ことにゃ

2 件の小説

ことにゃ

よろしくお願いします。

今日の私

昨日はショッピングで服やら靴やら爆買いしたから 今日は家にあるもので飢えをしのぐ 明日は仕事休みだと思ったら嬉しくて、夜更かししちゃって 4時なんかに寝ちゃったから 14時に起きて冷蔵庫にあった卵豆腐や大判焼きや煎餅を食べて家族の帰りを待つ 思えば不登校だった小学6年生の頃はこんな日が多かった 慣れてきた罪悪感と共に家にある食べ物で空腹と戦い 少しでも親の機嫌を取ろうと 洗濯物を干したり、洗い物をしたりして 家を綺麗にする それがあの頃の私のルーティンだった ヒルナンデスやミヤネ屋が楽しみで 同級生は今頃給食か、なんて考えながら 皆は私のことどう思ってるのかな、なんて考えながら 時間を過ごす 今思えば悪くない過ごし方だったなと 不登校だった1年間を振り返る なんだかんだそれを許してくれた母にも 川の石を拾いに行こうと提案してくれた父にも 感謝している あの頃の私は自分の人生に希望が持てずに 来年は中学校だしで絶望していた 今も悩むことはあるけれど ちゃんと働いている 10年後も生きている ありがとね ってあの頃と同じ部屋の中で同じ私が感傷に浸る 今日この頃。

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雨の記録

雨に打たれ、土埃の被った白いベンチに座り込んだ若者はひたすらに文字を打ち込む。 まるで小説の主人公でもあるかのように、悲劇のヒロインぶっている。 車を祖父の家に停めて普段なら家に真っ直ぐ帰るところ、自転車とともにフラッとどこかへ行ってしまった。 帰りたくなかった。 気持ちがどんよりと雨雲のように沈んでいる。 自分が迷惑をかけている。 自分のせいで他の人の時間を費やしてしまっている。 ただひたすらにそのことが申し訳なくて、いたたまれない。 1年頑張ったはずなのに、ここで終わるのか。 フラフラとあてもなく自転車を漕いでいると小さな神社を見つけた。鉄棒は錆びれているし、斜めになっているから使えそうもない。そう思っていると狛犬に綺麗な白の前垂れがかかっているのを見つけた。近所の誰かが手入れしているのだろうか。 鳥居の前に自転車を停めて、スマホだけ片手にベンチに座った。誰かが用意してくれた白いベンチに背を預け、ただひたすらに自分の気が済むまでボーッとしていた。 左瞼がポツンと冷たくなったかと思えば、降り出してきた。すぐに止むのだろうか、重い手を動かして確認した。 「今後1時間は雨が続くでしょう。」 なんでこんな日に限って雨なんだと天を少し恨んだ。と同時に、私の心を表しているようだとありきたりな想像をした。 神社のベンチで雨に打たれながら文字を打ち込んでいる若者は、人目を気にしている。 神社の隣の家から人が出てきたから、変な目で見られないか、奇妙な人間だと思われないかを怖がっている。 どうしようもない、愚かな人間である。 帰らなければならない。どうしたらいいものか。このままここでいても雨に打たれた奇妙な人間のままだ。人が怖い。 物音が聞こえる。私の心を急かす。帰るしかないのか。そうだ、場所を変えようか。 自転車に乗ろうとしたとき、目が合ってしまった。 しばらくお互いの様子をうかがったあとに声をかけられた。 「こんにちは」 「こんにちは」 と挨拶をしたところ、 「お参りで」 と聞かれたので、 「いえ、ちょっと考え事を」 と言うと、 「ああ、まあ色々あるわな」 と返答。 見知らぬ初老男性と会話をした。 こんなことは初めてだと思う。 「勉強で」 「いえ、仕事で」 「ああ、まあ色々あるわな」 雨の話もした気がするけど覚えていない。 表情は優しかった。 またいつでも来なよと言うかのように。 なんだか泣きそうになったから堪えるのに必死であんまり覚えていない。お参りしなよと言われた気がするけど、そのまま帰ってしまった。気を悪くしてないだろうか。 この文章は別の神社で打っている。 また人が来た。ゴロゴロと荷車を運んでいる。 涙目になりながら自転車でここまでたどり着いた。 一度私は自転車でフラッと散歩がてら、ここに来たことがある。地元では馴染みの神社だ。 祭りもしたことがあったかな。 もういいか、帰ろうか。 見知らぬ男性と会話をして、なんのことか事情もほとんど分かっていないだろうが、穏やかな表情で私と会話をしてくれた。それだけでもう今日は良いかな。 帰ろう。母がライブに行きたいと言っていたからその話でもしようか。 先のことを考えたら本当に嫌になるし、仕事なんて本当に行きたくないけど、とりあえず今日を、残された今日をなんとか居心地の良いものにしたい。 先程は全く足に力が入らずフラフラと遠くに逃げたいと思いながらこいでいたのに、今は自転車をこぐ足に力が入る。 煙の匂いがする。どこか安心する匂いだ。 これを書きたくて私は一度自転車を停めて書き留めている。 その瞬間、空が綺麗なことに気づく。 重たい雨雲と沈みつつあるオレンジ色の太陽。オレンジが上の雲に反射して、グラデーションになっている。とても綺麗だと思う。山と雲と木々と電灯と。 虫の鳴き声が聞こえ始めた。6月だから、なんだろう。虫のことは全くわからない。 カエルの鳴き声も聞こえてきて、少し遠くの橋をライトをつけた車が走っている。それさえもなんだか風情がある。 そんなんでいいのかな、人生って。 ただこれで終わりじゃないんだよな。 明日も続いていくんだ。 それがどうしようもなく嫌で、窮屈で、退屈で、命を投げ打ってしまおうかと思うほど残酷で、最悪で。 ただこの調子だと私は明日も生きる。 生きてとりあえず仕事が休みの日までなんとか凌ぐんだろう。 明日本当は休みだったんだけどね。急遽仕事だよ。そんな世の中で、私はどう生きようか。 分からないけど、本当に分からないけど、命を投げ打つ覚悟も勇気もないから、生きていくしかないんだろうな。 そろそろ帰りたいけど、このまま文字を打っていたい。 お母さんとライブのこと話さなきゃ。 帰らないと。もう19時41分だ。 せっかく早出で30分早く帰れたのに、いつもと変わらないや。 でも後悔はしていない。この時間を。見知らぬ初老男性と話した時間を。 車通りが多くなってきた。そろそろ帰ろう。 奇妙な目で見られるから。

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