他人
3 件の小説⬜︎⬜︎
いつからだろう、我慢することが得意になったのは。自分が我慢すれば、悪者が減って周りは平和を保てて自分を守れると分かってからは、何を言われたって、何をされたって我慢できるようになった。 いつからだろう、嘘をつくことが得意になったのは。嘘をつけば、ある程度の事は誤魔化せて、尚且つ誰かを護る嘘はついて良いと知ってからは、他人にも自分にも嘘をつき続けるようになった。 いつからだろう、他人を優先するようになったのは。親を大人を友達を優先すれば、自分も誰かにとって必要になれるんじゃないかと思ってからは、いろんな人の踏み台になった。 いつからだろう、誰かに合わせることが得意になったのは。話題のテレビ、アニメ、YouTube、ニュースを知っていれば話を合わせられ、何も知らずに独りになって後ろ指を刺されることは無いと分かってからは、勉強時間を削り、全ての情報に齧り付くようになった。 いつからだろうか、これら全てが正しい姿であると誤認し、それが本物になってしまったのは。 年を追うごとに酷くなって増えていく、身体の不調と親の愚痴。どれだけ限界でも、表面上は笑うことが出来たのが唯一の救いだった。『助けて』なんて、声に出したって、顔に出てたって誰かにとっちゃどうでも良いだろうし、迷惑だろう。それに、自分自身でさえ自分の感情も思考も分からないんだ。そんなやつ助けようにも助けれないだろう。だから、このままでいいんだ。 どうせ無駄な命だ、どこで生きようが死のうが、、もうどうでもいいだろ。 頼むから、僕をこんな所に縛らないでくれ…… もう、休みたいんだ。精一杯、生きたとは言えないし、思い残した事しかない。苦しいまま死にたくない。やりたかったことであろう事もやってみたい。普通を過ごしてみたい。何も気にせず海やプール、温泉に入ってみたい。 けど、もう気力なんてとうの昔に使い切ってずっと、ずっと今まで空元気でやってきたんだ。少し休んだら?また動けるだけの元気が出たら?って勘弁してくれ……はぁ………… 後、どのくらい生かされるのだろう。僕は
僕は
歩いて、歩いて、歩いて 何処に向かうのかもわからず 笑って、笑って、笑って 場の空気をすいながら 走って、走って、走って 周りと合わせられる様に 飲んで、呑んで、のんで 自分の声が届かぬ様に 付いて、吐いて、ついて、 周りに好かれる為に そうやって、 生きて、生きて、生きて、 生きて、きたんだ 歩いた、歩いた、歩いた 何かを目指す為に 笑った、笑った、笑った 少しでも楽しむ為に 走った、走った、走った 置いてかれない様に 飲んだ、呑んだ、のんだ 飲み込まれない様に 付いた、吐いた、ついた 僕を見せぬ様に そうやって、 生きた、生きた、生きた、 逝きた、あの日の夜に
「ただの声」
「その髪型可愛い」 「なにさっきの声、可愛いやん」 「スカート似合うじゃん」 「女子力高いなぁ」 これは“”普通“”の人にとって何気ない会話で、 きっと“”普通“”の女性からしたら嬉しい言葉なんだろうなと思いながら友達の声、表情、雰囲気に合わせながら会話する。僕にとっては毒でしかないこの言葉達は悪気なく、そして容赦なく僕のココロに傷を入れる。その傷達はもう増え過ぎてしまって、どの傷がいつ付いたかすら分からない。そのせいか正直言って、身も心も削れきれ始めている。じゃなきゃ、痛覚麻痺や、1人になった時にしか起きない吐き気と頭痛と過呼吸、嫌な思考……言い始めたらキリがないくらいの症状は出ないだろうから……でも、そんな状態でも大丈夫なフリを、なんともないフリをしなければいけない。人を傷つけてしまった僕にそんなことをしていい道理なんてないから。 助けてって言ったところで一時凌ぎにしかならないから。迷惑にしかならないから。周りに迷惑も不安もかけないために、見せないために息をするように、今日も嘘を吐く。 「大丈夫」 「今日も元気だよ」 「馬鹿だから風邪引かないんだ」 「今日の夕飯、楽しみだなぁ」 「いってきます」 ※この話はフィクションです。リアルっぽく書きましたw あっ、また嘘ついちゃった…