「薄明かりの街と灰色の残像」
色がない世界で湘南の潮風が運ぶ初夏の匂いがするような気がした。藤沢市立本町小学校は海のさわやかな雰囲気がただよう学校だ。私もこの学校に通う生徒だが最近困ったことがある。「色が見える」それは学校内だけで起こる現象で、ちらちらと桜の花びらが散るように色が地面に落ちてはまた空から振って来て、悩ましいことに授業中にも次から次へと振ってくるので全く授業に集中できないのだ。
「佐野、佐野紅葉」
「はっはい」
クラスメイト達が笑っている。
「なんだその返事は、ちゃんと授業に集中しなさい。」
「ふぃ」
ほら、いつもこの通り。この現象のせいでクラスメイトの注目の的になって
しまったものだから、本当に困ったことだと思う。色が見え始めたのは低学年の頃からだった。その頃は、少し黒板が緑色に見えるくらいの違和感で全く気にならないからよかったが、最近隣の六年四組に「松戸静矢」という名前の日焼けが良く似合う男子が転校してきたという情報を耳にしてから急にくっきりと色が見えるようになってしまい、今この状態だ。あと一時間だし頑張ろうかと身を起こし、もう一度担任の授業に耳を傾けた。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/8/18 2:27
最終編集日時: 2025/8/18 2:30
アオハルとバスケ
「書く習慣」でも活動しています!小6です!初心者ですがよろしくお願いします(^。^)