ふぇるまーた

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ふぇるまーた

夏派。 まだまだ学生。アニメがすき。 ”この時間が長く続いてほしい“という意味から。

せーしゅん集め③

4月1日、エイプリル・フール。 悪戯や嘘をついてもいい日らしい。 「つーばきっ!」 夏紀がニコニコしながらこちらへやってきた。 なにかいいことでもあったのだろう。 「今日嘘ついた?」 「え?あぁ…エイプリル・フールだからか」 「ついてないならさ、いっそ1人づつついておこうよ。  どうせ今日しかついちゃダメなんだしー」 夏紀は屈託なく笑いながら、提案してきた。 まぁ私もついてないから…と承諾する。 「じゃあ私からねー。  ズバリ、今日私は朝ごはんを食べていません!」 夏紀はふふんとドヤ顔をしながら言ってきた。 「うわぁバレなさそう笑」 「でしょでしょー!それっぽい嘘ついた!  じゃー次椿ね〜」 次は私の番。どうしよう。 もう余命のことを言ってしまっていいだろうか。 それとも、もっと大事な時に言った方がいいのだろうか。 でも、こういう時に言ってしまった方があとが楽。 そして最悪の場合嘘だと流すことができる。 「…実は私、余命3ヶ月なんだよね」 …い、言ってしまったあああああああ。 でも本当のことだししょうがない。 言ったって未来は変わらないしね。 「え?そんな、え?  嘘だよね椿?流石に…ね笑」 混乱する気持ちもわかるよ夏紀。 でもね、本当のことなんだよ。 「…ねぇ夏紀。 エイプリル・フールはいつまでかって知ってる?」 「え?そりゃ…4月1日全部じゃないの?」 「…実はね、嘘をついていい時間って正午までなんだ」 「…てことはつまり……」 うん。今は1時過ぎ。もう時間は過ぎてるんだよ。 だから、あれはほんと。嘘じゃない。 「……ねぇ…椿…なんか言ってよ……。  私信じれないよ……」 夏紀が崩れ落ちて泣いているのが見える。 ごめんね。もっと大事な時に言った方がよかったよね。 こんな…変な感じで伝えない方がよかった。 「椿…なんで…!もっと前から言ってくれなかったの!  私…まだ心の準備できてないよ……」 「大丈夫だよ夏紀。まだあと2ヶ月くらいあるからさ」 「もう2ヶ月しかないんだよ!」 そうなるよね。うん。私も最初そんな感じだったよ確か。 怖かったよ。辛かったよ。苦しかったよ。 「…ごめん。ごめんね」 夏紀のそんな姿見てたら、私も泣いちゃうじゃん。 その日はずっと、泣いてしまったんだ。

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せーしゅん集め③

君を目指した

だいすきなあの子を目指してた。 私よりも、ずっとずっと先を行ってるけど。 レンアイもよくわからなくて。 自分自身のこともよくわかってなくて。 嫉妬と妬みと、ちょっぴり尊敬心。 あの子にどうしても追いつけなくて。 目から流した雫なんて。 全部夜に流れたんだ。 夜が隠してくれたんだ。 しょっちゅう転んで、どんどん距離が開いて。 私が転んで立ち上がるまでの時間。 あの子は止まらず先を行くの。 それがちょっとだけ悲しくて。 その代わり、追いつこうと頑張れるの。 追いつくだなんて、きっと一生無理だけど。 月を目指しているみたいだけど。 それでも、あの子になりたいんだ。 私にないものを全部持っているの。 悔しかったけれど。 妬ましかったけれど。 でも、あの子を目指したんだ。 いつか追いついてみせるから。 いつか、私が転んだら振り向くようにしてみせるから。 レンアイとかわからない私だけど。 あなただけにでも、追いついて抜かすから。

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君を目指した

儚色

それは、儚い色だった。 とーめいで、空色っぽくて。 でも、ほんのり虹色が入ったような。 それが私だった。 私の人生は儚色。 ふわふわしてるだけで、終わっちゃった。 いつ生まれたのかもわからない。 でも、いつの間にかふわふわ浮いていた。 そのままどこまでも行けちゃいそうで。 雲の上?お空の上? いや、もっと遠い宇宙とか。 ふわふわゆらゆら。 行く場所はなかったけど。 ふわふわゆらゆら。 いつまでも浮いていた。 でも、あるときパチンって。 消えちゃった。 あっけなく、終わっちゃったんだ。 私の人生は儚色。 パチって弾けて終わっちゃったけど。 どこまでも、淡くいれたんだ。

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儚色

せーしゅん集め②

2限目、歴史。 「1番眠たい時間に歴史か…」 とため息を漏らした。 シャーペンをくるくると回す。 私の中での授業時間を減らすため。 いわゆるサボりというやつか。 実際聞いたってなんにもなんないし。 将来歴史の先生になりたいなんてサラサラ思ってない。 人生の中で使うときなんかないよね。 ルーズリーフのはしっこに、「青春とは」って書いてさ。 その周りをしかくく囲って。 中にそれっぽいものを書いていく方が、よっぽど楽しかった。 真っ青な空を窓から見て。 「・青空の下で制服のまま水遊びをすること」 って付け足してた。 死ぬまでに1回くらいやりたいな。 頭の中がとーめいになっちゃって。 ほわほわって気持ちになっちゃって。 その後パチって弾けちゃうの。 「集中しろー椿ー」 先生に呼ばれちゃったね。 夏紀がくすくす笑ってるのが、目に見える。 そろそろせーしゅんから抜け出さなきゃね。

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せーしゅん集め②

せーしゅん集め①

赤くなった夕日が街を照らした。 そろそろ帰ろっかと、親友の夏紀と共に公園を後にするところだった。 「そういえばさぁ、大好きな漫画がアニメ化することになったんだよね」 「は?いや、まぁ…それはおめでとう」 夏紀は少々困惑しながらも、こくりと頷いた。 こういうところが優しくて好きだ。 きっと何の話かよくわかってないと思うけど。 「そんでそんで、推しの声優当てようと思ってめちゃ考えてさ。  そしたら見事どんぴしゃで当たってたんだよね」 「あんたそういうとこの勘鋭いよね」 ノリノリで話す私と呆れながらも返答する夏紀。 タイプ正反対っぽいけど仲良いのちょっと嬉しい。 「椿さぁ、歌い手とかは好きじゃないの?  最近流行ってんのは〈五つ葉〉?だっけ?」 「残念ながら、歌い手とかにはキョーミないんだよねぇ。  てか五つ葉ってあれ?男性五人グループだっけか?  キョーミないけどさ」 私がオタク気質っていうのを夏紀は嫌というほど知ってる。 ちょくちょくアニメ布教して一緒に語ってる。 いつかはあの漫画を布教して語ろうと、勝手に計画立ててんだ。 自転車をキコキコ漕ぎながら、人のいないコンビニを通り過ぎる。 地面はすっかり影が伸び、ぼやけていた。 「ねー椿。帰りにアイス食べん?」 「いーじゃんそれ!採用する」 あはは、と笑って、自転車の向きを変えた。 スクールバックにはお揃いのペンギンのキーホルダーが付いていた。 それは、風に揺られてふわふわと踊っていた。 2人の後ろ姿は、淡く脆く、消えてしまいそうだった。

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せーしゅん集め①

君と、夏。

君がいない夏なんて、つまらない。 なんだか息がしづらいんだ。 買って飲んだサイダーも、どこか物足りなかったんだ。 どうしても、笑うことができなかったんだ。 君がいる夏が、楽しかった。 空がいつもより青かったんだ。 夏に、溶けていきそうだった。 心の底から、笑うことができたんだ。 いなくならないで。 置いていかないでね。 どうしても、背中が掴めなくて。 1歩先を進んで行ってるの。 夏を上手く扱えないの。 人よりほんのちょっとだけ、不器用だから。 君といる方が、楽しいんだ。 夏を精一杯、感じられるから。

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君と、夏。

せーしゅん集め

ぼんやりと、病院の前に立っていた。 「余命3ヶ月です」 と、医者から言われたことだけ覚えてる。 その他はなんにも覚えてない。 それだけ衝撃的だったんだろう。 「……余命、3ヶ月か……」 1度、口に出して言ってみるが、実感が驚くほど湧かない。 今を生きているからだろう。 「そっか、もう3ヶ月しか生きれないんだ」 そう思うと、涙が溢れてきた。 やりたいこと、ちっともできてないのに。 「…余生を思いっきり楽しもうかな」 涙をぐいっと拭いて、言ってみた。 もう3ヶ月しか生きれない。 でも、そんなこと関係ない。 今を、残りの人生を、思いっきり楽しんでやるんだ、と。 やりたいことを、全部やってやるんだ、と。 そう心に誓った。 椿のせーしゅん集めは、ここから始まる。 ____ ふぇるまーたです。 初の連載ですが、なんとかやっていこうと思います。

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せーしゅん集め

ぱれっと

ある日の授業。 ぼけっと窓の外を見ながら。 窓際の席ってサボれちゃうから快適だなとか思ってた。 こんなこと思ってるから成績あがんないんだけどさ。 黒板に書いてあることをノートに写すこともしないまま。 こっそり手紙をまわしたり。 先生の口癖ビンゴしたり。 でっかい練り消し作ったり。 これが俗にいうアオハルとかかなって。 みんなで語り合ったり。 屋上でTikTok撮ったりさ。 そんなことを、窓の外を見ながら考えてた。 空は真っ青でさ。 深い青の絵の具を塗ったみたいだったよ。

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ぱれっと

ある日。

夕方五時過ぎ。 カラスがカーカー鳴いていた。 山の奥が真っ赤に燃えて。 影も伸びているある夏の日。 空になったラムネ瓶も、真っ赤になってたんだ。 もう1日の終わりに近づいてる。 真っ黒なスクールバックを振りながら家路を歩く。 ふと、ラムネ瓶を見た。 全部きれいに飲み干しちゃって、中身はもうないけど。 除くと向こう側が見えるんだ。 未来が見えそうで、ちょっとおもしろかった。 瓶を持ち上げて、空に透かしてみたの。 山の奥の真っ赤な夕陽が透けて見えてね。 1日の終わりを模った感じがした。 今日もありがとう。世界。

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ある日。

夏秋日

屋上の扉を大きく開けて、思いっきり秋風を吸い込んだ。 夏が終わり、秋が来た合図だ。 ふわってスカートをなびかせた。 フェンスに座ってサイダーごくごく。 体を揺らしたら落ちちゃうね。 学校での最後の思い出。 ありがとうってみんなに伝えなきゃ。 さよならって世界に言わなきゃな。 スマホのメモ欄に文字をぽちぽち。 「ありがとう。そしてさよなら」 フェンスの下にスマホを置いて。 ぐらって体を風に委ねて。 世界がぐるぐる回ってる。 空が真っ赤なのがよくわかる。 またね、世界。 ぐしゃっと鈍い音がして、地面が真っ赤に染められた。

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夏秋日