どこかのだれか
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鳥籠に華燭
第一章 −純愛− ゆらゆらと揺れる影を連れて地下に行く。 ひんやりと生温い空気をしたそこにいるのは、、、 「ねぇ… 待った?」 色素の薄い白い肌と髪、吸い込まれそうなくらいに綺麗な金色の瞳の持ち主はゆっくりと首を左右に振り否定し、こちらに腕を伸ばした。 彼はずっとここにいる。 私もずっとここにいる。 私の人生は突然始まった。 まるで真っ白な画用紙に描かれた絵みたいに、ぽっと生まれた。 1人だった。寂しくて孤独でどうして生まれちゃったのかすら分からないまま数週間が経った頃に彼に出逢った。 彼も私と同じだった。 何故か分からないけれど私は彼に惹かれたし彼も私と同じだった。 “惹かれた”と言うより“依存した”に近い気もする。 私達は同じに見えて真反対でもあった。 彼は真っ白な服に真っ白な髪と美しい瞳を持っていたけれど私は逆。 真っ黒な服と真っ黒な髪そして、それは血を連想させるほどに深い緋の瞳。 同じなのは境遇だけ。 それだけだったけれどそれだけで良かった。 彼は私の黒い髪も緋い瞳も全て好きだと言ってくれた。 私も彼の全てが好き。 私は此方へ伸びてきた彼の腕を受け入れた。 「なぁに?」私は訊ねる。 「嘘ついた。待ちくたびれてた」 耳元で擽る柔い髪の毛と私より低いのに甘い声が誘う。 「ごめんね。少しお話してた」 「教えて」 「もう大丈夫」 ふ〜ん。と少し拗ねたような声がしたけど気にしなかった。 本当にもう大丈夫だからだ。 私は時々神様の声を聴く。 神様の世界ではお母さんとお父さんの間から子供が生まれて進化するらしい。 私には上手く想像できなかった。 子供がどういうもののことを言うのかもお母さんもお父さんもよく分からなかったけど、それは私達に足りない物なのは何故か分かった。 生まれたのはこの地下でここ以外を知らない。 上手く言えないけど、神様の世界の人達はちゃんと埋まっていて空白がないんだなって思った。 私達には空白しかない。 少し羨ましいなと思った。 けれど神様は違ったみたい。 神様は「此方の者は皆、矛盾だの本音と建前だの嘘、真実だのと色んなものが入り交じっていて疑心暗鬼に生きている。しかも自分と相手との違いが受け入れられなければ平気で地獄へ落とそうとする。それがとても醜く愚かに見えてならないんだよ。」と云った。 それは少し嫌かもしれないと思いながらそれでも空っぽなこの身体に埋まるものがあるなら欲しいと思ってしまう。 やはり自分が持ち合わせていないものが欲しくなってしまうのは神様も私も同じなのかも知れない。 さっきまでの神様との会話を思い出していたら彼が耳を噛んだ。 「ぃッッ!!!??なに?」と問えば、 「今、絶対上の空だった…」と少し怒った彼が云う。 「何考えてたの?」と眉間に皺を寄せて云うから私は素直に答えた。 「白紙に生まれて良かったなって考えてた」そう云うと彼は意味が分からないとでも言いたげに此方を見るから私は耐えられず軽い接吻をした。 「好きだよ」そう言うと彼もどうでも良くなったのか先程私からしたのより熱いお返しをした。 2人の様子を見ていた神様は満足そうに微笑んで云った。 「愛に濁りを与えてはその先に待つは破滅のみ。真の純愛とはこの純白の紙の上に在る。但し薄いのは確か。例えば… と、神様は黒い絵の具を手に取った。 「この黒の中から赤を探し出せるのは人間にしか成せぬ。」 −あとがき− 初めまして。どこかのだれかです。 初めてこんな長く書きました。 感想は単刀直入に言うと、難しかったです笑 第一章のテーマ(?)は純愛でした。 白髪の男の子と黒髪の女の子の描かれた1枚のスケッチブックの中と神様(その作者)とのお話でした。 お絵描きをしていて、いいなぁこんな世界と思ったことがあるのはあるあるだと思います。 僕もよく思います笑 隣の芝は青く見えるってやつです。具現化してないから少し違いますが笑 本作とは逸れますが、実は僕は同じ名前で歌い手のネット活動をしてまして。 元々、何かを表現することと、言葉が好きなのもあり歌を歌うことや、読書が主な趣味でもあり、他にもギターやブログ、お絵描きなど色んな表現の仕方をしてます。 表現するって楽しいですよね。 第2章がどんな形になり、どんな話になるのか1mmも想像出来ませんが、楽しみにしていてくれると幸いです。 少しでも興味を持って最後まで読んでくれた方、こんな拙い文章を読んでくださりありがとうございました。 良かったらフォローしてもらえると嬉しいです。 これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
人生安心したかった。
6:30,朝。 ある一定のテンポで鳴り響くアラームを目も開けないまま右手で止める。 1階からは賑やかな声が聞こえる。 他の住人はもう起きたらしい。 二度寝を諦めてため息と共に起き上がった。 フラフラとした足取りで台所に行けば、母が弁当を作っている。 それを視界の端に入れつつ冷蔵庫を開けてエナジードリンクを手にする。 そのままテレビのある居間に行けば小学校低学年の妹2人は元気に話している。 こんな朝早くに起きてもここまで元気だなんてこちらの生気まで奪われそうだと思いながらテレビに目をやるとニュースが流れている。次から次へと変わるトピックは様々。それを耳で聞き流しながら父は洗濯物を干している。 プシュッとさっき持ってきた缶を開けた。 それを3分の1くらい飲んでラップをして冷蔵庫にしまった。 8:00,学校 朝のHR。 先生が今日の日程と不審者情報を話して終わった。 その後、1限目から4限目まで適当に過ごしてお昼ご飯。 隣の席のたった1人の友達とご飯を食べながら雑談する。 5.6限も適当にすごしたら帰宅。 18:00夕飯 何が出たかなんて次の日には忘れているような食べ慣れた味を口にしながら提出物とかの情報を提供する。 何年も続けているような慣れたルーティンをこなしたら次は自分の時間ができる。 そしたら考えてみる。 今、自分がどこにいるのかを。 先の見通せないような真っ暗な人生の道を取り敢えず16年くらい歩いてみた。 進めば進むほど分からなくなってゆくばかりだった。 生きることってこんなにも難しい事だったんだと後悔した。 歩けば歩くほどどれだけ進めたのかどれだけ戻ったのか分からないし何時崖崩れに気づけるかも分からない。もしかしたら気づけずに落ちるかも。 もしかしたらもう落ちてるのかも。 なんとなくで歩いてみた10数年の人生で将来を選ぶなんて難しすぎる。 それなのに日が月が年が進むにつれて許されることは少なくなるし、沢山知ったはずなのに沢山経験したはずなのに昔より沢山のものを見失った気がする。 こんな手に未来なんてまだ託せないのに。 他の人と変わらず生きてきたはずなのに今の両手にあるものは数えられるくらいの小さなもので、この世が想像よりはるかに大きな存在で、自分が居ないような気がしたからある日腕を切ってみた。 少しチクッとした後血が出た。この世界に存在している証明をしている気がした。 今度は許せない人を想像した。 理不尽なことで怒鳴りつけてくる女教師達、不条理な御託で嬲るクラスの奴ら、分が悪くなったらすぐに逃げる大人たち。 関係ない人に八つ当たりするのはダメだと言い聞かせていた分溜まっていたものを全部自分へとぶちまけた。 気持ちよかった。 快楽に溺れて今度は自慰をした。 気持ちよかった。 インターネットで見つけた誰かの励ます言葉を集めた動画。 会ったことも話したことも無いのに何故か安心した。 取り敢えずひとりじゃない事を確かめたかった。誰かに愛されている確証が欲しかった。 そうしないと知らないうちにこの世界から自分が消えてしまう気がした。 それでも絶対の安心は得られなかった。 死にたくなった。
ケッペキショウ
キモチワルイ ミニクイ キタナイ キレイニシナキャ…… 我に返った。 ふと、視線を落とす。 ぼくの腕には無数の線ができた。 その線は少しずつ朱い線になった。 朱い液体が線から溢れ出す。 仕舞いには白い腕を伝った。 息を吐いた。 “キレイニナッタネ“ 誰かがそう囁いた。 ぼくは傷口にガーゼをあてて包帯を巻いた。 ぼくの醜いモノは流れた。 安心したのかぼくはそのまま夢におちた。