Raika
2 件の小説青い想い ⑵
僕は家に帰ってからも、部屋に引きこもって泣いた。 涙はいつまでも枯れなかった。 もう消えてしまった彼女を諦めたくて、でも、どうしても彼女が諦められなくて、 記憶の中で彼女の背を何度もなぞった。 こんなにも深い喪失感は初めてだった。 ふと、昔の彼女との思い出に想いを馳せる。 ーあれは、小学五年生の時だった。 僕と彼女と彼女の友人は、一緒のクラスになってからすごく仲が良くなって、いつも一緒だった。 僕と彼女は家の方向が一緒だったので、いつも一緒に登下校をしていて、 そのうち、僕が彼女のことが好きだと告げて、彼女も僕が好きだと言ってくれた。 毎日が本当に楽しかった。幸せだった。 ずっと続くと、思ってた。
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青い想い
彼女が消えた。 僕の目の前にはもう、彼女が座ることのない机と椅子が残されているだけだった。 もともと、どこか儚い雰囲気を纏った子だった。 僕は彼女が好きだった。 一重で切れ長の目も、すぐに赤くなってしまう頬も、端正な顔立ちも、腰まである長い髪も、全て。 でも、もういない。 冬休み明け、中学一年生の僕は、何も言わずに引っ越し、転校していった彼女の残像をただぼんやりと眺めている。 友人が僕の顔を見て慌てたように、僕に言う。 「大丈夫だよ。また会えるって…それに、他にも女子はいるし。」 僕はそれで気づいた。自分の頬に伝わる、どんどん溢れ出して滴っていく熱が何か。 僕は、泣いていた。そして、痛くて苦しいばかりに彼女を愛してしまっていたことを今更ながらに自覚した。
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