私が重りを亡くしてあげたよ。

 1月17日  彼の妻と子どもは今日死んだ。  それは、私のことが一番だと言ってくれたから…今の妻や子どもよりも。  不倫男がよく言うこと、 「今の妻よりも君のことが好きだよ。」 「来月には別れるから…ね?」 彼もよくそれを言っていた。それは、私たちもその関係だったから。夫も妻もいて子供だっている。それでも私たちは出会ってしまった。夫を持つ妻、妻を持つ夫、子どもたちを持つ親としてではなく女と男として。これは私たちが悪いわけではない、なぜなら子どもを持つ親になった私たちにこういう出会いをさせたこの世界が悪いのだから。  それでも、いつまでもこの世界のせいにして彼と私、男と女、何もなく仲良く友達として生きていくことは出来なかった。そして関係は深くなり取り返せなくなった。  なのに、彼はいつまでも離婚してくれなかった。でも、これでようやく結婚できる。  なぜなら今日彼の重りは私の目の前で亡くなったのだから。
独桐ゆら
独桐ゆら
ころころ。