水彩絵の具
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部活、行きたくないな。 部活、休んじゃおうかな。 部活、ずる休みしちゃった。 “体調不良”の文字を送って。 あとはのんびり暮らすだけ。 外に出れないのは寂しいけれど。 たまにはいいよね。うん。 LINEの通知を開いてみたら。 新しいバレー部のグルラができて。 間違って既読つけちゃったけど、大丈夫だよね。きっと。 少しの幸福感と、少しの罪悪感。 甘く苦く混ざって、ほろ苦い味。 “体調大丈夫?”の気遣いが、なんだか心に響くんだ。 “体育祭の疲れが溜まってたから”と根も葉もないことを言ってしまう。 体が痛いという体調不良。これで嘘ではないけれど。 心が体調不良かな。どうしても行きたくないんだよな。 行きたくない。 休みたい。 休んじゃおうかな。 休んじゃった。 このループがずっと繰り返されて。 行かなくていい、という幸福感と。 ごめんなさい、という罪悪感と。 あとはちょっぴり劣等感。 こんなことで休んでる私、バカみたい。 みんなは強いんだね。私は弱いんだよ。 知ってると思うけど。 、ずる休みしちゃったね。
ごめんね。
“クラス違ったね” この言葉から、始まってたのかな。 クラスが違うだけ。 学校生活のちょっとが、違う空間なだけ。 部活で会えるから大丈夫だって。 でも、なんだか怖くて。 話についていけない気がして。 クラス内の内容なんかは、ただ笑うことしかできなくて。 たわいもない話をしたいだけなんだ。 なんとなく、授業の間休みなんかは廊下にふらっと出て。 無意識に、姿を探しているんだ。 部活はぼっちになっちゃった。 1人、また1人って、部活内で話せる人が少なくなって。 一緒に過ごせる時間が休み時間しかなくなって。 その休み時間だって、会えなかったらもう無理だ。 距離が離れて行く気がして。 さみしくて。怖くて。恐れちゃって。 部活にだって行きたくないよ。 1人になるのが怖い、ただの人間なんだよ。 そっちのクラスでも、グループができちゃってるんだからさ。 私はいない方がいいのかな、なんて思っちゃったりしてさ。 だんだん声をかけるのも怖くなってきて。 話の邪魔すんなよ、とか。 場違いなんだけど、とか。 空気読めよ、とか。 思われちゃったらやだな、なんて。 無理しちゃってごめんね。 変なこと思ってごめんね。 親友なのに、ごめんね。
努力。
「腕をしっかり引く」 とか 「正面で捉える」 とか 頭ではわかってるんだけどな。 それがどうしてもできなくてさ。 先輩とか友達とかは、簡単にやってのけちゃうけど。 私にはできないことなんだ。 自分の体の使い方がわからなくて。 どこをどうすれば力が伝わるのか。 よくわからなくて。 だから、人一倍努力しなきゃいけないんだ。 他の人は10回やったらわかることを。 私はきっと20回やらなきゃわからない。 優しいサブコーチのアドバイスとか。 友達に教えてもらったコツとか。 他に人が教えてもらっていることなんかも。 全部ノートに書き留めて。 あとから見直して、今日はどれができなかったとか。 今日はこれができたから、明日はこの部分、とか。 人がやってなさそうなことまで、私はやらなきゃいけないんだ。 並大抵の努力なんかじゃ、私は追いつけないから。 もとから運動神経なんてなかった。 人より、ほんの少しだけ足がはやいだけだった。 その他はなんにもできなかった。 だから、人よりハンデがあるかもしれないけれど。 その部分を追い越して、追いつかなきゃいけないんだ。 チームの足なんて引っ張ってられないから。 私のせいで負けたとか、言われたくないから。 下手なのにユニフォームもらうなとか、言われたくないから。 私は努力しなきゃいけないんだ。
第6回N1 壁の向こうは。
“ねぇ待ってよ!!” 空が真っ赤に燃えた夏の夕方だった。 荒く乱れた呼吸の中、必死に足を動かして。 スクールバックの紐を握りしめたまま、私は口を開けていた。 “……” 前を進むあの子は止まらない。 綺麗に切られた後ろ髪を揺らし、走り去っていく。 そのまま曲がり角を走り抜け、その子の姿は見えなくなった。 “なんで…どうして…!” この状況を頭に流し込めない。 わかりたくなかった。 涙で前が見えないまま、その場に立ちすくんでしまったんだ。 __ いつからこうなってしまったんだろうか。 友情にひびが入り、見えない壁で遮られているような、この関係。 どうしても、あの子は壁の向こうにいるんだ。 “ずっと…友達でいようって。約束したはずなのに…” 真っ黒なスクールバックについたお揃いのキーホルダーを見ながら、そう呟いてしまった。 中心からジグザグに切られたハートのキーホルダー。 もう片方はあの子が持っていた。 くっつけると1つのハートになるんだ。 前はそのキーホルダーが愛おしくてたまらなかった。 隙があればそのハートを掲げて、 “おそろいだね!” と言っていたものだ。 しかし、今はそうではない。 見えない壁で遮られた関係。 どうしても、その壁を越えられないんだ。 いつも、壁の向こうにはあの子がいて。 私はその先へ進めない。 触れられそうで、触れられないんだ。 手を伸ばしても、届かない関係性にまでなってしまったんだ。 ーー 次の日のことだった。 “…!お、おはよ…” 声をかけても立ち止まらない。 足早に階段を駆け上る。 その時、その子のスクールバックが揺れた。 “…あ……” 黒色のスクールバックに、ハートのキーホルダーの姿はなかった。 前までは目立っていたはずだった。 ピンク色のハートのキーホルダー。 見えない壁ができていても、キーホルダーで繋がっていた。 そう思っていた。 ただ、それは私の思い込みだったんだ。 “見えない壁……か” 前までは薄く、壁越しでも相手の顔が見えるぐらいだった。 ただ、今日、この瞬間で、一気に壁は分厚くなった。 もう一生超えられない。一生手は届かない。 __ 帰り道、家路の近くにある大きな川に寄った。 前までは一緒に帰っていた帰り道。 それも、今ではひとりぼっち。 “もう、これもいらないかな” そう言って、スクールバックからキーホルダーを外す。 黄色のハートのキーホルダー。 2つ合わせると1つになるニコイチだった。 “今は、このキーホルダーと同じ立場か” 壁は分厚く、もう絶対に越えられない。 それを今日知ってしまった。 キーホルダーを手から滑らせた。 それは、川へ深く沈み、見えなくなった。 “…これでよかったんだ、きっと” もう届かないことを知っているから。 持っていてもしょうがないんだ。 壁が取り除かれることはないし。 これ以上分厚くなることも、もうないだろう。
怖いな。
怖いな。 同じ部活のアノコが。 親から怒られるのが。 背中に溜まるプレッシャーが。 「ちゃんとやったほうがいいよ」 って言われたけどさ。 あれでも真面目にやってるんだよな。 「無視されたんだけど」 って小声で言ってたけどさ。 一応返事したんだよな。 あと、それを本人の前で言うのはどうかと思うけど。 結構グサってくるんだよな。 私はそこまで本気じゃないからさ。 サボれるところはサボりたいし。 走るのも最低限なんだよな。 まぁ、試合に出れたら嬉しいけどさ。 部活に行くのはちょっと憂鬱なんだよな。 毒舌で注意されるのは怖いからさ。 意外とメンタル脆いんだ。 そりゃあ、私よりも上手いとは思うけど。 もう少し優しい言葉で注意できないかなって。 心のどこかで思ってるんだ。
なんかイラスト。
こんにちは。水彩絵の具です。 旅行中に描いたらくがき。 話のネタがすっからかんになったんでイラスト投稿。 ハイキューの孤爪研磨くんです。 筆箱に入ってたマーカーペンで色塗りもしました。 暇だったからです。笑 旅行の帰りの飛行機でゴミ捨て場の決戦をスマホで見ました。 1回お友達の家で見たんですけど、もう1回見ても感動もの。 好き。次の映画は絶対に映画館で見ると決めてます。 早く完成しないかな。 それじゃ、また会う日まで。
はっぴーばーすでー。私へ。
はっぴーばーすでー、私。 お誕生日おめでとう。 1年に1回だけの、特別な日。 今日だけ、ちょっとわがままでもいいよね。 大きいショートケーキ食べたり。 小さくってかわいいプレゼントもらったり。 友達とたくさん話したりさ。 ずぅっと、この時間が続けばいいね。 ーー こんにちは。水彩絵の具です。 実は3月19日、私の誕生日です。 プロセカの桃井愛莉ちゃんと一緒。 これだけは自慢できます。笑 それでは、また会う日まで。 本日がみなさんにとって素敵な日でありますように。
いーね。
いーね。 頭がよくて。 努力してるんだろうけどさ。 私はそこまでできないな。 いーね。 顔が整ってて。 美容のこと詳しいんだろうね。 前髪命って言ってる人の考えてること。 私にはわかんないや。 いーね。 人気者で。 そういう性格なんだろーね。 ただ突っ立ってるだけでも人が集まってくるの。 私は存在感がないからな。 人への「いーね」がたまってさ。 どんどん「いーな」になってくんだ。 裏で悪口言ってる私。 性格悪いね。わかってるけど。 嫉妬?妬み? どっちもか。 ごめんね。こんな奴で。 サイアクだね。 でもこう思っちゃうんだよ。 自分が情けないからさ。
またね
消毒液の匂いが充満した病室。 君は横たわっていた。 “もう、死んじゃうのかな” そう言って、微かに笑みを浮かべた。 乾いた、壊れそうな笑顔だった。 “そんなこと言わないで” と。こんなことしか言えない自分。 そんな自分が大嫌いだった。 “無理だよ。…体に力が入らないし” 耐えられず君は涙を流した。 手も足もほとんど動かない。 “やめて。お願いだから” 寿命のことなんか聞きたくない。 また一緒にアイス食べようって。 約束したはずなのに。 “私…もう無理だ“ やめて。離さないで。 次会えるのかどうかわからないのに。 “人生、楽しかったよ” あぁ、そんな、終わりみたいに言わないで。 一生会えないみたいにさ。 “バイバイ。…いや” “またいつか、会おうね”
折セカ:サイドストーリー
“んー…どうしようかな……” 自分の部屋に入り、床に座る。 ぺたっと目の前の机に突っ伏した少女の名は、如月響。 “やっぱ特技って多い方がいいよな…… ショーする時にも便利だし有利だと思うし……” 案がまとまらないのか、う〜んと頭を抱える。 自分のスマホに指を滑らせ、ノートにシャーペンを走らせる。 だが、気に入らないのか、ページをぐしゃっと掴んでちぎった。 そのままゴミ箱へ乱暴へ投げる。 現在の彼女の特技は「歌うこと」と「バイオリン」 これでも十分だと思うが、他にも特技を身につけたいらしい。 “やっぱりそう簡単には見つからないか… 特技は速読です。とか言われてもピンとこないよな……” お菓子作りが出来てもショーにはあまり関係ないし…とこぼす。 ぼふっとベッドに倒れ込んだ。 スマホを掲げてスライドさせる。 “気分転換にセカイにでも行こうかな” そのままポチッとボタンを押した。 その瞬間、煌びやかな光と共に、彼女は部屋から消えていた。 ーー “よっ…と” うまいことセカイに着地した響。 そのままどこへ行くこともなく、足を進める。 ふと、目の前の棚に目を止めた。 “…こんなとこに本棚なんてあったんだ” セカイのことはなんでも知っているつもりだった。 でも、まだ知らない部分もあるらしい。 そこが面白いと彼女は感じていた。 “…「自らを信じて」…?” 目に止めた本の題名を読む。 そのままパラパラとページをめくった。 ふと、文の中のワンフレーズが気になった。 “「無理に自分を崩さなくていい 自分を1番知り、1番愛せるのはただ1人、自分なのだ」” 響は目を見張った。 自分の思わぬことが書かれていたからだ。 “…そっか。そう…かもな” 響はくるりと踵を返し、走って元の場所へ戻っていった。 彼女がすぎた空は、青く澄んでいた。