やかん
5 件の小説一緒にまわらない?
今度のお祭り、一緒にまわらない? 雷だけが鳴り響く夜、彼にメールした。 十五分後くらいに返信が来た。 ごめん、友達とまわる予定。 なんだ。やっぱり私の事なんか好きじゃなかったんだ。 そう思いながら携帯を閉じた。 涙が出そうで出ない。 雷は鳴っているのに雨は降らない。 そんな夜だった。
先生とわたし
八月五日。 暑い。 カゲロウがぼやけている。正しくは、そう見えているだけだが。 今にも滴りそうなアイスクリームを頬張り、友達から借りた自転車で一気に坂を下った。 しばらくするといつもの校門が見える。 なんで夏休みに学校?と思った人もいるだろう。 私は勉強熱心なもので…… 当然そんな訳もなく、 一学期のテストで赤点を二つ以上取った者には指導があるのだ。 まあ、それに来ただけ。 化学は赤点を取らなかったので、化学室を横目に別の教室へ向かった。 中にいる先生と目が合ったが、あえて会釈はしなかった。 テスト、もっと適当に受ければよかったなあ。 そんなことを思いながら教室へ、重い足を従えた。
先生とわたし
七月二十日。 今日で一学期が終わり、長い休みに入ろうとしていた。 各教科ごとに配られた宿題をかばんに詰め込む。 「こんなに宿題あんのかよーだる」 クラスの男子達はすでに夏休み気分なのだろう。 やりたくないなあと思いつつ、私は化学の宿題にだけ目をやった。 が、分からない問題だらけだった。 蝉がジリリリと鳴いている。 額を汗がつたう。 私は、三階の化学室まで走った。 「先生!!…いますか?」 「わ、びっくりしたじゃん」 なーんだ、まだいたんだ。走る必要なかった。 息を切らしている私を見かねてか、先生からこちらに来てくれた。 「どうしたの?」 「はぁ、はぁ、、教えて欲しいんです、ここ」 「いいけどさ、一回深呼吸してごらん?笑」 ゆっくりと呼吸をなおした。 なんだかクラクラする。 これは暑さのせいか。それとも、
先生とわたし
六月十七日。 梅雨入りしてしばらくが経つ。 もうすぐ期末考査やクラスマッチがある。 そんなある日、私は友人に先生に対しての気持ちを打ち明けた。 「え、冗談でしょ?笑」 予想通りの答えが返ってきたまでである。 「違うよ。なんていうか……」 「本気で先生のこと好きなの?」 さっきまで弱々しかった雨が急に強くなった。 まるで私の気持ちみたいに。
先生とわたし
高二の春。 チャイムがなる五分前。 私は皆よりひと足早く化学室へ入った。 そこには、試験管の中身をじっと見つめる先生がいた。 「お、早かったね」 「もう授業始まるかと思って笑」 先生と話したくて早く来たなんて言えない。 この時期らしい、生暖かい風が教室を包む。 「ほら、見てごらん」 コップの中に入っている試験管を見ると、さっきまで青かった液体が薄ピンク色に変わっていた。 「わあ、すごい綺麗」 「でしょ?」 先生と交わす何気ない会話。 こんなにドキドキするのは初めてで。 これが恋なのか、それともただの憧れなのか。 十七の私にはまだ分からない。