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3 件の小説
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日頃から考えることが好きで趣味でミニ小説を書いています。絵は苦手です。

おじいちゃんとぼく

“パフっ” “うん!おいしい! やっぱりおいしいよ! おじいちゃん!” 5歳ぐらいの男の子がおじいちゃんと一緒にハンバーガーを食べていた。 おじいちゃんはそれを見てそっと微笑んでいた。 高校生の私は学校の帰り道、そっとその微笑ましい光景をガラス越しに眺めていた。 店内は慌ただしく、忙しそうなのに、あの男の子とおじいちゃんの空間だけは時が止まって見えた。 “私も気分転換にハンバーガー頼もうかな” 私もつられて店内に入って、注文をした、 “いらっしゃいませ。ご注文はどうされますか?” “あ、あの子が、食べている…、あのハンバーガーください。” “…。” “あのー?” “あっ、えーっと、大変申し訳ないのですが、うちの店にはハンバーガーは出していないのですが……。” “……?あ、はい!、あっ、じゃあ、えーっと、このハンバーグセット1つください!ハンバーガーとハンバーグ間違えてしまいました笑笑” “あ、そうでしたか、ハンバーグセットお1つですね、かしこまりました。お待ちください。” (えっ⁈どういうこと?私が見ていたのは幻だったの?) そして、食事を済ませて、お会計の時にさっきの注文を受けた店員が、こう言った “やはり、あなたも見えたのですね、あのおじいちゃんとお孫さんが、” “はい…。あなたも知っていたのですか?” “はい、薄々気づいておりました。しかしなぜそこにいるかは分からないのです。きっと2人の思い出なのでしょう。” “そうなんですね。” 私はあのおじいちゃんとぼくがなぜ見えたかはわからないけれど確かに時は止まっていた。

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おじいちゃんとぼく

波打ち際

「おう!おかえり、お疲れさん」 「うん」 これがいつもの私と父のあいさつ。 私はいつもお父さんと二人で夕日に染まったこのこの波打ち際の横の海岸沿いを車で帰る。 「今日なんかあったか?」 「うーん…別に」 車内には父の好きな一昔前の洋楽が気まずい空気感を和ませようとしている 父は3年前、私が中3の時に母と離婚した。そこから父との二人の生活が始まった。離婚するまで父は家事をしたことがなく戸惑っていたが、今では家事を3年前までしたことがないと言えないくらいそつなくこなしている。 そして父はいつも私の通学の送り迎えをしてくれる。始めた目的や時期はわからないがなんとなく続いている。  −−−−−−−−− ある日の帰り 「おう!おかえり、お疲れさん」 「うん」 いつものあいさつ、いつもの音楽、いつもの海岸、なのに 「今日はちょっと気分転換だな、お父さんのとっておきのところ紹介するな」 と父が言った。 「なんで…、どうして…」 ついたのはあのいつも見る海岸の砂浜、いつもと同じように波が一定に打っている、車内はどこか空気が重い。 「なんかあったか?」 「なんでわかったの?」 「うーん、なんとなく、」 「まぁ、あんまりがんばるなよ、」 お父さんはそれ以上は何も聞いてこなかった 私は父の“がんばるなよ”というたった6文字に救われた。 −−−−−−−−−−−− 「おう!おかえり、お疲れさん、どうだった社会人1日目」 「うーん。ちょっと疲れた笑」 いつものように水面が夕日に照らされてキラキラと輝いているこの海岸沿いはいつもより輝いてみえた。

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波打ち際

トマト…。

いつも夏になると思い出す。 あの人元気かな、 またいつものようにタライの中のトマトが水にぷかぷかと浮かんでいる。 ただ浮かんでいるだけなのに悲しくなる。 何も関係がないのに…。 (5年前) 「いってきまっす‼︎」 私は元気よく家を出た。高校生の私は毎朝自転車に乗って高校まで登校する。そして最近楽しみなことがある。それは隣町の高校に通っている彼を見ることだ。背丈は180くらいあって爽やか系イケメンである。そして彼はいつも自転車のペダルを必ず左足から漕ぎ出す。 “かっこいいな…。”   そしてふとある日声をかけられた。 「あの…。」 「これ…。」 「あ、ありがとうございます。」   それだけ…。 私のスクバについていたストラップが落ちていて拾ってもらった。ただそれだけ。私は変に仲良くなろうとするのを期待したが何も起こらなかった。 そんな平凡な毎日が続いた。そして、彼とも何もないまま高校生活が終わろうとしていた。 ある日高校生最後の夏休みを目前に私は受験勉強の追い込みのせいか風邪をこじらせて3日ほど学校を休んだ。 そしてある朝のこと。 「いってきます!」 またいつものように元気よく家を出た。そしていつもの場所、 “あれっ、こんなところに花束置いてあったかな?” 道路の左隅にたくさんの花束が置いてあった…。

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