UTR

2 件の小説

UTR

小説を書いていますが、初心者ということもあり結構下手です。 次の投稿日もあやふやなので、すぐに投稿…とはいかないかもしれません。

花の奇病. 2話

目を開けるとそこは夢の世界。 私が立っている足元は、赤くに濁った水でできていて、そこらかしこに光り輝く星々が落ちいていた。 空は、鳥が飛ぶ様子が想像できないほどに真っ白で、現実でないことを改めて理解させられる。 私は、鍵のついたネックレスを取り外して、右手に持った。 これは『夢の本屋さん』と『夢の世界』を繋ぐ鍵で、鍵穴の開いた扉が一つ、私の後ろに置かれいる。扉の周りには光の灯った無数の星が積み上がっていて、眩い光を放っている。 私は、一つだけ明かりの灯っていない星を拾い上げ、扉の鍵穴に鍵を差し込み、扉の向こう側へと進んでいった。 扉を開けたと同時にベルの音が室内に鳴り響いた。 落ち着きのある暖色の電球が、天井からいくつもぶら下がって、 辺りには本棚に収まりきらなかった本が乱雑に置かれていた。 私は周りを見渡しながらカウンターに向かった。 「あ!いらっしゃいませですにゃ、極夜さん。」 そう言って、小走りでこちらに近づいてきたのは、このお店の従業員。人間のように振る舞う彼は、猫の姿だった。背は男性にしては低い方で、私との身長と大差なかった。スーツを身に着けているのが可愛く、ふわふわな毛並みはつい触りたくなってしまうほどだ。 しかし、彼の名前を忘れてしまった私は、後々面倒ごとにしたくもないため、正直に「ごめんなさい」と謝って深々と頭を下げた。私は彼の方をチラッと、長い前髪の隙間からのぞいてみた。名前を忘れてしまったことなのか、私の様子に驚いたのかは分からないけれど、私の想像以上に彼は焦っていた。 「とんでもないですにゃ!よくあることですにゃ、ここは夢の世界にゃので、記憶の保存が難しいですにゃ。それに、私自身あまりここにいにゃいですにゃ。名前を忘れるのも無理にゃいですよ。」と手を振って否定し、私に顔をあげるように言った。 顔を上げた私に、彼はホッとした表情を見せると改めて名前を教えてくれた。 「私の名前は夢猫とでも呼んでくださいですにゃ」 そう言うと彼は礼儀正しくお辞儀をした。 「さて、今回はどのような物語を見るおつもりですかにゃ?」

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花の奇病. 1話

「先生、今回の薬もダメでした。」 そう言って、私は飲み干した空の空き瓶をテーブルの上に置いた。 先生は机の上で走らせていたペンをおくと、私の方を向いて、 「今回もダメでしたか。」と残念そうに呟いた。先生の顔は少しばかりくすんでいるように見え、それほど残念だとは思っていないことがわかった。残念であれば暗い色を見せるので、先生の中では、想定内という事なのかもしれない。 そう思っていると、先生は少しばかりの小さなため息をついて、「極夜くんは病室に戻っていてください。次の薬を考案をしておきます。あぁ、そうそう、日記は忘れずに書いておくように、あれがないと薬の効果がわかりませんから。」 そう言うと、先生はまた、机の方に向き直って、近々提出しなければならないと言っていた、レポートの続きを書き始めた。診察室には小さな筆記音のみが響き、私は居心地が悪くなったのか、すぐに部屋を後にした。 白く綺麗な廊下は私の足音だけが響き渡り、人気のなさを強調していた。他の道を通ったところで、聞こえてくる音はすべて等しく、「病院」と言うより「施設」と言ったほうが的確なくらい静かだ。 ふと窓の外に目をやると、綺麗な中庭が映り込んできて、私はつい足を止めてしまった。大木を中心に池や花が周りにあり、とても素敵な中庭だと思っている。しかし、人がいない割にはおかしいほどに管理が行き届いていて、少しの恐怖感を覚える。 それでも、中庭に行きたいと思ってしまった。しかし、中庭を 出入りするための扉が見当たらない。どれほどあたりを探しても、扉は見つからなかった。先生に聞いてみても、返事が返ってくることはなく、疑問は残ったまま。 叶う事のできない夢をずっと追いかけていたら、本当の願いを叶えることすらできなくなってしまう。叶わない夢なら諦めてしまった方が後悔が少ない気がする。そう思い、私は止まっていた足を再び動かして病室に戻った。 1日の大半をこの病室で寝て過ごす。 外に出ることもなく、他にやることもないから、それほど気には していない。 以前は先生からもらった大量の本を読んでいたけれど、今ではその全てを読み終わってしまい、流石に飽きてしまった。 今では本当に何もすることがなくなり、ただただ眠ることしかできない。 私は暖かい布団の中に潜り込んで、重たい瞼をゆっくりと閉じた。意外と寝つきはいい方で、すぐに夢の世界に落ちていってしまう。感覚で言うなら、誘われるように、手を引かれるように、夢の世界に落ちていく気分…。

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