ミラ〜未完成な相棒〜 1
技術が発展し、誰もが便利さや快適さを求める。そんな中、多忙な人々を少しでも楽にさせ、生活をサポートする人工知能が開発された。その名も「メイト」。
「メイト、今日は取引先と会食なの。いいお店を紹介して」
「かしこまりました。では、フランス料理はいかがでしょう。」
「いいわね。予約もお願い。」
「かしこまりました。直ちに、予約致します。」
「いつもありがとう。」
「いえ、あなたのためならどんな事でも。」
このように、多くの人はメイトによって豊かな生活を送っている。
メイトは小さい子供から大人まで、全ての人が所持しており、今では生きる上で欠かせない存在になっていた。
もちろん、俺にもメイトがいる。
しかし、俺のメイトは何かがおかしい。
「翔祐ええ!ごめん!電車の時間見違えた…。」
「早めに家出たから、気にすんな。」
「あ、ほんと?ならいいや。」
そう、このポンコツが俺のメイト『ミラ』
ミラは一応、人工知能。実際にミラは、俺の携帯やパソコンで生存している。しかし、他のメイトとは違い「感情」を持っている。むしろ、俺よりも感情の起伏が激しく、人間らしい。
「今変なこと考えてたろ!」
「逆にお前は何を考えていると思ったんだ。」
ミラとの出会いは突然だった。
俺が身支度をしている時、あいつが現れた。
「おい!そこの男!」
突如、携帯の画面に現れた一人の少女。
「俺の携帯、壊れた。」
「壊れてない!失礼な!」
「気を取り直して。私はミラ!相沢翔祐、あなたの相棒です!」
勝手に人の携帯画面に出てきて、勝手に自己紹介を始める。
生きてきた中で一番最悪な第一印象だった。
「もしかして、最近導入されたメイトってやつ?」
「左様!私こそが最高峰メイトでございます!」
「はあ。」
「よろしくな!翔祐!」
俺と厄介なメイトの生活がスタートした。