なさとて

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なさとて

小説を書くのを始めたての初心者です。 皆さんのクオリティには到底及びませんが、小説を投稿していきたいと思います。 よろしくお願いします🤲

学校にいるとき、散歩してるとき、ご飯を食べてるとき、いつもあなたのことを考えてしまう。 あなたは他の人にも人気の人。 カッコよくて、気配りができて、コミュ力もあるし、勉強もできる。 だから、女子から告白されているのをもう二十一回ほど見たことがある。すごいな。 だが、OKの返事をしているのは見たことがない。 なぜかというと、彼はわたしが好きだから。 わたしに告白しようといつも機会をうかがって、こっちをチラチラ見てくるの、分かってるよ。 だからわたしは、今日も彼からの告白を待つのだ。 彼をこんなに知っているのは、わたしだけだから。いざその時がきたら、わたしは、笑って付き合ってあげるからね。 クラスの可愛い子に告白されて、顔を赤らめている彼を見つめながら、呟く。 「だから、わたし以外、だれのものにもならないんだよね」

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最終話

勢いよく自室のドアを閉める。そしてその勢いのまま、ベッドに転がる。 「はぁ〜〜〜…………」 深く深くため息をつく。まさか。まさか妹があんなに……。 過去の自分を、嫌いと思っていたなんて。 変わりたいって、思っていたなんて。 思わなかった。思えなかった。 私は、姉失格かもしれない。 そう思うと自然に涙が出た。 七年前の妹は、私は、姉妹はどこに行ったのだろう。 妹のあの笑顔を思い出す。中二病だ。 中二病だよ、あんなの。 スマホの音楽で目が覚める。スマホに手を伸ばし、そのアラームをゆっくり止める。 今は……七時? 朝が来た。昨日泣いたまま、そのまま眠りこけていたようだ。この時刻なら、もうお父さんも仕事に行っている頃か。 うわ、やばっ、と口に出し、ベッドから飛び上がる。 誰も昨日私に声をかけてくれなかった? お母さんも……お父さんも、 妹も? 「……!」 違う違う、と首を振る。あんなのは妹じゃ、野崎ゆめじゃない。 ゆめじゃない。 「……?」 夢じゃない? 階段を降りる。すると、いつものリビングの光景が見えた。 ただ一点を除いて、いつもだった。 「あ……。おはよう、お姉ちゃん。……お母さん、ゴミ出し行ってるから」 妹だ。前はこんなに早く起きて、降りてきて、朝ごはんなんて食べてなかったのに。 「あのね、お姉ちゃん、昨日はごめん」 席を立ち、私を見つめて言う。妹の顔には似つかわしくない、神妙な表情で。 その目の奥の表情が、私には見えない。 「急に変わりたいとか、こんな態度して、変だよね。なんか、怖いでしょ?」 へへ、という顔をする。 ふと思う。 もしかして、これは、妹が真に望んでいることなのではないか? 明るい表情をして、自然な振る舞いをして、普通に起きてきて。これが本当に妹が望んでいることなら、私が否定する権利は一切ない。 ゆめは、大丈夫であるのか? 元気なのか? もしかして、本当に笑っているの? 「でも、わたし変わるって決めたんだ。お姉ちゃんにも、お母さんにも、お父さんにも、もう迷惑かけないって」 鼓動が早まっていく。 「決めたの」 そうか。そうだったのか。 妹は、 「普通になりたいの?」 妹が、目を見開く。 そのとき、一瞬、前の妹が見えた気がした。 「普通になりたいの?焦ってるの?そんなに、無理して手に入れるものじゃないのに」 私は続ける。 「ゆめが学校行けなくなって、私とも話せなくなって、お母さんにもお父さんにも迷惑かけた。それが何? 私、迷惑なんて思ってないよ。前のゆめが大好きだったよ」 「……」 妹は黙って私を見つめている。ただ、黙っている。 「ゆめがね、勉強遅れていい学校に入れなくても、どれだけ周りに迷惑かけても、友達に悪口言われても、言っても。私は、ゆめがちゃんと考えて決めたことで、それが間違ってないって私も思ったなら、全力で応援するんだよ」 綺麗事かもしれない。ただの自己満足かもしれない。全然、届かないかもしれない。 でも。 「私ね、ゆめが大好きなの。ゆめが何してもね、ゆめである限り、ゆめが大大、大好きなんだよ」 私の目はもう涙で溢れていた。 私は妹を見、笑う。妹がどんな顔をしているかは、視界が歪んで見えない。 「……だって」 妹がポツリと言う。 「だって仕方ないでしょ‼︎」 声を張り上げる。 「子供の頃から、ずっと悪口言われてきて! ゆめはぶりっ子、キモい、ダサいとか。でも、中学に上がったら何か変わるって思ってた。信じてた。でもそんなこと、全然無くて。そんな、そんなことあったら、誰だって自分のこと嫌いになるでしょ⁉︎ 変わりたいって、思うでしょ⁉︎」 「変われてないよ‼︎」 私も妹に負けないように、言い返す。 まるで、初めての姉妹喧嘩みたいだ。 「ゆめはちっとも変われてない! 自分の気持ちずっと無視し続けてさぁ、笑顔にとか、明るくとか、気持ち悪くないようにとか、普通にとか、そんなのゆめにはいらない」 「……そんなことない」 「そんなことあるの! ねぇゆめ、ゆめは楽しい? 嬉しい? 苦しい? 辛い? 私はね、もうちっとも分かんなくなっちゃったから、教えてほしいの、ゆめの本当の気持ち。分かんなかったら、分かんないって言ってほしい。分かりたいの。そして、ゆめが嬉しいって思ってたら、その気持ちをちょっとだけでも多く、ゆめが苦しいって思ったら、ちょっとだけでも少なくしたいの。ねぇ、ゆめ?」 ゆめに話しかける。ゆめの目にも涙が浮かんでいるように見えた。泣き顔を見たのは、あの、スーパーボールを投げつけられた日以来かもしれない。 「私に迷惑かけたくないんだったら、私の気持ちちゃんと考えてよ。分かんなかったら、分かんないって言って。私の気持ち教えるから。私、ゆめが自分に嘘ついて、本当の気持ち押さえつけてるの見てる方がずっと苦しいの。だからね、ゆめ、何にも、空っぽな言葉かもしれないけどさ」 息を吸う。 「ゆめはゆめのままでいいんだよ。ダメだと思っても、そのままで、そのままでいいの」 妹のぽっちゃりした体を抱きしめる。 ゆめは、しばらく私と泣いた。時々私の名前を読んでくれた。二人とも、昔に戻ったみたいだった。 温かかった。 しばらく泣いて、泣き終えた後、妹が口を開いた。 「あのね、お姉ちゃん。私がさ、もう覚えてないかもだけど、急にスーパーボール投げつけた日あったじゃん」 当然、覚えている。 「あ、覚えてるよー! え、あの時、何であんなことしたの……?」 恐る恐る聞く。 「ふふ、あのね、なんかあの時ね、なんか、お姉ちゃんと思い通りに話せないのが、むしゃくしゃしたんだー」 驚く。 「あ、そうだったんだー……」 「うん……。本当に、今思えば下らない理由なんだけどねー」 妹は続ける。 「その時、私「あゆみのせいだ」って言ったでしょ?」 「え?」 あの時、聞き取れなかった言葉。そんなことを言っていたのか。 「なんか、私のことをもう誰のせいにしていいか分かんなくなっちゃって、お姉ちゃんに八つ当たりしちゃった。ごめん」 「ううん、いいよ」 ゆめに向けて笑う。 私の名前は、あゆみだ。 「私、ゆめがだーい好きだもん」 「ただいまー」 ハッと振り返る。お母さんだ。 「ふふ、喧嘩は終わった?」 お母さんは、もうとっくに帰ってきていたようだ。 照れ臭くて、涙を手で拭う。妹も同じ行動をした。 妹は、もう私の大好きな妹に戻っていた。 「泣いてるじゃないの。もう、朝ごはんは食べた?」 首を横に振る。時計を見れば、七時半になっていた。 「……うわっ、やば!」 驚く。妹も驚いていた。 「ほら、ちゃっちゃと朝ごはん食べちゃいなさい」 食卓に置かれたパンはもう冷めている。 お母さんの声を聞き、うん、と返す。二人で、急いで食卓に座る。 二人、顔を合わせる。笑う。 そして私達姉妹は、一緒に大口でパンをかじるのだった。

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二話

その日の妹は、おかしかった。 七年前とは違う、ぽっちゃりした体で、リビングに姿を現した。それはいつものことなのでいい。 妹は、笑顔をしていた。 いつもの、妹の笑顔では、明らかにないのに。そんな、明るい人みたいな笑顔をする子ではなかったのに。 妹は、まるでクラスの人気者のような表情と態度をして、お母さんと私を見据えた後に、 「お母さん、お姉ちゃん、おはよう」 と言った。 「……あら、今日は明るいね、ゆめ」 先に口を開いたのはお母さんだった。妹に向けて微笑んでいる。 「……!」 私は困惑する。 「うん…。あのね、わたし今まで迷惑かけてばっかりだったから、今日から変わろうって思ったの」 今までしたこともないような表情で話す妹は、ほんとうに、まるで別人のようだった。 「だから、よろしくね!」 弾けるような笑顔をする妹は、私の目には、『何かに影響された中二病』にしか思えなかった。 「い、いやおかしいでしょ、ゆめ!」 時刻は午後六時。晩御飯を作っているお母さんにそう言った。 「あんな明るく振る舞ってさ、ずっと。朝ごはん食べてるときも。お母さんはなんか疑問に思わなかったの?」 お母さんは私の方を見ない。目の前の料理に集中している。 「思わなかったよ。だって、ゆめはゆめだもの」 呆れる。 あれだけのものを見せられたのに。 「ゆめが幸せなら、わたしもそれで幸せよ」 お母さんの一人称が変わった。本心らしい。 「はぁ〜〜…………」 大きなため息をつく。 「……ゆめ、変わっちゃったじゃん。絶対病んでるって」 病んでる、という最近の言葉が分からなかったのか、お母さんはきょとんとした顔で私を見た。 「ゆめ、壊れちゃったんだよ」 ついに口にする。だが、お母さんはそれを聞いてないかのような口で、 「ゆめは大丈夫よ」 と言った。どうしてこの人はそう言い切れるだけの自信があるのだろうか。 「わあ、ハンバーグ美味しそう!」 食卓で、嬉々とした表情で笑う。妹は、まだ“戻って”はくれないみたいだ。 「お母さん、ありがとうね。わたし、お母さんのおかげで幸せだよ」 お母さんを見つめながら言う。お母さんは嬉しそうだ。 「ふふ、ありがとう」 家族に団欒のようなものが生まれる。私はそれを即座に中止させるべく、 「いやいや、ちょっと待って」 二人を見る。二人もまた、私の方を見ている。 「ねえ、ねえゆめどうしたの?いつもと全然違うじゃん」 少しそれは冗談でやっているんでしょ、嘘なんでしょ、というニュアンスも含めたつもりの言葉だった。 しかし妹は、 「あぁ……、心配してくれてありがとう、お姉ちゃん」 と言った。妹ではない誰かに姉と呼ばれることが何より気持ち悪く、寒気がした。 「わたし、お姉ちゃんにもたくさん迷惑かけて。今までごめんね。わたし、変わりた」 「いい加減にして」 妹の言葉を遮る。妹ではない人との会話を早く終わらせたかったのもあったので、言葉が乱暴になってしまった。 「何に影響されたか知らないけど、私は、そんなのゆめじゃない、私の妹じゃないって思うよ」 箸を置き、席を立つ。 「そんなゆめは、私は、嫌い」

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妹は中二病

私の妹、野崎ゆめは中二病だ。 と言っても、右目の眼帯に手を当てて『疼く……』などとは言ったりしないし、無意味に体中に包帯を巻きつけてポーズをつけたりなどはしていない。 じゃあ何故中二病かと言うと、実は私の妹は、ある日突然、過去の自分の性格とは真反対の人間の、完璧な『演技』を始めたからだ。 これを話すには、まず妹の性格というものを知っておかねばならない。 遡ること七年前、妹が八歳、私は十歳のときのことだ。そのときは妹が入学し、家庭内はお祝いムードに包まれていた。 お母さんやお父さん、おばちゃん、おじちゃん、そのほか親戚の人……。私のときと同じく、妹は沢山の人におめでとう、おめでとうと言われていた。 入学祝いを貰ったりもしていた。中のお金は、大体が千円とか二千円とか、そんな所だった気がする。私もついで、と何円か貰ったりした。 “入学祝い”と書かれているぽち袋を渡されている妹を、何度か見て、思った。 何で笑顔くらい返せないのか、と。 妹には根っからの人見知りで、一日にひと言も発さないことがままあるどころか、笑顔もたまにしか見せない、という性格があった。 私はそんな妹を見てきて、幼いながらも将来を心配していた。ちゃんとクラスで友達作れるか、ちゃんと仕事で働けるだろうか、と。 ぽち袋を握りしめて帰る。鈴虫の鳴き声が飛んでくる帰り道を、家族四人で歩いていく。私はそんな時にいつも、妹と手を繋いでいた。 理由は特にはなく、癖のようなものであった。姉妹とはこうあるべき、などという義務感も両方にあったと思う。 妹の子供ながらのぷくぷくした温かい手を繋ぐと、安心した。あぁ、いつもの感じだ、と。今となっては懐かしい思い出だ。ちなみにそのときの妹は、少し痩せ気味と思うくらい細かった。 そして、その帰り道に私が話しかけても、頷くか、首を振るか、黙るか。その三パターンしか見せないものなので、ますます不安になったりもしたのだった。 そして、そんな内向的な妹との関係が変わり始めたのは、早いもので、入学から二ヶ月ほど経ったころだった。 妹は、小学校に通ってから少しおかしくなり始めた。突然一日中頬をピクピクさせながら笑顔を作っていたり、学校から帰ってきたと思ったら、玄関で突然泣き出したこともあった。 私はそのたびに、何でとは聞かずに、ただ当たり障りのない言葉を少し言うだけしかできなかった。 今日は笑顔だね、何か悲しいことあったんだね、とか。そういうことを言うしか、私は出来なかったのだ。 今思うと妹は、いじめにでも遭っていたのかと思う。ずっと真顔だったり、あまり喋らないのを、クラス内でいじられたりしたんだろう。 そう思うと、そのとき何も気づけなかった自分の馬鹿さと、妹がどれだけ苦しんだかを考え、胸が痛くなる。それは、私の十七年の人生の中で、とても後悔していることの一つだ。 そんなある日、妹がボールを私に向けて投げた。前に二人でお祭りですくった、スーパーボールだった。 それは私の肩に当たり、どっ、という小さい音を立てて、家の床に跳ねた。 驚いて妹の方を見ると、今にも泣き出しそうな表情で、眉を筋肉の限り中心に寄せていた。 そのとき、妹が言葉を発した。 「あゆお……いだ」 上手く聞き取れなかったため、え、なに、と慌てて言ったが、間髪入れず妹は走っていったため、私の声は聞こえていたかは分からない。聞く気もなかったかも知れない。 そして、その出来事を発端に、私達はあまり会話を交わさなくなった。

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浮気

君が好きだ。 彼女に言うと、彼女は照れ臭そうに人差し指と親指を丸の形にした。 彼女とは付き合った。 君が好きだ。 彼女に言うと、褒めてんだか貶してんだか分からない言葉で、OKをもらった。 彼女とは付き合った。 君が好きだ。 彼女に言うと、泣きながら自分も好き、と言ってくれた。 彼女とは付き合った。 君が嫌いだ。 いつまでもいつまでも純粋な人を傷つけていく、自分に向けて言った。 彼とは、もう金輪際、会いたくない。

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