あなたに甘えてただけだった

 犬が「ワンッ」と鳴くように、  猫が「ニャー」と鳴くように、  あなたは「好きだよ」と言ってくれた。  最初の頃は嬉しかった。あなたはわたしにとって初めてできた特別な存在だったから。ただ、それは月日が経つにつれて薄れていった。それはそれが日常になってしまったからだと思う。それでも、あなたはわたしのことを好きでいてくれたのに… 「ごめんなさい…」  謝っても誰もいないことは分かっいる。それでも…それでも…考えるだけで苦しくなる。  言ってくれれば良かったのに。  悲しいこと。嫌なこと。病気のこと。全部。全部。  あなたはわたしに気をつかってくれていたんだね。そんなことも気づかなかった。わたしはあなたに甘えてた。これはそんなわたしに対する罰だと思う。大切な者は失ってから気づくとはまさに今のことなんだね。  でも、大丈夫。
独桐ゆら
独桐ゆら
ころころ。