アオハルとバスケ
3 件の小説「薄明かりの街と灰色の残像」
色がない世界で湘南の潮風が運ぶ初夏の匂いがするような気がした。藤沢市立本町小学校は海のさわやかな雰囲気がただよう学校だ。私もこの学校に通う生徒だが最近困ったことがある。「色が見える」それは学校内だけで起こる現象で、ちらちらと桜の花びらが散るように色が地面に落ちてはまた空から振って来て、悩ましいことに授業中にも次から次へと振ってくるので全く授業に集中できないのだ。 「佐野、佐野紅葉」 「はっはい」 クラスメイト達が笑っている。 「なんだその返事は、ちゃんと授業に集中しなさい。」 「ふぃ」 ほら、いつもこの通り。この現象のせいでクラスメイトの注目の的になって しまったものだから、本当に困ったことだと思う。色が見え始めたのは低学年の頃からだった。その頃は、少し黒板が緑色に見えるくらいの違和感で全く気にならないからよかったが、最近隣の六年四組に「松戸静矢」という名前の日焼けが良く似合う男子が転校してきたという情報を耳にしてから急にくっきりと色が見えるようになってしまい、今この状態だ。あと一時間だし頑張ろうかと身を起こし、もう一度担任の授業に耳を傾けた。 やっと終った。国語が苦手な私には地獄のような時間だった。「心の時間」の進み方というのはこのような事を表しているのだろうか。そんなくだらないことをぽかぁーっと考えている間にも突然事件は起こる。本当に突然のことだった。 『ドサッ』 急に隣の席の服部が倒れた。 「えっ...」 あたりの動きが急に時間が止まったかのようにゆっくりになった。 「はっ服部、大丈夫か」 慌ただしさのよそに大人の威厳を見せた先生は服部を保健室に連れていった。周りの生徒があわただしくしている中、私はこの状況をまだあまり深刻な問題だと思っていなかった。次は約三分後、川村が倒れた。みんなが「変な病なんじゃないか」と噂し始めた。しばらくしてからまたクラスメイトが倒れた。矢井田だ。ドサドサと次々に倒れていく生徒を見るうち次第に恐ろしく思えてきて私は教室を飛び出した。 「もっ紅葉、どうしたの」 「おいてくなよ卑怯者」 数名が私に向かって色々突っ込んでくるが、そんなことはどうでもよい。それよりも恐怖が勝ってしまい、そそくさと荷物も持たずに教室を後にした。ふいに、四組を盗み見た。 「えっ」 さすがに声を出さずにはいられなかった。四組の生徒の大半が教室の中で倒れていた。中本、田中、佐々木、星宮...全員私にとっては関係が少ない生徒だが、それだとしても同じ学年、同じ事をしている仲間だ。そういえば松戸はどこだろう...私にはどうでもいいことだろうがもしかしたら色が見える原因と松戸、そして謎の病にかかわりがあるのかもしれない。もしそうだったらどうでもよくないような気もしてきた。今日はいつもよりも色が見える。風に運ばれはらはらと舞うその残像を私は辿ってまた走り出した。 いつもの帰り道、通学路なのに今日に限ってものすごく長い道のりに思えた。遠くには一つの人影が見える。早くこの現実から逃げ出したい。怖い、誰か助けて...私の気持ちが伝わったのか誰かが私に声をかけてきた。 「おい、三組のヤツ、お前も逃げてきたんか」 特徴的な関西弁、見覚えのある日焼けした脚、驚くほど早く私のもとへ駆け寄ってきたのはさっきの人影。そして、転校生の松戸だ。 「へへっ...」 「なんだよ、変な笑い方してそれよりお前、これが見えるか」 松戸がそう言って指をさした方向に目をやるとさっきまで必死に追いかけていた色の残像がカーブミラーにまとわりつき、ギシギシと不気味な音を立てている。しばらく経つと妖しげな残像はたちまち消えて音を立てることもなく完全になじんだ。そして、ビックリすることにカーブミラーがたちまち鮮やかなだいだい色になり、あたりに生い茂ってる雑草までもが色を取り戻していた。 「これが...色...」 息をのんで立ち尽くしている私の隣で松戸は得意げな笑みを浮かべた。私は呆然とカーブミラーを見つめる透明の鏡面ににこれまでの世界にはなかったはずの、暖かく柔らかな光が反射していた。その光は、まるで世界を色で鮮やかにする魔法のように思えた。初夏の日差しが照り付けるどこにでもありそうなアスファルトの道路は、色を失った世界の中で、まるで生命の息吹が宿る「色のオアシス」になったかのようだった。しかし、松戸の視線はすでに遠くの空へ向けられている。「まだ、ほんの一欠片だ。次の色を探しに行こうぜ。」その言葉に、私は再び顔を上げた。 アオハルとバスケ【学校の創作作文で作ったよ!】
「薄明かりの街と灰色の残像」
色がない世界で湘南の潮風が運ぶ初夏の匂いがするような気がした。藤沢市立本町小学校は海のさわやかな雰囲気がただよう学校だ。私もこの学校に通う生徒だが最近困ったことがある。「色が見える」それは学校内だけで起こる現象で、ちらちらと桜の花びらが散るように色が地面に落ちてはまた空から振って来て、悩ましいことに授業中にも次から次へと振ってくるので全く授業に集中できないのだ。 「佐野、佐野紅葉」 「はっはい」 クラスメイト達が笑っている。 「なんだその返事は、ちゃんと授業に集中しなさい。」 「ふぃ」 ほら、いつもこの通り。この現象のせいでクラスメイトの注目の的になって しまったものだから、本当に困ったことだと思う。色が見え始めたのは低学年の頃からだった。その頃は、少し黒板が緑色に見えるくらいの違和感で全く気にならないからよかったが、最近隣の六年四組に「松戸静矢」という名前の日焼けが良く似合う男子が転校してきたという情報を耳にしてから急にくっきりと色が見えるようになってしまい、今この状態だ。あと一時間だし頑張ろうかと身を起こし、もう一度担任の授業に耳を傾けた。 やっと終った。国語が苦手な私には地獄のような時間だった。「心の時間」の進み方というのはこのような事を表しているのだろうか。そんなくだらないことをぽかぁーっと考えている間にも突然事件は起こる。本当に突然のことだった。 『ドサッ』 急に隣の席の服部が倒れた。 「えっ...」 あたりの動きが急に時間が止まったかのようにゆっくりになった。 「はっ服部、大丈夫か」 慌ただしさのよそに大人の威厳を見せた先生は服部を保健室に連れていった。周りの生徒があわただしくしている中、私はこの状況をまだあまり深刻な問題だと思っていなかった。次は約三分後、川村が倒れた。みんなが「変な病なんじゃないか」と噂し始めた。しばらくしてからまたクラスメイトが倒れた。矢井田だ。ドサドサと次々に倒れていく生徒を見るうち次第に恐ろしく思えてきて私は教室を飛び出した。 「もっ紅葉、どうしたの」 「おいてくなよ卑怯者」 数名が私に向かって色々突っ込んでくるが、そんなことはどうでもよい。それよりも恐怖が勝ってしまい、そそくさと荷物も持たずに教室を後にした。ふいに、四組を盗み見た。 「えっ」 さすがに声を出さずにはいられなかった。四組の生徒の大半が教室の中で倒れていた。中本、田中、佐々木、星宮...全員私にとっては関係が少ない生徒だが、それだとしても同じ学年、同じ事をしている仲間だ。そういえば松戸はどこだろう...私にはどうでもいいことだろうがもしかしたら色が見える原因と松戸、そして謎の病にかかわりがあるのかもしれない。もしそうだったらどうでもよくないような気もしてきた。今日はいつもよりも色が見える。風に運ばれはらはらと舞うその残像を私は辿ってまた走り出した。 いつもの帰り道、通学路なのに今日に限ってものすごく長い道のりに思えた。遠くには一つの人影が見える。早くこの現実から逃げ出したい。怖い、誰か助けて...私の気持ちが伝わったのか誰かが私に声をかけてきた。 「おい、三組のヤツ、お前も逃げてきたんか」 特徴的な関西弁、見覚えのある日焼けした脚、驚くほど早く私のもとへ駆け寄ってきたのはさっきの人影。そして、転校生の松戸だ。 「へへっ...」 「なんだよ、変な笑い方してそれよりお前、これが見えるか」 松戸がそう言って指をさした方向に目をやるとさっきまで必死に追いかけていた色の残像がカーブミラーにまとわりつき、ギシギシと不気味な音を立てている。しばらく経つと妖しげな残像はたちまち消えて音を立てることもなく完全になじんだ。そして、ビックリすることにカーブミラーがたちまち鮮やかなだいだい色になり、あたりに生い茂ってる雑草までもが色を取り戻していた。 「これが...色...」 息をのんで立ち尽くしている私の隣で松戸は得意げな笑みを浮かべた。私は呆然とカーブミラーを見つめる透明の鏡面ににこれまでの世界にはなかったはずの、暖かく柔らかな光が反射していた。その光は、まるで世界を色で鮮やかにする魔法のように思えた。初夏の日差しが照り付けるどこにでもありそうなアスファルトの道路は、色を失った世界の中で、まるで生命の息吹が宿る「色のオアシス」になったかのようだった。しかし、松戸の視線はすでに遠くの空へ向けられている。「まだ、ほんの一欠片だ。次の色を探しに行こうぜ。」その言葉に、私は再び顔を上げた。 アオハルとバスケ【学校の創作作文で作ったよ!】
私の青春は
好きな人と違うクラスになった。たったそれだけのことで、元々ネガティブ思考の私は、さらに自分のことを否定するようになった。教室の中で、笑う、笑う、本当の弱い私自身を隠すために…それから私の人生の厳しさを感じる日常が始まった。彼の名前は佐々木といった。優しく、紳士的な人でちょっと抜けてる天然なところまでもが尊かった。一学期の自己紹介の時からずっと好きだったのに一学期から二学期の最後まで一言も喋ることができなかった。シャイで弱気の私は、嫌われてしまうのではないかと話したいという気持ちをずっと先延ばしにしてしまい、現在の私に強い後悔を残してしまうことを知らずに自分自身を傷つけてしまっていた。二学期の終わりの頃、配り係の私は仕事が残り数名の教科書を配るのに遅れてしまった。変な感じにみんなから注目されてしまうしどうしようかと考えていたら、そこに彼の教科書があることに気づき、逆にチャンスだと考えた。 「おっ…遅れてごめん」 「大丈夫、あざます」 ズキュン あざます、たったその四文字だけなのになぜかドキドキしてしまった。その努力が報われたのかわからないけれど、時々彼は私に話しかけるようになった。絵を描いてると、「うっま」とか、掃除でちりとりをしていたら 「ごめん、ありがとう」と言って近づき、「あとは俺がやっとくから先帰っていいよ」と言って片付けてくれた。その時から彼のことが本当に好きになってしまい、つみほどにカッコよく見えた。 6年4組 …えっ… 私のクラスの名簿に彼の名前がなかった。ただただ虚しかった、それからそんなことだけで人生の面白みがないような気がしてきた。切ないドラマのバッドエンドのように私の恋は終わってしまうのだろうか… 共感する人いるかな?たったそれだけのことだけの悲しみを一言や二言で表せなくてこんなに長くなってしまいました。違うクラスになってまだ一度も話せてないので、彼の心に残るような行動とかあれば教えて欲しいです🙇♂️初投稿です。6年生です。 【アオハルとバスケ】