こうなればなるほど、全てに疑いを持つようになる 悪循環だ。 愛しているほど憎んでしまう。 愛していたからこそ… お互いの気持ちを理解できるようになるには同じペースで同じ歩幅で生きていくことが続くコツなのだろう。 Ps.作者は恋愛に関してとんちんかんです。
神様は意地悪だ
神様は本当に意地悪だ 困難を渡してくる。 自分の力でどうにかしてみろと、 それを乗り越えようと失敗すれば 保証もなく見捨てていく。 ならどうしてそんな試練を渡してくるんだろうか 神様のお遊びなのか。 元々自分の人生は既に神様には知られていて 結末は変えず人生内容を波乱万丈にするだけなのだろうか。 今、動き出すのが怖い。 叶わないようなものならなぜ僕たちを引き合せるのか。 神様は僕たちを商品だと思ってるのではないだろうか。 僕たちがこの試練にどう立ち向かい、どう動いていくのかを賭け事のごとく見ているような気がした。 どうしたらいいんだろう。 その疑念だけが残る。 僕が変わらないと進まない物語があるなら 僕にそのリスクを背負えと言うのか。 そのリスクの先は天国か、地獄か どの道、上手く行こうが行かまいが 地獄に落ちる気がするのは、野望な道ということなのか。 距離が、気持ちが交差する。 どうしてこんなにも困難を与えるのか 前提条件が最悪なのにも関わらず どうして気持ちは進むんだろうか。 俺だけが焦りを見せている気がする。 それも不安を加速させる。 こんな形だから皆に出会ってしまったのか。 こんな形でなければ出会っていなかったのだろうか。 こんな形でないと出会えない人達だったのだろうか。 どうすればいい。 神様は意地悪だ。 どうかお慈悲を
手に入れたかったもの
高校時代 俺はモテた。 スポーツ万能、成績優秀、スタイルも顔も良く、女には困らなかった その時唯一、自分が惚れた女がいた。 高校2年の時に付き合った彼女なのだが、 彼女もまた俺と同じで、スポーツ、学面、容姿を持ち合わせ、よくモテた。 ただ、お互いの性に関しては進みを得ることはなかった。 1ヶ月、半年、1年と断りに断られた性欲盛りの俺は 痺れを切らし他の女の子と関係を持った。 そして 「我慢させてごめん。でも浮気は許さないから」と その時の顔は絶対に忘れない。 そうして終わった…はずだった。 ーーー 東京某所 「お兄さん、お隣いいですか?」 「あぁどうぞ」 俺は田舎から東京に出て、IT系の仕事につき この通り高校時代と変わらずモテを謳歌していた。 「お兄さんかっこよくて…」 「俺もお姉さんが声かけてくれないかなって思ってたとこ」 「えーなにそれ」 「行くでしょ?」 「うん」 世の中はチョロく、東京でも変わらず女に困ることもなく自分のルックスが他でも通用することを実感し自信に溢れていた。 そんな純忠満帆な日々を過ごしていた時一通の手紙が届く。 ーーー 「同窓会…か」 もう何年も皆と会ってなかった。 アイツにも… 俺が来ることを知れば来ないかもしれない と思いつつも、少しの期待を持ちながら 同窓会に足を運んだ。 活気ある居酒屋、懐かしい顔ぶれ そこにアイツはいなく内心ほっとしていたが 少し心に引っ掛かりを覚えていた。 その時、 「サプラーイズ!」 の歓声と共に俺の前に現れた綺麗な女性 「穂乃果…」 「祐介…」 少しの沈黙の後、ガヤが捌ける 「久しぶりだな。何年ぶりだっけ」 「高校卒業して以来だからもう10年じゃない」 会話を交わすことに少し緊張していた 「祐介は変わんないねまだ女の子遊びしてるの?」 あの時の記憶が蘇りながら頭を働かせる 「まぁこっちに来ても俺はイケメンだしえっちも上手いからな」 「ダサ…」 「うっせ。てかなんで来たの」 「同窓会だからに決まってるじゃない。まぁそれと…」 「それと?」 「あんたに会いに来た」 「何、俺が恋しくなっちゃった?」 「バカじゃない?」 10年経ってもあの時と変わらない感じで会話できていることが少し嬉しかった。 そんなことも束の間、彼女が重たく口を開く 「私ね、結婚するの…」 「……そっか」 そんなこったろうと思った。 いや思っていたのは確かだ。 だが、少し言葉にしがたい何かを抱えた 「…おめでとう」 これが精一杯だった ーーー 翌朝 あとの記憶は覚えていない。 朝起きるとその時にいた他の同級生の女がいた。 「祐介くん、おはよ」 「あー、おはよ」 「祐介くんって彼女いないよね?高校の時からずっとかっこいいなって思っててさ…」 「ごめん帰って、俺仕事あるから」 「え、でも昨日…」 「悪いまた連絡するから、そん時、またおいで」 何故かずっとアイツのことが頭から離れない 「穂乃果…」 ーーー 「ぱい…せーんぱい!先輩ってば!」 「ん、なに」 「もう聞いてますか?俺の話」 「なんだっけお前の彼女がグラビアモデル並みに乳でけえって話だっけ」 「先輩ってまだ煩悩に埋もれたままなんすか」 「なぁ、1人に絞るってどんな感じなんだ」 「え、なんスか急に、気持ち悪いっすよ、けど教えてあげましょう、1人の女性を愛することは…」 「やっぱまた今度聞くわ、仕事戻る」 「え?先輩…?」 俺は立ち上がりその場を離れた 何故かその時、急に頭にアイツが出てきたからだ。 人影のないところに逃げ込み、しゃがみこむ 「ダサい…ね」 俺はまだ10年前を引きずっている あいつはもう婚約者がいて、幸せそうにしてるってのに… ーーー 「先輩、仕事終わりに飲み誘ってくれるなんてなんかあったっすか?」 「お前の昼間の話を聞きたくてな」 「あー、1人の女性を愛するってやつっすね!それは…」 「あれ〜祐介くん?とお隣さんは、だれ?」 唐突に声をかけてきた女性2人組 「し、知り合いっすか先輩」 「ん?あぁ、セフレ」 「り、両方とも!?」 「おん。可愛いだろ」 「どうも、祐介くんの女です!お隣の可愛い男の子は祐介くんのお友達?」 「後輩だよ」 「えー可愛いねぇ、お姉さんたちと4Pしちゃう?」 「ぼ、僕には愛する彼女が…」 「あんまからかってやんな、彼女しか見えねえバカなんだから」 「あ、ちょ、バカってなんスかバカって!」 「わり、もう出るわ、ホテル行こ」 「いくいく〜またね後輩くん〜」 「え、お会計は」 「これで足りるだろ払っといて、足りなかったぶんは後で返すから」 ーーー やっぱり俺はこっちの方が楽しくて幸せだ 可愛くて綺麗な女たちを侍らせて 街中を歩く そんな中、聞き馴染みのある声が後ろから聞こえる 「祐介…?」 俺は振り返り、目を見開く 「穂乃果…!」 俺たちの光景を見て穂乃果は高校時代のあの時と同じ顔をした。 俺は慌てたように2人に言った 「悪い、今日やっぱなし、どっかで埋め合わせするから」 「え?なに急に」 「急用だから!」 俺は一生懸命背を追った。 裏路地に逃げ込むアイツを呼び止める 「穂乃果…なんで逃げるんだよ」 「……」 「なんか言えよ」 「なんで追っかけてきたの」 「なんでって…そりゃ」 泣いていた。 彼女はあの時のようにまっすぐ俺の目を見て涙を流していた。 「ごめん。」 「あのさ、穂乃果…結婚、ほんとにすんの」 「うん。」 「どんな奴」 「あんたと違って浮気しない人」 「それは保証ないだろ」 「女遊びもしない真面目な人だよ」 「あの時、俺が我慢してたら、俺と結婚してた?」 「してたかもね」 「そっか」 「私ね、あんたのことほんとに好きだったよ」 「うん」 「私があの時、シてたら、浮気しないでいてくれた?」 「かもな」 「そっか」 「俺、まだ好きだよ」 「嘘つき…」 「嘘かもな、お前と別れた日からしてたこと、全部。」 「どういう意味」 「わかんなくていいよ」 俺はそっと彼女を引き寄せる 「10年前、できなかったこと、いましたら元に戻る?」 「浮気しろってこと?」 「俺が今キスしたら、浮気になるかもな」 「最低…」 「最低でいいよ。」 「んっ…」 ーーー 「んんっ…」 「浮気だな。」 「クズ…」 「結婚ってなくなんねぇか」 「は?」 「なんでもない。これは墓場まで持ってくよ。最後まで悪かった。」 「ちょっと…」 「じゃあな」 「祐介!!」 彼女は背を向けた俺に向かってきた 「んっ…!お前何やって」 「墓場まで持ってくんでしょ。最後まで持っていきなさいよ」 彼女は俺の唇を奪い、誘ってきた。 ーーー 事後 「どうだった。」 「ますます、手に入れたくなった」 「バカじゃない。最初で最後だよ。」 「やっぱり…」 「ダメだよ。私もごめん。振り切るために祐介のこと利用した。私は結婚するよ。これで完全に区切りだから」 ホテルを後にして、俺は穂乃果を見送った。 「完全に終わったんだな…」 俺もその場を後にした ーーー 「はああああ??」 「うるせぇ」 「え、じゃあ、その元カノさんとヤるだけヤって終わりっすか?」 「んだよ、やっぱいちばん良かったぜ、俺が惚れた女は違ぇねぇよ。」 「先輩はそれで良かったんすか」 「何が」 「こんなことも言うのあれですけど、こんな遊び人の先輩が唯一惚れた女性をこんな形で終わらせて良かったんですか!?」 「どういう事だよ」 「どこぞの男に取られて良かったんですかって聞いてんすよ!」 「いいんじゃねえか。俺は選ばれなかった。それだけだろ」 「わかってないっすね。1人の女性を愛すること」 「またそれか」 「先輩はずっとその1人の女性を愛してるんです!でも、気づいてても人のせいにして、自分は悪くないって逃げてるんです!それで愛する人を取られても、失ってもいいんですか!」 後輩が言っている意味もわかる。 だから余計に腹が立つ。 「お前に拒否られた人の気持ちがわかんのか」 「え、」 「愛してて、拒否られ続けた俺の気持ちわかんのかって言ってんだよ!」 「いや、それは…」 「高校生の時、ずっと拒否られてた。この前も、高校の時より進んだけど、何も変わっちゃいねぇ、大事なところでずっと拒否られてんだよ!その気持ちがわかんのかよ」 「わかるはずないでしょ!だったらそれを元カノさんに伝えたらよかったんじゃないですか!」 「っ…」 「辛かったのは先輩より元カノさんですよ」 あの、強く俺を見つめて涙を流す彼女が脳裏によぎる あの時は、俺に怒っていたとか呆れていたとかではなかった。 裏切られても、俺のことを想ってくれていたんだと 気づいた。 「俺は…」 「今からでも遅くないと思うっすよ。」 ーーー 俺は走った。 走りながら穂乃果に電話をかける 「もしもし…」 「穂乃果!!」 「祐介?」 「今どこにいる!!」 「渋谷の駅だけど」 「今からそこ行くから待ってろ」 「え、ちょどういう…」 俺は会いたいその一心で走った。 もう俺には穂乃果しか見えていなかった。 「はぁっ、はぁっ」 「祐介!どうしたの」 「わかんねぇ、けど無性に会いたくなって」 「なにそれ意味わかんない」 言わないとここで失う。 いや、後悔してしまう。 どうなろうと今後の関係が終わろうとも俺はこのまま終わるのは… 「穂乃果!結婚するな。それと浮気してごめん。俺が身勝手でごめん。裏切ってごめん。10年間逃げてごめん。好きだ。」 「バカ。遅いよ。」 「ごめん。」 「でも私、結婚するよ。もう決めたから。」 「ああ、幸せにな。」 「祐介もね」 俺が見たかった笑顔が、最後に見れて良かった。 結局手に入れられないものは逃げなかったものが掴むんだろうな。 ーーー 半年後。 俺は遊ぶのをやめて、仕事に没頭していた。 今頃穂乃果は、旦那さんと幸せな家庭を築いているんだろうか。 「祐介」 「えっ」 そこには紛れもなく穂乃果がいた。 「穂乃果!?なんで」 「会いに来ちゃった」 「何しにだよ」 「私ね、あの後、プロポーズ断っちゃった」 「はぁ!?」 「あははっ、初めて見た祐介のそんな顔、半年前のあの必死な顔も初めて見たし。」 「いや、というかなんで断ったの」 「祐介のせいだよ。うそ、本当は同窓会の時に会ってからやっぱりこんなクズでも浮気することもあの時は許せなかったけど、好きなんだなって思ったんだ。私もどうしようもないクズなのかもね」 「俺が幸せにするよ」 「出来んの?」 「とりあえずえっちさせてね。上書きも含めてめちゃくちゃに抱くから」 「ほんとそういうとこ…終わってるわね」 「愛してるよ」 「うん」 手に入れたかったものはしっかり掴んでいないと。 後悔する前に。
わからぬ
わからぬ。 人の気持ちなど 本当はこうして欲しい 本当はこうじゃない これはするべき これはしないべき わからぬ。 ちっともわからぬ。 もっとはっきり言葉にしてくれたらいいのに もっと行動に移してくれたらいいのに 失敗や過ちがあって人は成長するのに わからぬ。 理解ができぬ あなたの行動に対して 対応をしたのにも関わらず あなたが不満に思うこともわからぬ さっきまでと発言が全く違う。 発言と行動が全く違う。 わからぬ。 考えてもなお、わからぬ。 だから私は分からぬまま 様子を見る出方を見る。 そのアンサーが思っていたものと違っても 私はそれでいいと思うことにした
鳥のように高く
私は完璧にならなければならない。 両親は医者であり厳しく育てられた。 成績がトップでない時は酷く罵られた。 褒められたのはいつだったろうか 高校を首席で卒業した時だろうか。 彼らはその程度で褒めてくれる人ではなかった。 だって当たり前だから これは私の遺言である 『この手紙を読んでいるあなた達は 自分の娘が死ぬということに どういう感情をお持ちでしょうか。 最後まで出来損ないの娘でしたでしょうか。 私は精一杯生きました。 あなたたちに言われたことを必死に… 足掻いて藻掻いて耐え抜いて、 成績だって1番だったでしょう。 私はあなたに褒められたことなど一度も 覚えてはいません ある日思ったのです。 高く飛ぶ鳥を見て、 私もこんなに自由に羽ばたけたらどれだけ楽しかったのだろうと。 でも鳥も私と同じように飛ぶまでの苦労を重ねていました。 この自然界という過酷な世界を高く飛び続けている 鳥ですら落ちる時は早いものでした。 私もあなたたちを追いかけ、上り詰めてきました。 でももう辞めます。 私は好きで上り詰めたかったわけでもない。 あなたたちに褒めて欲しかったわけではない。 ただ愛が欲しかった。 親の愛が… ただ愛を貰う方法が間違っていたのでしょう。 褒められたら愛だと勘違いしていました。 学ばせていただいてありがとう。 鳥も落ちる時は早いのです。 私もこの高さから落ちるのは早そうです。 あなたたちも私が落ちたら堕ちるのでしょうか。 いや、上り詰めた方は堕ちませんか。 私はあなたたちみたいに優れた人間でもなかった。 でもあなた達はしりえもしない努力で勝ち取った人間です。 そこから堕ちるのも一瞬ですが、どうか堕ちないで。 さようなら、お父さんお母さん。』
無に帰す、やがて人は育つ
感情的な人間だった。 人が傷つけば、自分の事のように悲しんだ。 人が嬉しいことは、自分の事のように喜んだ。 人が怒ることに、敏感になり人の目を気にするようになった。 人が楽しいことに、自分もちゃんと楽しめた。 喜怒哀楽が激しく表に出る人間だった。 でもいつからかそれが無くなった。 成長を重ねていく度に、心は成長を止めた。 やがて心は蓋を閉じ思考に委ねた。 もう感情の出し方も、正直分からない。 人が傷つく姿を見て 少なからず涙が出る。 まだ感情が残っているのかと思う。 ただ、それと同時に嫌悪に思うようになった。 自分が傷つかないための防衛なのだろうか、 心が苦しくなるから 泣かないで欲しい。 そんな目で見られたらまた自分も同じように 心を締め付ける思いをしてしまう。 だから目を逸らした。逸らし続けた。 人が怒る姿を見て 嘲笑うようになった。 こんなことで怒りを振りまいて何になるのだ。 情けない人だ。と これも自分の心から逃げている。 自分に向けられる怒りを感じたくなくて 傷つくことを恐れた。 だから目を背けようとした。 人が楽しんでいる姿を見て 楽しめなくなった。 言葉では吐ける楽しいねと どこか他人事かのように 楽しくない訳では無い。 ただ純粋に楽しんでいたのに すり減る心が感情を鈍くさせる。 人が喜びを与えてくれたのに 『ありがとう』が言えても 心の底から嬉しいと感じることも少ない。 思ってはいる。本当に ただ、表に出ない 出なくなったというより 出し方が分からない。 喜怒哀楽の気持ちは強いはずなのに 守りに徹する心が 自分を抑える いつしか思うようになった。 『つまらないな』と 感情を殺して得られたものもあった。 冷静に見れる余裕や 談笑ですら俯瞰的に捉えることができるようになった。 自分の経験したことないことですら 経験したかのような気持ちでいられた。 だからだろうか、知らないことですら 話を聞くだけで擬似的な感情を受け継ぐ。 無駄に感情的だった人間なのだから そこはまだ生きてはいたのだろう。 でもつまらない自分を自分で感じるようになって 追い込まれる。 逃げているだけだって、 向き合ってないって まだ向き合っている途中。 いや、これから向き合おうと動き出したところだ 恐怖心と戦ってちゃんと相手を見てあげないと 人と繋がること、人を知ること、知られることは決して悪いことでは無い。 そう教えてくれたのもまた人だから
ハッピーエンドバッド
俺は幸運の持ち主だと思っている。 自分の身に起こる出来事が全て幸せな事だから。 俺のそばに寄り添ってくれる最愛なる彼女たち 今までいい顔をしてくれる女性が沢山いた。 好きだったんだ。 喜ぶ姿も 怒る姿も 泣く姿も 悲しむ姿も 全部好きだった。 その顔にさせる度に俺は幸福に感じた。 この時間がいつまでも続くといいなと … 僕は不運の持ち主だと思っている 自分の身に起こる出来事が全て難解だからだ 僕のそばに寄り添ってくれる最愛なる彼女たち 今まで仲良くしてくれていた女性が沢山いた 好きだったのに ある日を境に僕を見ると叫び逃げだし 最低と怒号と共に浴びせられる平手打ち 警察に突きつけられたこともある。 でも僕には全て身に覚えのないことばかり 全てわけがわからなかった。 この生活から脱却したいと心から願った。 そんな時1人の美しい女性と出会った。 その方は可憐で一際目立つ女性だった。 僕は一目で恋をした。 この人は絶対に逃さないと。 … 「あの、私と付き合ってください」 「はい」 いきなりの告白に多少の動揺をしたが 僕にも春が来たと心から思った。 嬉しかった一目で恋したあの子が僕の彼女になったのだから 「ねぇ、なんで僕って言うの?告白で緊張した?」 少し不思議そうに笑う彼女を見て僕は困惑した 「え?いつも僕は僕だよ?」 彼女もまた不思議そうな顔をしたまま頷いた … 「おはよっ」 彼女が待ち合わせに来る 「おはよー。今日もすごく可愛いね」 僕も緊張したまま頑張ってかける言葉に張り切る。 「ねぇ、あのね、今日も、ね?」 少し恥じらいながら上目遣いで僕を見る 「え?」 何かわからないまま連れてこられたホテル。 「今日もしてよ、あれ」 僕はなんのことだから分からなかった。 君とはホテルにも言ったこともましてやスキンシップさえしていなかったのに。 たどたどしい僕を見て彼女は痺れを切らした 「ねぇ、今日は何時もとおかしくない?好きだって今日も沢山抱いてあげるって言ったじゃない!もう10回目もデートしたのに!」 全てがおかしかった。 僕の記憶では2回しかしていないはずなのに 「10回?待って誰としたんだよ!」 「もういい!」 カバン持ちホテルを出ようとする彼女の首を僕は絞めた 「はぁそれその顔だよっ好きっ」 その発言でさえ僕にとっては他の男と重ね合わせてるようで苛立ちを加速させた。 「殺してやる他の男と一緒になるくらいなら」 そして僕は彼女の息を途絶えさせた。 手を殺めた恐怖と彼女を自分で最後にしたことの喜びでハイになっていた。 「あはは、もうどこにも行けない。僕だけの君だよ」 … 「お前がやったんだろ!」 机を叩きつける音と共にガタイのいい男性が詰め寄る 「だから俺はやってねぇよ。だりぃな。」 「亡くなった女性とお前が入るところが監視カメラに映ってたんだ」 「チッ、もっとうまくやれよ…」 その言葉に警察官が胸ぐらを掴む。 「お前はその他に交際経験のある女性を全員殺したな」 「あーあバレたか」 そうだ俺は今まで付き合ってきた女性は全て手にかけた。 だがホテルで亡くなった女性は俺じゃない。 「いいよ説明してやる。その女性を殺したのは…」 その先の記憶はまったくない。 ただ牢屋に入っていた。 殺しが自分のハッピーエンドだったのに 俺の運も底を付いたかと思った。 まぁ楽しい人生だった。 僕の人生はバッドエンドだったのに 僕は最愛の人はずっと心にいてくれる いい人生だった 「幸せだね…」
息抜き
朝起きて 隣の女を見る 名前も知らない女を尻目に 朝の支度を始める 「ねぇ」 「ん?起きたの」 「どこ行くの」 「仕事」 「昨日好きって言ったよね…」 「ん?んな事言ったかな。」 昨日のおぼろげな記憶を遡る 「あ〜、あれ?言ったね」 「私も」 「そっか」 だいたいの人は真面目に捉えてお付き合い。 なんて考えるのだろう。 でも俺は違って 息抜きだった。 知らない女に腰を振って その時の昂りに心を任せ 互いに高ぶるために言葉を吐く ただそれだけの事 濁すことも面倒になって 淡々と自分の都合を押し通す。 「仕事行くから一緒に出て」 … 仕事終わり 溜まった連絡を返す 何も考えずただ赴くままに 「今日はこの子か…」 誰だって良かった 疲れた心と体を女で一時的埋めてるだけ。 ストレスを発散するために スポーツをしたり 映画を見たり どこかに出かけに行くように 同じ感覚で女を抱く。 それが息抜きで いちばん心癒される時だから 「今日は他の子じゃなかったんだ」 「ん?君が良かったんだよ」 誰だっていい。 君が良かったって言葉も間違ってない。 だって君の予定が俺と合って 一緒にいるのも嫌じゃなかった。 息抜きができるから だから君が良かった。 ただそれだけの事。 「ふーん」 あからさまに嬉しそうにする君 「何、嬉しいの?そっか、俺もだよ」 そのままふたりベッドに転がる 「ねぇ」 裸の君が声をかける 「ん?」 「好き」 「そっか、ありがとう」 俺だって好きだよ 息抜きに付き合ってくれるから 相手も少し理解して 心から俺を消そうと努力している もう俺に向けるその「好き」も 俺から離れる予告なのだと こちら側も理解する。 だから後ぐされなく。 対応を変えず、ただ相手の出方をみる 真面目な時もあった クズを嫌っている自分もいた しかしその時は全てがストレスになって 何をしても発散しきれない感覚が ずっと残っていた。 自分がクズと言われるようになってから 生活を見返すと 生活は何も変わらなくて、 真面目に生きているよりは華やかだった。 真面目に何かを考えることも減り 周りの評価も全て気にならなくなった。 だからかもしれない。 成すこと全てが息抜きに変わっていった。 真面目な時とは打って変わって、 失っていくような感覚も増えた けどそれも全て気にならなくなった。 だから今日も俺は息抜きをする。
復讐のその先
僕は真面目に生きてきた。 学生時代。 引っ込み思案の僕は彼女が出来ても奥手で でも、言い寄ってくる女の子は多かった。 皆から羨ましがる目線も心地よく感じた。 でも、彼女が出来ても何故か寂しかった。 『本当に好きじゃないから』 自分の本当に求めている人は もう既に誰かの手の中にあって、 僕自身には手にできない代物だった。 初めての年上彼女。 最初は好きじゃなかった。 他の人と変わらない女性だった。 ただスキンシップもしてくれた。 その人自身に心地良さを感じた。 でもそんな心地良さも長くも続かなかった。 それも他の男に寝盗られた。 俺はまだ手にしていなかったことなのに。 全て奪われた気がした。 だから僕は自分の奥手さを酷く責めた。 そして諦めることに逃げた。 それから数年。 元彼女となった人とふたりで会うことになった。 数年前のことだし、何事もないように接した。 男女としてすごくいい感じだとも思った。 でもすごく違和感を感じていた。 よそよそしい感じに不思議と疑問を持った。 昔のことを思い出しての気まづさなのか。 それしか思い当たる節がなかった。 それでもあまりにも距離を感じた。 その日は何事もなく場をあとにして 後日知らされる 友人との車の中。 友人はタバコも吸うようになって、 俺が知る頃よりも変わっていた 車内で俺に元彼女の話を振ってきた。 『そういえばお前の元彼女この前家誘ったらのこのこ来てさ、良かったよ。そういえばお前もしたんでしょ?』 僕は言葉が出なかった。 ひたすらに悔しいと思った。 でもその時に本当に好きだったのだと 思い知らされた。 なぜ俺はダメだったのか。 何が原因だったのか。 地獄に落ちてしまえなんて思ったこともあった。 その時に、彼と自分の違いを出した。 彼は真面目でもなんでもなかった それは自分になかったものだった。 だから真似したらいいんだと思うようになった その時初めてタバコに手を出した。 真面目を捨てられると思ったから 自分が生きた道を踏み外し知らない世界を知れば そうなれば欲しいものを手に入れられると思った。 ナンパも勇気をだしてしてみたり 女の子に自発的に連絡を取ったり そうなればみるみる自分の思い通りにことが進んだ。 最初は楽しかった。 復讐しているようで。 悔やんで欲しかった。 あなたのせいだよって。 でも、それも当たり前になって 得るものより失うものの方が大きく見えた。 いつしか、好きの感情はなく。 虚しさだけが残る。 心に嘘をつき続けて それも上手く表せなくなって言った。 結局欲しいものは手に入らなくて、 そこは変わらなかった。 どう頑張っても中途半端で、 僕は普通なのだろうと。 復讐したつもりだった。 あなたが許した相手はこういうやつだよって。 こういう人に魅力を感じるんだろうと 自己満の優越だったかもしれない 久しぶりにインスタのストーリーを目にして、 その子が真面目な男性とお付き合いをしていた。 俺にはない幸せを何故あなたが手にしているのか 復讐のその先は 地獄に落ちるのは僕の方みたいだ…
底無しコップ
『会いたい』 そう連絡してきたのは君の方。 心配はするものの 彼女と同棲している僕は行くに行けなかった。 『ほんとに会えない?』 追いメッセージが来る。 僕は彼女に少し嘘を着いて 家を出た。 「友達だから」 そう言い聞かせて、友達という名の女の家に向かう 「会いに来たよ」 そういうと友達は僕の手を引きベッドに押し倒す。 『寂しくて…』 僕は無意識に拒む。友達だよって それでも君はいいと言った。 だから友達として要望に答えた。 でも君は切ない顔をして僕はそれにも気づいていて 肌を重ねて、君の体温を感じ 一時的には温もりを感じたけど、 それも徐々に冷ましていく。 『もう大丈夫?』 その一言はかけるけど 僕は気づいている。 寂しいと思っていることも、 僕に特別な好意を抱いているだろうことにも 一瞬にして心は寂しさを現す でも僕はあえて触れなかった。 知らないふりをし続けた。 きりのない寂しさに 君の穴の開いたコップに水を注ぐことを 塞ぐのは自分の役目ではないと 鈍感な自分で相手に思わせておけば 勝手に相手は諦めるだろうと。 好きになっても 穴を塞いでくれないと 答えられない 塞ぐのは僕の役目。 いいや違う。 心の穴を塞ぐのは君の役目。 寂しさを埋める唇もも 体の温もりも くだらない毎日に少しの色付けも 全て埋められる。 でもそれを受け止めて、貯めておかない君のせい。 そうやって友達とお別れした。 でも彼女以外のそのコップに注ぎすぎる僕も また底のない心を持っているのだろう。