ツバメ

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ツバメ

文書にあまり自信がありませんが、短編くらいならかけます 更新頻度は、遅いですが上手く機能つかえず、ごめんなさいm(._.)m

華 氷

宛先のはない手紙を書くのは、何度目だろうか、だれかに届くハズのはない。それはただ文字の羅列なのだから。 それでも、いつか誰かが読むかもしれない。 と淡い期待を抱いて、文字の羅列を、書き記す。 私が目が覚めたのは、世界が砂漠化いや、廃墟となった世界だった。 砂漠化、いや廃墟とは見た通りの事を思うしかないのだ。 首に繋がれた鎖は、錆び付いて触れてしまったらボロボロと崩れ落ちそうになるだろう まさに、少し首を動かしただけで首の鎖はボロボロと、音を立てて崩れた。 辺りを見渡すと、廃墟と砂。古い文明が取り残されていた。 工具らしきものもいくつか残っていた。 立ち上がると僅かに体の痛みを感じた。右の脇腹が、破損している。 中身は少し出ている。私は冷静にそれらを中に押し込んだ。 多少の痛みはインプットされているようだ。 インプット…………私はだれかに作られてだれかに破棄されたただの人形にしか過ぎないのだ。 そう、理解したのは、自分の中にある臓器らしきもの、カラクリ人形のような緻密な機械の内蔵らしきものを手で押し込んだ時に理解した。 押し込んだ時に、赤いものが多少手に着いてしまったが気にしない。私はそう作られているのだろう。作った人はもういないから、そう思うしかない。 私は丸裸の状態で、廃墟の中にいる事を理解した。身を隠す布を探した。 あまり綺麗とは言えない布を身にまとった。 改めて、周りを見渡すと、人間の気配すらない。動物らしきものの、気配もない。 とりあえず、この廃墟を抜け出してみるか。と思ったが、やはり右脇腹が、気になるため簡単に修理することにした。 修理の仕方は、何となく分かっていたから適当な工具などで処置した。 多少の不具合は、割愛だ。 廃墟の中は、ひんやりとしている場所と日が当たり熱い場所がある。 私は、ひんやりする場所を選んで、足元を確認しながら歩いた。 実験室?のような場所についた。 誰もいない、いや正確には…カルシウムになり転がっていたのが、何体かあった。 人間というのは、死ぬとカルシウムになり、体内からガスを発生させやがて腐る。と誰かが教えてくれた記憶がある。 その誰かは、何故かモヤがかかっていて分からない… 周りを見渡す。1つだけ、起動しているカプセルがあった。中には私と似たものが眠っていた。 私自身、自分を見たことがないから分からないが、多分同じだろう。 カプセルのボタンを押すと、中に入っていた水が溢れ出てきた。周りは水だらけだ。 それは、静かに目を開けて『おはよう』と初めて声を出した。 おはようとはなにか、私は自分の中にある、データを検索した。 私の頭のデータカタカタと音を鳴らしながら、目の前にいる、者の言葉を理解し、意味を教えてくれた。 『あいさつ』か。そう理解した。 目の前のは、なにも身につけてはいない。 赤ん坊のようだ。…………ふと、なぜ自分が赤ん坊のようだと思ったのだ?首を傾げる私に、彼??目の前のものは問う。 『君は、よく似た人だね。』 そういい、私と同じように、体に布を纏った。 よくにたひと? それはなんだろう??頭の中のデータを検索しても分からなかった。 目の前ものは、誰なんだ??目の前のものは、何かを探っていた。カルシウムの周りを。 私の視線に、気づいたのか 『僕は、君と同じようなものだよ。ただ、………時間が決められているものだよ』 と答えてくれた。 時間が決められている??訳が分からない。 私の中で時間は無限だと思っていた。 目の前のは、私の胸に指を突き立てて言った 『君と僕は似たようなもの。ただ目的を果たしたら僕らは静かに眠るんだ。』 冷静に淡々と話す目の前のは言う。 理解が追いつかないままだった。 目的?それは何? 訳の分からないまま、手をひかれた。 『ここを出よう。目的を果たすんだ』 そう言って言われるがまま、手を引かれた。冷たい指先だと思った。 地上に出た頃には、空は暗く、星と月しか無かった。 世界は廃墟と砂しかないのに、月と星は静かに空にある。 目の前のは、私の手を離したあとに言った。 『名前をつけよう』と。わたしには名前が必要ないと思っていた。 『001』や。『それ』しか呼ばれてない記憶があったから。 黙る私に、目の前のは、こういった 『芙蓉』とつけた。 芙蓉??それはなんだ??首を傾げると花の名前だよ。と教えてくれた。 私の名前は、『001』でもなく、『それ』ではくなった。 つづけて目の前のは、言った 『芙蓉。僕の名前をつけてくれ。名前が欲しいんだ』と言われた。 名前?なんか、何が必要なんだ??それとかでいいだろと思ったが、それなら、私もそれ。と呼ばれる。 名前をくれたのだから、私もつけなきゃならない気がした しばらく考えてから 『ナギサ』はどうか?と、聞いてみた。 ナギサ…と呟いたあと、『芙蓉』と、呼ばれた時々どこか熱かった。 どこが熱かったかは、後に知ることになる わたしとナギサは、廃墟の街をひたすら歩いた。 あいにくお腹が空くなどはないが時々休むことも挟みつつ、歩き続けた。 幾月歩いたか分からないが、ナギサは時々人間の話をしてくれた。 文明を上手く使い、たくさんの物を発明したこと。世界が豊かなったこと。 たくさん傷ついた世界もあったこと。 まるで、人間の生活したことがあるような言い方が、少し気になった。 幾年、幾月、私たちは歩き続けた。 目的というのが分からなかったが、寂しくはなかった。一人でこの世界にいるわけでないと思えたから。 私の心はいつしか、1人ではない。と知った 。 いつしか、私はナギサを大切と感じた。 いつまでも、繰り返しナギサといる世界を想像した。 ある日の夕立にあった日、私の中の何かが壊れ始めたのを感じた。 急な目眩や焦燥感に襲われた。 何かが私の中にあって、早く早くと責め立てられる衝動に襲われた。 ナギサはそんな私の様子を見て、あとすこしだから、あとすこしだからと、私を抱きしめながら呟いた。 ナギサの鼓動も何かに急き立てられるようなに、早かったのを感じた。 どこか懐かしい夢を見た。 誰かと海を眺めていた。陽の光を浴びて水面がキラキラ光るのを見ていた。 さざ波の音や潮風、微かに感じる太陽の温度。 全てが、美しく輝いていた。 ハッと目を覚ますと、静かに寝息を立てているナギサがいた。 私とナギサの胸の音を聞いた。微かに動いているが、どこかリズムが途切れている音が 聞こえた。 私は自分の胸に手を立てて音を聞いた。同じ様リズムが途切れている音が聞こえた。 私たちの音は、あと少しで途切れる。 何日か歩いた日、私は、ナギサに聞いた。私たちの音が途切れる事。目的は海へ行くこと。ではないか。と ナギサは困ったように笑い、『僕と芙蓉は元々人間だった。だけど、人の命の時間はあっという間。だから僕は考えた。君のベースである記憶と肉体を機械に移す事で、長く生きていけるようにした。だけど、君は暴走し、この世界を廃墟にした。そして、僕は君への償いとして、人体改造し、新たなものとして、君を待っていた。もともと、生命の時間がなかったのを無理やりに……』 全ては私が起こした世界の果てであることだったんだと、遅くなりながらも理解した。 彼も、私への償いとして同じ時間を生きるとしたが、彼の生命の時間が残り少なかった。 『なんて。不器用な人……あなたの命の時間が短くなっているのに、なぜ私を長くいきさせようとしたの??そんなの、………』 言葉にならない声が止まらなかった。 お互いの時間が残り少ないことは分かっていた だけど、彼の不器用な表現が悲しかった 私たちは、目的の地まであるきつづけた。 彼の不器用な愛情と 離れることの無い時間だけをすごしただけ を持って。 海についた頃には、私たちの残り時間は残り……僅かであることを知っていた。 彼の胸さに頭を付けて残りわずかを過ごした。 残り少ない僅かな時間の中で砂に書いた届くはずのない手紙を書いた。 届くはずないと知っているが、彼への不器用な愛情を。 砂に書いた文字と彼が眠っている間に書いた拙い文字の羅列した手紙を瓶の中に忍ばせて海へ流した。 いつか誰かが読むかもしれないと思ったから。 私たちは眠るように、静かに生命の終わる音を聞いた。 世界がまた、美しい世界を取り戻した日海に来た。砂浜に便が打ち上がっているのを見つけた。誰かが書いた文字はとこどころ滲んでいたが、『愛してくれてありがとう』 の文字をみた時、私は涙がこぼれた。 いつか誰かが流した手紙を、何十年何百年かけて流れ着いた誰かの手に届いた時、ふと長い時に刻まれた記憶が見えた。 刻まれた記憶は、いつか受け継いでいると思えた。 近くで夫と、子供がはしゃいでいる。 あなたの手紙は届きました。 いつかのあなたへ。ありがとう。

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華 氷

月とであう

雲ひとつない夜の間だけの出来事。 空に浮かぶ月は白く、黄色味かかっていたうっすらと発光していて、その地上を歩く僕と彼女をてらしている 『いい月の夜だね』と彼女は、遥か頭上にぼんやりと浮かぶ、まるで空に卵を落としたような月を眺めて笑う 僕はそうだね。とだけいいただ彼女が言っていた空に卵を落としたような月を見上げた 不意に視線を横へずらすと、まるでこれからあてのない冒険へ行かんとする、彼女の横顔を見つめていた 僕らはこれから朝が来る時間までの短い散歩をする それは、静かにひっそりと世界が眠りについた頃を見計らって散歩をする 僕と彼女だけを取り残して、おやすみ世界と言わんばかりに静けさと、時々塀の上を優雅に歩く猫 しかいない 『ねぇ、二人しかいない世界はどんな世界なんだろうね?』 ある日彼女が僕に問いかけてきた質問を思い出した どんな世界なんだろうか?想像がつかないよとあの時は、そう答えるしか無かった きっと、見るものが灰色かかった世界なんだよ……と冷たい答えだ 僕と彼女が出会う前は、酷く日常やら、僕のいる世界が、やたら煩わしく辟易としていた ある日突然、煩わしく思えて仕方なかった日常から、僕は逃げた 友人からも、父親からも、学校からも 目や耳にすることからとにかく逃げたかったんだ そして、僕は逃げた 僕を知らない場所へ、携帯は持たずカバンの中には財布とハンカチ、何故か消毒セットを持って、父が眠りについた時間に静かに僕を消し去るように、家を出た 父のことは嫌いではなかった。 幼い頃、出ていった母の代わりに今まで育ててくれたからだ。 父はわりと、寡黙であり無口だ。 1度だけ、父に対して酷いことを言ったことがあった あの日、授業参観の課題で作文を発表することがあった 僕の、周りは母親のことを書いていた。 僕には、書けなかった、母がいなかったからだ。 その事について、帰ったあと父に問い詰められた時に咄嗟に『母さんがいないのに書けるわけないよ!』 その言葉を口にした時、僕は酷く自分を呪った そして、父はただ、黙って『母さんのことは悪いと思っているよ…』 と悲しげな表情をし、俯いた父の姿を見た時、僕は、自分のことは後回しにして僕のことを大事にしてくれていた父の事を傷つけてしまった事が恐ろしくなり、その日自分から家を出ていった。 3日ほど家に帰らず、途方に暮れたあと補導された。 呆気なく僕の家出は終わった。 迎えにきた父の姿は 何日も眠らず、僕のことを待っていたことを物語っていたのは、今でも忘れられない。 それからの、僕は父に迷惑をかけまいと必死に勉強やバイトを頑張り父を助けるように務めた。 そんな父が、倒れたのは、高校のときだった。 夕飯中、胸を抑え床に倒れ込んだ父の様子がおかしくて、近所のおばさんに助けを求めた。焦って事情を喋るおばさんは、僕が冗談を言っているんだと思っていたのかもしれないが、たまたまいたおばさんの、息子さん…僕より5つ上の人がただ事ではないと感じたようで、直ぐに119してくれて、救命処置を施してくれたが おばさんと戻った時には父は冷たくなっていた。 心筋梗塞だったとあとで聞かされた。 その時は、まだ父は生きているかもしれないと、寝かされているベッドに寄り父を呼んでも帰ってくる声はなく。冷たくなった左手から、指輪がコロコロと落ちていくだけだった。 その後の事は、父の親戚やらが手配し全てをやってくれた。僕は、父の指から落ちた指輪を指先で転がしながら、遺影の傍から離れずにいた。 火葬や通夜が滞りなく終わったあと、父の姉に当たるおばが、母が焼香を上げに来たと話してくれた。すぐに追い返したと、言い今後についてどうするか相談されたが、引き取られるのが嫌だった訳ではなく、1人になりたかったから、1人で暮らします。と言い、親戚に頭を下げ今現在の平屋に住んでいる。 父との思い出があるからだが、どこにも居場所などないような気がして、ただこの家にしがみついているだけなんだと、いい気聞かせた。 学校も辞め、今はバイトと父が残してくれた遺産で暮らしている 父の周年期から、ほどなくして僕は彼女に出会い、幾年か暮らした。 見知らぬ女性と暮らすのは、非常に気を使うことになるとは思わなかった 今思えば、彼女は不思議な女性だった。 彼女が僕のうちに来たのは、叔母の紹介だった 晩年一緒に暮らしていたおばあさんが亡くなったためと家の老朽化により、暮らしていた家は取り壊すことにはなり行き場ないらしい。おばのところはどうなんだ?とおばに聞いたが、受験生がいるから、気を使うからと。まるで、やっかい祓いのような気がしたが、部屋はいくつか余っていたから、了承した。 僅かな荷物にお位牌と。女性にしては少ないような気がしたが、あまり聞かないようにした。 使っていない部屋に案内し、しばらく1人にした。 『居間にいるから』といい、部屋から出た。 僕は気の使い方が上手いとは言えないが、できるだけ1人にした。 30分ほどして、部屋から彼女が出てきた。 居間に座り差し出したコーヒーを飲み 彼女が、口にしてたのは、自分の名前だった 『いころ』。そう口にした彼女は、幼さを残した風貌であり、どこか冷たい目をしていた。ガラス玉のような目がこちらをみつめている。 『僕は、なぎっていいます。』そう答えると 興味が無さそうに、コーヒーを飲んでいた。 ここで暮らすにあたり、当番を決めようと思ったが、今今はなすことでは、なさそうだったから、暫くは、ぼくがやることにしようと思った。 いころとの生活は気を使うことが多かった。 洗濯や、お風呂の順番など…… はじめは僕の方が気を使う事ばかりでいころは、あまり気を使わないようだった。 流石にそれは、ダメだろ思い当番制について話してみた。 最初は、嫌そうでは、あったが少しづつ少しずつ なれてきたようで、今では食事の当番、洗濯などは、かわりばんこにやれるまでになった。 ただひとつだけ、いころからの提案があった。 夜中の散歩は、したい。と 最初は、わけがわからず理由を聞いても教えてはくれなかった。一人で行きなよ。とは言えず、わかったとはだけ、返事をした。 ただ……満月の日だけ限定と言われた時は首を傾げた。 初めての満月の夜、夜中の散歩に付き合った。 真夜中の散歩は、少し怖かったが、どこかいころは楽しそうにしていた。 夜が空ける時間までの、時間だけは僕たち2人しかない世界だった。 そんな不思議な生活が始まった2ヶ月 、いころは最初の頃より笑うようになった。 ぼくがバイトの時は、お弁当まで作ってくれるようになった。 満月の散歩の、お礼らしい。 僕も少しずついころとの生活に慣れ始めたころいころから、『あと少ししたら出ていくね』と聞かされたのは、台風が近づいている9月だった。 『なんで?ここにいたらいいよ。』 と僕は言ったが、いころの表情は固く、首を横に振るう。 『個展がね、あるの。今まではおばあちゃんの事があって。作業が止まったままなのもう、動き出さないとって、言われたの』 時々どこかへ出かける様子はあったが、個展を開くまでの人だとは、知らなかった 僕は何も答えられず、ただいころの話を聞いていただけだった 話を聞いてからの僕らは、ぎこちない、当たり障りない生活を送った。 満月の夜の散歩もすることもなく、ただ、ただ、お互いの距離感遠く感じた。 秋の匂いが冬へかわる頃、いころは家へ帰ってくる頻度が減った。 僕がいない時間に帰ってきているようだった。 会話も顔を付き合わせることもなく。お互いが他人のように、いや、もう他人同士に近かった気がする。 満月が近いな…と、ふと空を見上げた。 散歩しなくなってから数ヶ月 いころから、話があるといい、居間へ行くとコタツに入っているいころの背中は、いくぶん痩せた様だった。 『5日後には行くね。』と話しかけられ、頷くしかできなかった僕は、すぐ居間を出た。残り5日間は、お互いに顔を付き合わせ食事した、コタツでまったりとした、会話はなかったが、それでもいいと思った。 そして、いころが旅立つ二日前が満月で、青白く朧気な発光を空へ広げていた。 『いころ、満月の夜の散歩に行こうか』僕から誘った。 いころは驚いた様子だったが、寒くないようにしなきゃね。と言いコートとマフラーを取りに部屋行った。 僕は、コートとマフラーをつけ父から譲り受けた指輪をチェーンに通して、ポケットに忍ばせいころの準備を待った。 準備が出来た頃には、満月は、穏やかな色へ変わりつつあった。 僕たちは、ゆっくり、ゆっくり話した。自分のこと。母を憎んだこと。家出したことなどを。 いころは、美術へ進むきっかけが亡きおばあちゃんであったこと。今まで沢山苦労かけたことや、賞を取れたこと、この先のことを話してくれた。 僕たちは、冷たい指先を絡めながら朝が来るまで歩いた。 もう、この生活は終わりだと告げるように 『なぎ、ありがとうね。たくさんありがとう。』目に涙を溜めたいころの目は朝の空気に触れてキラキラと輝いていた。 僕は、『こちらこそありがとう』 といい、冷たくなった手のひらに父からの指輪をチェーンにつけたまま、渡した。 いつか、また会えたら返しに来て。とだけ言った。 重たいかもしれないと考えたが、僕らがいつか再会するまでの間だけの代物だ いころは、首を横に振るう。『必ず再会するよ』といい、自分の指輪を僕に渡してきた。 僕らはいつか再会するかもしれない、再会出来ないかもしれない。それは、分からないがお互いにほんの少しだけ暮らした同居人の旅立ちに別れの言葉を言わずに、朝日が昇る瞬間を二人で眺めた。 イコロが旅立ったあとは、広くなった家で相変わらず暮らしている。変わったことは、バイトから正社員になれたこと。 毎日慌ただしいが、暮らしている。 母との確執はもう、いいとさえ思えた。1度だけ会ったが、母らしい人と、割り切り互いに別々に暮らしているとだけ報告し、何の感情がなかった訳では無いが、ただ悲しい帰路に着いた。 いころから、帰国すると連絡が来た。また一緒に暮らそうと手紙には書いてあった。 また、満月の夜の散歩をしたいと書いてあったのを見て、涙をこらえ、すぐに会えるからとだけ。返信した。 不思議な縁で。不思議な生活だったのが、もうすぐ2人暮らしになると父と、いころの祖母に伝えた。 月にであうのは、美しく遠く、そこにあるのだと思った。

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月とであう