ソラ

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ソラ

テラーノベル ▶︎ こむぎ 小説家になろう ▶︎ こむぎ カクヨム ▶︎ こむぎ pixiv ▶︎ 海月 好きな小説家 | 星新一

ピアノ

所々抜け落ちて無くなっている鍵盤。 白鍵を押す。 不協和音が鳴り響く。 黒鍵を押す。 目で見てるのと違う音が鳴る。 廃れたピアノ。 死んだピアノ。 きっと泣いている。 『ここにいるよ』と。 『また弾いてよ』と。 『前みたいにさ』と。 誰にも会えなくて 誰にも聞こえなくて。 私はあと数分で死ぬ。 だから大好きなピアノと一緒に 死のうと思うんだ。 だから大好きなピアノを昔のように 愛でてやろうと思っているんだ。 だから────── もう一度あの日々を思い出して もう一度感情に浸って もう一度繰り返そう。 静かな曲が流れていく。 誰も聴いていないコンサート。 誰も見ていない映画のワンシーン。 きっと誰も知りはしない。 最期の音が鳴り響く。 そして音は亡くなった。

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ピアノ

花踊る水の上で【予告物語】

耳に聞こえてくる誰かの鼻歌。 聞いたことないメロディー。 なのにも関わらずどこか懐かしさを感じる。 鳥のさえずりを聴きながら起きる目覚めの良い朝のように心地よい雰囲気に囲まれながら無意識的に瞑っていた瞼を開く。 目の前には薄黄緑の景色が映った。 ド田舎出身の僕から見たら珍しいものでは無いけれど、見覚えのある景色では無かった。 「ここは...?」 日の光で温かくなっている地面に手を付き、 仰向けで寝ていた体を起き上がらせる。 目の前には真っ青な海というか水面というかが目に映った。 いや、違う。 これは水面じゃない。 近づけば近づくほど正体が明かされていく。 「確かこれって...ネモフィラ、?」 そう。 僕が真っ青な水面だと思っていたものは青い花、ネモフィラの花畑だった。 そんな時、また誰かの鼻歌が聞こえた。 少し遠くに誰かが舞い踊っているような姿が見え、恐る恐る近づいた。 そこには目を瞑りながら舞い踊る水色のスカートの少女が居た。 「君は────」 そんな声を漏らすが、 すぐさま少女の鼻歌に上書きされてしまう。 少女の水色のスカートが太陽に反射してキラキラ光っている。 まるでクラゲの傘のようで─── そう思っていると少女が舞い踊りながらネモフィラの花々に足を着いたと同時に次々と波紋が広がった。 その波紋は僕の足元にまで広がっては消えてを繰り返していた。 そして水面に変わったネモフィラの花々から、 いや地面からだろうか。 少女の足元から大小様々なクラゲが浮き出るように現れた。 少女は変わらず鼻歌を歌い、 スカートを舞い、 楽しげにスカートを揺らしている。 それに合わせてクラゲも踊っているかのように漂い、少女のスカートに映える傘をふわふわとさせていた。 それに見とれていると 「あ、こんにちは!!」 「私はミューエ!!あなたは...」 「里玖にぃね!!」 『里玖にぃ』なんで僕の名前を知っているんだろうか。 前に会ったことがあるとか? いや、絶対に無い。 断言出来るほどこの少女は僕には知らぬ人間だった。 「君は...目が見えてないの、?」 ふと失礼と思いながらもそんなことを聞いてしまう。 「見えてるけど見えてないよ〜!!」 そう言いながら少女、 ミューエはクラゲの傘に乗り、 ふわふわと漂う。 ミューエのスカートとクラゲの傘が太陽で反射してキラキラ光り、僕の目に刺激を与えてくる。 「あ!言うの忘れてた...!!」 急にそんな声を上げるミューエ。 「里玖にぃがここに居る理由は使命をして貰うため!!」 「使命...?」 「里玖にぃの使命は『蝶』を集めること!!」 「それじゃあ、ばいばい!!」 そうミューエは僕に告げた後、 僕の目の前から消えた。 辺りにはキラキラとした何かが散らばっていた。 まるで幻想の粉光が落ちてしまったかのように。

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加減が出来ない不器用くんと恋する方法。~ 後輩のお世話係やってます ~【予告物語】

今日は新1年生の入学式の日。 本来は2年生である私はここには居ないで家でダラダラ出来る日... だったんだけど、 先生が急に頼んできたこの仕事のせいで今この場にいる。 そう。 入学式のお手伝いという仕事!! 私は案内係。 1番つまんない仕事である。 そんな時、遠くに人影が見え 近づくと何故か服がびちゃびちゃに濡れた男子が突っ立っていた。 ネクタイの色的に多分、新1年生。 「え、ちょっ、君大丈夫?!誰かに水かけられた?!」 そう慌てていると 「...入学式の会場どこっすか?」 と聞いてくる。 「いや、そんな格好で行くの?!その前に着替えでしょ!!早くこっち!!遅れるから!」 そう言って私はその子の手を引っ張って保健室へ向かう。 それが不器用くんと私の出会い。 あの後、不器用くんは無事に入学式に間に合ったらしい。 しかもびちゃびちゃに濡れた理由はペットボトルで水を飲んで落ち着こうとしたら ペットボトルを持っている方に力を入れすぎて開いたと同時に自分に水がかかったとか。 「不器用過ぎる...」 そう独り言を漏らす。 入学式が終わり、 新1年生は最初の登校日となった。 もちろんだが在校生は去年と同じく授業を受けるために学校へと来る。 そして女子は皆、口を揃えてこう言う。 『新しい彼氏探しだ!!』 と。 私もそんな女子の一員... ではなく、私はあいにく恋愛というものに興味が無い。 しかも私は彼氏にリードされるより彼氏をリードしたい側なのだから。 「おはよ!葉兄さん!!」 後ろからそう言いながら私の背中に頭突きをしてくるのは親友の夏奈。 『葉兄さん』 私のクラス間でのあだ名である。 なぜ『姉さん』ではなく『兄さん』なのかは分からないが。 ここの高校は何故かクラス替えが無い。 だから1年生の時からクラスメートはずっと同じ人。 仲良くなったら天国。 仲良くなれなかったら地獄。 の白黒はっきり系の学校だ。 もちろん私のクラスは天国。 皆が皆、仲がいい。 「そういえばこの前の入学式の仕事どうだった?楽しかった?」 ニヤニヤとしながら挑発的に笑う夏奈。 「...なんか不器用な人居たわ」 「不器用な人?!何それ!!詳しく教えてよ〜!」 そう言いながら夏奈は私の肩を揺さぶる。 「ちょ、やめて...酔う酔う......」 そんなことをしていると 「お、またやってんのか?確か〜...『葉兄さん』だっけ?」 という声と共に1年の頃の担任、 笹川が近づいてくる。 「あ!!笹川じゃん!!え、私らの担任ってまさか...!」 「お、正解〜!またお前ら問題児のクラス担任だよ...」 ガクリと肩を落としながら夏奈と話す笹川。 「葉兄さんは俺と同じクラスで嬉しいか?」 ニヤニヤした目で見てくるのやめて欲しい。 「...そういう所だよ笹川」 そう冷たい声を返すと 「え?何が...?」 「俺何かしたっけ?」 と戸惑いの声を漏らす。 「夏奈、早く行こ。こんな奴に構ってないで」 「『こんな奴』て...オモロ......」 口を押えて笑いながらも、 笹川に手を振る夏奈。 「あ、そっか〜、今日から3階だっけ?」 「うん、足疲れるね」 「うわ、それな〜?」 そんな会話を交わしながらクラスメートたちが騒ぐ2-7の教室内へと足を進める。 「あ、葉兄さんじゃん!!おはよ〜!!」 「おはよ」 自分の席につこうとすると私の席が無かった。 虐め? いや、これは違う。 「あ、やっぱここにあった」 「笹川!イス使ったなら戻してっていつも言ってんじゃん!!」 いつも笹川は私の椅子を使っている。 そして元の場所に戻さず放置。 「あ、ごめん!!忘れてた〜!!」 なんなら担任までも生徒のようになっている。 「笹川、葉にぃに怒られてやんの〜!!」 周りからは笹川を笑う声ばかり聞こえてくる。 そんな時、 「あれ?ここじゃない...」 と見覚えのある声が廊下から聞こえてきた。 「あ、あの時の先輩だ!えっと確か名前は...葉先輩?でしたっけ?」 廊下にいたのはあの時の不器用くん、『傘阜 琉乃』くんが居た。 「え、1年じゃん!!可愛い〜!!」 クラス内は笹川から傘阜くんへと視線は移っていく。 「え、何してんの?ここ2年の階だよ?」 「葉兄さん、知り合い?!」 「いや入学式の時に会ってさ...」 「葉兄さん?男...?」 戸惑いの声を漏らしながら少し引いたような目で私を見る傘阜くん。 「違う、そういう意味じゃなくて...」 「それより!!迷ってるんでしょ?一緒に1年の階行くよ!」 そう言って強引に傘阜くんの腕を引っ張って教室を出る。 2-7からは『葉兄さん、積極的〜!!』と黄色い歓声が聞こえてくる。

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目が覚めたらヤバい奴らに囲まれていました ~ 不運ちゃんは異世界で同類を探す ~ 【予告物語】

「ぅ...」 体痛... 私のベッドってこんなゴツゴツしてたっけ... そう思いながら目を開けると目に映ったのは知らない景色だった。 「fa eifyhei{fa} ?」 「え?」 何この人たち...!! 慌てて離れるように後ろへ下がると誰かに当たり、振り返る。 と、そこにはスーツ姿の男の人... だが、顔があるであろう場所には真っ黒い何かに目が着いているような姿だった。 例えるならばブラックホールに目が浮かんでいる感じに... てかよく見ると私を囲むように周りに居る人全員の顔は私が知ってるような顔では無かった。 正面には顔がカメラの人。 後ろには目を持つブラックホール。 そして左右には豆電球のような頭を持つ人と金魚が泳いでいる金魚鉢の頭。 そしてクリオネの頭を持っていた。 頭が浮いていて首が無い人もいれば、 そうでない人もいる。 「なん...ぇ......?」 戸惑いの声しか出ない。 私昨日... ぁれ......? 何してたんだっけ? 思い出せない... もしかして私が寝てる間にこの人達に何かされたとか? じゃあ私今ピンチ? 「fa<qbwpi;yfayhe !!」 気づけばその場から走って逃げていた。 後ろからは日本語じゃない声が聞こえる。 そんな時、 【qlvpleii;yei ...】 という声と共にデカイ化け猫のような怪物が上から降ってきた。 口は縦に裂けていて、 中から二層の舌と牙が見えている。 ずっと何かを言っているが、言葉は分からない。 そんな時、急にその怪物が私の目の前から消えた。 いや、消えたというより誰かに引っ張られていたかのように... 怪物が引っ張られた方向を見ると、 そこには先程の男の人たちが立っていた。 怪物は頭がクリオネである人によって喰われていた。 クリオネの捕食姿、バッカルコーンによって。 もしかして助けてくれた...? いや、そんなことは... でももし助けてくれたなら... この人達は安全な人...? そう思ったと同時に涙が溢れてくる。 安心したせいだろうか? 私の涙を見たその人達は 「i{fa}"yheteyhe"_xei_wp<qbwp i{fa}"xei」 と言いながら私の頭を撫でる。 何を言っているかはさっぱり分からないけど、 きっと私を安心させるような言葉を言っているのだと思う。

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お嬢とおにぃ(偽)【予告物語】

最近は使わなくなった家の電話。 そんな電話に珍しく誰かからの電話がかかってきた。 「もしもし?」 低く、警戒した声で出ると 《私、木村と申しまして、水生様のお宅で合っていますでしょうか?》 と声が返ってくる。 「木村?誰だお前...」 《昨夜の22時頃、月宮 蛍様が亡くなりました》 「は...?」 急にそんなことを言われても実感は無い。 しかも事実なのか怪しい。 《月宮様の妹様である月宮 雨様をご引取りくださいとのことです》 《今日、葬儀を行うので来てください。場所は○‪✕‬。時間は--時。》 ブツリと切れる電話。 月宮が死んだ...? なわけ... そう現実を疑うので俺は精一杯だった。 「てかあいつに妹なんか居たか...?」 そう全てにおいて半信半疑ながらも、 告げられた場所へ着くと葬儀はちゃんと行っていた。 しかも棺桶の中には眠るように横たわる月宮の姿までもある。 そう。 これは現実なのだ。 それはそうと俺と月宮共に親は居ない。 というか去年亡くなった。 飛行機の墜落事故だった。 俺と月宮。 そして俺らの親もみんな仲が良かった。 それで旅行に行った親たちはさっきも言った通り、墜落事故で亡くなった。 去年亡くしたばかりなのに俺は親友までも失うのか。 そう悲しいはずなのに、涙は全く出なかった。 そんな時、棺桶の前に突っ立っている少女が目に入る。 もしかしてこいつが... 「月宮 雨?」 気づいたら声に出していて。 気づいたらそいつはこちらを振り返っていた。 「...にぃ?」 そいつは俺の目をじっと見た後、そう呟いた。 気づけば俺は自分の家に居た。 しかも俺を『にぃ』と呼んだ少女を連れて。 「にぃ、ここどこ?」 俺の服の裾を引っ張りながらそんなことを聞いてくる。 『新しい家だ』そう言おうと思ったが、 俺の家は一言で言ってとても汚い。 しょうがないが、俺が月宮の家に住むしか無さそうだな。 そう思い、荷物をまとめた。 「お嬢、あんま変な隙間とか入り込むなよ」 そう注意の言葉を添えながら。 『お嬢』俺には名前を呼ぶなんて無理だ。 そう思い、瞬間的に出た呼び名は『お嬢』 何だかしっくりくる。 きっとこの先も、ずっとこの呼び方だろう。

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ねぇ、今どんな気持ち?【予告物語】

私の学校には変な人が居る。 いつも私にちょっかいかけてきてそれで最後に『ねぇ今どんな気持ち?』って聞いてくる。 「しーずーくちゃん!!」 急に後ろから声が聞こえ、振り返った。 と同時にその人に体を押され、尻もちを着く。 「ねぇ今どんな気持ち?」 笑みを浮かべながらそんなことを聞いてくる細目の君。 「別に」 いつもと同じ声を返す。 藍沢 琉生side 「別に」 今日も同じ答え。 つまらない... だけど、無視されるよりかは楽しい。 「雫ちゃんは今日暇?」 「まぁ...」 「それが何?」 「聞いてみただけ〜!!」 「ねぇねぇ、どんな気持ち?今どんな気持ち?」 そういつものように聞くも、 今日は無視してどこかへ行ってしまった。 最初の頃は返事してくれたのになぁ〜... ま、いっか。 今日もいつものように着いてこ──── 「藍沢、ちょっと来い」 そんな時、先生に呼び止められてしまう。 なんだよ空気読めよバカ教師。 「...なんすか」 「『なんすか』じゃねぇだろ」 「分かってんだろ?」 言わなきゃ分かんねぇし。 「いや分からないっすね〜」 「俺超能力者じゃないんで〜!」 笑みを含めた返しをすると 「いいかげんにしろ!!」 と大声で俺を怒鳴る。 なんだよ。 別に何もしてないじゃんか。 『超能力者じゃない』そう事実を喋っただけだが? 「なんすか?あ、先生...もしかして俺のこと......」 「超能力者だと思ってたんすか?」 「いや〜残念っすね〜!!」 「俺、全然超能力者じゃないんで〜!!」 そう返すとまたもや怒られる。 意味分かんな。 あぁ、早く雫ちゃんのとこ行きたい。 マジ時間ロス。 「いいか?藍沢」 「もう二度と天野に付きまとうんじゃないぞ」 「あと嫌がらせもだ!!」 そう言い放って先生はどこかへ行ってしまった。 いぇ〜い!!俺の勝ち〜!! そう心で言いながら後ろ姿の先生に向かってピースサインをかます。 「あ、雫ちゃん教室に居るじゃん〜!!」 「探してたんだよ〜!!」 そう言いながら2組に入り、 雫ちゃんの机に腰掛ける。 その時、雫ちゃんの机に何かが描かれているのが目に入る。 「何これ」 そう呟きながら見る。 と、そこには雫ちゃんを侮辱する言葉ばかりが描かれていた。 「ふ〜ん...」 そう声を零したと同時にほぼ後ろら辺から女子の笑い声が聞こえる。 「ね、雫ちゃんの机に描いたのやつの犯人、君?」 座っている女子に目線を合わせ、 そんなことを聞く。 「そうだけど...」 「何?」 ギロリと少し睨みながら答える。 「虐めてくれてありがと〜!!」 「でも虐めるならもうちょっとやんないとさ〜」 「意味無いよ?」 「今の君らなんて、小学生以下〜」 目の前でつらつらと言葉を並べる。 と、ぽかんとした顔を向けてくる。 それを見て、一瞬で察する。 『きっと怒られると思ったんだろうな』って。 その時、横目で雫ちゃんを見るとなぜか俺の方を見ていた。 「何?雫ちゃん...」 「もしかして、助けてくれるかもって期待しちゃった?」 「今、どんな気持ち?」 「悲しい?俺のこと嫌いって思った?怖い?」 「どれ?どんな気持ち?」 そう責めるように声をかけていく。 が、雫ちゃんは無表情のまま 「別に」 と答えるのみだった。

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恋は、病だ。【予告物語】

普段、私の登下校はスクールバス。 私は電車が嫌いだ。 というより人が沢山いるところがあまり好きじゃない。 自分で言うのもアレだが私は人見知りだ。 人と話そうとすると喉の奥が苦しくなって息が出来なくなって泣きたくなる。 電車も同じで、 人目が気になったり目眩がしたりする。 そんな私は今、電車で帰っている。 理由は委員会のせい。 こんな遅くに帰るなら入らなきゃ良かった... そう愚痴を心で零す。 というか委員会必須なんて鬼畜だ。 電車が嫌だから部活にも入ってないのに... そんなことを考えながら電車に揺られる。 なるべく下を向いて、 人が視界に入らないようにする。 だけど今の時間帯はほぼほぼ混んでいる。 ラッシュとまではいかないけれど。 あぁ、嫌だ。 苦しい。 息が出来ない。 視界が回ってる。 そう思い、 つり革に捕まっていた手を手すりに移動し、 少ししゃがむ。 こんなあからさまにしているのに、 誰も助けようとはしない。 やっぱり人って── 「大丈夫?!」 「へ...?」 急に耳元でそんな声が聞こえる。 低い男子特有の声。 そんな声が耳元で。 途端、息苦しくなる。 必死に息を吸っても吸えない。 逆に何故か私は呼吸自体を止めようとしているばかり。 『死んだら楽になれるのに』頭の中にそんな声が響く。 何度聴いただろうか。 その時、電車が駅に着いたアナウンスが流れた。 私が降りるべき駅。 「大丈夫です!!」 そう無理やり声を出して私は逃げるように電車を降りた。 呼吸が出来ないことを忘れ、 無我夢中で人混みを抜けていく。 早く。 早く遠くに行かなければ。 そんな一心で。 あの人、親切だったなぁ... 誰もが助けてくれなかった中、 あの人だけ話しかけてくれて心配までもしてくれた。 そんなことを考えながら家へ向かう帰り道。 「嫌だなぁ...帰るの」 そんなことを零しながら暗闇に染まった公園を横目で見る。 「遅かったね」 家に帰ってきて早々、 母にそんなことを言われる。 「委員会だよ」 「そう」 一見すればなんて事ない平凡な家族に見えるだろう。 だけどそんなことは無い。 家族なんて私は呪いたいほどに大嫌いだった。 『こいつらのせいで私の人生は狂ったんだ』そう毎日思いながら眠りに落ちる。 あぁ、私ってなんて最低な奴なんだろう... 『帰りたくない帰りたくない帰りたくない』 そう考えていたらいつの間にか放課後時間。 結局昨日も電車で今日も電車。 でも今日はただの自業自得。 「あ!!昨日の体調悪子ちゃんじゃん!!」 急に教室のドア近くからそんな声が聞こえる。 誰の話をしているんだろうか。 そう思いながら姿勢は机に顔を突っ伏したまま。 「ねぇ聞いてる?」 「君だよ君、体調悪子ちゃん!」 そう言って近づいてくる声。 『まさか』と思い、 顔を上げるとほぼ0距離に居る男子と目が合う。 「あ、おはよ〜!!」 目の前で手をヒラヒラと動かす男子。 「ひっ...!!」 机や椅子をガタリと鳴らしながら椅子ごと後ろに下がる。 「え、何?」 「なんか虫でも居た〜?」 この声... 昨日の助けてくれた人... いやいやいや。 なわけないか... 「俺のこと覚えてる〜?」 「ほら、昨日君が電車でうずくまってた時に俺が声掛けたんだけど〜...」 やっぱそうじゃん... 覚えてる... っていうか、 この人なんか距離感おかしい...!! 「それでさ〜、俺やばいこと起きたんだよね」 「俺、君に一目惚れしちゃったっぽい」 私に構わず話し続ける。 しかもにこりと微笑みながらそんなことを言う。 てか一目惚れ? 何言って... 「どう?付き合ってくれる?」 「え、無理」 「え?」 「あ、じゃあじゃあ友達からでもいいからさ〜」 「無理です!!男子が嫌いなので...!!」 「きら、い...?」 分かりやすくショックを受ける男子。 「ぁ、違っ───」 いや違くは無いんだけど... なんて言えばいいのか... 「せめて!!知り合いからで...」 「お願いします...」 そう言うと男子は 「うん、いいよ!!」 と元気よく満面の笑みを浮かべて返事する。 なんで知り合いなんかになっちゃったの私...!! ちゃんと断れよ!! 自分で自分の行動を否定するも、 現実の時間は止まることなく進んでいく。

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水没世界。【予告物語】

明日こそ告白しよう。 そう毎日思いながらも、挑戦出来ずにいた。 僕には好きな人が居る。 C組の詩乃 紗儚さん。 清楚で落ち着いてて、声が好き。 だから今日こそは告白── までは難しいから話しかけてみようと思う。 神様、無事成功しますよう見守っててくださいね。 そう願いながら学校へと向かった。 そんな出来事も数日前の話。 僕は今、崩壊した世界に1人佇んでいた。 あの日、僕が話しかけるのを決意した日。 世界は水没した。 しかも僕は話しかけられずに終わっている。 真夜中の0時に人々は水に飲まれ、 永遠の眠りとなった。 大切な家族も友達も紗儚さんだって。 みんな亡くなった。 なのに僕は生きていた。 「僕だけ生き残っても意味ないんだって...」 そんな声を零すも、 誰一人として慰めてくれない。 そもそもここには今、 僕だけしか居ないのだから。 世界は深海にあるようで、 空を見上げると光の梯子がゆらゆらと揺れるのみ。 なのに僕は今、息が出来る。 普通ならとっくのとうに死んでいるはずなのにも関わらず僕は生命の証となる呼吸をしていた。 ビルなどの建物は破壊され、道は水浸し。 藻が生えているものだってあった。 「これからどうすればいいんだろ...」 居場所も食事も無い。 なのにも関わらず、 お腹は空かず案外冷静な僕だった。 もし、今誰かに会えたならどれだけ幸せなのだろうか。

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転生した私のスキル名は◤【遮/断】◢ 【予告物語】

小さい頃、物置に閉じ込められたことがある。犯人はお父さん。おもちゃを片付けない私へのお仕置だった。 物置は暗くて。土臭くて。とにかく嫌な場所だった。それのせいか、その日から私は狭い場所や暗い場所が大嫌いになった。 そんな私は今、異世界に居る。 「え〜っと...」 「今、どういう状況...?」 1人、声を零す。目の前には知らない街が広がっていた。外国の街並みのようででもなんか色使いが違う。しかも服装も違うせいか、そこら辺を歩いてる人達にガン見されている。 「とりあえず...」 「いや本当にどうしよ...」 行き場も無い私。1人になるために隠れようとして路地裏に入って何か起きましたってなったら確実に詰み。 「お嬢さん、どうかしましたか?」 そんな時、誰かから声をかけられた。振り返ると目の前には背の高いイケメンが...!こんなかっこいい人、見たことない。というか目の色がそもそも違うような... 「あの...僕の顔になんかついてます...?」 ジロジロ見ていたせいか、そんなことを言われてしまう。 「あ、違っ...」 「...すいません......」 言い訳が特に思いつかず、謝ってしまう。 「それでお嬢さんはどこから来たんですか?」 「それが分からなくて...」 そんな返事を返すと明らかに困っているような表情を見せた。 「あー...ちょっと待っててね」 そんな優しい声を私にかけ、少し離れた場所へ行く。凝視して見るに、何やら小さな魔法陣のようなものが見えた。 「何あれ...」 1人小さい声を零す。もしかしてここ、異世界?でもなんで...確かに異世界系漫画は好きだけれども。というか私は転移する前、何してたんだっけ? 「思い出したら原因分かるかな...」 そんな声を零すと 「お嬢ちゃん、思い出すって何をだ?」 とおじさんのような声が聞こえた。 「え?」 「記憶でも失くしたのかぁ?」 「違くて...」 「それよりいい服着てるね」 「どうだい?俺と────」 ペラペラと話すおじさんのテンポについていけず、困っていると 「僕の連れから離れてください」 とド低音ボイスの先程のイケメンお兄さんが助けてくれた。

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俺がこの世界の【ウイルス】です。【予告物語】

「だーっ!!まただよ〜...!!」 「なんで毎回バグんだよ!!」 そんな声と共に台パンの音が響き渡る。痛い。だけどそれよりも怒りが勝つ。 俺が毎回ゲームする度にゲームはバグる。ゲーム自体に嫌われているかのように。再起動してもバグる。無理やり進めようとしてもバグって最初から。 あぁ、つまらない。こんな気分になるならゲームなんて始めなきゃ良かった。そう思っていると画面にある文字が表示された。 「なんだ?これ」 画面には 「 ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎‌ バグを停止しますか? ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎▶︎ はい ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ いいえ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ 」 の文字があった。 「そんなん『はい』に決まってんだろ!!」 そう八つ当たりのような声を上げながら選択肢を押す。 「 ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎‌ ‌‌‌『はい』を確認しました。 ‌ ‌ ‌ ‌《世界》の再起動を始めます。 ‌ ‌ ‌ ‌‌《世界》の再起動まで26/100 ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌︎︎ 」 そうして表示されたのは世界の再起動画面。 「てかバグ直せるんだったら早く言えよなぁ...」 「時間ロスで最悪〜」 独り言を零す。そんなことをしてるのも束の間、ゲーム機から再起動完了の合図を告げる音楽が聞こえ始める。 「お、案外早いじゃん〜!」 寝転がっていた身体を起き上がらせ、そんなことを言う。が、急に体が重くなり、瞼が勝手に閉じる。まるで永遠の眠りに着く前のような感覚で。 心地いい風が俺に吹き着く。いや、待て。家の中なのに風を感じる?おかしい。窓も閉めてるし風なんか来るはずがない。そんな疑問を抱きながら瞑っていた目を無意識に開く。と、目に映ったのは家の中じゃない場所。 「は?!」 驚きを隠せず、声を上げる。そう。俺はthe森って場所に寝転がっていたのだ。

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