間宮
6 件の小説惰眠
頭と瞼が鉛のように重くなる。 めくるめくような感覚に身を任せ、深潭の海へ意識を手放す。 この時だけは移ろう日々への恐怖でさえも昏倒と共に心の奥に沈んでゆく。 この惰眠に何の意味も見出せ無かったとしても、私は再び現実を閉じる。 霧がたなびく視界のなかで、がらんどうの 世界を求め、また眠りにつく。
誰かの人生観
ゲーマー『人生とはゲームのようなものだ。』 冒険家 『人生とはずっと冒険だ!』 信教者 『人生とは神からの贈り物である。』 自殺志願者『人生とは耐え難い苦痛だ。』 暇人 『人生とは長い暇つぶしだ。』 病人 『人生とは残りの日々を精一杯生きることだ。』 あなたの人生とは何ですか?
黒い服が好き
俺は黒い服が好き! 黒い服は大体どんな色にも合う! 服もズボンも黒でも違和感がないから着やすい! 私服もしっかりした服も黒! 俺はファンションとかよくわからないから、やっぱりオーソドックスな黒い服が一番だな! 毎日同じ色だけど、 いつも君はかっこいいって言ってくれたよね! 俺が黒い服を着て行くから、君は逆に白い服を着てくる! 君は白い服が似合ってるよね! だから俺も君に今日もかっこいいねって言う! 毎日君のおかげで服を着るのが楽しい! でも、 今日は全然嬉しく着れないな。 いつも通り君は白い服を着てたけど、 いつも見たいに俺の黒い服をかっこいいって言ってくれない。 いつも通り黒い服を着て、俺は泣きながら手を合わせた。
マネキンの個性
まったく同じマネキンが三体ある。 このマネキンに一体ずつ赤、青、黄と違う色の服を着せる。 これは個性。 一体ずつ違ったポーズをとらせてみる。 これも個性。 ではマネキンから一体ずつ手、足などを外してみる。 これも個性?
誰か見つけて。
私は1人でいるのが好きだ。 小学生の時から。 中学の時も。 高校の時も。 大人になってからも。 歳をとっても。 じゃあ死んだ後も? やっぱりもう耐えられない。 早く私を見つけて。 誰もいないところで、体が腐っていくのは耐えられない。 早く誰か見つけて。
地獄へのキス
俺はお前とキスをして、それだけで嫌なことなんか吹っ飛んで、忘れてしまえる。 俺にとって唯一の友達であり、恋人でもある。 お前が必要なんだ、いなければ俺は狂っちまう。 お前とのキスが必要なんだ。できなければ俺は狂っちまう。 キスの後残るのは、鼻をつんざく煙の匂いと、そこらじゅうに散らかった、吸い殻に注射器。 さあもう一度キスをしよう。 天国へ連れて行ってくれ。 俺は火をつけた薬を咥えた。