独桐ゆら
3 件の小説あなたに甘えてただけだった
犬が「ワンッ」と鳴くように、 猫が「ニャー」と鳴くように、 あなたは「好きだよ」と言ってくれた。 最初の頃は嬉しかった。あなたはわたしにとって初めてできた特別な存在だったから。ただ、それは月日が経つにつれて薄れていった。それはそれが日常になってしまったからだと思う。それでも、あなたはわたしのことを好きでいてくれたのに… 「ごめんなさい…」 謝っても誰もいないことは分かっいる。それでも…それでも…考えるだけで苦しくなる。 言ってくれれば良かったのに。 悲しいこと。嫌なこと。病気のこと。全部。全部。 あなたはわたしに気をつかってくれていたんだね。そんなことも気づかなかった。わたしはあなたに甘えてた。これはそんなわたしに対する罰だと思う。大切な者は失ってから気づくとはまさに今のことなんだね。 でも、大丈夫。 今度はわたしがあなたに寄り添う番だから。
君はこれで自由だ
1月16日 彼女の夫とは今日死んだ。 そして、親友を失った日でもあった。彼女はいつも俺が別れたら別れると言って全然別れる気配がなかった。それどころか最近に至っては会うことすら少なくなっていた。 そんな時、親友からメールが来た。 久しぶり! 最近調子はどうだ? 俺の方は最近また嫁との仲が前より良くなったんだよ、そして妊娠もしたんだ。子どもは一人で十分だと思ってたけど子どもができると嬉しいもんだな。 それでなんだけど、俺はお前とは親友だと思ってる。でも、ネットの中だけで会ったのはまだ数回だけだから俺と子どもとお前と3人でキャンプ行かないか?子どもができたらいきないしな笑。自然の中で酒でも呑もうぜ 絶好のチャンスだと思った。 ただ、子どもだけはやれなった。それは子どもに罪はないからだ。そういう子どもを殺すほど僕も腐ってはいない。子どもがいない所でやったから。 「大丈夫だよ。今救急車が来るからね。お父さんは無事だよ。」 ようやく、君の邪魔はいなくなったよ。妻との関係も来年には終わらせるからね。終わったらこの子とお腹のこと一緒に、僕のこどもと暮らそうね。
私が重りを亡くしてあげたよ。
1月17日 彼の妻と子どもは今日死んだ。 それは、私のことが一番だと言ってくれたから…今の妻や子どもよりも。 不倫男がよく言うこと、 「今の妻よりも君のことが好きだよ。」 「来月には別れるから…ね?」 彼もよくそれを言っていた。それは、私たちもその関係だったから。夫も妻もいて子供だっている。それでも私たちは出会ってしまった。夫を持つ妻、妻を持つ夫、子どもたちを持つ親としてではなく女と男として。これは私たちが悪いわけではない、なぜなら子どもを持つ親になった私たちにこういう出会いをさせたこの世界が悪いのだから。 それでも、いつまでもこの世界のせいにして彼と私、男と女、何もなく仲良く友達として生きていくことは出来なかった。そして関係は深くなり取り返せなくなった。 なのに、彼はいつまでも離婚してくれなかった。でも、これでようやく結婚できる。 なぜなら今日彼の重りは私の目の前で亡くなったのだから。 あとは、昨日の朝から子どもと二泊三日でキャンプに行っている夫に明日離婚届のサインをしてもらうだけ。 私たちをまっててね。